やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

やはりHIPHOPはJ-POPに勝てない、のか?

勝ち負けではないが


先日、スキマスイッチRHYMESTERの対バンライブに行ってきまして、とても楽しかったです。
会場のファン層はスキマスイッチ9:RHYMESTER1くらいの割合。そんなアウェイの状況でもRHYMESTERの「HIPHOPって何?」「DJって何しているの?」「HIPHOPライブってどういうもの?」に対する丁寧な説明と盛り上げで、結果的にはスキマスイッチファンにも楽しんでもらえるライブになったと思っています。


しかし、こんなことは稀です。RHYMESTERだから、キャパの小さいライブハウスだから、スキマスイッチファンがいい人だから、などの好条件が揃ったのでHIPHOPファンでない人たちも盛り上がってくれたのだと思っています。
ポップス(このエントリでは歌ものを「ポップス」と表記します)とHIPHOPがどちらも出るイベントやフェスなどでは、いつもHIPHOPの「機能性の弱さ」「一見さんへの不親切さ」を感じています。


初めて聴いて、良さが伝わらない。HIPHOPはリズムの音楽でありリリックの音楽なので、初めて聴いたときにその良さが伝わりにくいです。
それに引き換えポップスは、歌詞は分からなくても「歌唱力がある」「メロディが良い」は伝わる。歌詞なんて「るーるーるるるるるー」でもいい曲になるのだ。しかしHIPHOPはそうはいかない。
HIPHOP好きの私であっても全く知らない人の全く知らないラップを聴きながら手を上げたりコール&レスポンスをするのはちょっと苦痛でちょっと恥ずかしい。ましてやポップスファンをや。


なんかね、HIPHOPは「マイク1本でやっていくぜ」とか言うじゃない。どうもそれが「剣だけで戦っているRPGの主人公」みたいな感じがするのです。ポップスは剣だけでなく防具も盾も兜もその他装備品もしっかり着けているイメージ。ドラムが防具でベースが盾で、とか。パーカッションやホーン隊までいるバンドは装飾品まで身に着けている。
ラップスキルのある人は「銅の剣」ではなく「鋼の剣」や「炎の剣」を持っているイメージ。KREVAクラスは「はぐれメタルの剣」を持っている。
伝わるかしら。どんなにすごいスキルであっても、HIPHOPは所詮は剣だけ。バランスよく装備したポップスにはなかなか勝てない。


ライブだと、基本HIPHOPは録音済みのトラックを再生するだけ。ポップスは(トラック再生の場合もありますが)バンドが演奏する。この違いって、とても大きいです。
トラックの再生であってもDJがいろいろやってグルーヴを生み出すことは可能ですが、生バンドには勝てない。特に各パートのソロ回しなどやられたらもう勝てない。
音圧とかグルーヴとかいろいろあるけど、「今目の前で演奏している」という事実が強い。舞台だって「今目の前で演技している」ことが素晴らしく、これをもしテレビで見ていたらそこまで面白いと感じていないかもしれない、あの感じ。


今、ソロやグループ単体で武道館を埋められるHIPHOPミュージシャンはKREVAしかいません。RIPだって今は何かスペシャルなタイミングでしか武道館公演はできないでしょう。
やはり勝てないのか。キャパの大きさや動員数の大小が音楽性の勝ち負けではないですが、ひとつの大きな目安ではあります。その点でいえば、「やはりHIPHOPはJ-POPに勝てない」です。


でもまあ、それも当然だよな、とは思います。メロディあった方がいいもん。逆にアメリカではなぜHIPHOPが音楽のメインストリームにいるのか、そちらの方が不思議です。
英語の曲を日本語カバーすると、とてもグルーヴが落ちます。スガシカオkokuaシンプリー・レッドの『STARS』をカバーしていましたが、スガシカオをもってしてももっさりとしたカバーでした。
やはり英語それ自体に日本語以上のグルーヴが備わっているから英語の曲はグルーヴが強い。そしてそれだったらHIPHOPの方がさらにグルーヴ強化されているのでHIPHOPが強いのかな?で、日本では逆に日本語でHIPHOPをやるとそのグルーヴの無さが浮き彫りになってしまい、メロディに勝てないのかな?


さて、ここまで書いてきましたが、このエントリに結論はありません。「HIPHOPって刀一本なイメージがあるなー」と思いついてそれで書き出してしまいました。
勝てないのかと問われれば勝てないでしょう。しかしそれは上に書いたように音楽性の勝ち負けとは別ものです。ただ、メインストリームになることはないだろうな、ということ。そして、そんなマジョリティと関係なく、私は日本語ラップが好きです。


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