やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『いぬやしき』 感想

何が足りない、何かが足りない


映画『いぬやしき』を見てきました。公式サイト↓
inuyashiki-movie.com
原作は読んでいますが、細かい部分はもう忘れています。アニメ版は見ていません。
で、感想ですが「どこがどうダメなのか分からないけど、何か物足りない」というぼんやりとしたものでした。なので、書きようがなくて困っています。


新宿大虐殺とクライマックスの空中戦はよかったです。ハリウッドと違ってお金が無限にあるわけではないので、ここにお金を集中させたので他の部分でアクションシーンが少なくなったのだと思うのですが、その分割合の増えたドラマ部分がよくなかった。
●セリフっぽいセリフをしゃべるな
●独り言を言うな
●演出っぽい演出をするな
●「ここ、泣くシーンですよ!」というあざとい劇伴やめろ
監督はCGは上手いけど普通の映画が苦手なのかな?と思ったら『デスノートLNW』の人だった!でも『アイアムアヒーロー』の人でもあるのか。うーむ。


犬屋敷さんの設定が救いがなさすぎる。家族から疎まれているのはよくあるけど、仕事もできないんじゃ「自業自得ですよね…」と思ってしまうので、部下のミスをかばって自分が怒られるとか、仕事はそつなくこなしているけど評価されないとか、それくらいにしてあげればいいのに。
おやじ狩りを見てしまったときもすぐに逃げるのではなく、若者に「警察に通報したぞ」とか言って(結果的にボコられたとしても)正義感はある性格描写を入れればいいのに。
犬屋敷さんの何を言われても言い返せない性格も、ラストまでこのままだとカタルシスがない。ラストで何かいいこと言ってくれれば前半が全てフリになってカタルシスがあるのに。


獅子神はサイコパスな殺人鬼になるまでが早くない?あの一家を惨殺するとき、最後の引き金になる何かが欲しかったです。あの家族が「我が家は幸せなんだ!」と言うとか。
その後の母親自殺、しおん巻き添えの負のスパイラルはいい。機動隊やり過ぎだけど。一般人のいる家に侵入していきなり撃つかね。


新宿大虐殺のシーンは、撃たれる人の頬に赤丸が付くくらいの撃たれっぷりで、そこが少し物足りない。もっと脳みそバーンとかやってほしかったけど、レーティングに引っかかるからこうしたんですよね。まあしょうがない。
あと、オタクの描き方が古い。「電車男」の時代じゃねーんだよ!


クライマックスの勝負のポイント「塩分」ですが、味噌汁やスポーツドリンクを一杯飲んだ程度で誤作動起こすなら、もう何も食べられないよ。最初は犬屋敷さんが仕事でミスったスポドリの誤発注が活きると思っていたのに逆なのか。救いがない。
前半のエピソードがフリになっていてクライマックスに活きてくれば盛りあがったのに、それがないので空中戦の映像はいいのに物語のカタルシスが薄い。犬屋敷さんの優しさが武器になったり獅子神の優しさが弱点になったり。この辺は監督の力量の部分だろうなー。
ラストで家族が仲直りしたのか分からない。娘は父の活躍を知ったので尊敬しても、母は何も変わらないし、息子もイジメに打ち勝つ部分は描かれていない。家族再生になってないんじゃない?


こういう細かい部分の「足りなさ」の積み重ねが映画全体の評価を少しずつ削っていき、私は「う、うーん、何かが足りない」と思う結果になりました。


最後に。
佐藤健の死んだ目と鍛えられた肉体は素晴らしい。これだけを目的に見に行ってもいいよ。
二階堂ふみは無駄遣い。あの役、誰でもいいじゃん。
生瀬勝久さんのワイドショー司会役、途中まで「生瀬さんもったいない」と思っていましたが、最期の顔芸が素晴らしかった!wあの役、宮根誠司がやれば劇場大喝采だったのに。