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映画『蜘蛛の巣を払う女』 感想

違う人なので違う作品です


ドラゴンタトゥーの女』の続編、『蜘蛛の巣を払う女』を見てきました。公式サイト↓
www.girl-in-spidersweb.jp
過去作の私の感想はこちら↓
ese.hatenablog.com
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さて、本作ですが、全部変わっています。そもそも、原作者が変わっています(心筋梗塞で亡くなったのです)。別人が続編を書いている時点でもう別物なのですが、さらにキャストも監督も全取っ替えとなれば、これはもう完全な別物。『カイジ』における『ハンチョウ』『トネガワ』くらいの気持ちで見よう。
だって、前作でリスベットの過去いろいろやっていたのに、そのとき双子の話なんて出てこなかったじゃないか!週刊連載での後付け設定かよ!


オープニング。姉妹でのチェス、怪しい父親、飛び降りるリスベット。カッコいいぞ。続いてアバンタイトル。CGを使った映像はカッコいいぞ。その後の悪い男をやっつけるリスベットは彼女のキャラ紹介としてバッチリ。カッコいいぞ。
しかし、これ、『007』だろ。このシリーズはこっちに舵を切ったのね。


そして、リスベット、超人すぎるだろ。バイクの腕も肉弾戦もすごすぎる。男に対する負けん気はあっても力では敵わないとか、相手とまともに会話ができないとか、強さと危うさを併せ持つのが彼女の特徴であり魅力なのに、超人になっちゃった。ジェームズ・ボンドになっちゃった。もしくはイーサン・ハント。
バイクのシーンはよかった!凍った湖の上を走り抜けるというヒヤヒヤと爽快感!それ以前に、道路が凍っているところでバイクを走らせるというだけでヒヤヒヤするという、アクションシーンの新しい鉱脈を見つけたね。
浴室でのバトルで薬物注射により動けなくなったのにアンフェタミン覚醒剤!)を鼻から吸い込み復活する様はこれぞリスベット!と盛り上がりましたよ。
ハッカーの腕前もチートすぎるけど、それは彼女の武器なのでよい。空港のシーンの流れはお見事でした。
ただ、見た目(ビジュアル)が好みじゃない。何だか弱そう。もっと切れ者で怖い感じがいいなー。


物語としては面白かったですが、これは本当に『ミレニアム』なのか、『ドラゴンタトゥーの女』なのか。『ゴーストバスターズ』を女性主人公でリブートしたように、『007』の女性キャラなのではないのか。


残念な点を3つあげます。
一つ目は、今回のラスボスである双子の妹カミラの存在。上に書いたようにそもそも双子なんていたんかい!というツッコミは置いておこう。双子なのに全然似てねえな!も二卵性かもしれないので置いておこう。でも、じゃあ、双子でなく姉妹でよくね?
カミラの登場シーンがカッコよくない。橋の中央部分を持ち上げたら向こう側に妹がいた!という場面ですが、見せ方があまり上手くないので「おお!」という驚きがない。
(ついでに言うと、橋の中央部分持ち上げられても銃撃てるよね。危機を脱した、にはならないのでは?)
そして、カミラの気持ちが分からない。異常者だった父親に心酔して父の跡を継いでいるのに「なぜ助けに来てくれなかったの?」とリスベットに迫る。君のベクトルはどっちに向いているのだ?
完全な異常者になりきるか、リスベットに助けてもらおうともがくか、どっちかにしてほしかったなー。


二つ目。クライマックスで、外部から狙撃があって敵がどんどん死んでいきます。撃っているNSAアメリカ国家安全保障局)のセキュリティ専門家カザレスは、何であんなに狙撃がすごいの?軍出身とされていましたが、それでもすごすぎる。谷越えの数百メートルの距離を撃つなんて無理無理。ゴルゴ13でも無理。もう少しリアリティのあるやり方なかったのかなー。


三つ目は、SONY推しが過ぎる!ってこと。スマホもPCも小型カメラも、みんなSONY。凄腕ハッカーSONY使うかな?iPhoneとかAppleじゃないのかな?いくらSONY資本の作品でも、物語のリアリティに抵触してはいけない。寒い。冷める。


作品単体では面白かったです。過去作のこと知らなければ面白かったはず。なので、過去作を見ていない人はまずこっちを見てから遡った方が全部楽しく見ることができるはず。


ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-1)

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-1)

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-2)

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-2)