でもみんな音楽は好き
音楽が売れない。つまりはCDが売れない時代です。
ライブで稼ぐ、ライブの物販で稼ぐ、握手会・チェキ会などの接触で稼ぐ。今の音楽ビジネスは音楽そのものではなく音楽をきっかけや媒介としたビジネスになってきました。
私はこれ自体はまったく批判しません。その時代で音楽を売るためにどうすればいいかと考えれば、こういう方法にたどり着くのは至極当然です。
CDの売り上げは今後も下がり続けますが、YouTubeなどの無料で聴けるツールやストリーミングといた新しいサービスにとって代わるのはまだまだだいぶ先だと思っています。これはそういうツールを使えない人がいること、新しいサービスを知らない人が多くいることなどが理由です。
しかし、CDの売り上げが回復することもないと思っています。長い目で見ればダウントレンドは避けれらないでしょう。
そんな中、こんなエントリを読みました。shiba710.hateblo.jp
アナログレコードの人気が再燃しているという記事です。
利便性だけではない、アナログレコードならではのモノとしての価値がもう一度見直されるようになったのだ。
と書いてあるのですが、この意見に私は頷けません。
このエントリでは日本のアナログ市場の規模や増加率が書いていないので具体的な数字は分かりませんが、アナログレコード、売れてますか?売れてないでしょ。売れているとしてもそれは東京ど真ん中のシャレオツ一番街だけでしょ。
こんなツイートを見つけました。
何度も言ってるけどアナログレコードの本数はカセットテープ(主に演歌)の本数を超えてないのね。上昇傾向だけどブームと言うにはちと早いんじゃないか、という気がしている。業界としてはポジティブな要素なので活用したい思惑はわかるんだけどね。http://t.co/R0sd4pwSJP
— たにみやん (@tanimiyan) 2015, 10月 6
こっちの方が実感としてはしっくりくる。カセットテープの方が売れている。
このエントリではサードウェーブコーヒーとの共通点にも若干ではありますが言及されています。しかし、これも東京ど真ん中の話でしかないと思っています。そもそも私の地元にはサードウェーブコーヒーなんてないし。というか、スタバもタリーズもないし。
サードウェーブコーヒーが流行ったのは「サードウェーブコーヒーを選択する俺カッケー」という「○○が好きな自分が好き」なだけで、本当にその味が好きで飲んでいる人はどれだけいるのでしょうか。最近マスコミではサードウェーブコーヒーの話題を聞きませんが、今でも繁盛しているのでしょうか。
同じようにアナログレコードも「アナログを聴く俺カッケー」の部分が大きいと思っています。また新しいイケてるファッションが登場すればそちらに乗り換えそう。
アナログレコードを聴くことが「本当に音楽好き」なのか「単なるファッション」なのかは分かりませんが、そもそも、世間ではそんなに音楽は熱心に聴かれていません。
AWA、LINEMUSIC、AppleMusicなどのストリーミングサービスがありますが、どれだけが利用しているのでしょうか。
こんな調査結果があります。www.musicman-net.com
こんなもんです。しかも、これはインターネット調査なので、本当の世間に聞いたらもっと少ないでしょう。「利用したことがない」「直近1年利用したことがない」を合わせると9割以上。「今後も利用したい」は1割未満。
あれだけ騒がれたストリーミングだってこんな程度です。実際は使うかどうか以前にストリーミング自体知らない人の方が多いでしょう。私の周りで使っている人は一人も知りません。
そんな中でアナログレコードを買うなんて、オシャレかマニアですよ。
私の周りは「音楽雑誌買ったことない。そもそも音楽雑誌コーナーに寄らない」なんていう人もいますから。雑誌を買うだけで音楽マニア扱いですよ。
アナログレコードの温かい音?わざわざ針を落とす手間が楽しい?曲を飛ばすこともできない不便さが新鮮?
どこにいるんだそんな奴、連れて来い。
音の違いなんて気づかないし気にならないし、手間や不便はない方がいいに決まっているでしょ、普通の人にとっては。
「YouTubeで音楽を聴くなんてアカン!」という意見も多いですが、それだって「積極的・主体的に音楽を聴く」ことなので、それすらしない人の方が多いと思っています。
「音楽は好きですか?」という質問に対してはほとんどの人が「Yes」と答えると思うのですが、音楽に接する方法や頻度や熱量は人によって相当な開きがあります。
CDは売れないけどフェスは盛況というのも、音楽は好きだけどCD買うほどじゃない層が「楽しむため」にフェスに行っているのだと思っています。楽しむためというのは、友達とお揃いコーデなどをして写真を撮り合ってSNSに投稿するという一連の流れであって、そこでは音楽は必須条件ではありません。花火でも海水浴でも登山でもハロウィンでもスノボでもいいのです。
アナログレコードの人気が再燃しているというのは地方に住む私からすると全く実感がない(そして多分数字でも再燃はしていない)ですが、音楽が私たちの生活の身近にあるというのは間違いがないのですから、まだ方法はあると思います。その方法は私には思いつきませんが、今のレコード会社の規模は必要ないんだろうな、とは思っています。メガヒットが出る前提での社員数を抱えるレコード会社はもう立ち行かないよ。
熱心に聴いてはいないが、音楽は好き。世間のほとんどを占めるこの層にどうやってアプローチしていくか。ひらめきたい。
関連エントリ↓ese.hatenablog.com
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