スターは一般人ではない
先日、真心ブラザーズのライブを見てきまして、とても素晴らしく幸せな気持ちになったわけですが、YO-KINGのステージ上の立ち振る舞いを見ていろいろ考えることがありました。
ステージ上でフロントマンはみんなの視線を一手に引き受けていることを理解しているからこそ煽ったり盛り上げたりするわけです。
「イエーイ!」と声を出す、コール&レスポンスをする、ステージを端から端まで走る、ジャンプする、客席に手を振るなどなど。さらには客席の中に入っていったり客席の上を歩いたりする人までいます。
しかし、YO-KINGはそういうことを一切しません。昔はフロントモニターに足をかけてジャンプ!とかもやっていましたが、ここ数年は本当に何もせず、ごくたまにステージ上を左右に歩くだけ。やるのは面白MCと素晴らしい歌だけ。
それでも成立するのがYO-KINGです。その「何もしない」を恐れない心とそれで成立させるスター性。これ、桜井さんではできない芸当です。というか、ほとんどの人はそんな無防備な姿でステージに立つことなんてできないはずです。
さすがYO-KINGだなーと考えていたら、そういえば岡村靖幸は真逆だな、ということを思いました。
ステージ上でMCは一切しない代わりにコール&レスポンスはしつこいほど繰り返し要求するし、3時間ぶっ通しで踊り続けるし、手を振るどころか投げキッスも連発してくれます。
何もしなくても成立するYO-KINGとコミュニケーションを求めてデンスし続ける岡村靖幸。
「満ち足りているから自分の幸せを分け与えよう」というYO-KINGと「全然足りないんだ」と希求し続ける岡村靖幸。
岡村ちゃんはそれを「モテたい」というワードで表現し、そしてその「足りない」という飢餓欲求が私たちに対する磁力になり、魅力になり、共感になるのです。
二人ともスターであることは間違いないのですが、アプローチは真逆。
どっちがいいとか正しいとかいう話ではありません。普通の人はYO-KINGの余裕は持てないし、岡村ちゃんほどコミュニケーションも求めない(既にステージ上でキャーキャー言われているわけですから)。どちらも一般人ではありません。この「過剰な余裕」と「過剰な飢餓」がスターたる所以なんだろうな。
ここで音楽評論家なら何かしらの「結論」を導き出すのでしょうが、私はそんなことできず、何の分析も結論もないけど「スターってすごいよね」というお話でした。
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