やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

最近見た映画ひと言感想(2023年その1)

自分の備忘録


これまでは映画を見たらほぼすべてこのブログに感想を書いていたのですが、昨年より激忙しくなりまして、書いている時間がない。そして書かないまま記憶は忘却の彼方へ消えていく…。
というのがもったいないので、きちんとした批評や論考などではなく、ふんわり感想だけでも「見た記録」として書いておきます。
なお、すべてネタバレありで書きますので、まだ見てない作品のことは薄目でスクロールしてください。


イニシェリン島の精霊
これはブログを書いたのでこちらへ。
ese.hatenablog.com
まあ、この作品は「いくら何でも指を切り落とすなんて」に尽きます。引いちゃうよ。


FALL
B級感のあるテーマだし「夫のことを乗り越えるにはこの塔に登らなくては」という動機の部分も全然乗れないのですが、予告編を見ると結構面白そうだったので見に行きました。
面白かった。
下りられなくなってからの展開は、現代の技術を使いつつ制限もかけつつの上手いバランス。靴でダメなら人体を使おうという発想!非常時だから許されちゃう。
でも、クライマックスの「実は途中から夢(妄想?)でした」はどうなのよ。そこは夢にせず、完全なる絶望から復活へのフックにしてほしかったな。
下りた後、どれだけ怒られたんだろ。


バビロン
さすがに3時間越えは長すぎる。冒頭の象のシーンとか、山ほどカットできるだろ。長くなっちゃったためクライマックスやテーマの部分がぼやけちゃったなー。
デイミアン・チャゼルはまだ若いので今後挽回も成長もあると思いますが、今のところ「セッション」「ラ・ラ・ランド」の2発屋という印象。「ラ・ラ・ランド」のときは彼の魔法にかかっちゃっていたけど、今思い返せば当時菊地成孔さんが「彼は単なるハッタリ屋だ」と評していたのが正解だったように思えます。
まだまだ次回作に期待。


アントマン&ワスプ:クアントマニア
MCUフェーズ5の幕開けとして期待していたんだけどなー。まさかのスペースオペラ、SFファンタジー
いや、「アントマン」はMCUがでかい話をやっている中で、「街中の個人的な話」だったのがよかったのに、なぜ同じでかい話にしちゃうんだ。しかも味を薄めて。SFファンタジーは「ガーディアンズ~」があるじゃん。
本作は完全に「スターウォーズ」です。いや、それならもう「スターウォーズ」があるから。
今回のシリーズでの最終ヴィラン・カーンの初登場なのに、怖さも強さも威厳もかっこよさもない。魅力ないなあ。
ああ、MCUの今後が不安。でも、もちろん「ガーディアンズVol.3」は見に行くんだけど。結局MCUの奴隷。


エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
アカデミー賞を席巻した「エブエブ」ですが、私はまったくはまりませんでした。同じ手法の繰り返しのため、クライマックスが盛り上がらない。というか、クライマックス、長すぎない?
女性、アジア人、同性愛などを扱った点は評価されるべきポイントなのかもしれませんが、「マイノリティを扱った=いい作品」ではないですからね。まずは「面白い」が最優先で来るべき。


フェイブルマンズ
スピルバーグの自伝的作品。とはいってもスピルバーグの幼少期に興味があるわけではなく、スピルバーグだから面白いだろうという興味で見に行きました。
カメラは、見たくない事実でも映してしまうし、自分が嫌いな相手でも魅力的であれば輝いて映る。そういう冷徹な事実と映像の魔力・魔法を描いた作品でした。
それにしても、やはり天才は「生まれただけで天才」なのではなく、文化的資本に恵まれたから天才が花開いたんだな。あの時代に家族キャンプをフィルムで撮る家庭がどれだけあったか。
そしてラスト。お話としてはもう少し先まで見たかった(「激突」「ジョーズ」の制作くらいまで見たかった)ですが、あのラストカットは最高でしたね。あの「地平線はどこにある?」の話、私もどこかで読んだ覚えがあります。やっぱりスピルバーグにとって忘れられない思い出だったのでしょう。


シン・仮面ライダー
私は「仮面ライダー」の熱心なファンではないし、ライダーもの・特撮ものも全然通っていません。なので愛情ゼロですが、本作がオリジナルに対する愛情に溢れた作品になっているのは、門外漢の私にも十分伝わりました。
ただ、愛情やオマージュだけでは面白くならない。ケレン味はギミックとして効果はあるが本編全体がケレン味一本槍だと「まずは普通の演出をやってからにしてくれ」と思ってしまいます。
それでも、愛情は伝わった。面白さはあまり伝わらなかったけど。


BLUE GIANT
原作は未読ですが、何だか評判がいいので見に行きました。
面白かった!
お話はベタで古臭いですが、主人公の熱さと前向きさでそれを「アリ」にしてくれました。長い原作を2時間にまとめたので映画単体だと「話や感情の動きが急だな」と思うところもありましたが、結局音楽の力で全部帳消しにさせられました。
そう、この作品は音楽の力なんですよね。だって、グラミー賞アーティストの上原ひろみが音楽やっているんですよ。劇中の音楽はみんな上原ひろみを始めとする極上のミュージシャンたちが演奏してくれているんですよ。それを映画館の音響で聴ける幸せ。
そもそも、上原ひろみの新曲を何曲も聴けて映画1本分なんて、安すぎない?
上にも書きましたが、お話はベタ。なのに途中からずっと泣いていました。お話の力なのか音楽の力なのか。
物語後半での事故のシーン。映画の中では一瞬無音になるのですが、そこで観客の誰かが「えっ…!」と声を出したのがとてもよかった。私も同じ気持ちだったから。
それを経てのクライマックスの演奏、そしてアンコール。泣くしかないでしょ、こんなの。
劇場で見れてよかった。Twitterのみんな、教えてくれてありがとう。


というわけで今年は3月までに8本見ました。見たい作品はもっとあるけど、土日のどちらかを仕事に取られている現状ではこれ以上は難しい。かといって家でサブスクで見る時間もない。毎週録画してあるバラエティだって溜まっていく一方。仕事がうまくいかないと、プライベートもうまくいかないな。感想で「面白かった!」が少ないのは、今の自分の心に余裕がないからなのかもしれない。
はっ、また愚痴になってしまった。いけないいけない。これからもいい映画を見て心を豊かにしていきたいです!