だいぶ久々のこのエントリ。「最近」と書きながら数ヶ月前に聴いた曲ばかりですが、一応まとめておきます。
KREVA『AFTERMIXTAPE』
- アーティスト:KREVA
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2019/09/18
- メディア: CD
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正直、最近のKREVAにははまっていませんでした。『存在感』もイマイチだったし。
最近のフローが苦手なんです。ラップにおけるフローはポップスにおけるメロディなので、フローが苦手だとなかなかツラい。
しかし、本作はいい。インタビューで「トラックはいくらでも作れるけど言いたいことがない」と言っていましたが、「ミックステープ」という切り口を思いついてからリリックも書けるようになったそうです。
そう、本作はミックステープという体裁なので、1曲が短い。そのため曲のテーマもシンプルで、大仰なリリックにならない。そしてそれらに引っ張られ、フローもシンプルで聞きやすいものになりました。うん、これでいい。
ただ、これがKREVA史上に残る名盤かといわれたら、そうではない。後年振り返ってみると、まだ悩みの時期に分類されそう。それでも天才だもの、天才らしい解決と解釈を持ってきてくれるでしょう。期待しかしていません。
- アーティスト:スガ シカオ
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2019/04/17
- メディア: CD
今年の「タイトルオブジイヤー」である本作。前作『THE LAST』があまりにも名盤だったため、そこからスランプになってしまったそうですが、何とかスランプを脱して作った本作。
好きです。細かく刻んだスネアとハイハット、そしてワウペダルのエレキギター。最近の音楽は16ビートが主流ですが、打ち込みが多い。そこで久しぶりに生バンドのファンクを聴くと、私の好きな音楽はこういうのだなーと再認識。久しぶりにファンキーを聴いた!
https://www.jvcmusic.co.jp/sugashikao2019/
この特設サイトで自分でも語っているとおり、本作は最高傑作ではありません。歌詞の棘や毒も、技術の向上で書けているのか、リミッターを解除したから書けてしまったのか、私には分かりません。それでも、私は好きな1枚です!
SANABAGUN.『BALLADS』
- アーティスト:SANABAGUN.
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2019/10/23
- メディア: CD
あれ?カッコいい!ヤンチャだけでなく、王道でカッコいい!
しばらく聴いていなかった間に何があったのだ。と思ったら私はまだ前作『OCTAVE』を聴いていないので、ここで本作への変化の兆しや萌芽はあったのかな?
SANABAGUN.は「レペゼンゆとり教育」を掲げて活動するグループなので、その若さゆえのヤンチャっぷりがおっさんである私にはついていけない部分もあったのですが、本作はいい!そして、途中から(7曲目『C.$.C』以降)以前のようないい意味でのゆるさ・テキトー感があって、トータルでとてもいいバランス。
ライブではどこでも負けない強さを持っている彼ら。来年、フェスなどをきっかけに爆発しそう!
Creepy Nuts『よふかしのうた』
- アーティスト:Creepy Nuts
- 出版社/メーカー: SMAR
- 発売日: 2019/08/07
- メディア: CD
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現在イケイケどんどんな彼らは、メディアへの露出も増えてきてとてもよい。ヒップホップが「界隈」ではない一般人のいるところへ届くのは、日本語ラップ好きとしてとてもうれしい。
そして、作品を出すごとにレベルも上がっていてとてもよい。R-指定のリリックは情報が多すぎるので、ミニアルバムという形態もちょうどいい。
単に韻を踏んでいるだけでなく、その意味の掛かり方が何重にも渡っているので、聴くたびに新たな発見がある。ただ、情報が多すぎてもったいないなーと思うこともあります。パンチラインだらけなのは、逆にパンチラインを埋もれさせちゃう。単なる「グッドミュージック」として聴くことができない。
『Rの異常な愛情』の巻末でMummy-Dと対談していて、その中で
D お前らの弁当、白米が全然入ってない(笑)
ーー揚げ物ばっかり、みたいな(笑)
D ちょっと気が抜けたり、ただただ気持ちよく過ぎていく瞬間をリスナーにください(笑)
ということをDさんが言っているのですが、まさにその通り。
あとは、DJ松永のトラックはそんなに大好きではない。個人的にはもっとファンキーなビートが好きだから。
それでも、日本語ラップを世間に届ける最有力候補。まだまだ頑張れ。
lyrical school『BE KIND REWIND』
- アーティスト:lyrical school
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2019/09/11
- メディア: CD
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アイドル×ラップという方法論、机上の空論としては面白いけど、実際やるのはめちゃ大変。そもそもラップがある程度できなきゃ話にならないし、ラップの「カッコいい・怖い」という良さとアイドルの「可愛い・元気」の良さは、相性がよくない。ライブもヒップホップのノリとアイドル的なノリは全然別ものだし。
それが、アルバムを重ねるごとにどんどんよくなってきました。単純にラップのスキルが上がってきているので、ラップミュージックとして聴ける。そしてアイドル歌謡として機能するサビもある。いい融合、いい着地点です。
私は彼女たちのライブは見たことないのですが、どこかで見てみたい。アイドルの現場は苦手だしワンマン行くほどの熱量はないので、フェスで見たいなー。
真心ブラザーズ『トランタン』
- アーティスト:真心ブラザーズ
- 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 発売日: 2019/09/04
- メディア: CD
今年は真心ブラザーズ30周年のアニバーサリーイヤーでいろいろ企画をやっていて、このアルバムもその一環なのですが、ベストアルバムは25周年のときに出してしまったので、今回は「ファン投票で選ぶセルフカバーアルバム」になりました。それがこれ。
この選曲でいいの?コアなファンしか喜ばないと思うのですが。外に広げる気はないのか。また、肝心のセルフカバーも、どの曲だってオリジナルの方がいいと思える出来でした。演奏する人変えて一発録りして終わり。これでいいのか。私の「こういう曲を聴きたい!」とはずいぶん離れてしまっています。
真心ブラザーズはファンとの絆や信頼が十分にあるしその分母も一定数あるから、もう身内だけでやっていけます。そしてたまにカーリングシトーンズや地球三兄弟など横とのお遊びもやれば双方のファンも楽しめます。
これで何も問題ないのですが、私はもうそこには入っていけません。「おじさんたちが楽しそうにしている」だけでは楽しめません。いい曲、いいアレンジ、いい演奏がほしいのですが、真心ブラザーズの思うそれとはだいぶ違っているんだろうなー。
それでも、来年の中野サンプラザでのライブにまた行きます。好きなんだもん。