やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『カーター』感想

「すごい」一点突破


Netflix映画『カーター』を見ました。見た理由は、Twitterで絶賛されていたから。


見たいと思ってすぐ見れるのが配信映画のよさ。すぐ見た。


すげー!!!!!!
ワンカットで延々続くアクションシーン、アクションのアイデアを全部入れ込んだアクションシーン、物語や謎解きなどを完全無視したアクションシーン。
もう、とにかくアクションのみ。
大人数での乱闘やろうぜ。バイクアクションやろうぜ。カーチェイスアクションやろうぜ。飛行機内でのアクションやろうぜ。飛行機から落ちるアクションやろうぜ。列車とヘリのアクションやろうぜ。ゾンビアクションやろうぜ。会議室で出たアイデア全採用。で、それを全部ワンカットでやろうぜ。
ワンカットもすごいけど、それ以前に「いったいどうやって撮影してるの????」と思ってしまう撮影方法に驚嘆。しかもそれをワンカットで撮っているんだもんなー。いったいどうやって撮影してるの????


この驚異的なアクション撮影、何か記憶にあるなー。そうだ、『悪女』だ。見終わってから調べたら、同じ監督だった!監督、頭イカれすぎ。あのトンネル内のバイクシーンを上回るアクションシーンの連続。まさに連続。


途中まで口をあんぐりさせながら見ていましたが、途中から「今何やってるんだっけ?」「敵・味方のベクトルってどっち?」「何がゴールなんだっけ?」と訳が分からなくなります。そして頭は「どうやって撮影しているんだ」しか考えられなくなります。


これは映画なのか?ゲーム実況と何が違うんだ?
アクションとワンカットにパラメータを全振りしてしまったため、映画としての脚本や美術や衣装や音楽などは置き去り。疲れる。味わう暇もない。
ワンカット撮影(風)は素晴らしいけど、全シーンつなげる必要ある?それぞれのアクションだけワンカットにして、あとはきちんと場面転換すればいいのに。そこまで意固地になってワンカットにする必要ないでしょ。あんな雑なつなぎ方でワンカット続ける必要ないでしょ。必要なのは緊張と緩和だよ。


ステーキは美味しいけど、「松阪牛のステーキです!神戸牛のステーキです!黒毛和牛のステーキです!」だけじゃ飽きるでしょ。違う材料や違う調理方法や違うメニューを挟まないと、いくら美味しい食べ物だって美味しく食べられないよ。
監督は「『悪女』のアクションシーン、すごかったです。Netflixなので資金は潤沢にあります。あれを超えるアクション映画を作りましょう」と言われて腕まくりしちゃったのかなー。


「すごいアクション」のみに全振りした作品なので、見終わったあとはぐったり疲れます。そしてストーリーは何も覚えていません。
それでも、この超絶アクションは見る価値あり。「特化」の先にしか見えない景色がある。今後、このアクション撮影を下地にした、素晴らしい脚本と映画的要素(美術・構図・音楽など)を伴った映画が生まれてくるでしょう。本作は未来のアクション映画の一部を先取りした作品なのだ。