やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「悪夢の観覧車」木下半太 感想

作者は劇団の主宰でもあるので、セリフ中心のテンポの良い作品であっという間に読了しました。


登場人物や設定はいささか荒唐無稽。舞台ならありだけど、実写映画は厳しいなあ。
と感じたので、私は頭の中で舞台で上演されているイメージで読み進めていました。

荒唐無稽とはいえ、「平凡な奥様は殺し屋でした」程度はまだ許容範囲。
しかしラストの
「観覧車の人質全員がグルでした」
「殺到するマスコミをかいくぐり、全員が見つからない場所に金を隠す(詳細の描写もない)」
「犯人は別の場所で傷害事件が起きることを利用して(ミスディレクション)一瞬のうちに着替える」
などはさすがに無理がありすぎではないでしょうか。もうツッコミではなく、苦笑しながら読んでいました。
さらに、セリフに血が通っていない。舞台でしゃべるような大仰で説明的な台詞が多いですね。

とはいえ、伏線を全て回収してゆく流れはお見事でした。きちんと全体図を構築してから書き始めた感じ。良かったです。
舞台でやるなら見たい!


悪夢の観覧車 (幻冬舎文庫)

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