やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「マイケル」感想

マイケルが降臨したら泣くしかない


映画「マイケル」を見てきました。
www.michael-movie.jp


マイケル映画として最高だった!が、映画としてはいろいろ思うところはありました。ただ、それは映画についての文句なのかマイケルエピソードの選択についての文句なのかは自分でもよく分かっていません。


幼少期のマイケルの子役が素晴らしい。歌やダンスが素晴らしいのはもちろんですが、父親に折檻を受けるときのおびえた表情が素晴らしかったです。
本作はマイケルの遺族が製作に加わっているため、マイケル聖人説で描かれています。これは確かに「マイケルファンが見たいマイケル映画」であり、公平さに欠けるのではという意見も分かります。でもまあ、純粋なドキュメンタリー映画ではなく娯楽作品としての伝記映画なので、目線のチューニングがされていることは仕方のないこと。
本作は「スリラー」発売後、ジャクソンズのツアーを行い、「BAD」ツアーで締められている。映画単体としては変な終わり方ですが、当初から続編ありきで作られていたのかな。また、スキャンダルの部分について描いてはいけないという法的な縛りがあったためその部分をカットしたといういきさつがあったため変な構成になったのかな。


本作のテーマは父親との対立と決別で、対立(父による息子の搾取)はしつこく描かれていましたが、決別(独り立ち)についてはあまり力強く描かれていなかったな。紙切れ1枚のFAXとステージ上での宣言。父親に対し「自分は独立する」と自分の言葉ではっきりと宣言するシーンが欲しかったけど、実際そういったことはなかったので描けなかったのかな。そこがカタルシスになるのに。


その他、エピソードについての個人的な注文。あくまでウザいファンからのウザい要望です。
・マイケルは何となく売れたわけではなく「世界一の存在になる」「世界最高のアルバムを作る」という決意や信念のもと行動していたので、その強い気持ちを描いてほしかった。
・マイケルは天賦の才を持つ人ですが、それだけであんなに歌って踊れるわけないので、日々必死に努力・練習する姿を描いてほしかった。
・マイケルの曲作りは楽器ではなく頭の中で鳴っている音を鼻歌で作るという手法で、それは描いていたけどそれを客観的に描いてほしかった。クインシー・ジョーンズに口立てのデモを聞かせて、「こんなやり方する人いないよ」と言わせるとか。あと、これはメロディだけでなくリズムも他の楽器もコーラスもすべて彼の頭の中で鳴っていてそれを口で再現するというすごさも描いてほしかった。
・マイケルのソロキャリアの立役者は確実にクインシー・ジョーンズなわけですが、彼の功績が全然描かれていなかった。クインシーとの出会い、彼は他のプロデューサーと何が違ったのか、レコーディングでどんなアイデアやマジックがあったのか、「Beat It」でエディ・ヴァンヘイレンが参加するいきさつとか。あと、これまでモータウン時代は自分の自由はなかったのが、ソロでは「自分の好きなように歌える」という喜びも描いてほしかった。
・その他、レコーディングでのこだわり、完璧を追求する姿。
・「スリラー」のMVは単なるMVでなく「ショート・フィルム」と銘打ちMVに革命をもたらした。ここはマイケルの歴史としてもポップミュージックの歴史としてもとても重要な出来事なので、しっかり描いてほしかった。「MVで13分?そんなの無茶だ」
・マイケルはジャクソン5の時代からスターだったけど、「スリラー」が世界一売れたアルバムになったということをニュースなど客観的事実と社会的衝撃を描いてほしかった。何万枚売れた、何週間チャート1位になったとか。
・「モータウン25周年」のイベントでムーンウォークを世界初披露したことも歴史的出来事なので、ここをもっと振りを効かせた展開にしてほしかった。「モータウン時代の曲もやるけど新曲も歌わせて」と交渉し、「ここで世界を変える」という決意のもと、ムーンウォークを決める。会場の人たちが総立ちになるだけでなく、テレビの前でもみんなが熱狂し、翌日の学校で話題になり、みんながムーンウォークを真似する。ここまで描いてほしかった。ここに限らず、ファンが熱狂して自宅に押しかけるだけでなく、テレビの前の子供たち(アメリカ以外でも!)がマイケルに夢中になって真似する描写はほしかった。
・ラストの1988年ウェンブリー・アリーナでの「BAD」は、何か特別な意味があったのかな?映画のラストに持ってくる理屈がほしかった。


なんてことを書けばきりがないし、別のファンは別のエピソードを入れろと言うでしょうからもうやめます。私に脚本書かせてくれればよかったのに。


続編は時期的にスキャンダルに触れざるを得ないわけですが、過去の和解の条項に「この問題は映画などでは扱わないこと」という文言があるので、どこまで描けるかは不明です。
そして、本作がめちゃめちゃ大ヒットしたので、3部作になるという話も出ています。それだと間延びしちゃうから2作で締めてほしいなー。


映画としての物語的な掘り下げや解決、振りと回収によるカタルシスなどは不十分ですが、マイケルが劇場の大画面大音量で歌って踊るだけで大満足になっちゃうので映画としての評価はできません。
私は、オープニングのユニバーサルとかのロゴが出ているときに音だけ流れていて、そこでマイケルの「ヒー」が聞こえた瞬間に泣いてしまい、その後も歌のシーンは全部泣いていました。ラスト「BAD」で下から風を浴びて歌う場面では嗚咽を漏らしながら泣いていました。
私の映画落涙最短記録は「THE FIRST SLAM DUNK」で山王高校の面々が階段を下りてくるシーンだったのですが、それを更新してしまいました。
とにかく、最高の劇場体験でした。IMAXやドルビーアトモスなどのある劇場なら、そちらを優先して見てください。2026年、マイケルに会いに行こう!


ムーンウォーカー(字幕版)

ムーンウォーカー(字幕版)

  • マイケル・ジャクソン
Amazon