やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『パッセンジャー』 感想

タンクトップという様式美


(ネタバレあります)


映画『パッセンジャー』を見ました。公式サイト↓
www.passenger-movie.jp
Wikipediaの方はストーリーのラストまで書いてあるので要注意。


この作品は、感想を書きにくい。
目的地まであと90年というところでたったひとり目覚めてしまった人は、どんな気持ちでどんな行動をするのだろう。
もうひとり目覚めた異性と恋に落ちるのは必然なのだろうか。


本作のキャッチコピーに「乗客5000人 目的地まで120年 90年も早く 2人だけが目覚めた 理由は1つ」とあるけど、ウソですね。目覚めた理由はふたつ。事故と故意。
そう、ジェニファー・ローレンスクリス・プラットにより「起こされた」のです。いくらひとりぼっちで寂しいとはいえ、絶対にやってはいけない倫理的アウトな行動。


それを知ってしまった後、人はどんな気持ちでどんな行動をするのだろう。
恋に落ちた相手と元に戻ることはできるのだろうか。


この辺が(当たり前ですが)全然想像できないので、ありえるのか、演技の必然性があるのかが分かりませんでした。


そして物語を動かす突然の3人目の登場。「何でもできるID」を託してすぐ死にました。物語を進めるためだけの都合よい脚本!
クライマックスではこういう映画でおなじみの「自分の命を危険にさらして人類を救う行動」ですが、そもそも彼らにその動機なんかないでしょ。助けたところでその人たちが目覚めるころには自分たちは死んでいるのだから、助けずにいたって構わないのに。まあ、あれをしないと自分たちが死んでしまうので頑張るのは分かるのですが、それだったら「乗客5000人がいる」とかは言わずに「君のために」だけに絞った方がいいと思うのです。
あと、船外に放り出されたクリス・プラットは耐熱シールドを放り投げて自分の軌道を変えていましたが、そんなことできないから!慣性の法則知らんのか。
最後の選択は「彼と一緒」を選ぶかな?「起こすなんて殺人と一緒」と言っていた彼女の気持ちを変えさせるような出来事だったかなあ。「ありがたく冬眠させてもらうわ」でいいと思うけど、エンタメ作品だからしょうがないのか。


この作品は「究極の孤独の中犯してしまった罪は許されるのか」というのがテーマのひとつなのだと思うのですが、これに対して明確な回答は出ていません。「許す」という結論ですが、そこに至る理由が弱い。


というわけで、「つかみはいい(だから私は映画館に足を運んだ)が、途中は単なる恋愛映画でクライマックスはよくあるアルマゲドン」でした。いや、わくわくもどきどきもしたのですが、上記の通りその心情や行動にリアリティがあるのかが分からないので応援も同情もしにくい感じで見ていました。


ついでに。邦題は『パッセンジャー』ですが、原題は『Passengers』です。乗客は5000人もいるし目覚める人も複数なのだから、原題通り『パッセンジャーズ』の方が正しいと思うのですが、なぜ単数形になったのでしょうか。

↑この作品があるから?


役者について
クリス・プラット
売れっ子ですなー。『オデッセイ』のような境遇ですが、彼と違って訓練されている宇宙飛行士ではないのですぐに「ポジティブ→行動」とはいきません。そりゃそうだ。でもクリスなのであまり悲壮感を感じませんね。天性の陽性っぽさが良くも悪くも危機感を感じさせない。
オーロラ(ジェニファー・ローレンス)を見つけるまでにいろんな女性の顔や履歴を見て彼女に決めたのかな。私だったら絶対そうする。そして起こしてしまうなら、複数の女性を起こしてハーレムを作るね。
一瞬びんぼっちゃまになります。
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ジェニファー・ローレンス
私、彼女の作品初めて見ました。そんなに美人!というわけではないですが、スタイルは抜群。途中何度か℃-uteの岡井さんみたいだな、と思ったのですが誰か賛同していただけますか?
途中ヌードシーンがあって乳首は出ないのですが脱いでいます。ハリウッド女優は偉いなー。他の作品でもヌードになっているのかな?と思って調べたらプライベートの写真流出でえらい目にあっていたのですね。かわいそう。
日本であんな写真出たら一発アウトだけどアメリカは懐が広い。というか、それで当たり前ですよね。香里奈なんて全然大したことないのにずっと表舞台に出られなくてかわいそう。
クライマックスではお約束のタンクトップ。SF・ホラー・アクション映画で活躍するヒロインはタンクトップを着るというのは何か決まりでもあるのでしょうか。いいことだ。


マイケル・シーン
アンドロイドのバーテンダー役。ロボ過ぎなくてよい。この時代でもアンドロイドは杓子定規にしか物事を判断できないのか。「忖度」って高度な真意の伝え方ですな。


ローレンス・フィッシュバーン
こんなに小さかったっけ?『マトリックス』のモーフィアスでしょ?
登場→クルーだから乗客が入れないところも入れる→用がなくなったので死亡→オールマイティIDは残していく(物語にとって)都合のいいキャラ。


アンディ・ガルシア
セリフなし、登場シーン1秒。これでギャラいくらなのかしら。
そして父になる』のピエール滝の役柄いいなーと思っていましたが、それを上回るコスパの良すぎるおいしい役があった!


最後にゲスいことをいくつか。
船内に二人だけだったらすぐにセックスしそうだけどなー。
そしてセックスした後はもう服着ているのも面倒じゃないのかなー。常に全裸でいいんじゃね?
隕石の衝突も避けられないような宇宙船、ダメだろ。
ラストの「船内に森ができている」は、そんなこと可能なのか?そういうプログラム施したのか?鳥なんてどうやって作りだしたんだ。そもそも、船内に森ができているのはうれしいことなのか?「余計なことをしやがって」ではないのかな?


まあ、そんな細かいツッコミは野暮。でも、単なる恋愛ものにするには条件のハードルはあまりに過酷だしそれに対する回答は弱い(というかないに等しい)。
SF映画としてはクライマックスのくだりはこれまで何百と作られてきた作品と何ら変わりがない。


というわけで、面白いのにツメが甘いぞー、でした。