やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

テレビは「点いているテレビ」と「見るテレビ」に分かれる

あなたのアンテナ次第


昨日こういうエントリを書きまして、
ese.hatenablog.com
一応前向きなオチにしたのですが、書いた後に「さすがに楽天的すぎる未来予想図ではないか」と思ったので、追加で書きます。


「芸人はウケるためなら何でもやる人だから笑いの新しいコードに則った新しい笑いを作ってくれる」と書きましたが、テレビにおいてはまだその新しいコードは導入されていません。それは主な視聴者が年寄りだからです。価値観のアップデートなんて望めない人たち。
テレビはそのメインターゲットに向けて放送するのが商売なので、そこで起用される芸人は古い価値観での振る舞いを要求され、芸人はその要望に応じた振る舞いをします。だってウケるためなら何でもやるのが芸人だから。
そして、お茶の間向けの番組にもコアなファンが見る番組にもどちらにも対応できるのが優秀な芸人です。


「だからテレビは面白くない」「テレビはオワコン」とよく言われますが、それは合っていて間違っています。「面白くない番組もあるし面白い番組もある」が正解です。BSやCSまで入れても同じ。ネットTVでも同じ。どのチャネルでも面白いものもつならないものもある。
つまらない番組を見て「つまんねー」ってそりゃつまんねーよ。何でつまんない番組見るの?面白い番組見ればいいじゃない。
これは「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」ではなく、「面白い番組を見ていないお前がつまらん」って話です。
これだけ録画機能が充実しネットで公式の再放送が見れる現在、つまらない番組を見る必要なんてありません。面白い番組だけでも見る時間は足りません。


『バイキング』『ヒルナンデス』やワイドショーを真剣に見ている人はいないと思います。ご飯食べながら何となく見る。点いているから見る。さすがにこれらを録画してまで見る人はいないでしょう。で、何となくでもテレビが点いていれば視聴率は発生します。
それに対し、とても楽しみにしている番組は録画してまで見ることが多いでしょう。リアルタイムでは録画するまでもない裏番組を見るという人もいるでしょう。その結果、その番組は視聴率が振るわないことになります。
1回だけ復活した『ごっつええ感じ』の視聴率が9%だったのはこういう理由だと思うのです。


スポンサーとしては番組内容なんてどうでもよく、視聴率さえよければいいわけですが、見ている私たちは逆に視聴率は関係なく面白い番組を見たいわけです。でも、若者は老人に比べて絶対数が少なく、仕事で忙しくリアルタイムで番組を見ることも難しいので、若者向けの番組はなかなか増えず、老人向けの番組や家族そろって見ることのできる「番組終わった瞬間にすべて忘れるクイズ・情報番組」が多くなるのです。


テレビ番組の勝ち負けや評価の指標が視聴率だけなのは問題だ、ということは以前から言われていますが、実際スポンサーとしては録画でCMを飛ばされたら番組制作費を出す意味がないわけで、テレビ番組制作という商売を考えたら視聴率がいちばん大事であることは否定できません。
でも、実際リアルタイムで見ることは減っているので、現実に合った対応をしなければいけないのも事実です。それはDVD等のソフトを売ることやTVer他公式のネットチャンネルで見せてそこにもスポンサーについてもらうことやTwitterのつぶやきをスポンサーに見せてその番組ファンの熱を見てもらうことなど、いろいろ考えられるし、いろいろ進んでいると思います。


テレビ東京の『ゴッドタン』はその辺が上手い。視聴率なんて1%程度なのに、DVDは売れるし「マジ歌選手権」のコンサートを行えば武道館が満杯になる。テレビ東京なのでネット局が少なく、見ることのできない人が多いわけですが、番組プロデューサー自らTVerで見るようにツイートしてくれる。ありがたい。


というわけで、今後はこれまで以上に「点いているから何となく見る番組」と「能動的に見る番組」に分かれていくと思います。そして視聴率以外の指標もビジネスと結びつきながら多角的な評価がされていくと思っています。


また楽天的な未来予想図ですが、テレビの全体像としては右肩下がりになっていくのは避けられないと思っています。それでも面白い番組は今後も生まれていくでしょうし、私はそれを見ればいい(私に視聴率の高さは関係ない)ので、個人的にはあまり心配していません。