RHYMESTER『ダンサブル』 感想(楽曲編その2)
ふざける人
RHYMESTERのNEWアルバム『ダンサブル』の楽曲の感想を書くエントリですが、書きたいことが多すぎて一度で収まらないので数曲ごとに分けて書くことにしました。今回は2回目でアルバム3曲目『Back&Force』から。今回はどこまで書けるかな。
前回のお話↓
ese.hatenablog.com
3. Back & Forth
『Future Is Born』と並ぶこのアルバムのリード曲(私選曲による)。アホみたいなことを書きますが、ラップって、掛け合いがカッコいいよね。
ラップは歌詞が聞き取れないと何を歌っているのか分からないので「初めて聴いていい曲!」というのはあまりないのですが、この曲には「聴けばすごさが即分かる強さ」があります。現代はAIとかバーチャルとかCGとかいろいろありますが、目の前の手品は驚くしメッシのスーパープレイは興奮する。「現実の強さ」はいつの時代も不変です。アキラ100%もそう。
この曲の掛け合いの素晴らしさは説明するものではありません。聴けば分かる。
そう今この瞬間こそがセッションさ 全てはIn the mix
声と声とが FlowとFlowとが 交差する刹那のダイナミクス
その瞬間 僕らは溶けて混ざって ビターでスイートなジャムになる
そういうことです。
あと、ここの「そう今この瞬間」で一瞬トラックがミュートするのもいい。ここ、ライブで盛りあがるぞー。
また、この曲はサビが素晴らしい。
上がってこうぜ もっともっと まだPartyはJust begun
騒いでこうぜ HipでHOPでYou don'tなHooligans
2 Turntable 2 MIC You See? 今宵のホストは(誰だ?)
宇多丸とMummy-DとJIN Still TOKIO#1
この頭の「上がって」「騒いで」「2」「宇多丸」の「あー」「さー」「つー」「うー」の伸ばす部分、次の小節を食っていてさらに裏拍で入るのでめちゃめちゃグルーヴが増す!(小節の前の部分から演奏や歌が入ることを「小節を食う」という言い方をします)
最初のサビもいいけど、後半の盛りあがりきったところから入るサビがカッコよすぎて聴きながら毎回笑ってしまう。
もうひとつ、この曲を強化しているのはドラムです。生ドラムはやはり打ち込みビートとは違うグルーヴを生み出しています。この曲全体の「乱れ打ち感」が素晴らしい。曲が終わっているのに叩きたい欲が止まらない感じのエンディングもいい。
ちなみにDさんの「こ、こ、こ、こんちは!」のヴァースは、「Pump me up」の日本語訳です。訳ではないか。
これです。
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ここもライブで盛りあがるぞー。
4.梯子酒
おふざけ曲です。最近のRHYMESTERはシリアスな曲が多かったので、その分このくだらなさは最高!今までのシリアスが全部フリになっている。
抜き出しようがない、全編酩酊リリックです。
「ウェイウェイ~!」の部分はライブでも盛り上がること間違いなしですが、個人的にはDさんがどんな動きをするのか見てみたい。
そしてラストの「生ビール生ビール」以降の部分、あーもうライブが楽しみでたまらない!
5.Don't Worry Be Happy
ジャズです!RHYMESTER、こんな曲もできるのね。
この曲もドラムを始めとした楽器チームの演奏がカッコいいなあ、と思い歌詞カードを見てみるとMOUNTAIN MOCHA KILIMANJARO(モカキリ)なのね。
私、このドラムの岡野さんが好きすぎる。RHYMESTERだと『人間交差点』もこの人、RHYMESTERがReプロデュースしたスキマスイッチの『ゴールデンタイムラバー』もこの人、このアルバムの『爆発的』もこの人。もうー、どれもカッコいい!
スキマスイッチ×ライムスター『ゴールデンタイムラバー』聴いた。客演だと実験的というか手抜きになるDさんといつ何時も真面目に取り組む宇多丸さん。そしてこの曲のMVPはドラムだ!スネア叩きまくりでカッコいい!
— エセ@レキシ武道館、桑田佳祐朱鷺メッセ (@ese19731107) 2017年3月14日
以前、この曲がモカキリ演奏だと知らずにこんなツイートしたこともありました。
www.youtube.com
ちゃんとした音源は見つけられなかったのでこれでお茶を濁そう。
そして、この曲のドラムがカッコいいのは「ダ・チーチーチー」が連発!というのもあります。「ダ・チーチーチー」とは「ドラムのカッコいいフィル」ですが、この説明では何も伝わっていないと思いますので、こちらをどうぞ。
ongaku.tech
miyearnzzlabo.com
リリックは久しぶりのストーリーテリングのオチのある小噺。こういう「内容・オチが分かっているのに面白い」というのは落語に通じるものがありますね。もちろん落語同様演者のレベルで面白さは変わります。
面白いのですが、Dさんヴァースにちょっと注文つけていいですか。お金を下ろし忘れたはあるあるですが、カードも忘れたなんてことあるのかな?それよりも「カードの限度額越えてた」の方がリアリティがあるし、より「見栄っ張りのダメ男」な感じが出ると思いますが。
つまんない注文つけてごめんなさい。
この曲はDさんふざけているよねー。「お金を貸してください!」の部分、スキャットの部分、ラストの「おしまい」の部分。ライブでもふざけるだろうなー。見たいなー、かわいいだろうなー。
あと、宇多丸さんの「DA.YO.NE♥」の言い方も超かわいい。
途中ブリッジの部分で男女別のコール&レスポンスがありますが、これ、私たちもライブで音源のような裏声で叫んだ方がいいのかな?どうすればいいんだろ。
6.ゆれろ
この曲、音がぐちゃぐちゃしている感じなのに踊れる跳ねるリズムだし、エレクトロなのに肉体的な感じで不思議なトラック。で、このトラックで「ゆれろ」というテーマで歌われているのはまさしく「ゆれろ」です。内容的に深そうで深くない。ひたすら踊ろうぜとけしかけられています。
でもね、宇多丸さんはやっぱり理屈っぽいリリックになるんだよなー。Dさんはリミッター解除して弾けまくり。いいダシのところ、音頭のところ、確実にライブではふざけてくるよね。楽しみ。ヨイヨイヨイ!ドドンがドン!
7.爆発的 feat. サイプレス上野 & HUNGER
この曲もドラムが主役!まさにタイトル通り「爆発的」です!仮タイトルは『ドラムエクスプロージョン』だったそうですが、そっちもいいな!
イントロのオケ、最初はラッパがメインだったのが徐々にドラムの音がデカくなる音像の変化もいい。
この演奏もモカキリ。RHYMESTERのオフィシャルHPにあるインタビューの中でJINさんは
ドラムとラップだけでご飯3杯食えるみたいな曲をつくれたらいいよねって話したな。だから本当にドラム勝負みたいな感じ。モカキリにはTiger(岡野諭)という素晴らしいドラマーがいるからばっちりいけるだろうと。実際Tigerのドラムはすごくよくて、エンジニアの人も「スネアとハットが貼りついてる感じがいいですよね」って独特の言い回しで褒めていて。Tigerのドラミング様様だね。
と言っています。「スネアとハットが貼りついている感じ」って上手い表現!確かにその通り、ドラムでご飯3杯食えます!
曲終わりのまさしく大爆発をおこす終わり方もいい。西部警察か!というくらいの過剰さ。これくらいの突き抜けが今のエンタメに必要な強度なんだろうな。
サ上とHUNGERの生ラップも聴きたいけど、どうせ全国ツアーでは東京くらいにしか出てくれないんでしょ。仕方ないけど、残念。
よし、今回だけで5曲書いたぞ。あと3曲はまた次回。
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