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映画「海賊とよばれた男」 感想

優秀なビジネスマン


映画『海賊とよばれた男』を見てきました。公式サイト↓
kaizoku-movie.jp
原作は未読。百田尚起さんの著書は『幸福な生活』のみ読んだことがあります。しかし『幸福な生活』はショートショートをまとめたもので、長編ではないのであまり参考にならない。
監督は山崎貴さん。『ALWAYS三丁目の夕日』『永遠の0』などが有名ですが、どれも見ていません。『寄生獣』のみ見たことがあります。
こんな状態で見に行きました。


オープニングの空襲のシーン、CG丸出しで先行き不安でしたが、その後はCGだなーとは思いつつそんなに違和感は感じませんでした。あと、このオープニングでプロペラの重低音がとても効いていて「映画だぜ!」という感じがあってよかったです。


終戦時、主人公の国岡鐵造(岡田准一)は60歳。岡田君が60歳をどう演じるのか不安だったのですが、これがよかった!よくある朝ドラや大河ドラマのような「白髪増やして肌つるつる」ではなく、肉付きや顔のシミなども年齢を感じさせるものでした。メイクさん、グッジョブ。とはいえ、國村隼など本当の年配者と並ぶとやはり若さが見えてしまいますが、国岡鐵造のエネルギッシュなキャラクターと岡田君の演技力により、違和感は感じませんでした。


そう、岡田君が素晴らしかったのです。このエントリはこの先ケチをつける内容になりますが、岡田君は褒めておかなければならない。上記冒頭の60歳のシーン、ここで見ている私たちは60歳に見えるか不安に思うわけですが、上記の通りメイクが上手くてちゃんと60歳に見えます。そして、声が違うのです。ちゃんと60歳の声になっているのです。ここに感心しました!
熱く、カリスマ性のある主人公国岡鐵造。これが冒頭の訓示で完全に表現されていました。いやー、素晴らしい俳優です。


しかし、肝心のお話はイマイチ。いや、面白いのですが、燃えない。五角形チャートできれいに70点を取っている感じ。どこも悪くないけど突出していいところもない。ソツもアラもないけど魅力もない。うーむ、困った。山崎監督の他の作品もこんな感じなのですか?
新婚時代に住み込みの若手が奥さんの朝ごはんが美味しくて一斉におかわりを言うとか、こんなベタな演出あり?取引先が一斉に手を引く状況で会社の電話は鳴りっぱなし大ピンチ。そこで鐵造が何か話し始めると急に電話は止む。こんなリアリティなしの演出あり?


でも、この映画を見にくる客層は、たぶんこんなこと気になりません。CGのアラも気づきません。分かりやすい脚本と「ここが感動シーンですよ」と分かりやすい演出で大満足で劇場を後にするはず。上映時間145分という長さもだれることなく見ることができたのは監督の力量です。
そう考えれば、大成功なんです。この映画のメインターゲットにはばっちりはまる出来だと思います。これだけの大型企画をきちんとまとめる山崎監督は、優秀なのです。こんなケチつける私は外野の人間なので無視してもらって構わないのです。


なので、もうあまり感想がない。堤真一の船のシーンは同じアングルばかりで絶対船乗ってないだろとかイランのシーンも港や街の様子は映さずカメラアングルが狭くて絶対イラン行ってないだろとか、そういうことばかり思ってしまいました。
あとは、出演者の皆さん顔も衣装もきれいに汚しているなーとか、國村隼が「あんた、昔海賊って呼ばれていたんだって?」というセリフ、何も機能してないなーとか、劇伴のボリュームがでかくて「ここは感動、ここはピンチ」とか見る側の感情を指示するなよとか。つまんないツッコミばかりですみません。


というわけで、50歳以上の人ならみんな楽しめると思います。若者も、私のように心が歪んでいなければ楽しめると思います。

この作品、なぜ「呼ばれた」ではなく「よばれた」なのでしょうか。どなたか知っていたら教えてください。