相性
映画『星の子』を見ました。公式サイト↓
hoshi-no-ko.jp
原作は未読です。
むむむ。何も感じ取れませんでした。
物語が、今何を描いていてどっちへ進んでいるのかが分からず、入り込めないまま見ていたらあっけなくエンド。え、ここで終わり?
宗教のヤバさを描いているのか、それに翻弄される主人公を描いているのか、家族の崩壊の予兆なのか。今、何の時間?このエピソード、どういう意味があるの?例えばちひろ(芦田愛菜)の下校シーンが無駄に長く、この歩いているシーンいる?と思いながら見ていました。
生まれたときから宗教があることが当たり前の生活。何の疑問もなく生きてきたが、成長するにつれて自我は育ち、周りとの違和感を感じ、自分の境遇を見つめ直す。
そんな作品だと思って見たのですが、そうなんだけどそうでもない、なんともぼんやりとした着地になりました。
物語の後半で親戚から「実家を離れてうちに来ないか」と誘われてもきっぱりと断るちひろ。この時点では宗教を信じているからではなく、今の家庭環境に疑問を持っていないから、という段階です。
その後、憧れの教師から厳しい言葉を浴びせられ、傷つくちひろ。この時点では自分の家の宗教はおかしいのでは?と疑問に思ったのかな。単に憧れの教師からの言葉に傷ついた(振られた)だけなのかな。ここが読み取れませんでした。
さらにその後、教団の宿泊研修で、教団から入信の強制があるわけでもなくちひろの疑念が描かれるわけでもなく、何となく進む研修の様子。途中「お母さんが探していたよ」という意味深なセリフとなかなか会えない・姿が見えない状況に、これは何かあるのかなと思っていましたが、特に何もなく親子で星空を見上げておしまい。
うーん。
ラストの「もう帰らなきゃ」「まだいいだろ」「大浴場の時間が」「今は時間なんて気にするな」という親子のやり取りは、抜け出そうとしているちひろとそれを引き留める親という構図なのでしょうが、その前にちひろに迷いや葛藤が見えなかったため、伝わらなかったです。
それぞれのエピソードがちひろに対してどういう影響を及ぼし、彼女は何を思ってその後の行動になるのか。インプットとアウトプットが反映していない感じがしました。
また、ちょいちょい長回しがあるのですが、それもどういう意図・効果があるのかも分かりませんでした。
大森監督の『MOTHER マザー』もはまらなかったので、私は彼と相性がよくないのかもしれない。
ese.hatenablog.com
役者について
●芦田愛菜
実は10万15歳の芦田愛菜なので、演技は申し分ない。ただ、この作品の主人公は受け身の演技なので、芦田愛菜でなくても、というより芦田愛菜でない方がよかったかもしれません。もっと能動的な芦田愛菜作品を見たいです。学校忙しいので難しいかもしれませんが。
●永瀬正敏
あまり印象なし。
●原田知世
永遠に美しい原田知世さんですが、本作はほぼすっぴんのため、途中「木村多江さんかな?」と迷う瞬間もしばしばありました。
●岡田将生
イケメン先生。『告白』や『悪人』のような「イケメンだけど薄っぺら」という私の岡田将生像を覆す、ちゃんとしたイケメン先生でした。よかったです。
●大友康平
本作のMVP!「普通のおじさん」がめちゃ上手い!奥さん役の女優もよかったです。
●高良健吾&黒木華
宗教の人がぴったりだなー。曇りのない笑顔に狂気を宿す。