やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

『MJ’s FES みうらじゅんフェス!』に行ってきました! 感想

行くときは時間に余裕を持って


『MJ’s FES みうらじゅんフェス!マイブームの全貌展 SINCE 1958』に行ってきました。
www.kawasaki-museum.jp
みうらじゅんさんの展示会などはこれまでもいろいろありましたが、ついに還暦を迎えるにあたり、MJ's FESですよ、マイブームの全貌ですよ、全部乗せの展示会が開催されました。
私はファンなのでもちろん行くわけですが、これがファンであっても一度に受け止めきれない物凄い物量でした!!


会場は川崎市市民ミュージアム
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入場料800円、中学生以下無料(「以下」なので中3まで無料!)、写真撮影し放題という大盤振る舞いっぷり。
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それでは、写真をどばどば貼っていきます。
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私が行った前日まで「スライドショー」やっていたので、いくつか不在の展示物がありました。残念。
しかし、そんなの「10のうち3がない」ではなく「25万のうち3がない」くらいのレベルの話でした。
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通信空手の教材。本当にやっていたのか!
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ここ、入場して一歩目の小学生コーナーなのですが、ここだけでこの物量!このペースで見ていくといつになっても終わらないよ!
みうらさんは、小学生の頃からスクラップだしいつも何か書いているし常にそれを発表している。今と全然変わらない。変わったのは三浦純とロン毛とグラサンくらい。
この当時のものをよく今まできちんと保管しているものだな。私の子供時代のものなんてもう何もないよ。インタビューなどを読むとお母さんがみうらさんのやることを全面バックアップしてくれたそうなので、お母さんがちゃんと取っておいてくれたのかな。ありがたい。
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おーい、「ブーム」の横棒が抜けていますよー。
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インタビュー映像もあるのですが、これを全部見たらそれこそ一日終わってしまうので泣く泣く途中退席。写真は高校時代に400曲作ったエピソード。
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学生証とか受験票までよく取ってあるな。
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あら、可愛いじゃない。
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アウトドア般若心経、あったなー。あまり盛り上がらなかったけど。
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映像コーナーはどこも全部見ず、先を急ぐ…。すまん。
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ひとりでしたが、係の人に撮ってもらいました。
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雑誌の切り抜きを集めただけでこのボリューム!異常!
私は何もしていないのに、ただ見ているだけなのに、ヘトヘトになりながら退場。こんなに写真貼りましたが、ほんの一部。ほんの一部です。しかも展示してある作品の文章やイラストやマンガの中身までじっくり見ようとしたら、本当に時間が足りない。3日間くらいかけて見るしかない。


しかし、まだ第2会場もあるのだ!!
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この辺は「いやげもの展」で見たなーと思いつつ、あれでひとつの展示会だったのにここでは単なる1コーナーになっていることを思い出し、改めてこの展示会の物量の異常さを思い知る。
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そうだよなー。最初は「地元のアピールポイントを入れ込んだキャラを作ろう→結果いびつなものになっちゃう、いろんなところがゆるいキャラ」というのが面白かったのに、今では「かわいい地元キャラ=ゆるキャラ」に変わっちゃったね。
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あら、残念。
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なぜこのタイトルでいこうと思ったのか。
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なぜこのもっこり写真を採用したのか。
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「元気です」って、どう見ても元気じゃない!
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誰が買うねん!(みうらさん以外)
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「スライドショー」でもたまに使われる絵馬ツッコミ。今はSNSですぐ拡散されちゃうからもうやりにくいですね。
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みうらさんも安齋さんも若い!そして安齋さん、いい男!
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ここはエロスクラップを鋭意制作中のみうらじゅんさんを覗くことができます。箱に穴が空いていてそこから覗く。箱全体の写真撮るのを忘れた。


ここからは画家みうらじゅんコーナー。そう、みうらさんは美大出身なのでちゃんとした絵も描くのです。ちゃんとしているか分からんけど…。
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乙葉小池栄子!あゆ!叶姉妹松本清張!上手いなー。
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何だこの連作。
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やめてくれ、私の性癖を乱さないでくれ。このステキなおっぱいで私を惑わすな。


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最近のみうらさんの新作、冷マです。冷蔵庫に貼るマグネット。これ、本物の冷蔵庫にびっしり貼ってあるのです。触るのもOKなのですが、誰か持って行ったりしないのかな。いらないか。
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もちろんsinceもありますよー。
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有名な芸術作品に勝手に下着を穿かせる「はかせたろう」。ネーミングセンスが毎回上手い。
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コクヨから送られたゴールデンスクラップブック。何でもやり続ければ誰かが見ている。たとえそれがエロスクラップであろうと。


ここは隣が常設展なのですが、
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このように第2会場と隣り合わせです。これ、もしかして常設展示の一部を外して第2会場にしたのですか?それだったらその決断に敬意!
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で、みうらじゅんフェスを見た後だとこういう一般展示まで何かしらの「おもしろ」を見出してしまうのです。これがみうらイズムか。
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というか、この市民ミュージアム自体が結構ぶっ飛んでいるのでは?


終わってしまった。
繰り返しますが、ここで貼った写真は一部です。とにかく物量がすごい。私はひとりで見に行ったのですが、それでも1時間半かかりました。これ、友達と一緒に行ったら3時間コースですよ。展示物のひとつひとつをじっくり見ていたら3日コースですよ。


収集癖のある人、発表したがりの人、絵を描きたい人、文章を書きたい人、マンガを描きたい人、歌を歌いたい人、それぞれいますが、それをひとりで全部やってしまう人はなかなかいません。そしてそのどれもが尋常でない量なのです。こんな人、他にいない。
そして、こういう展示会ができるのも、これらの収集してきたもの、発表してきたものをきちんと保管してあったから可能なのです。小学生の時のイラストとか学生時代の受験票まで取っておく人なんていませんよ。お母さんとそのDNA、ありがとうございます。


この展示会はあまりに素晴らしいので、ずっと常設展として続けてほしいものです。もしくは全国行脚してほしいです。でも、この物量を展示しきれる場所はあまりないかも。
そうだ、どうせ今後もモノは増える一方なのだから、いっそみうらじゅん記念館という名の倉庫を造っていつでも見ることができるようにすればいいのだ。こういう「何も役に立たない仕事」(みうらさんの言葉でいうと「ない仕事」)って、とても大事です。人はパンのみにて生きるにあらず。こういう「余裕」とか「余白」とか「無駄」という部分はこの世知辛い世の中で評価されにくいですが、だからこそ保護していくべき。保護という言葉はよくないな、盛り上げていくべき。
3月25日まで開催中。なぜかそんなに混んでいないので、見放題ですよ!


みうらじゅん関連エントリ↓
ese.hatenablog.com
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雑談藝

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「ない仕事」の作り方

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映画『羊の木』 感想

過去は、肩書は重要か


(ネタバレあります)
映画『羊の木』を見てきました。原作は未読です。公式サイト↓
hitsujinoki-movie.com
吉田大八監督ですから信頼と期待しかしていません。『桐島、部活やめるってよ』はもちろんですが、それ以外の作品もどれも面白い。前作『美しい星』はきちんと理解できず、ブログに書くことはできませんでした。
この作品だってたぶん監督の意図するところの半分も理解できていないと思いますが、語りたいことはたくさんある!


まず、物語にあまり関係ない部分を。
今回の舞台は魚深市という地方都市で、ここは都会でもないけど限界集落でもない、本当に日本全国にいくつもある「普通の地方」です。私の地元は内陸部なので映画のような漁港はないのですが、それでも「これ、ここじゃん!」と思いながら見ていました。
そして主人公は市役所職員で、新人でも管理職でもない、中途半端な若手職員。この、どこにでもある場所が舞台でどこにでもいる人が主人公という設定で、見ている私たちと主人公月末は同じ目線で映画の世界を進んでいくのです。ミステリーの手法として王道ですが、素晴らしい。
ついでに、市役所内部の様子とか会議室の様子とか課長の言い方とか、めちゃリアル。「ここ、うちじゃん!」と思いながら見ていました。


6名の元受刑者を迎えに行く月末は、全員に「いいところですよ、人もいいし魚も旨いし」と同じことを言うのですが、その反応の違いによって6名の性格が分かるようになっています。こういう、ストーリーの進みとキャラ紹介が同時進行していく作りは上手い。いちいちセリフで説明するのはダサい。
あと、この時点で月末は彼らが元犯罪者ということ、さらに殺人を犯した人ということを知りません。ここも観客と同じ目線になっていて上手い。


この作品は「元受刑者は社会でいかに生きるべきか」「受け皿が大事」みたいな表面上の話ではありません。元受刑者と知ってもそれまでと同じように付き合えるか、それは理性での理解か、肌感覚としての感情か、というところまで踏み込んでいきます。その回答は観客に委ねるわけですが確かに考えさせられますね。建前と本音、理解と感情。


この作品の解釈にあたって大きいのはタイトルの「羊の木」とは何ぞや、と「のろろ様」とは何ぞや、というところですね。私の解釈は以下のとおりです。


まず、「羊の木」について。
かつてヨーロッパでは木綿が知られていなかったので、羊が生る(なる)木があると信じられていました。そんないい話あるわけないのに信じちゃう、現実を知らない人たち。
これは、この元受刑者移住計画を考えて推進してきた役人たちですよね。刑務所に入れておくと税金で生活させるのでお金がかかるから刑期を早めて仮釈放にしちゃって過疎地に押しつけちゃえ。地方は過疎化に悩んでいるわけですから、外部からの移住者はありがたい。おお、Win-Winじゃんと思って机上の空論を進めるわけですが、人口数万人の小さな市(都市なんて呼べない、単なる市町村)によそ者を何人も入れちゃったらそりゃおかしなことが起きますよね。


また、聖書において羊とは群衆の意味であり、イエスキリストは羊飼いの意味でもありました。だから、元受刑者たちが群衆の一部になる(この地に上手く溶け込んでいく)という意味もありつつ、市役所はキリストではないので、羊飼いとして上手く機能しません。
あとは、生まれ変わりとしての羊、という意味もあるようです。市川実日子演じる栗本が儀式のように魚や亀を庭に埋めていき、最後には新しい芽が出てきます。これは、彼らがこの新しい土地で暮らしていけるという希望の象徴だと思うのです。


次に、「のろろ様」について。
この作品の中でのろろ様は「かつて災いの象徴だったが、村人が倒したため村の守り神になった。その際、二人同時に崖から飛び降りると一人は助かりもう一人は生け贄となって浮かんでこない。のろろ様は直接見てはいけない」という説明がありました。のろろ様はこの作品中のフィクションの神様であり祭りなので、もちろん全て作品のテーマに関わってきます。
前半で「二人飛び降りる言い伝え」があるのはもちろん後々のフリで、クライマックスで月末(錦戸亮)と宮越(松田龍平)が飛び降ります(ここの合成がショボ過ぎてよくない!あと、海までの高さがありすぎ!飛び込んで「プハー」の高さじゃないよ!)。ここで助かるのはもちろん月末のはずですが、浮かび上がってきたのは宮越。私はこのとき「宮越は月末を助けて死ぬのかな?」と思いながら見ていたのですが、次の瞬間起こったのはのろろ様の像の頭部が外れて宮越にドーンでした。いやー、いくら何でもそれは…。原作でもこうだったのですか?
で、ラストにのろろ様の頭部が引き上げられ、見ている人たちから歓声が上がります。これは、災いの象徴だったのろろ様が宮越を倒して守り神になる(だから今度は見ている人は目を伏せずに写真を撮ったりしている)ということであり、さらにいえば宮越自身が災いの象徴から守り神に成仏したということもいえるかもしれません。宮越がのろろ様だったということ。


設定は突飛ですが十分ありえる話で、それをリアリティある描写で日常の導入部を描いていき、少しのほころびやストレスや嫉妬がやがて大きなトラブルを引き起こす。映画として上手い筋運びでした。
元受刑者は6人で、2時間に収めるにはこれが限界だと思いますが、とても上手くまとめていたと思います。全員をあまり絡ませないのは劇中の意図でもあり、映画としての要請でもあります。全員が絡む群像劇にしちゃうと終わらないしまとまらないから。その分、栗本(市川実日子)は上記の再生の芽吹きを、福本(水澤紳吾)と大野(田中泯)は居場所の大切さを、太田(優香)はもう一度人を愛することとそれを受け入れてもらうありがたさを担います。それぞれが映画の中で役割を持っているのです。杉山(北村一輝)と宮越(松田龍平)は更生できない人もいる、元々ナチュラルボーン異常者もいる、というおとぎ話ではない現実の部分です。


このように、お話としても面白いしメタファーや演出意図を考えるとまた面白い、噛み応えのある作品でした。そしてこの作品にいい味をつけているのはもちろん素晴らしい俳優陣です。それぞれ感想を。


錦戸亮(月末一)
関ジャニ∞のメンバーなのに、この作品では完全に普通の人。オーラゼロ。それどころか、どちらかというとイケてない側です。私たち観客と同じ目線になってこの世界に誘って(いざなって)くれます。受けの芝居が上手い。この「何もなさが上手い」って、すごい難しいですよね。熱演しちゃダメだし、個性を際立たせないように演じなきゃならない。これって、上手いからできるわけで、下手な人がやったら「ただ魅力のない人」になっちゃう。年齢的にも何でもできるときなので、どんどん映画に出てほしいです!


木村文乃(石田文)
そっけないぶっきらぼうな役ですが、地の「いいひと」が消せていない。まだ可愛くていい人だ。惜しい。
映画の後半、月末から宮越の過去を聞かされ、「罪は償ったんでしょ。その人を知ったから付き合うんじゃなくて知りたいから付き合うんでしょ」といいことを言います。しかしその後宮越と会うと、何だか怖い。これは彼の過去を知った「知識」なのか、肌感覚としての怖さなのか。
あまり本編と関係ないけど、劇中でバンド練習をする場面で、木村文乃松尾諭は明らかに楽器が弾けない腕の使い方をしていました。そこがもったいないなー。松田龍平は弾けない役なのに弾ける指をしていたし。
あと、このバンド演奏は、グランジのような歪んだギターを延々とかき鳴らすのですが、これって監督がこういう音楽をやらせたかったのか、木村文乃がギター弾けないからコードチェンジ少な目のこういう音楽になったのか、どっちなんだろ。ボーカルもないノイジーな音楽を素人がわざわざやる(しかもオリジナルのようです)って、よっぽど音楽マニアですよ。でも文からは音楽好きな要素を一切感じないんだよなー。


北村一輝(杉山勝志)
こっちは、完全にチンピラ。最初の登場は後ろ姿だったのですが、北村さんだと分からなかった!いい人もナルシストも演じられる俳優さんですが、今回は完全にチンピラ。ちょっと肉付きよくした役作りもいい。シャープにするといい男・切れ者っぽさが出ちゃうからね。


●優香(太田理江子)
ネット上では「優香がエロい!」の大合唱でしたが、私はあまり感じませんでした。ただ、おっぱいはやはり素晴らしい。スキのある色気熟女、恋愛体質の天然女というエロい脚本を優香が演じればそりゃエロいよ。でも、木村文乃と同じく地の「いいひと」が演技で上書きされていない。
月末のお父さんは本当に惚れているのかな?おっぱいの魅力(魔力)に憑りつかれているだけじゃない?それにしても、演技とはいえ優香とあんなぐっちょぐちょなベロチューできるのいいなー。


市川実日子(栗本清美)
シン・ゴジラ』ではあんなにしゃべり倒していたのに、今作ではセリフほぼゼロ。表情もほぼゼロ。それでも伝わるこの人の性格。きちんとしていて、きちんとし過ぎていて、失敗してしまった。
簡単なようで難しい役。市川さん、上手かった。


●水澤紳吾(福元宏喜)
『SRサイタマノラッパー』のTOMだよー!すげー、役者はすげえ。
今作でいちばん振り幅のある、分かりやすくおいしい役でしたね。オープニングのラーメン・餃子・チャーハンの一気食い、素晴らしかったです。途中の危なっかしいカミソリの震え、素晴らしかったです。お酒を飲むと人が変わっちゃうところ、素晴らしかったです。
この泥酔の場面、福元の裏の顔を見せつつ元受刑者が一堂に会して接点を持つ意味合いもあり、さらに彼らのもう少し深いキャラ設定を表現することにつながっているので、映画としてもとても上手い作り方だなーと思いながら見ていました。
あと、床屋の主人を演じた中村有志さんも素晴らしかった!ここ、火野正平だったら胡散臭いしマキタスポーツだったら深みが足らない。中村さんがちょうどいい。


田中泯(大野克美)
無口なヤクザ。これは強面が演じれば誰でもいいよなーと思っていた(演技はとてもいい!)のですが、ラストのクリーニング屋の女主人とスマホで撮影するときのぎこちない笑顔でやられた!今までの強面全部フリかよ!笑顔になるのではなく、笑顔になろうとするあの表情筋!素晴らしかったです。
また、クリーニング屋の安藤玉恵さんは毎回素晴らしいですね。ぶっきらぼうで冷たいのに、いい人。よくあるツンデレやあるきっかけで変わるのではなく、変わっているのに一貫している。「この店の売り上げが下がったのはあなたのせいだけど、あなたは何も悪くない」「私の肌感覚はどうなるのよ。あなたのこと怖いとか悪いとか思わなかったよ」泣いた。


松田龍平(宮腰一郎)
何を考えているのか分からない男No.1。今回もサイコパスでしたが、さもありなん。藤原竜也と並んで一般人を演じるのは難しい俳優ですね。途中崖に行く場面では『散歩する侵略者』かよ!と思いました。
得体のしれない不気味さと可愛げを両方持っているんだもんなー。そりゃモテるよ。そのくせ罪の意識なく人を殺しまくる。多分「殺人」という意識も罪悪感もない。そんなサイコパスを「そのまま」で演じられる彼はすごい俳優だ。
ラストで宮越は車で人を轢きまくるのですが、違和感ゼロ。そりゃ轢くよな、そりゃ殺すよな、と思ってしまいました。


長くなった!さすが吉田大八監督、いい作品でした。


映画「羊の木」オリジナル・サウンドトラック

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クヒオ大佐

クヒオ大佐

紙の月

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美しい星 通常版 [DVD]

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『ICCオープンスペース2017 未来の再創造』に行ってきました! 感想

牛丼よりこっちでしょ


先日『谷川俊太郎 展』に行ってきまして、この東京オペラシティICCは隣なので、ついでに行ってきました。
ese.hatenablog.com
ICCはたまーに行くのですが、オープンスペースは無料なのです。これだけの展示内容で、無料。無料でこれだけのものが見られるのですよ。NTTありがとう。大企業のこういう文化的事業はもっと褒められていい。
www.ntticc.or.jp
会場は一部を除いて撮影可だったので、いくつか貼っていきます。自分の記憶保持のためだけど。
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説明を読めばなるほどと思うのですが、実際かざしてみると「何で?不思議!」となる単純脳。不思議だよねー。
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科学は芸術を生み出せるのか。科学は創造を生み出せるのか。今はタネを人間が入力しなければならないので、ゼロからの創造は無理みたいですね。数年後、ディープラーニングは創造を生み出しているのか?
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こういう、科学を使った芸術作品、好きです。自然界にも当たり前に放射線は降り注いでいるんだよねー。
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これ、カメラの前に立ってボタンを押すとシャッターが切られ、自分の顔が10種類出てきます。本物以外は微妙に加工され違うのですが、分からない!何度も不正解を出してしまいました。自分の顔なのに自分で分かっていない。もしくはもっといい顔を自分の顔だと思い込んでいる。
その後プリントアウトもしてくれる。これも無料です。これ、カップルでやったらめちゃ盛りあがりますよ。私はひとりで行ったけど…。
無響室での体験コーナーもあったのですが、整理券配布で時間指定だったので時間が合わず体験できず。残念。


あー楽しかった。繰り返しますが、これ、無料ですよ。みなさん、吉野家に並ぶくらいならこちらへ行きましょう。


サウンディング・スペース―9つの音響空間

サウンディング・スペース―9つの音響空間

映画『勝手にふるえてろ』 感想

これは私だ(世の8割の女性)


映画『勝手にふるえてろ』を見ました。公式サイト↓
furuetero-movie.com
恋愛映画なのでそんなに興味なかったのですが、Twitterでみんなが騒ぐので、見に行きました。Twitterでの皆さんの熱狂がいちばんの広告ですよ。


いる。こういう女、いる。オタクだったりこじらせだったり、ブサイクではないけど非モテだったり。いる。
もうね、松岡茉優無双。演技力が素晴らしいのはもちろんですが、その中でも「自分の好きな話をしゃべり始めると相手が聞いていようがいまいがお構いなくしゃべり続ける」というオタクそのもののしゃべりのトーンが絶品でした。さすがハロプロオタ。
実際の知り合いのオタク女子を思い出し、これ見て同族嫌悪で悶え苦しんで焼け死ぬがよい!と思いながら見ていました。


でも、そんなにオタクでもこじらせでもない感じがするのです。見た目小奇麗だし、オタクといってもその対象は絶滅生物だし。単に恋愛下手な女の子(つまりほとんどの女子だ!)を若干デフォルメしている程度なのでは。腐女子はこれを見て焼け死にますが、それ以外の女子は「これは私だ」と思いながら見るのでは。


小奇麗といっても、やはりモテ女ではないので靴にまで気が回らない。普段はくたくたのぺたんこ靴を履いているあたりが「甘い!」わけですが、いざ決戦のときにはヒールを履くわけです。うむ、女の戦闘服は靴から始まっている。とはいえ、実際私のような非モテからするとそこまで目がいかないので関係なかったりする。だから非モテなわけですが。


松岡茉優演じる主人公ヨシカは相手の名前を覚えない。これは相手に興味がないからです。テキトーなあだ名を付けて相手のことをきちんと見ようとしない、知ろうとしない。
中学時代からの片思いの相手イチだってきちんと見ようとせず「視野見(視野の端で見るワザ)」してきたのだって、相手と直接対峙するのを恐れていたからです。
なのに、そのイチに名前を憶えられていないことに大ショックを受けるのです。それ、今まであなたがしてきたことだよ!


職場の友人にも「ヨシカは休みの日何しているか分からない」と言われるということは、休みの日に一緒に遊んだりしないわけです。ましてや家に入れたりしたこともありません。
それがラスト、玄関前で話していたヨシカとニは、お互いの本音をぶつけ合ううちに玄関内に入っていきます。ここにきてようやくヨシカのバリアやこだわりやこじらせが解ける・溶けるのです。
そしてついにニのことを「霧島くん」と呼び、自分からキス!
これらのそれぞれの対比が上手い。


正直、個人的にはキスのその先を見たかったです。実際付き合ってみてイチのことは昇華されたのか、初エッチのときの期待と戸惑い、電話やデートなどで自分の時間を取られることを嬉しく感じられるのか。ひとりが長かった人あるあるを見たかった。


でも、いい作品でした。松岡茉優が優勝なのは間違いないですが、渡辺大知君もよかった(イケメンでないけどいい人)。その他のキャストもよかったです。
でもやっぱり松岡茉優ですよね。この作品、彼女じゃなかったら成立していたかな。この説得力を出せたかな。原作小説があるとは思えない、まるで彼女に当て書きしたかのようなジャストキャスティング。素晴らしい。
あと、これ舞台でもできそうなので、もし舞台化されたら見てみたい。でも、松岡茉優以外でヨシカをやるのはプレッシャーだろうなー。


勝手にふるえてろ (文春文庫)

勝手にふるえてろ (文春文庫)

『谷川俊太郎 展』 感想

日本語は使えるけど使いこなせてない


東京オペラシティで開催されている『谷川俊太郎展』に行ってきました。
谷川俊太郎展|東京オペラシティアートギャラリー
谷川俊太郎さんはもちろん知っていますが、詩集を持っているほどのファンではありません。それくらいの薄いファン。
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会場内は、「撮影は可能だが、個別の撮影は不可」という条件つき。
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なので、こんな写真しかありません。みなさん、ぜひ会場に行ってじっくり見てください。


正直、展示内容としてはあまり多くなく、物足りないです。これで1,200円は高い。でもやっぱり、言葉は素晴らしい。
日本語なんて日本で暮らしている人ならみんな使えています。この文章だって日本語で書いているわけだし。そして、谷川俊太郎さんの詩には難解な言葉はほとんど出てきません。私も知っている言葉ばかりで紡がれています。
なのに。
なんでこんな素晴らしい表現ができるんだろう。私の知っている言葉で、私の知っている、でもまだ言葉になったことのない感情を言い当てる。何となく感じていたあの感情に言葉を与える。
言葉を与えるということは、命を与えるということ(「命名」ってそういうこと)。谷川俊太郎さんはこの世の様々なものに命を与えてきました。それは、そのものズバリを言い当てるのではなく、その周辺を語っていくことにより、そのものが浮かび上がってくるというか。ああ、私の言葉の不自由さよ!
「表現」って、そういうことだと思うのです。つまんないJ-POPで「そのまますぎて行間を読む隙間もねえわ」みたいな歌詞があります。もしくは「好き」とかを雑にそのまま言っちゃう歌詞もあります。
そうじゃないんだ。0か100か、白か黒かみたいな「好き」じゃなくて、「99.2くらいの好き」もあるし「ほの赤い好き」もあるでしょう。その微妙な感情を語るのが歌詞なのになー。


会場には谷川俊太郎さんの年表もあり、それを読むといろいろな人と交流があったことが分かります。多分詩人だったのでそんなに裕福ではなかったと思いますが、周りの人に助けられて活動ができたのかな。この辺は私の想像なので間違っていたらごめんなさい。
で、そういう「芸術のための清貧」とか「文化人による援助」って、今の時代でもあるのでしょうか。やはり世間的に右肩上がりの時代でないとそういう心の余裕も持てないような気がします。今はすぐに「それ、意味あるの?お金になるの?」「援助してメリットあるの?リターンあるの?」という時代だから。これも私の偏見に基づいた想像です。


私のこのブログもそうですが、なまじみんな日本語が使えるもんだから「自分は文章が書ける=文章を書くことはすごいことではない」と思いがちです。でも、それは大きな間違いです。素晴らしい文章、素晴らしい表現というのはとても難しいもので、しかもそれを平易な言葉で表現できるのはもっと難しいことです。平易だからまた簡単と勘違いされがちだけど。


日本語を使うようになって数十年経ちましたが、まだ全然使いこなせていません。


二十億光年の孤独 (集英社文庫)

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聴くと聞こえる: on Listening 1950-2017

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ひとり暮らし (新潮文庫)

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詩人なんて呼ばれて

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