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映画『孤狼の血 LEVEL2』 感想

お前はまだひよっこじゃ


映画『孤狼の血 LEVEL2』を見てきました。公式サイト↓
www.korou.jp
前作の感想はこちら↓
ese.hatenablog.com
前作は「これぞ映画!」という突き抜けた面白さがありました。R15+指定のレーティング作品にお金を払って見にくるお客さんに対し、遠慮のない映像と物語を叩きつける、これぞ最高のサービスでありエンタテイメント。素晴らしい作品でした。


本作は前作の3年後。役所広司演じる大上がいなくなった後、呉原のヤクザを取り仕切るのは松坂桃李演じる日岡。前作からの見た目の変化も分かりやすくていい!
日岡に対峙する本作の悪役は、鈴木亮平演じる上林。この上林がすごい。見た目の迫力、絶対に怖い奴じゃん。他のヤクザと貫目が違う。鈴木亮平、ちょっと前まで恋愛漫画家やってたじゃん。白石和彌監督作品『ひとよ』では吃音症の弱気な兄貴だったじゃん。どうしたんだよ、怖すぎるよ。
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鈴木亮平って、前からあんな耳していました?宇宙人っぽいトガリ方。もみあげの上まで剃る独特な髪型で余計異様な造形に仕上がっていました。「まるでサノス」という声をいくつか目にしましたが、私は『なんと孫六』のはるみを思い出しました。一般人の倫理が及ばない人、という意味で。
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あとは千原兄弟のせいじですね。


3年間ヤクザの抗争を押さえ込んできた日岡ですが、どうも弱々しい。説得も通じず、いざとなったら拳銃を口の中に突っ込んで実力行使。大上さんならどうやったかな。もっと上手く押さえ込めたんじゃないかな。
この日岡の弱さが映画を見ている最中ずっと気になっていて、それが映画自体の弱さにも感じてしまったのですが、見終わっていろいろ考えていくうちに考えを改めました。
だって、まだ3年だもん。日岡のような若造がヤクザと五分に渡り合って押さえ込んでいるだけで十分すごいことです。大上さんと比べちゃいけない。
あー、だからもう一度そういう目線で見た方がいいな。あー、私はまだまだひよっこだ。


本作は映画オリジナルストーリーのため、脚本は少し弱い。ついに小谷組に襲撃をかけた上林たちは、トラックで突っ込んでからはちょいとドンパチするだけ。中に入らんのかい!組長代行も無事のまま上林はその場を離れちゃったよ?
その後カーチェイスとなり、横向きになった日岡の車に突っ込む上林は、なぜ車の端っこに当たるの?土手っ腹突っ込んだらんかい!(日岡の銃弾がタイヤに当たって上林の車の向きが変わったとかの描写ありました?)
そしてラストのタイマン。日岡、不死身すぎるだろ。その前から腹を撃たれて重傷なのに、そこからあれだけ戦えるものかしら。少年マンガか。
瀬島さんの騙しは、壮大なドッキリすぎる。家具全部なくなるなんて『ロンハー』レベル。他人の家を借りていた、もしくは家具はそのまま生活痕はナシ、とか。
チンタの死体丸出しで近所の野次馬やマスコミがそばにいるなんてことある?ブルーシートくらいかけてあげて。
そして何より、本作はおっぱいが足りない。R15+は目ん玉えぐり出す残酷描写に当てられ、エロスは大幅に後退。ピアノ講師のおっぱいがなぜ出ない!筧美和子、出るなら出してくれ。出せないなら出せる人を出してくれ。強姦されているのに下着着けたままなんてありえないでしょ。
あと、つまんないツッコミですが、オープニングの車、ナンバープレートが3桁でした。3桁になったのは1998年からです。舞台は1991年でしょ。その辺のリアリティ、よろしくお願いします。


と少しケチをつけましたが、全体としては大満足。ただし、「LEVEL2」といえるほどのレベルUPは感じませんでした。いや、それも前作が素晴らしかったせいで、本作単体だったら前作と同じように大興奮していたでしょう。
前作を見て面白いと思った人はぜひ!


最後に役者陣について。
松坂桃李
彼は本当に素晴らしい。どの作品でも「その人」になる。本作は前作からの飛躍と、それでもやはり「まだ3年」という弱さと青さの両面を演じてくれました。あー、私はこの後者の部分を感じ取れなくて残念。
鈴木亮平
日本のデ・ニーロ、もしくはクリスチャン・ベール。本作でも最強で最狂で最高でした!本当は彼の少年時代で「環境がそうさせた」という部分は出さず、普通の家庭に育ったのにこうなっちゃったという「ナチュラルボーン狂気」として描いてほしかったです。彼には一部の理もなく純粋悪でいてほしい。
吉田鋼太郎宇梶剛士寺島進、渋川清彦
本作は、先輩ヤクザがみんな弱くてがっかり。もっと強くて怖くていい。なのにそれを上回る上林、という構図がよかった。とくに吉田鋼太郎さん、あなたが弱かった。そういう演出だったのでしょうが、もう少し威厳がほしい。血圧放置を取り締まっている場合ではない。寺島進さんは公式サイトで「この歳でも初めて経験することも色々とあるのだなと感じました」と書いていましたが、そりゃ全裸で首輪されるなんて思わないですよね。役者って大変。
斎藤工
特に感想はない。
早乙女太一
彼がよかった!前作の中村倫也枠。見ている最中はずっと「ローランドみたいだな」と思いながら見ていました。
西野七瀬
スナックのママとして、若すぎない?どうやって店持ったの?30過ぎの女優がよかった。あと、泣きの演技が下手すぎる。涙はカット割るまで出ないし。
村上虹郎
私、彼のこと好きではなかったのです。演技下手だと思っていました。それが、本作ではよかったなー。無理した頑張りと抗えないどうしようもなさ、純粋さと弱さ。いいバランスでした。
中村獅童
前作の得体の知れない怖さは、本作では出番が増えた分薄まっちゃいましたね。