やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「デスノートLNW」 感想

ダチョウ俱楽部ではなく、本心から「見るなよ」


映画「デスノートLNW」を見てきました。公式サイト↓
wwws.warnerbros.co.jp
いやー、久々に失敗作に出会いました。
デビルマン」「少林少女」「ギャラクシー街道」「テラフォーマーズ」等、日本映画に燦然と輝くクソ映画はありますが、私は地雷をよける才能があるらしくてこれらの作品を見ることなく生き抜くことができたのですが、ついに踏んでしまいました。
※しかし、この作品はこのラインナップに並ぶほどひどくはありませんのでご安心を。ほめている人も好きだという人もいますから。


以下、ネタバレあります。


デスノート」ってどんなお話?原作は月(ライト)とL(エル)という天才二人の頭脳戦のお話です。もう一度書きますよ。天才の頭脳戦のお話です。
しかし、この作品には天才は誰も登場しないし頭脳戦は誰も行いません。「デスノート」という設定だけが共通項です。


ダメツッコミをするときりがないので、箇条書きで書く。
●オープニングでデスノートが地上に落ちるシーン、長い。地上に落とされた、だけでいい。大気圏突入あたりまで映さなくてよろしい。
●ロシアのシーン、いらないでしょ。
●ロシアの人は死神見ないの?
●全世界に6冊落とされて、東京に4冊あるの?偏ってるぅー!
●6冊あるけど、死神は3体しか登場しなかったのは予算の都合でしょうか。
●青井さくら(川栄李奈)を紫苑(菅田将暉)が殺す場面、紫苑はどうやって青井さくらの名前を知ることができたのでしょうか。死神の目の契約をするのはこの後です。
●対策本部の人たち、デスノートについて何も知らなすぎだろ。映画を見ている観客のための説明だとしても、劇中ではもっと自然に説明してくれ。この本部に新人が入ってきたとかそういう設定がなければ今さらそんな基本的なことから会議で話さないでしょ。
サイバーテロ、パソコンハッキング、監視カメラの妨害など、テクノロジーが万能であり無能でありすぎ。
●竜崎(池松壮亮)はどうやってデスノートを手に入れたのか。
●竜崎がLの正当な後継者とはどういうこと?遺伝子を受けたと劇中では語られていましたが、Lの子供ではないですよね?遺伝子操作?分かりません。
●紫苑はどうやって他のノートの所有者を突き止めたのか。
●紫苑の活動資金はどこから出ているのか(サイバーテロで稼いだのかな?)。
●三島(東出昌弘)がLの画像から隠しメッセージに気づく場面、どうやって気づいたの?どうやって解析したの?同じく紫苑はどうやって気づいたの?
●紫苑のチャット現場に踏み込んだけど紫苑は既にいなかった。これは物語上当然ですが、じゃあどうやって紫苑は竜崎と会話を続けていたの?
●そもそも、ネットの発信源は昔の電話のように「時間を稼いで突き止める」仕組みなの?デジタルなのに?
●警察の外に拳銃持ち出していいの?
●三島が捕らえられて竜崎が逃がす。これもよくある流れですが、警察無能すぎるだろ。
デスノート対策本部が解散した後は、その部屋はパスワードも変えずにブレーカーだけ落としておくの?重要な資料やデータがたくさんあるのに杜撰すぎる。
●検問ザルすぎ。
●「約束の場所」って何?そんな情報あったっけ?
●ヘリからの銃撃、ビームみたいな表現だな!
●これもこういう物語上仕方ないけど、弾当たらなすぎ。
●特殊部隊のマスクを外してその隙に名前を書いていく場面、顔見られたら死ぬことくらい知っているでしょ。手で隠せよ。
●「ノートで銃に勝てるわけないだろ」って、この映画全否定のセリフですけど!
●このセリフ、池松壮亮のアドリブだったら笑うな。
●紫苑が撃たれて死ぬ場面の演出ダサすぎ。70年代の映画か!
●七瀬(藤井美菜)はどうやって三島がキラだということを知ったの?無線生きていてやり取り聞いていたの?その描写あった?そしてあそこに来ることがなぜ分かったのだ。
●三島がキラだと分かった後も、三島は三島のままでキラじゃないじゃん。目的のために邪魔する奴を排除しないの?
●ラストで三島が竜崎となるけど、キラの記憶持ったまま?じゃあ最悪じゃん。三島改心したの?
●エンドロール後のキラの「計画通り」ってどういうこと?どういうこと?


はっ、箇条書きなのにこんなに書いてしまった。
私が見落としている部分、既に忘れた部分もあるかもしれませんが、脚本ひどすぎ。
上にも書きましたが、「デスノート」は天才同士の頭脳戦のお話なのに、ロジックやトリックの部分がひどすぎる。「デスノート」という人気コンテンツの映画化なので失敗は許されないし多くの有能な大人が関わっているはずですが、この脚本について誰も触れなかったのでしょうか。
ロジック・トリックもそうですが、物語としてもひどい。キャラが全然生きていない。竜崎は全然天才じゃないし三島は頭よさそうじゃないし紫苑は何でもできすぎ。物語の都合はハッキングとサイバーテロですべて進む。
そして、登場人物が何をやりたいのか、誰と誰が味方なのか敵なのかも分からない。ベクトルの向きが分からない。


とにかく、天才は登場しないし頭脳戦もしないこのお話は「デスノート」ではない。もちろん原作とは別物となっていいのですが、面白くないからダメ。
作り手の皆さんは「デスノート」のことをあまり知らないのかな?「名前を書いたら死ぬ」くらいしか知らないのかな?それくらいの理解と愛情のなさ。


このタイミングでの公開なので、もしかしたら「君の名は。」に勝ってしまうかもしれません。もしそうなったらそれがニュースになり、またこの作品を見てしまう人が増えてしまう。それは阻止せねば。面白くない映画にお金を使わせて興行収入が増えて「ヒット=傑作」になったらまずい。
でも、ネットで検索すると「面白かった」という意見もあるんですよねー。この作品を「面白い」と思う人がいるんだよなー。評価って、本当に人それぞれなんだなー。


私は、この作品を見た後で「踊る大捜査線3」みたいだな、とツイートしました。


前作がヒットしたので続編が作られたが、日本映画ダメあるあるばかりで内容は散々、しかし前作ヒットの効果で興行収入は上々、というイメージ。
あ、そうか。この作品のひどさは上に描いたような殿堂入り作品ほどではなく、「踊る3」「進撃の巨人後編」レベルだな。洋画でいうと「ダイハード・ラストデイ」レベル。


最後にキャストについて。
●東出昌弘
いい人なのは分かるけど、頭がよさそうじゃない。見た目も話し方も。キラになっても悪そうじゃないし。これ、ミスキャストじゃない?
池松壮亮
かわいい顔してるなー。演技もよかった。しかし脚本がひどくて天才らしさはゼロでした。
菅田将暉
相変わらず何でもできる子。忙しいのにこんな作品に出させてごめんね。
あと、死神の声を演じた松坂桃李はいい小遣い稼ぎができましたね。


初週1位は許そう。しかし酷評で大ヒットはしないはず。
SNSが発達した現代、いい作品は口コミで広まりますが、駄作は叩かれる。事前の宣伝や予告編の作りよりも、作品の内容そのものがいちばんのヒット要素になります。その健全な作用が働くことを見守ります。


原作大好きですが、ラストの「ジェバンニが一晩でノートの偽物を作った」部分はガッカリです。