映画『SING』 感想
歌の力
(ネタバレあります)
映画『SING』を見てきました。公式サイト↓
sing-movie.jp
字幕と吹き替えのどちらを見ようかなーと悩んでいたのですが、私の地元の映画館では吹き替えしか上映していなかったので選択の余地はなかった。
面白かったです。
脚本のアラはありますが、映像の華やかさ・楽しさ・明るさと、何よりも歌の力ですべてプラスに変えてくれました。
歌手の人が声優をしているのは前情報で何となく知っていましたが、見ている間は完全に忘れていて、歌になって「うわ、この人だったのか!」と思うことがありました。スキマ大橋さんとMISIAさん。
●ムーン(コアラ)内村光良
ウッチャンが主役なんて不安だなーと思っていましたが、上手かったです。明るくて前向きで人柄の良さまでウッチャンに合っている。オープニングの語りの部分では『金メダル男』みたいだなーと思いましたが杞憂に終わってよかった。
ムーンは、明るくて前向きでとてもいい人なのですが、優秀なのか無能なのか分からない。人脈も経験もないベンチャー経営者みたいなもんなのかな?あのまま金策が上手くいかなかったらどうするつもりだったんだろ。
あと、劇場が壊れて失意の状態から劇場を再建する決意を固めるまでの心の動きがよく分からなかったです。ミーナの歌を聴いたから?再びやる気になる描写が足りない気がしました。
●ミーナ(象)MISIA
彼女が歌うまでMISIAが声優だったのを忘れていました。ミーナは引っ込み思案だが歌は上手い。「実は脱いだらすごいんです」「生真面目な学級委員長が眼鏡を外して三つ編みをほどいたら美人だった」方式です。
そして、MISIAの歌が、当たり前ですが、めちゃ上手い!物語としてフリとタメが効いているので効果抜群!この作品はMISIAを起用できた時点で成功は確定しました。
ドラマパートは小声で自信なさげにしゃべるので、あまり技術が関係なく、これも上手く作用していました。
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●アッシュ(ハリネズミ)長澤まさみ
長澤まさみさんは、声がいい。『君の名は。』もよかった。
歌も上手いです。彼女がラストに歌う『Set It All Free』はこの映画オリジナル曲ですが、個人的にはもっとエレキギターメインのロックな曲調の方がいいなーと思いました。彼女は自分をパンクロッカーだと思っているのに、歌う曲はポップロックじゃないか。メロディはそのままでアレンジでもっと何とかできたのでは。
つまんないツッコミをすると、途中でタッピング奏法をしていたのですが、それはハードロック・ヘビーメタルのギターの弾き方だ。パンクはそんな弾き方をしないぞ。
あと、この映画でギターを弾く描写ではきちんとそのコードを押さえる指使いをしていて感心しました。カラオケの映像で明らかに「お前ギター弾いたことねーだろ」という奴がギター押さえている場面がありますが、そういう変な感じがなくてとてもよかったです。
●ジョニー(ゴリラ)大橋卓弥
スキマスイッチの大橋さんです。ここも私は完全に忘れていた。ジョニーもミーナと同じく控えめな性格なので声の演技が気にならなく幸い。
ラストで歌う『I'm Still Standing』はエルトン・ジョンの曲ですが、まんまスキマスイッチでした!
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劇中ではサム・スミスの『ステイ・ウィズ・ミー』を少しだけ歌う場面があるのですが、これを大橋ボーカルでフルで聴きたかった!
●グンター(ブタ)斎藤司
トレンディエンジェルの斎藤さんです。声優にお笑い芸人が起用されるのはよくあることですが、ほとんどがチョイ役なのに、今回はメインキャラ。でも上手かった!
●マイク(ネズミ)山寺宏一
山ちゃんだもん、何でもできる。今回もさすがの名人芸でした。プロの歌手が大勢いる中、名曲『マイウェイ』を堂々たる歌唱力で歌ってくれました。さすが。
個人的には『マイウェイ』でなく、別の曲がよかったなー。
●ロジータ(ブタ)坂本真綾
おお、彼女は坂本さんだったのか。主婦は毎日フル回転で家事をこなしていてもそれは当たり前の毎日であって夫や子供には評価されない。ロジータの家庭って、まんま日本の家庭のテンプレのようですが、アメリカでもこんな日常なのかしら?
主婦だって外に出たいし非日常の経験をしたい。でも家族も大事。奥さん、ステキです!
途中ピタゴラスイッチを自作するシーンはとてもよかったのですが、夫がそれにすら気づかないのは泣けてきちゃった。奥さんこんなに頑張っているのに!
一応ラストで妻の輝きに気づいて熱いキスをするのですが、それもまた日常に戻ったら元の木阿弥なんだろうなー、なんてことまで考えてしまった。
●ミス・クローリー(イグアナ)田中真弓
田中真弓さんなのか!クリリンでルフィだぞ。声優ってすごいなー。
よぼよぼのお婆ちゃんなので、よぼよぼ感やフルフル感まで表現されていて素晴らしかったです。何となく志村けんのヒトミばあさんを思いながら見ていました。
その他チョイ役にも有名声優さんを使っていたりオーディションの数秒のために歌手やラッパーを起用したりと、人の使い方が上手い。あの人がどういう役で出ているんだろという興味も劇場へ足を運ぶ後押しになるでしょう。
物語として思うところはいくつかありましたが、
・ムーンの再起の心の動き(ここ重要なのできちんと描写してほしかった)
・ジョニーの父親の身勝手さ(テレビの前で涙を流して改心することを誓うだけでいいのでは)
・劇場と各演者のその後(簡単に後日談を見せてほしかった)
歌の力ですべてを上書きしてくれました。やはり音楽ってすごいなーと再認識しましたが、逆に「音楽にごまかされている」とも思いました。
でも、「細けえことはいいんだよ」と思わせる魅力がこの作品にありました。
『SING』も『ラ・ラ・ランド』も「細けえことはいいんだよ」と思ったのですが、『君の名は。』は細かいところが気になってしまいました。何が違うんだろ。日本のアニメに偏見があるのかな?新海誠監督の童貞っぽさが気に入らなかったのかな?
あと、今の3DCGアニメって、本当に何でもできるのですね。普通の映画と同じように撮ることもできるし、アニメならではのアングル・表現もできる。アニメ最強じゃないか!
途中劇場で水槽の水があふれて劇場が崩壊する場面なんて、水の表現も倒壊の表現も上手い。
面白かったです。『ズートピア』のように大人もうなる脚本ではないですが、誰でも間違いなく楽しめる良作。劇場で見るべし。字幕版も見たいなー。
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この曲、コードの展開は3コードのロックンロールのようなのに、実際のコードやメロディはソウル。スティーヴィー・ワンダーすごいなー(本人作曲なのか分かりませんが)。
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