やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

SMAP解散で思う「事務所強すぎ問題」

必要なのは敬意


私は、SMAPのファンではありません。彼らの番組も見ないしテレビドラマも映画も見たことありません。正確に言うと「中学生円山」と「笑の大学」は見た。それだけ。ドラマは本当に1本も見たことありません。
CDも持っていません。歌が下手なので聴けません。それでも「SHAKE」「青いイナズマ」「夜空ノムコウ」「らいおんハート」「世界で一つだけの花」など、知っている曲はたくさんあります。それは、彼らが国民的アイドルという存在だからです。
※そう思うと、嵐は本当に1曲も知らない。この差は何だろう。


上記の通り、私はSMAPの番組を見ません。「SMAP×SMAP」も見ません。そんな私でも、2回だけこの番組を見たことがあります。1回目は岡村靖幸が出演した回。もう1回はあの会見のときです。
ファンでもない私がわざわざ見たのは、やはり彼らが国民的アイドルという存在だからです。
岡村ちゃんの回も、この人たちは毎回ゲストとのコラボのために歌を覚えてダンスを覚えて、しかも「魅せる」レベルで披露する、これってどれだけ大変でどれだけすごいことか、と思いました。しかも忙しい彼らは覚える時間も合せる時間もほとんどないはず。これを毎週やってるの!すごすぎだろ。


私はSMAPのファンではありませんが、彼らのすごさや功績の一端は知っています。アイドルがバラエティ番組にメインで出ること(昔はドリフなどに添え物として登場する程度だった)、番組で司会という立場でいること、30歳・40歳を超えても「アイドル」でいること、これらはすべてSMAPが切り開いた道です。「アイドル」という定義を広げ続け、変え続けた存在です。


「国民的」なんて言葉、軽々しく使えません。ある人にとってそういう存在であっても、文字通り国民全体はそう思っているわけではないからです。しかし、SMAPが国民的アイドルであることに対して異議を唱える人はいないでしょう。
そして、ファンではない私ですらショックを受け、こんな文章書いている時点で、やはり彼らは国民的存在なんですよね。


何度も書きますが、私は彼らのファンではないので、彼らの思いなどを推察することはできません。スポーツ新聞に掲載された彼らのコメントからいろいろ考えることはありますが、それが正しいかどうかは分からないので、書けません。
というわけで、このエントリは「SMAPであっても事務所に勝てないなんて、恐ろしすぎない?」ということについて書きます。


漏れ伝わってくる報道では、当初SMAPは全員でジャニーズ事務から移籍する計画だったのが直前で頓挫して(キムタクが翻意したとか)、事務所に残ることになったそうです。クーデターではなく、きちんとした手続きを経ての移籍。それが内ゲバにより頓挫した。これらがどれほど事実かは分かりませんが、内部でいろいろあったことは事実。
そしてあのスマスマでの生会見。
メンバーが語った言葉を文字にすれば、みんな大人な社会人という言葉選びでした。しかし、テレビから見えるあの5人の姿は生ける屍にしか見えませんでした。キムタクを除く。
リーダーである中居君ではなくキムタクがセンターに立ち、場を仕切る。「事務所に謝る機会をいただいた」という言い方。そして屍の4人。
テレビの力を再認識しました。これがスポーツ新聞やファンクラブ会報での文字だけだったら伝わらない「語らずとも分かってしまう空気」をあの日は全国に放送していました。
今回もメンバーの言葉は新聞などに掲載されていますが、あれをテレビで放送したら全く違うニュアンスが伝わったことでしょう。今後「スマスマ」などでメンバーが直接語ってくれることがあるのでしょうか。


SMAPは日本最強のエンターテイメント集団でアイドルで俳優で司会でタレントです。そのSMAPですら事務所に対抗できないなんて、日本の芸能はどれだけ夢や未来がないんだ。
SMAPがこれまで事務所にもたらした富はいかほどのものだろう。単純な金額的な利益だけではなく、彼らに憧れて入ってきた後輩たちのことなども考えれば本当に天文学的な数字になると思います。そして、それ以上に国民に夢や希望を与えたとか災害復興や五輪といった国民的出来事の際にもシンボルになってくれたとか、それらがどれほど偉大で敬意を払うべきことなのか、まじまじと考えなくてもとんでもないことだということは理解できます。


そんな彼らが契約期間満了をもって離れるという普通のことをしようとしてもダメなのか。キムタクが翻意した・日和った・寝返ったというのは事実か分かりませんが、もし事務所側が「今までありがとう。新天地でも頑張ってね」と送り出してくれれば翻意なんてしなかったはずなので、「移籍したら嫌がらせするぞ」という脅しに近いことがあったのでは、と推測しています。


なぜ事務所の移籍は揉めるのか。契約期間があり、それの更新をするかどうかだけではなぜ収まらないのか。なぜ「これまで育てた恩が」とか「筋を通せ」といった明文化されない事柄を主張するのか。
「ここまで育てるのにいくらかかったと思っているんだ」という主張も、そうするなら「これから君を大々的に売り出す。だから給料も倍にする。その代わり1年契約でなく5年契約にしてくれ」などの手順があればいいですが、それもなく恩の押しつけ。そのくせ辞めるとなると「契約が」と持ち出す。二枚舌のダブルスタンダードが!


他の業界でもこういうことはあるのでしょうか。ある会社で働いていた人が独立する際、これまでの恩を押し付けられたり独立後に邪魔が入って干されたりすること。


芸能界は特殊な世界で私たちの常識と違う部分も多いのでしょう。しかし、これだけSNS等が発達し情報が可視化されフラットになり、あまりに私たちの常識と違うことはなかなか許してもらえない時代になってきました。
ジャニーズ事務所はネットとは距離を置いているので、お偉いさんはその辺のことを実感として理解していないかもしれませんが、マスコミに対する情報統制、都合のいいことだけ書かせる、都合のいい書き方で書かせる、反対意見は無視して押しつぶす、というこれまでのやり方はもう通用しません。(写真をアップさせないのは些末なこと)
今は多くのファンがついているので盤石かもしれませんが、ファンの愛は契約ではなく幻想なので、この現実に嫌気がさして幻想から醒めてしまったら、一気に状況は変わる可能性もあります。今回の件がその引き金になるかもしれません。


事務所とタレントは、経営者と労働者という立場で本来対等であるべきです。入った当初は存在も小さく、ビッグになれば影響力も大きくなりますが、雇用契約という点ではいつでも対等のはずです。
しかし、事務所側が強い。これは一般の会社でも同様ですが、今回はSMAPですよ。SMAPほどの存在に対して感謝やねぎらいではなく、抜けようとしたことを「謝る機会を事務所が作ってくれて」と言わせる会社。ひどい。SMAPに対する恩や礼儀はないのか。


今回、SMAP側が解散を言い出したことを「よかった」という意見も見ましたが、それでいいのでしょうか。SMAPが解散なんて事態になったら、事務所は総力を挙げて花道を用意するべきです。なのに解散コンサートもできないし紅白にも出ないようです。これは事務所との関係がこじれたからこのような結末になったわけですが、この現状を見ても「よかった」なんて言えますか?彼らに出来たのは自殺を選ぶことだけだったのですよ。殺されるか自殺するかで自殺を選ばせた事務所こそ死すべき。最低限トップは引退すべき。


長くなった。ファンでもない私がこんなに長く書いてしまうほどヒートアップしたこの件は、ファンである人たちはいかほどの悲しみでしょう。
SMAPほどの存在であっても事務所に歯向かうと殺されてしまう現状を見て、誰がエンタメに夢と希望を見いだせるでしょう。ジャニーズ事務所の仕打ち・対応は「所属タレントの処遇」にとどまらない影響を世間に与えました。関係ない私ですら落胆と絶望しか感じません。


願うことは、5人が今後もきちんと仕事ができること。この騒動を「そんなこともあったね」と笑って話せる日がくること。
5人と日本のエンタメの未来に光あれ。


SMAPは終わらない~国民的グループが乗り越える「社会のしがらみ」

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