やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「進撃の巨人 後篇」 感想

1本でやれ


今さらですが、「進撃の巨人」の後編を見てきました。
前編の感想はこちら↓ese.hatenablog.com
(ネタバレありますよ)


ネットで酷評されていたので期待値をぐーんと下げて見たのですが、思っていたよりは(恐れていたよりは)良かったです。名作かと問われればノーですが。
ちなみに私は原作未読です。なので「原作と違う!」という批判はありません。


オープニングは前編のおさらい。
そして何と草彅剛登場。男の子に何か注射します。奥さんが咎めるも「兄さんで試してあるから大丈夫」と答える草彅君。軍が入ってくるので男の子をソウダ(ピエール瀧)に託す。
で現代に戻り、前編で巨人化したエレン(三浦春馬)の軍法裁判。というか処刑の場。KREVAが登場していましたがセリフはなし。もったいない。でもあの声だから浮いちゃうかもな。
エレンを撃つかどうかでもめている最中にソウダが撃たれ、今際の際で「お前のにいさ…」と言いかけて死亡。こんな分かりやすいダイイングメッセージあるかよ!昭和のドラマか!


そう、この作品で醒めるのはセリフそのものとそのテンポです。誰かがしゃべって次は別の誰かがしゃべる。分かりやすい!聞き取りやすい!舞台か!演劇か!
セリフも、ジャン(三浦貴大)「俺は降りるぜ」アルミン(本郷奏多)「こんなところでひとりでどうやって帰るつもりだい?」ジャン「くっ…。足手まといになるなよ」サンナギ(松尾諭)「そうこなくっちゃ」
何だこのセリフ!昭和のマンガか!


あとは、登場人物のみんなが何を目的に行動しているのかが分からず、物語に入り込めませんでした。
●シキシマ(長谷川博己)の部隊と出会ってエレンとシキシマが喧嘩。エレンはすぐ心変わりするなあー。
●喧嘩する二人をただ見守る調査兵団
●無理やりなキスを長めに受け入れるミカサ(水原希子)。
●なぜか今キスしたばかりのミカサを殴る蹴るシキシマ。
●不発弾を奪われるのが嫌なのでなぜか塔を壊すサンナギ。
●爆薬がないから不発弾を運び出したのにシキシマが隠し持っていた爆薬を全て爆発させてしまう調査兵団。貴重な爆薬なんじゃないの?
●その爆発のせいで不発弾が爆発する可能性は誰も考えなかったのかな?
●ハンジ(石原さとみ)は戦車の中にいたので爆発から生き残ったというのはギリ許そう。その戦車の真上に爆薬が大量に積まれていたんだけど、あの爆発に耐えうるほどの丈夫な戦車だったんだな。
●でも、爆発後のがれきの中からロケットランチャーなどを発掘するのはどうなのか。あの爆発でそれらの兵器が通常通り使えるわけないだろ。
この一連のシーンだけでこれだけツッコミどころがあります。


あと、ここだけじゃないけど、調査兵団の主要メンバーは何があっても死なないのが興ざめ。「理不尽な死」がこの物語の怖さの源なのに、「主要メンバーだから」死なない。緊張感がない。


クライマックスでもいろいろありました。
●そもそも、「あと5分で爆発だ」と言っていた不発弾は延々爆発せず。こういうのはドラマではお馴染みではありますが、それにしても長すぎる。もうちょっと物語の尺に合わせたタイマー設定にしておくれよ。
●クバル隊長(國村隼)が超巨人だったのですが、なぜ君は不発弾を取り上げようとするんだ。君はいつでも壁を壊せるだろ?不発弾気にするなよ。
●この超巨人の肩に乗って何かしようとするエレンとミカサ。何がしたいの?エレンはうなじのあたりを切って中にいるクバルを覗いていましたが、その後何かしないの?
●巨人化したシキシマが不発弾を超巨人の口に詰め込んでもろとも爆発。超巨人も死んで壁も壊れてめでたしめでたしなのですが、このシキシマの動機が分からない。シキシマは外壁を壊すのに反対なんだから超巨人に向かっていく動機はないんじゃないの?


登場人物の行動のベクトルが分からないので、物語がどっちに進もうとしているのかが分からない。
でも、この文章を書きながら反芻していたらだんだん分かってきた。見ている最中よりはすっきりしてきた。
そう考えると、脚本そのものよりも演出が上手くなかったのではないでしょうか。


巨人についての説明は納得。軍が人体実験の結果巨人を生み出し、それはパンデミックで人類全体に広まり、その結果世界戦争になり壁を作って避難した現政府。そしてエレンとシキシマは草彅君のワクチン(?)のおかげで意識を持ったまま巨人化できる。オープニングの「兄さん」もソウダの「にいさ…」もつながった。
なるほど。


ラスト、壁の最上段から外界を見るエレンとミカサ。壁の外には荒廃した前近代社会(東京タワーっぽいものも見えた)が広がり、その先にはずっと見たいと思っていた海がありました。そして二人の上には鳥が飛んでいる。前編からのフリをここでカタルシスとともに回収。
おお!と思いましたが、よく考えるとエレンは壁の外を見たいという希望を持ちながら壁をふさぐ(外に出ない)という選択をしたので、矛盾するよね。


エンドロール後、続編フラグ。
えー、こんなの入れないでー。続編あるとしても、続編のオープニングにこの場面入れればいいじゃない。まずはきちんと完結させようよ。
そして、そもそもこの作品、前後編にする必要あったのか?
前編98分、後編87分。これはエンドロールの時間も入っていますよね?後編の冒頭5分は前編のおさらいだったし、不要なドラマパートも多かったので、もっと詰めて1本にすればよかったのに。


というわけで、傑作とはいえませんがみんながいうほどひどくなかったよ、というのが私の感想です。後編の酷評と興行成績のイマイチさから続編暗雲なんじゃないかなー。変に原作に寄せずに「設定だけ借りた別物」と開き直って作って欲しいな。
私も原作のファンだった場合「原作と違う」という批判をしがちですが、それって映画の批評とは別物ですよね。「違う=悪い」ではないので。ただまあ「何であの場面を変える必要があるんだ」と思ってしまう気持ちも分かります。
この作品は作者自ら「原作と変えてくれ」という要望があったので、そこをもう少しアピールすればよかったのに。そうすると興行成績に響くのかな。
みんなの期待に沿うのは難しい。



SEKAI NO OWARI「SOS」 - YouTube
また新しい一面。フカセ君は歌唱力はあまりないのですが英語だとそれが分からないから英語曲いいね。



「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」予告 - YouTube

進撃の巨人(18)限定版 (講談社キャラクターズA)

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