やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『ブレードランナー2049』 感想

かわいそうなKとかわいいジョイ


ブレードランナー2049』を見てきました。公式サイト↓
www.bladerunner2049.jp
私は、前作はずっと未見で数年前に初めて見て、続編が作られると聞いて2回目を見たニワカです。で、前作の感想は「よく分からない…」でした。
特に盛り上がるわけでも派手なアクションシーンがあるわけでもなく、主人公デッカードに感情移入できず、ストーリーは理解しても細かい部分で分からないところが多く、一体なぜこの映画がそんなに評価されているのか分からないままでした。
しかし、どうもこの作品は「SF映画の名作・金字塔」ではなく「カルト映画の名作・金字塔」らしい。なるほど。それなら分かる。腑に落ちた。
ずっと雨の降る近未来。強力わかもとなどのネオンがきらめく都市でありつつ退廃的な雰囲気を醸し出す世界観。SFでありながらハードボイルドで、アクションでありながら爽快感のないジャンル横断な物語。
町山智浩さんの解説によると、それまでは「金ぴかの未来」(手塚治虫のような)か「廃墟のディストピア」(マッドマックスのような)しかなかったのが、「都市としては発展するけどいろいろガタもきているダークな世界」という世界観を構築しました。そしてこの作品以降の映画やマンガはすべてこの影響下にあると。確かに!
さらに、現在渋谷でもNYでも、ビルの壁面に大きなビジョンがあるのもこの映画の影響下だそうで、それもなるほど!「現実が映画を真似した」そうです。なるほど。


というわけであまり大きな期待はせずに見に行ったのですが、面白かった!です。


ストーリーとしては分かりやすく、世界観は継承しつつ30年後にアップデート。一般人もファンも納得の続編にしてくれたと思います。
と思ったのですが、見たあとでネットを徘徊すると前作を好きな人ほど批判的(というか「これじゃないんだよな感」)で、私のような前作ピンとこなかった人ほど絶賛しているような感触です。
今作までの過程を描いた短編が3作あるのですが、私はどれも見ずに今作を見ましたが、理解出来ました。もちろん見てからの方がより深く理解できるのだと思いますが。


監督のドゥニ・ヴィルヌーヴ(この名前、いつまでたっても口が覚えない)の作品は『メッセージ』しか見ていなくて、そのときは「すごいことは分かるけどきちんと心身に落ちてこない」感じでした。
このときは仕事終わりで車を飛ばして見に行ったので眠い&トイレ行きたいという映画を見るには最悪のコンディションで見てしまったため、きちんと作品に集中できなかったのだと思っています。
で、今作は163分という長丁場。そこで私は早めに映画館に行き、駐車場で30分ほど仮眠して起きたらメガシャキを飲み、水分は控えて上映中も口を湿らす程度にしました。準備万端。
おかげで集中して見ることができ、この超大作を堪能することができました。


主人公Kはレプリカントブレードランナー。家に帰るとホログラムAIの恋人ジョイが待っている生活。
前作は人間がレプリカントを始末するというお話(デッカードは人間ですよね?)だったのが、今作は新型レプリカントが旧型レプリカントを始末する立場。そしてレプリカントの恋人はホログラムAI。すごい時代だ。


そして、今作はレプリカントが子供を産んだのでは、という謎に迫るのが主題。人間とレプリカントの境って何だろう。アイデンティティって何だろう。


今作の主役はライアン・ゴズリングですが、このテーマだからこそ彼でよかった!ゴズリングの表情少ない感じや常に寂しそう・かわいそうな感じが今作のテーマに合う。
ネタバレしますが、レプリカントに子供が?そんなバカな。あれ、俺この記憶あるぞ。ということは、もしかして俺がその子供?もしかして、俺って特別な存在?この人、俺のお父さん?
とワクワクさせておいて「それは追われないための工作でしたー!」ちゃんちゃん。そんなー!俺はやっぱり単なるレプリカントだったのか…。でもいいんだ、他人のために犠牲になるのが人間なんだから、俺はある意味人間なんだ。これでよかったんだ…。


かわいそう。


あと、今作はデッカードハリソン・フォード)も登場するのですが、登場するのは残り3分の1くらいになってから。それでもこの作品自体が長いのでそこからも十分あるのですが。
内容にどんな絡みをするのかな、と思ったらレイチェルまで登場して完全に「続編」でした。
そうなると、Kはこの話にデッカードを連れてくるだけの役目じゃないか。主役ではなくお話を進めるためのストーリーテラーじゃないか。


かわいそう。


ラストは、こんなにきれいな終わり方でなくてもいいかな、と思います。『ブレードランナー』なんだからもっと無情・非常・不条理な終わり方でもいいのになー。分かりやすくていいのですが、後々まで語りたくなるような謎や解釈の余地があってもいいのになー。


オープニングの瞳のどアップはレイチェルですよね。ラスベガスの蜂は前作で「レプリカントは蜂を殺す」に対応しているのですね。Kは蜂を殺さない→だから人間だ。
まあ、こんな細かい分析や解釈は他のサイトやブログに任せよう。私はもっとどーでもいい感想を書こう。


ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、じっくりじっくり撮りますね。そのせいでテンポはよくない。どのシーンももっと短くできたはず。トータルであと20分は短くできたはず。
Kとデッカードが出会って乱闘するところ、いる?デッカードが水であっぷあっぷするシーン、長くね?
どうせ後々ディレクターズカット版やファイナルカット版を出すんだから、まずはすっきりした編集で劇場に出せばいいのに。


あと、最後にジョイのことを。
ジョイ、めちゃめちゃかわいい!こんなホログラムAIがいたらもう彼女なんていらないわ。触れないので売春婦に同期するというのはちょっと寂しいですが、まあとにかくかわいいですよ。
ジョイ役はアナ・デ・アルマス。キアヌ・リーヴス主演の『ノックノック』に出ていた悪女二人組の片割れですが、あのときよりかわいい!で、ここまで調べて私は思った。この子脱げるのになぜセックスシーンで脱がせないのだ!ヴィルヌーヴ、こらー!
※あと、Wikipediaの彼女の写真がひどいので、誰か変更してください。めちゃかわいい写真にしてください!


よい感想ブログなど。
realsound.jp
eigakaita.com
www.monkey1119.com
apyapon.hatenablog.com