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映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 感想

スターウォーズではなく、1本の映画として


スターウォーズ/最後のジェダイ』を見てきました。
スターウォーズ過去エントリ↓
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公開直後は時間がなく見ることができなかったのですが、そしたらその間に賛否両論の嵐が。特に宇多丸さんが酷評ということで、これはどうしたのだと思って見に行ったら、私も否定派でした。
その後宇多丸さんのラジオ評を聴いたら、私のモヤモヤをきちんと言語化してくれたので正直私が書くことはもうないのですが、被りながら何とか絞り出して書こう。


私はスターウォーズ信者ではないので世界観とかについてはあまりこだわりがありません。ただ、1本の映画としていろいろひどかったなーというのが感想です。


オープニングは好き。物理学を超越したスターウォーズの世界。これは過去の歴史があるから好き勝手やっても説明なくても盛りあがるんだよなー。あの爆弾積んだ宇宙船は弱すぎるだろ、と思いましたが。
ここでアジア系のキャラクターが出てきます。本編の内容とは関係ありませんが、「多様性なのか中国市場を意識したのかどっちなんだろ」と余計なことを考えてしまいました。
そしてまたひとつの機械が破壊されると船や星全体が爆発してしまう帝国軍(続三部作では「ファースト・オーダー」ですな)。反省や改善はないのか!


今作はレイとルークのお話と、カイロ・レンの光と闇の綱引き、そして物語全体としての帝国軍と反乱軍(ファースト・オーダーとレジスタンス)のお話がメイン。


レイとルークのパートは、ルークがずっといじけていて嫌だ。やっと教えてくれるようになっても、特に何も教えてないような。「フォースとは」とかをちょっと語っているだけで、レイはすぐ理解したのかしら?フォースを鍛えるとかチャンバラを鍛えるとかもあまりやらないし。レイがダークサイドに導かれそうなときもルークは注意も戒めもあまりしてくれないし。
宇多丸さんがラジオで言っていた通り「師弟関係になっていないのでは」です。何かを学んだり受け継いだからこそ(それこそが新シリーズの物語が動く意味なのに)レイが成長したりルークが不在になっても大丈夫だったりするのに、特に何もないような。


カイロ・レンは前作では中二病全開で、それは「このシリーズを通じて成長してくんだろうなー」と親目線の微笑ましい気持ちで見守ることができました。さて、今作では?
イラつくと周囲に当たり散らすのは変わっていないようでしたが、それも前半だけ。そしてあの「おじいさんカッケーから俺も真似して作ってみたよ」のマスクはこの前半で置き去り。これも成長の賜物ってこと?
途中でスノークを倒してレイと共闘したときは、敵味方のベクトルが分からん!と思っていたのですが、レンはクーデターを起こしたのでこの場ではレイと共闘したということでいいのかな?
ここ、殺陣がとてもよく、何より「えー!スノークがー!」と盛りあがったのですが、正直スノークあっけなさすぎだろ、とも思います。
あと、物語上ここがクライマックスだと思っていたので、そこからが長くて見ていて自分の視聴バランスを崩してしまいました。この作品152分もあるので、ここはクライマックスではなく中盤の見せ場に過ぎなかった。
この作品はムダなパートがたくさんあるので、もっと脚本整理すれば120分でできたはず。


物語全体の「レジスタンスの撤退戦とそれを追うファースト・オーダー」ですが、ここの脚本がめちゃめちゃでイライラしました。細かい指摘は宇多丸さんがしていて、聴いていて「そう、そうだよ!」と自分のモヤモヤを代弁してくれたので詳細は書きませんが、とにかくレジスタンスの面々がバカばっかり。
ポー・ダメロンは熱血バカだしフィンはぼんやりバカだし紫髪のおばさんは無能バカだし。
ダメロンの「逃げるだけではダメ」という主張はもっともですが、紫髪のおばさんは認めずただ船を進めるだけ。実はファースト・オーダーにバレないように船を乗り移ることを計画していたわけですが、じゃあそれ、ダメロンに伝えてやれよ。味方同士なのに何で秘密にするの。だから後半のクーデターも本来なら必要ないわけで。
あと、船の乗り換えも、ファースト・オーダーにバレていたら意味ないよ!どんどん撃たれる輸送船。この作戦勝算ゼロだろ。無能。


フィンは今回もその場しのぎのウソをつく。性根が悪い。そして、彼は何の役にも立っていない。前作は初登場だったのでこの世界を紹介する役目(映画を見ている私たちの目線)でOKでしたが、今回はただウロウロしているだけ。何か組織にプラスになることした?
で、彼らのパートは「敵の機能を壊すためにその鍵を突破することのできる特別な人を探しにいく」というミッション。まどろっこしい!
しかも見つけたその人とはコンタクト取れず(断られる以前に会話すらしてない)、たまたま牢屋で同室だった怪しいおじさんが「俺、できるよ」だって。何だそりゃ。その人が鍵を解除できる確証もないのに頼むの?しかもこのおじさんはあっさり相手に乗り換え。何なのこのパート。
しかも(「しかも」ばっかりだな)、ラストで一緒に闘っていたローズに愛の告白&キスを受けるフィン。は?どこに惚れる要素あった?どこに惚れつつある描写あった?取ってつけた少女漫画展開やめろよ。


無能な作戦のためだいぶ人を減らしてしまったレジスタンスですが、籠城と思いきやポンコツマシンで玉砕戦術を選択。この組織、やることがブレブレだよ!
ここでルークが登場し、無敵の強さを発揮!しかし私はスターウォーズ信者ではないので、この作品前半からの「フォース万能すぎ」に辟易していてミサイル集中砲火を受けて無傷だったのを見てげっそりしていまいました。あそこのホコリを払うアクションはめちゃカッコいいのに、それが活きないここまでのフォースの無駄遣い。


そう、フォースの扱いがひどいのです。今作では気配を察知するだけでなく遠く離れた相手と会話もできるし映像も見れる。モノを浮かせるパワーも増強。宇宙空間に放り出されても帰還可能。自らの身体を念として遠く離れた場所へ送り、自由に動かすことも会話することも可能。いくらなんでも「何でもアリ」すぎるよ!


ラストはほんのわずかになってしまったレジスタンスが「外縁部につてがあるから何とか…」という消耗ラスト。こんなんでいいのか。ここから立て直すことなんてできるのか。お話としても映画としてもサーガとしても。


レイは、結局「誰でもない」の?前作の思わせぶり描写は何だったの?別の人の感想で「レイを血縁から外すことでスターウオーズは一族の話から『みんなの物語』になった」と書いてあったのを読みましたが、それでいいのかな?せめてエピソード9まではこのサーガの枠組みで作るべきじゃないの?
まあ、レイが血縁から外れるのはいいとしても、それだったらなおのことルークとの師弟関係が強固にあって、受け継ぐとか乗り越えるとかがないと血縁だけでなく「ジェダイ」からも完全に切り離されちゃうよ。あ、それが「最後のジェダイ」なのか。うーん。


うーん、私は全然ダメでした。オープニングとスノーク殺害とルーク無双の部分でちょっと盛りあがっただけで、基本イライラしながら見ていました。


さて、次は最終章。10以降も続くことは発表されていますが、一応の全体エンドになるはずなので、もちろん楽しみに見に行きますよ。頼むぞ、JJエイブラムス!きちんと畳んでくれ!


<後日追記>
年明けて、2回目を見に行ったら感想全然変わりました!
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