やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「M-1」を前に、思うことをつらつらと

もうすぐM-1グランプリ2017が開催されます。お笑いのコンテストはM-1の他にR-1、キングオブコントがあり、厳密なコンテストではありませんがIPPONグランプリもあります。
で、特にまとまったテーマはないのですが、お笑いコンテスト全体について思うことをつらつらと書きます。


芸歴制限
M-1は元々コンビ結成10年までという縛りでしたが、今は15年に延長しています。R-1やKOKはその制限はありません。
えー、制限いるでしょ。
制限がなかったらそりゃ上手い人たちが勝ちますよ。M-1がお休みだった間に開催された「THE MANZAI」では博多華丸大吉が優勝しましたが、そりゃ上手いし面白いから優勝するよね。でも、こういうコンテスト番組は新しい才能を発掘するのがいちばんの目的ではないの?であれば、やはり出場条件に芸歴制限はあった方がいいと思うのですが。
M-1は5年間お休み期間があり、その間に芸歴10年を超えてしまい出られなくなったコンビのために伸ばしたのかなと思いましたが、復活以降ずーっと15年なので、そういう救済措置とは関係なく単に枠を広げたということなのでしょう。
これも、一長一短があると考えます。現在のテレビ番組は若手がいきなりブレイクするには難しい環境にあります。なので、ある程度テレビ慣れした芸人たちがコンテストで活躍しないと、コンテスト以降の安定的なテレビ出演につながらない。でも、ある程度テレビ出演があって知名度があるとネタもウケやすいというアドバンテージにもつながる。まあ、これは笑い飯のようにテレビ出演がなくても前年の活躍が期待というアドバンテージになる場合もあるのでテレビ出演のみが有利条件になるわけではないのですが。
でもやっぱり、芸歴制限が長いと「そりゃ上手いよね」が勝つよなー。トレンディエンジェル銀シャリも、コンビ結成から10年以上経っているコンビだし。


敗者復活
今年のM-1は敗者復活組も含めてネタ順はその場でのくじ引きになりました。少しは改善したと思います。
今までの本編ラストに敗者復活組が登場するのは不公平です。いちばん場があったまった状態で登場するんだもの、そりゃ有利だ。私は敗者復活組はくじ引きではなくネタ順1番でやるべきだと思っています。敗者復活なんだから、いちばん不利な状態でやらせるべき。


松本人志の存在
松本さんは、M-1、KOK、IPPONグランプリの審査に関わっています。IPPONグランプリはチェアマンという立ち位置で審査そのものには関わっていませんが、どの番組・コンテストも「松本人志の笑いの価値観」に沿った審査になっています。
私は松本信者ですが、これはよくないと思います。笑いの価値観は多様であるべき。なので、松本さんは勇気ある撤退、勇退をしてほしいです。
でも、そんなことは番組サイドが許さないですよね。視聴率に影響しちゃうから。また、私たちお笑いファンも芸人たちも「松本人志がこのネタ・この芸人をどう見るか」についてはとても興味があります。でも、それこそが「松本人志の価値観」に依った笑いの見方ですよね。くりぃむ有田とか、別の価値観で審査してもらいたいなー。


コンテストで勝った結果
お笑いコンテストで優勝すると、テレビ番組に多く出られます。以前はそれが売れっ子への切符でしたが、今はそうではないですよね。オードリー若林は「テレビ出演の1周目はパドックみたいなもんで、そこでスタッフさんに気に入ってもらえて初めて2周目がある」と言っていました。今はもっと厳しい状況だと思います。
どの番組に出ても、基本はMCのおもちゃ。さらに今はひな壇にいる中堅芸人からもいじられる。ここで尖りを貫いて生き抜く(笑いを取る)のは至難の業です。なのでいじられ側に回らざるを得ません。そうなったらもう終わり。世間も「カリスマスター」より「自分より劣っている安心ポンコツ」を求めていますからね。
ちょっと話は逸れますが、今この立場にみやぞんがいますね。彼は天然素朴キャラに見えますが、テレビタレントとしてのお笑いの才能はすさまじいものがありますよ。フリとボケはしっかりしているし天丼やかぶせなどのお笑い技術も使える。何より反応が早い。さらに可愛げもあって、最強です。
話を戻す。そうなると、下手にコンテストで優勝してテレビで使いまわされてポイとなるなら、コンテストで優勝することは長い目で見たらプラスにならないのでは?
で、そうならないためにはやはりある程度テレビ出演経験がある芸人の方がテレビでの振る舞いも分かっているので上手くいくのかも。あれ、ということはやはり芸歴制限は10年でなく15年の方がいいのか?うーむ。


私は、新しいスターの登場を待っています。ダウンタウンが出て来たときのような「強さ」を持つ芸人はいないのか。今のテレビ番組のシステムですら超越するような芸人はいないのか。才能、カリスマ、スター、出てこいや!


M-1グランプリ2016 伝説の死闘! 〜魂の最終決戦〜 [DVD]

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最近聴いた曲ひとこと感想(2017年11月)

音楽を聴いていいものはたまにブログに書くことがあるのですが、ブログ1本分になるほど語りたいことがない作品でもちょっと言っておきたいことはあるわけで。そういうのはTwitterで書くこともあるのですが、140字には収まらないこともタイミングを逸していることもあるので、この機会にいくつかまとめて書いておこうというのがこのエントリの主旨です。
適当な文字数になるまでいくつか書いていきます。


Mr.Children『himawari』

ミスチル節だなーというメロディですが、今回はBメロとサビが連動している面白いメロディ構成。アレンジは『足音』以降のミスチルサウンドで、やっぱり私はコバタケアレンジの方がいいなと思っています。
今回のカップリングはライブ演奏が何曲か。これを聴くと『メインストリートへ行こう』みたいなどポップなメロディは今はもう難しいなーとか『終わりなき旅』の「心配ないぜ 時は無情なほどにすべてを洗い流してくれる」というシニカルで諦観な物言いも最近は減ったなーとか、「毎度おなじみミスチル節」と思いながらもやはりその時代によっていろいろ変わっているんだなーということを感じました。


星野源『Family Song』

Family Song (初回限定盤)

Family Song (初回限定盤)

安定のいい曲。源ちゃんはこの曲のインタビューで「この曲はハイハットを使ってないんですよ」と何度も力説していましたが、聴いたところそれが効果的に働いているのか私には分かりませんでした。聴いている人のほとんどが気にならないもしくは気づかないと思います。
源ちゃん、歌上手くなりましたね。私はソロ最初の頃のフォーキーな時代があまり好きではないのですが、それは曲調とともに歌があまり上手くない、というのも原因のひとつです。でもカップリングのファルセット聴くとそっちはやはりまだまだだな、とも思います。


RADWIMPS『Human Bloom Tour 2017』

RADWIMPS LIVE ALBUM 「Human Bloom Tour 2017」(期間限定盤)(2CD)

RADWIMPS LIVE ALBUM 「Human Bloom Tour 2017」(期間限定盤)(2CD)

ラッドのライブアルバムです。まずは「私も行きたかったなー」という悔しさ。そして「本当にCD通り演奏している、CD通り歌っている」という驚き。ラッドのメンバーは演奏が上手くていいなー。『DADA』とか『おしゃかさま』とかも弾けるんだぜ。プロだから当たり前だけど、すごいなー。そしてあの譜割り通りに歌うんだぜ。自分が作った曲だから当たり前だけど、すごいなー。
MCや客の煽りは私のようなおっさんにはちょっとくすぐったい感じもありますが、実際自分もその会場にいたら「イエーイ!」と叫んでいたはず。あー、行きたかったなー。


浜田省吾『The Moonlight Cats Radio Show Vol.1 & 2』

The Moonlight Cats Radio Show Vol. 1

The Moonlight Cats Radio Show Vol. 1

The Moonlight Cats Radio Show Vol. 2

The Moonlight Cats Radio Show Vol. 2

架空のラジオ番組で流れる音楽という体裁で、洋楽の名曲をカバー。歌よりも演奏の方がメイン。
腕利きミュージシャンが集まって名曲を演奏するんだから悪いわけがない。でも、これ、一般発売する必要ある?とも思ってしまいました。曲数も少ないんだから1枚にまとめられるし。暇を持て余した神々たちの遊び。
個人的にはもっと浜省ボーカルを聴きたいのです。


PUNPEE『MODERN TIMES』

MODERN TIMES

MODERN TIMES

PUNPEEが才能あるのはもう誰もが認める周知の事実です。あとはそれをどこまで外側に広げるか、広がるか。本人はあまりど真ん中に行くつもりはないんだろうけど。
私は、「トラック大好き、ラップは好みじゃない」というのが彼に対する印象です。なので、個人的にはプロデューサーとしての彼の仕事をいろいろ聴きたいです。
老いPUNPEE本人が昔を振り返りながら作品を流していく構成もいい。ラストで本編が終わってから『HERO』が流れるのは蛇足ではなく、あれはこの作品のエンドロールだと思っています。


米米CLUB『豊作参舞』

LAST BEST ~豊作参舞~(通常盤)

LAST BEST ~豊作参舞~(通常盤)

私は彼らが『浪漫飛行』『君がいるだけで』等で国民的大ヒットする前から聴いていたのですが、今は聴いていない。なんでだろ。私はファンクが好きなのに。
と思って久しぶりに聴き直したら、分かりました。このバンドはファンキーではない。具体的に言うとドラムがファンキーじゃない。だからファンクの曲でも腰が動かない。だから私は聴き続けなかったのだな。
それでも『シュールダンス』とかはやっぱり好きだなー。あと、この頃はメロディも80年代っぽいですね。アレンジや録音には時代感がありますが、メロディにもあるのか、と思いました。


フレデリック『TOGENKYO』

TOGENKYO 初回限定盤(CD+DVD)

TOGENKYO 初回限定盤(CD+DVD)

私、彼らのこと全然知らなくて初めて聴いたのですが、いいですね!ダンスロック。ダンスといってもディスコのようなファンクではなく、もっと白い感じ。UNCHAINとかオーサムシティクラブとかの方。
このバンドはベースがいい。でもその分ギター・ドラムとまだ一体化していない感じもある。この作品しか聴いたことないのでよく分かってないけど。
あと、こういう「ちょっと聴いてみたいな」の場合、ミニアルバムはありがたい。いきなり14曲入りとかは重い。


夜の本気ダンス『INTELLIGENCE』

こちらもダンスロック。彼らは過去作も聴いているのですが、そんなにはまらなかった。でも、今回はいいぞ!全パートが上手くなってる!特にギターがいい。それによりロック濃度が強くなって、アレンジもグルーヴも幅が出来ている。
よし、武器は強化した。あとは曲だ。これもアルバムごとに良くなっているので今後にさらに期待。


これ以外はまた次回。いつになるか分からないけど。また、これ以外にもいろいろ聴いていますが、自分の好みに合わないものはわざわざ書きません。好きな人もいるもんね。
で、いろいろ聴くとやっぱり私は「声」が大事だなーと再認識します。声が合わないともうダメ、聴いていられない。その上で歌が上手けりゃなおヨシ。

映画『IT』 感想

「怖い」とは


映画『IT』を見てきました。公式サイト↓
wwws.warnerbros.co.jp
副題の「”それ”が見えたら、終わり。」はとても良くない!「IT」だけだと何のことか分からないと思うので副題付けたのでしょうが、良くないものは良くない。逆に「IT」だけの方が自由度があっていろいろコラボもタイアップもできたのでは。


この作品は1990年に映像化されており、今作を見る前に見たら、とっても面白かった!ホラーだから怖いから見てなかったのに、これ、青春ジュブナイル映画じゃないか!『スタンド・バイ・ミー』『グーニーズ』のあの感じです!
ホラー要素は多くなく、スプラッターではなくファンタジーな感じ。前半の子供時代の話は、ずっとワクワクドキドキで少年たちに頑張れ!と感情移入しながら見ていました。


で、本作の感想は「前作の方がいいな」です。
でも、これも1990年版を先に見てしまったからなのかもしれない。何も知らずに今作だけ見れば「面白かった!」と言っていたかも。


1990年版は、少年たちのキャラ紹介が丁寧。ちょっと並列的な感じはしますが、分かりやすい。それに比べて本作はストーリーと並行してキャラ紹介がされるので、しっかり見ていないと顔と名前、キャラと苦手なもの、などが分かりにくいかもしれません。初見の人、どうでした?
あと、この作品はペニーワイズというピエロが敵役なのですが、こちらも1990年版の方がいいなあ。1990年版の「かわいく振舞っているけどそれがキモい、怖い」と違って、今作は「怖いピエロだぞ」が全面に出ていて、「ピエロ=道化」なのに怖い、というギャップがなかった。


オープニングの船を作って雨の中遊びに行く場面は1990年版と全く一緒。それがペニーワイズがジョージーの腕をガブリ!えー!いや、ガブリでもいいのですが、本当に噛み千切られた表現はいらないなー。そういう物理的な痛みより、はっきり映さずペニーワイズの世界に飲み込まれたということにすればいいのに。
その後もホラー表現は結構直接的。それは上記のような手足もげる表現ではなく、大きな音でびっくりとか、ピエロが気持ち悪い動きで近づいてくるとか、そういう「子供から大人でも物理的にびっくりする怖がらせ」なのです。そりゃびっくりするけどさ、「怖い」ってそういうことじゃないぜ。特にこの作品は「子供の心の不安を具現化した怖さ」がホラー描写の中身なんだから、もっとファンタジーな表現でよいのでは。
そのくせ「井戸の家」はディズニーのアトラクションのような作り物感。この作品、現実と悪夢の見せ方が逆のような気がする。


不良グループやいじめっ子とのいざこざも、強烈すぎない?トイレの汚物をぶちまけるとかナイフで腹を傷つけるとか。子供のいじめのレベルじゃないぜ。
石を投げ合うシーンがあるのですが、それは痛すぎるよ!石だよ!これは1990年版にもあったけど、石だよ!あと、ラストで血の契りを結ぶシーンも、痛い痛い!と思いながら見ていました。子供があんなことするかなー。
全体的に、この作品の登場人物は痛みに鈍感だ。


下着で泳ぐシーンは、1980年代後半であり得るのかな。いくら子供だからといえ、裕福でないとしても、水着くらい持ってるだろ。さらに女の子も下着で一緒に泳ぐなんてありえん、許せん、けしからん。騎馬戦なんかしたら勃起不可避だよ!
水着用意してよー。意味変わってくるよー。


青春ジュブナイル感は今作も十分描いているのになぜ私は足りないと感じたのかな。自転車で走るシーンが少ないから?下着で泳ぐから?
ラストもキスなくてもいいぞ。ベンがかわいそうすぎる。ラブレターの詩を送ってくれたのがベンだと分かってもビルを取るのかー。切ないなー。


クライマックスのペニーワイズとの闘いの場面、1990年版はベバリーがパチンコ(ギャンブルではなくゴムで標的に当てる方)の名手で銀の弾が聖なる力を持つという「倒すロジック」がありましたが、今作はそれがない。いったい彼らはどうやってペニーワイズを倒すつもりだったのでしょうか。ビルが槍みたいなものを背負っていましたが、使わなかったし。
で、いよいよ闘いのときに物理的に攻撃するのですよ。ペニーワイズが物理的に実在するのか子供たちの恐怖の具現化なのか分からないのが怖い(そう、「分からないから怖い」のです)はずだったのに物理攻撃が効くのか。
そして子供たちの一斉攻撃はいじめっ子がしていたリンチと同じじゃないか。やられそう→僕が足を抑えているぞ→俺は腕を→今だパチンコで攻撃!とかの方がいいのでは。
で、結局ペニーワイズは井戸の奥へ消えていくのですが、一応「こういう理屈で倒す(実際には倒せなくてもいい)」がないと「やっつけた感」がなく、ただ消えていったようにしか見えません。


これも、見ている最中は「あの長さ(1990年版は187分あります)を1本でやるには仕方ないか」と思っていたのですが、これ、第1章なのね。半分か。前半部分で135分使うなら、もっと描けたと思うけどなー。


ああ、酷評みたいな文章だな。この作品が好きだからこそ「それじゃない感」を思ってしまい、こんな文章になってしまいました。
あと、この作品はR15なのですが、腕ガブリとかの残酷描写は減らして、PG12に抑えてほしかった。上記のように青春ジュブナイル映画なのだから、中学生に見てもらうことが大切。本国アメリカでもR指定くらっていますが、その辺のことは考えなかったのかな。ヒットしてるけどさ。
吃音、デブ、極度の過保護、厳しすぎる躾、親からの性的虐待など、大人の私たちよりもリアリティと実感を持って見る子供たちがいると思うのですが、何とかならんかったのかな。このような具体的な同一点でなくても、いじめられていたりスクールカースト底辺の子たちが彼らに感情移入して頑張れ!と思ってもらう作品だと思うのです。


とはいえ、続編が公開されたら見に行きますよ。楽しみです。


映画『ブレードランナー2049』 感想

かわいそうなKとかわいいジョイ


ブレードランナー2049』を見てきました。公式サイト↓
www.bladerunner2049.jp
私は、前作はずっと未見で数年前に初めて見て、続編が作られると聞いて2回目を見たニワカです。で、前作の感想は「よく分からない…」でした。
特に盛り上がるわけでも派手なアクションシーンがあるわけでもなく、主人公デッカードに感情移入できず、ストーリーは理解しても細かい部分で分からないところが多く、一体なぜこの映画がそんなに評価されているのか分からないままでした。
しかし、どうもこの作品は「SF映画の名作・金字塔」ではなく「カルト映画の名作・金字塔」らしい。なるほど。それなら分かる。腑に落ちた。
ずっと雨の降る近未来。強力わかもとなどのネオンがきらめく都市でありつつ退廃的な雰囲気を醸し出す世界観。SFでありながらハードボイルドで、アクションでありながら爽快感のないジャンル横断な物語。
町山智浩さんの解説によると、それまでは「金ぴかの未来」(手塚治虫のような)か「廃墟のディストピア」(マッドマックスのような)しかなかったのが、「都市としては発展するけどいろいろガタもきているダークな世界」という世界観を構築しました。そしてこの作品以降の映画やマンガはすべてこの影響下にあると。確かに!
さらに、現在渋谷でもNYでも、ビルの壁面に大きなビジョンがあるのもこの映画の影響下だそうで、それもなるほど!「現実が映画を真似した」そうです。なるほど。


というわけであまり大きな期待はせずに見に行ったのですが、面白かった!です。


ストーリーとしては分かりやすく、世界観は継承しつつ30年後にアップデート。一般人もファンも納得の続編にしてくれたと思います。
と思ったのですが、見たあとでネットを徘徊すると前作を好きな人ほど批判的(というか「これじゃないんだよな感」)で、私のような前作ピンとこなかった人ほど絶賛しているような感触です。
今作までの過程を描いた短編が3作あるのですが、私はどれも見ずに今作を見ましたが、理解出来ました。もちろん見てからの方がより深く理解できるのだと思いますが。


監督のドゥニ・ヴィルヌーヴ(この名前、いつまでたっても口が覚えない)の作品は『メッセージ』しか見ていなくて、そのときは「すごいことは分かるけどきちんと心身に落ちてこない」感じでした。
このときは仕事終わりで車を飛ばして見に行ったので眠い&トイレ行きたいという映画を見るには最悪のコンディションで見てしまったため、きちんと作品に集中できなかったのだと思っています。
で、今作は163分という長丁場。そこで私は早めに映画館に行き、駐車場で30分ほど仮眠して起きたらメガシャキを飲み、水分は控えて上映中も口を湿らす程度にしました。準備万端。
おかげで集中して見ることができ、この超大作を堪能することができました。


主人公Kはレプリカントブレードランナー。家に帰るとホログラムAIの恋人ジョイが待っている生活。
前作は人間がレプリカントを始末するというお話(デッカードは人間ですよね?)だったのが、今作は新型レプリカントが旧型レプリカントを始末する立場。そしてレプリカントの恋人はホログラムAI。すごい時代だ。


そして、今作はレプリカントが子供を産んだのでは、という謎に迫るのが主題。人間とレプリカントの境って何だろう。アイデンティティって何だろう。


今作の主役はライアン・ゴズリングですが、このテーマだからこそ彼でよかった!ゴズリングの表情少ない感じや常に寂しそう・かわいそうな感じが今作のテーマに合う。
ネタバレしますが、レプリカントに子供が?そんなバカな。あれ、俺この記憶あるぞ。ということは、もしかして俺がその子供?もしかして、俺って特別な存在?この人、俺のお父さん?
とワクワクさせておいて「それは追われないための工作でしたー!」ちゃんちゃん。そんなー!俺はやっぱり単なるレプリカントだったのか…。でもいいんだ、他人のために犠牲になるのが人間なんだから、俺はある意味人間なんだ。これでよかったんだ…。


かわいそう。


あと、今作はデッカードハリソン・フォード)も登場するのですが、登場するのは残り3分の1くらいになってから。それでもこの作品自体が長いのでそこからも十分あるのですが。
内容にどんな絡みをするのかな、と思ったらレイチェルまで登場して完全に「続編」でした。
そうなると、Kはこの話にデッカードを連れてくるだけの役目じゃないか。主役ではなくお話を進めるためのストーリーテラーじゃないか。


かわいそう。


ラストは、こんなにきれいな終わり方でなくてもいいかな、と思います。『ブレードランナー』なんだからもっと無情・非常・不条理な終わり方でもいいのになー。分かりやすくていいのですが、後々まで語りたくなるような謎や解釈の余地があってもいいのになー。


オープニングの瞳のどアップはレイチェルですよね。ラスベガスの蜂は前作で「レプリカントは蜂を殺す」に対応しているのですね。Kは蜂を殺さない→だから人間だ。
まあ、こんな細かい分析や解釈は他のサイトやブログに任せよう。私はもっとどーでもいい感想を書こう。


ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、じっくりじっくり撮りますね。そのせいでテンポはよくない。どのシーンももっと短くできたはず。トータルであと20分は短くできたはず。
Kとデッカードが出会って乱闘するところ、いる?デッカードが水であっぷあっぷするシーン、長くね?
どうせ後々ディレクターズカット版やファイナルカット版を出すんだから、まずはすっきりした編集で劇場に出せばいいのに。


あと、最後にジョイのことを。
ジョイ、めちゃめちゃかわいい!こんなホログラムAIがいたらもう彼女なんていらないわ。触れないので売春婦に同期するというのはちょっと寂しいですが、まあとにかくかわいいですよ。
ジョイ役はアナ・デ・アルマス。キアヌ・リーヴス主演の『ノックノック』に出ていた悪女二人組の片割れですが、あのときよりかわいい!で、ここまで調べて私は思った。この子脱げるのになぜセックスシーンで脱がせないのだ!ヴィルヌーヴ、こらー!
※あと、Wikipediaの彼女の写真がひどいので、誰か変更してください。めちゃかわいい写真にしてください!


よい感想ブログなど。
realsound.jp
eigakaita.com
www.monkey1119.com
apyapon.hatenablog.com


日本にHIPHOPが根付かない理由

歌詞とメロディしか聞かない人たち


私の中学~高校時代の音楽人生は尾崎豊浜田省吾長渕剛が3大巨頭で、CDプレイヤーの前で正座で歌詞カードを見ていい曲だいい歌詞だと思いながら聴いていました。
大学で音楽サークルに入り、洋楽の洗礼を受けます。当時はハードロックブームの終わり頃で、その後グランジブリットポップのブームがあった時代です。こういった音楽と、50年代以降のオールディーズ、60年代のビートルズやシンガーソングライターの名曲、70年代ディスコ、ファンクミュージック、80年代ポップス、オールドスクールのヒップホップなどをたくさん聴いていました。
で、数年後。久しぶりに尾崎や浜省を聴いたら、音がダサい!あれ、こんなにギターシャリシャリしてたっけ?こんなにスネアにリバーブかかっていたっけ?高校時代に聴いていた音楽が、まるで別物に聞こえました。


確かに、高校時代はギターやドラムが鳴っていることは気づいても、どんな音で鳴っているかまでは気にしたことがありませんでした。歌詞とメロディしか聴いていなかったので、曲のアレンジがどうなっていたかなんて気にしていませんでした。アレンジは聞こえていても、それはイントロやギターリフのメロディしか聴いていなかったのです。


音楽の3要素といえば「リズム・メロディ・ハーモニー」ですが、当時はメロディとハーモニー(コード)しか聴いていませんでした。


で、大学に入りいろいろな音楽を聴くようになったのですが、その中でもレッチリ、レニクラ、エクストリーム、スティービー・サラス、プリンスなどのファンキー要素の多い音楽やヒップホップを好んで聴くようになりました。
そうなると、今度はリズムに耳が行くのです。16ビートカッコいいなー、このベースラインファンキーだなー、ここにハイハットが入るからグルーヴが生まれるんだなー、裏拍から入るこのギターリフいいね、ここに空ピック入れているからファンキーになるんだなー等々。
歌詞やメロディだけでなく、リズムやアレンジも音楽を聴く重要な要素になりました。


ラップは、言葉とリズムの音楽です。ラッパーが韻を踏むのは、リズムを強化してグルーヴを生むためです。ただ早口でしゃべっているのではないのです。どこにスネアがハイハットがバスドラ(ヒップホップだと「キック」と言いますね)が入っているのか。そのリズムの肝のどこに言葉を当てるのか。それがラッパーの仕事です。
さらに、ラッパーの中でもリズムの当て方は違います。リズムにジャストに合わせてラップする(「タイトに」という言い方をします)人もいるし後ろ目のリズムで乗っかる人もいます。それぞれのやり方で、それぞれのグルーヴを生み出すのがラッパーとしての技術であり個性。また、トラックによってもビートアプローチは違ってきます。


ヒップホップを好んで聴くようになると、曲の聴き方がメロディよりリズムやビートに耳が行くようになります。そしてそれはJ-POPやロックにおいても同様です。
そうなると、ドラマーの個性も聞こえてくるのです。ユニコーン川西さんのドカドカ叩くドラム、BOBOのタイトだけど力強いドラム、モカキリ岡野さんのスネアとハイハットが張りついたようなドラム、真心ブラザーズMB’sビバさんのファンキーハイハット等々。
でも、そんな聴き方をしている人はほとんどいないですよね。リズム中心に音楽を聴くなんて。


でも、それがヒップホップなのです。ラップは「ビートに合わせて素晴らしいライミングをしてうまいこと言う」という音楽なので、ビートに耳が向かっている方がより楽しめるのです。
でも、そんな聴き方をしている人はほとんどいないですよね。だから、ヒップホップは日本に根付かないのです。
なので、今後も根付かないままだと思います、という悲観的な結論です!


「既にヒップホップは日本の音楽に根付いている」という意見もあると思いますが、でもそれはJ-POPの中では添え物扱いです。ギターソロのような「曲に彩りやアクセントを加える」程度の扱いです。
ヒップホップのままでヒットしたのはキックザカンクルーとリップスライムだけでしょう。それも今ではかつての勢いはありませんし、彼らに続く人たちは現れませんでした。


まあ、根付いているかどうかでいえば根付いているのかもしれません。でも、根付いた結果が現状なのです。アメリカのようにヒップホップがチャート上位の常連になることは今後もないでしょう。


リズムの面白さに多くの人が気づかない限り、この状況は変わらないと思います。


www.youtube.com


今日から使える ヒップホップ用語集

今日から使える ヒップホップ用語集

TOKYO TRIBE

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