「音楽ストリーミング」、私はまだ使っていない。だって
どうなったら使うのかな
今、世界は「音楽を聴く手段=ストリーミング」が一般的です。詳しい数字などはこちらの記事を読んでください。
gendai.ismedia.jp
日本とドイツだけがCDからストリーミングへの転換が遅れており、音楽業界の復活に足を引っ張っている状況だ、という内容です。
これについて思うことを書きます。
まずマクロ的な話から。
世界で、特にアメリカでストリーミングが普及したのは、CDショップが軒並み閉店し、ダウンロードや配信でないと音楽を聴くことが出来ないという外的状況があったからだと思っています。
ではなぜCDショップがなくなっていったかといえば、ナップスターを始めとした違法な海賊ダウンロードサイトが普及し、「ネット経由で音楽を聴くこと」と「CDなんてもう買わない」が当たり前になったからです。
そこでSpotifyは「広告を入れることによる無料プラン」と「違法サイトよりも使いやすいサービス設計」により、違法サイトを駆逐していきました。月額の定額制なので、使い始めればスマホの通信料と同じく「気にならない固定費」になるので、普及してしまえば解約する人は少ないです。
そして、利用者が増えればアーティストへの支払いも多くなり、音楽業界からもこちらを推すようになります。プラスのスパイラルが働き、現在の好調につながっているというのがアメリカの構図。
対して日本は、CDがまだ売れています。これは、上記のような違法サービスが普及しなかったおかげで「ネット経由で音楽を聴くこと」に馴染んでいない人が多いためです。過去の成功が現在の不調を招いている。人生万事塞翁が馬。
また、日本にはアメリカにはないCDレンタルというサービスがあり、TSUTAYAも全国にあります。このおかげで「CDはあまり買わないけど音楽は聴く」という層がストリーミングに頼ることなく多くの音楽に触れることができています。ここでも過去の素晴らしいシステムが現在の新しいサービスの普及を妨げている構図ですね。
タワレコのような大きなお店はなくても、TSUTAYAだったら全国の小規模都市にもまだあるので、CDを買うこともレンタルすることもできる。これが日本の状況。
次にミクロの話。というか、私の話。
私は、ストリーミングサービスを使っていません。日本にはSpotifyの他にAWA、LINE MUSIC、Apple MUSICなどがあり、どれも月額1,000円程度で聴き放題です。これだったら、TSUTAYAの「CD5枚で1,000円」よりもずっとお得です。
しかし、私が音楽を聴くのは家と車で、家で聴くのはこうしてブログを書く際のBGMのような聴き方で、歌詞やサウンドなどをしっかり聴くのは車の中です。そうなると、なかなかネット経由で聴くのは難しい。トンネルとかデータ量とか気になることがあるので、結局TSUTAYAでレンタルしてきて車のHDDに取り込んで、という聴き方をしています。
この辺、皆さんどうされているんですか?
もうひとつ、ビジネスの話。
日本がCDビジネスにこだわるのは、CDの方が利益率が高いからです。しかし、アメリカではCDがもう全然売れていないのにストリーミングの普及により売り上げは増えています。
では、日本もストリーミングに特化すれば業績復活するのでは?と思うかもしれませんが、それはアメリカの市場が大きいからできていることなのです。単純にアメリカは人口が多いのと、英語だからアメリカ以外の国でも受け入れてもらえます。全世界で聴いてもらえれば、利益はもちろん大きくなります。
その点、日本は人口も少ないし日本語の音楽はほぼ日本でしか聴かれません。これではストリーミングに全振りしても日本音楽業界の利益向上につながるのか、私は疑問です。この辺の推計は音楽業界の偉い人はもちろんやっていると思いますが、どうなんですかね?
でも、日本より人口の少ない韓国はこれで伸びているんですよね。BTSのようにアメリカでも売れている人たちなんてほぼいないと思うのですが、韓国のミュージシャンはこれで印税生活できているのかな?
さて、どうするか。
CDが売れる時代は今後も下りながらだらだらと続いていくでしょう。急にゼロになることはありませんが、今後伸びることはもうないでしょう。
なので、本来はストリーミングで利益が取れるようにビジネスモデルを転換するのが音楽業界のやるべきことです。以前のCCCDのようなユーザーの邪魔をすることはしてはいけません。流れはもう決まっているのに、それに歯向かおうとしたって無駄で無意味なのです。
スマホ業界と連携して、スマホ購入時のサービスとして「初月1か月無料」とかやればいいのに。やってるのかな?
で、私ですが、車にスマホつなげて聴けばいいの?データ通信料とか気になるけど、大丈夫?結局ここが解決しないと、マクロな話で「これからはストリーミングだ!」と言っても転換できないんだよなー。
そして、こんなことを言っているのはそもそも音楽ファンだけで、私の周りにストリーミングサービスを使っている人は全くいないどころかストリーミングサービス自体を知らない人の方が多いような気がします。これが田舎の実態だ。
日々電車通勤通学する都会ならスマホで音楽聴くことは当たり前になっていてストリーミングへの転換も容易なのでしょうが、田舎は生活様式が違うのだ。
さて、どうする。さて、どうなる。
図解入門業界研究 最新音楽業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]
- 作者: 大川正義
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2017/12/02
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
新時代ミュージックビジネス最終講義 新しい地図を手に、音楽とテクノロジーの蜜月時代を生きる!
- 作者: 山口哲一
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2015/09/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る