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映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』 感想

こんなに全部盛りなのに全部サイコーとは!!


映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を見てきました。公式サイト↓
www.spiderman-movie.jp
私はMCUニワカ組で、『エンドゲーム』のために半分くらいDVDでざっと見た程度のファン&知識です。さらに『スパイダーマン』は過去シリーズもまったく見ていなくて、今作のために『ホームカミング』を見た程度のニワカっぷりです。


そんな私が見た感想は…
めっちゃ面白かった!!!!



私の青春映画の定義は「その世界で彼らは生きている」ってこと。それができていれば物語なんてなくていい。時間の経過があればいい。彼らが成長している姿があればいい。
ヒーロー映画は「主人公の貫く正義」と「挫折からの復活」が必要。MCUシリーズとしては世界観の一致と前作からの流れと辻褄。
これらが全部ばっちりできていたし、ばっちりハマっていた!しかもそれがこの作品単体とシリーズ全体の両方において。
なんつー離れ業をやってのけるのか。恐るべしマーベル、恐るべしケビン・ファイギ!


オープニングでホイットニー・ヒューストンの『I Will Always Love You』とともに前作でこの世界から去ったトニー・スターク、スティーブ・ロジャース、ナターシャの映像。うわー、既に泣きそう。でも、この曲のチョイスってちょっとダサくね?と思っていたら、これは校内放送で、そのまま「指パッチンの5年」についての説明に。
上手いなー。
『エンドゲーム』のしんみりを引き継ぎつつ、笑いに変えて、この世界の説明。


前半は青春映画。修学旅行に向けてのドキドキとワクワク。あの子の隣に座りたい!あいつはあの子の隣に座るな!
で、上手くいきそうになるとヒーローとしてお呼びがかかる。いやー、最初は張り切っていたんだけど、やっぱり自分はアイアンマンの後継者になるには荷が重いので「親愛なる隣人」でいいですよ。
と遠慮したってこの世界にはもうヒーローがいない。お前、やってくれよ。つーか、やれよ。
いやー、頑張りたいのは山々なんですけど、修学旅行なんで青春したいなー、なんて…。


この辺も上手いなー。前作までは張り切っていたけど、いざトニーがいなくなって世間の期待が一心に集まってくるとそれはプレッシャー。
そしてヒーローと青春の板挟み。
結局青春を優先してもフューリーがそれを許さず修学旅行の目的地を次の戦闘地に変えていく。この辺、見ていてニヤニヤしちゃった。


予告編では新しい味方と思われたミステリオがヴィランだったわけですが、原作でもヴィランだしジェイク・ギレンホールだからいい人のわけないというみんなの予想通りでしたね。
「別の世界から来た」という設定もウソだったのは、残念半分ほっとした半分。マルチヴァースにすることにより世界観の自由度は増すけど、ヒーローの数が増えすぎたり収拾がつかなくなる恐れがあったので、これでいいのだ。フェイズ4でどうなるか分からないけど。


トニーの遺品であるメガネを受け取った後のミステリオの変貌ぶり、これぞジェイク・ギレンホール!『ドニー・ダーコ』のあいつ!『ナイトクローラー』のあいつ!


「アイアンマンの後継者」というプレッシャーから逃げたいあまりにミステリオにメガネをあげちゃったピーターは、ミスに気づいて大後悔。トニーは自分を選んでくれたんだ。自分がやらなきゃ誰がやる。この能力は何のためにあるんだ。
スパイダーマンシリーズの名言「大いなる力には大いなる責任が伴う」がここで発動。そんなセリフは誰も言っていないけど、見ているみんなは分かる。
ここから自分で積極的に動き出す。飛行機の中で新しいスーツを作るピーターにトニーを重ねて見るハッピー。


さあ、最終決戦。敵はミステリオとホログラムとドローン。
ハッピーがMJたちと一緒に大英博物館で逃げる場面、展示物の盾をドローンに投げようとするが上手くいかず「キャプテンはすごいなあ」とこぼす場面、よかったよ!
そして大量のドローンにやられて満身創痍のピーターが看板を盾にして、何かの機械を持っている姿、あれは完全に『エンドゲーム』のキャップですな!


「スパイダームズムズ」でホログラムに勝つところや、「お前はいい人過ぎる」がフリになる最後の決着も上手い!キャラと伏線が全部活きているし回収されている!
めでたく両思いになったピーターとMJですが、キスが下手でぎこちないところもよかった。うれしさは溢れんばかりだけど慣れてない二人。いいねえ、青春。


エンドクレジット後の映像ではスパイダーマンの正体がばらされたのとフューリーが実はクリー星人だったことが明かされます。そうかー、フューリーがあまり切れ者に見えなかったのはこういうことだったのね。で、エンドロール後の映像は次回作以降に関わってくるんですよね?フューリーのダメさを許容させるための脚本上の都合じゃないですよね?
それにしても、マーベル作品なんだからエンドロール後にも映像があることはもはや常識だし、本編開始前に「映像があるよ」とちゃんと謳っているのに、それでも帰る人って何なの?


あー、上手かった。キャラが全員生きているので言動に無理がなく、それが脚本と上手く連携できている。
メイおばさんがピーターにバナナを投げて上手くキャッチできないことを「スパイダームズムズができていない」というピーターの現状説明になっていて、空港でスーツケースを開けられたときに「スパイダースーツが見つかってやばい→バナナが見つかって没収」になるのも上手い。フラッシュがいつもライブ配信していることが次の目的地を知る手がかりになったり。
ハッピーとメイおばさんのサイドストーリーも微笑ましい。今後ハッピーがメイおばさんのピンチを救って二人はくっつく、になるんだろうなー。


さて、これでフェイズ3終了。『エンドゲーム』後の世界をきちんと描いており、ヴィランは宇宙人を登場させず新たな世界観を広げない。同じ世界観の中で決着させました。
アイアンマンなき後の世界はスパーダーマンがリーダーになっていくのでしょうが、それもたぶん10年かけてじっくり描きつつ成長させていくのでしょう。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の3作目で今回のエンドロール後の映像と何かリンクがあるんだろうな。『Dr.ストレンジ』『ブラックパンサー』の続編では新しい世界観とどうリンクさせ、広げていくんだろ。そして、新たなヒーローも登場するでしょう。『デッドプール』?『アントマン』もまだやるのかな。『ブラック・ウィドウ』の前日譚って、このシリーズ全体とどうリンクさせるんだろ。
妄想は自由ですが、たぶん私の妄想よりもっとすごい世界を描いてくれるでしょうから、下手な予想はせず、期待だけして「次」を待ちましょう!