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映画『ゴジラvsコング』 感想

カタルシスが足りない


モンスターバース最新作(そして最終作?)『ゴジラvsコング』を見てきました。公式サイト↓
godzilla-movie.jp
過去作品の感想はこちら↓
ese.hatenablog.com
ese.hatenablog.com
ざっくり感想として、
●『2014ゴジラ』…暗くてよく見えねーよ!
●『キングコング』…少年の心を持った優秀な大人が作った最高の怪獣映画!
●『ゴジラKOM』…愛と情熱は伝わった。決めショットは素晴らしい。人間うぜえ。
です。
で、本作は「刃牙vs勇次郎」でした。
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オープニング、過去の戦いを振り返りつつ、トーナメント決勝でゴジラvsコング!アガる!!


怪獣映画って、本来ウソで荒唐無稽なお話です。その「ウソ」にリアリティを与えるのが映画の力なわけですが、それをこのシリーズでは「地球空洞説」というウソで説明しています。いいんです。これくらいのざっくりとした設定で十分なんです。それに乗っかって楽しむのがこういう作品の楽しみ方。
それなのに、本作ではそこを深掘りするんです。触らないでいいから!アラが出ちゃうから!
まあ、人間パートはどうでもいいんです。怪獣が戦ってくれれば。


というわけで、怪獣パート。
まずはコングの現在。デカい東京ドームみたいなところで保護されているコング。そしてゴジラ。フロリダに出現してエイペックス社を襲う。
コングが楽しそうなのはいいのですが、あんなに街を破壊されておいて「ゴジラに何か意図があったのでは」はないだろ。で、結果的にそうだったのですが、ゴジラが「あの会社が自分にとって不利になるものを作っているから邪魔してやろう」なんて思うわけねーだろ!怪獣に意思を持たせるな。


まあいいんだ。怪獣が戦ってくれれば。
第1ラウンドは海での戦い。ゴジラをぶん殴るコング!サイコー!ゴジラの咆吼ビームをジャンプでよけるコング!サイコー!しかし海での戦いになれば水中でも呼吸できるゴジラが強いよね。というわけでゴジラの勝ち。
その後地底に行って重力が反転してコングが玉座に座ってとかいろいろあるんですが、あの建造物って誰が作っているんですか?あの斧みたいなのは誰が作ったの?怪獣たちがあんなのつくらないでしょ。怪獣に文明を与えるな。


と煮え切らない状況にゴジラが文字通り風穴を開けてくれます。その穴からコングが出てきて夜の香港で第2ラウンド!都会で対峙する二体は、刃牙と勇次郎のようでした。
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ゴジラは咆吼ビームがあるから有利だよなー。戦いまくりであらゆる構図から映してくれますが、これ!というカットがないんだよなー。こちらが慣れちゃったからかな?でも、ビルに掴まっている構図はよかった!
またゴジラに敗れるコング。瀕死のコングに電気ショックで活を与える人間。それで復活するの?


その頃、メカゴジラにやられちゃっている本家ゴジラ。コングに「ゴジラを助けて」と伝える人間。怪獣に敵味方の概念を与えるな。
途中からコングは意思や感情がありすぎてリブート『猿の惑星』シーザーみたいに見えていました。玉座に座って斧を持つ姿は『エンドゲーム』のサノスのよう。
そしてゴジラを助けメカゴジラを粉砕するコング。結果、ゴジラ>コング、メカゴジラゴジラ、コング>メカゴジラというじゃんけん状態となりました。上手い着地。
ラスト、「お前、なかなかやるやんけ」という顔で海に帰っていくゴジラでした。


うーむ。カタルシスが足りない。完全勝利!がないからなのかな。ゴジラとコングのどちらも生かすために共闘関係にする。そのためには共通の敵が必要だ。そこでメカゴジラだ。
うん、分かるんですけど、ゴジラが人類の脅威であることは間違いなく、それに勝てる兵器があればそれがいちばんじゃないですか。それなのにいつのまにか「悪者が手にする悪の兵器」になっちゃうのはなぜ。
まあ、その辺の細かいことはどうでもいいんです。怪獣の戦いさえあれば。でも、そこのカタルシスがなー。


人間パートはどうでもいいのですが、少しだけ書く。
まず、怪獣映画という荒唐無稽なお話に、陰謀論を混ぜるのはやめてくれ。ブレちゃう。
陰謀論YouTuberとグレタさんみたいな少女と何の役にも立たないオタクっぽい友達。どんな厳重警備でもするりとかわし、どこまでも行けちゃう。で、結果が「メカゴジラを作っていました」ですが、上に書いたとおり「それって悪いことですか?」なので釈然としない。


そして小栗旬。ハリウッドデビューおめでとう!と思ったのにセリフ少ない…。メインの演技は白目でしたね。これ、メカゴジラとリンクするという表現ですが、こんなアナログな手法でいいの?もっとカッコいい映像表現できなかったのかな。
バイオハザード』のローラと同等の出演でしたな。そう考えると渡辺謙はやっぱりすごいなー。


うーむ、文句ばっかり書いちゃったけど、怪獣パートは盛り上がりましたよ。それでも、傑作!とは言えません。テレビ放送で楽しもう。