やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

『CDTV』の収録でキック&ライムスを見てきた

8月21日月曜日、『CDTV』のライブ収録の観覧ゲストとしてTBSテレビに行ってきました。番組放送までネタバレ禁止なのでブログにもTwitterにも書けないのですが、放送を待っている間に私の記憶はすべて消え去ってしまうので、覚えているうちに書きます。ちなみに今日は8月22日です。今日書いて、放送後にアップします。


8月16日水曜日、Twitterでこの番組の観覧募集を知る。収録は21日月曜日、場所はもちろん東京。さて、どうする。自分の仕事を確認すると、この日1日であれば休んでも大丈夫だろうと判断。
ダメ元で応募しました。こういう観覧応募は、どうせ若い女性優先なんでしょ。どうせ私みたいなおっさんははじかかれるんでしょ。でも、やらなきゃ可能性はゼロです。
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8月18日金曜日、当選メールをいただく!うわ、本当に当たるのか!行動するって大事!すぐさま「もちろん参加します!」のメールを返信。


それにしても、テレビの世界ってこんなスピードで動いているのですね。現場の人たちは大変だ。


そして21日月曜日、私は赤坂に降り立ちました。
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14:30、控室に集合し、整理番号順に着席します。キックザカンクルーとライムスターの収録ですが、どう見てもキックファンの方が多い。ライムスファンはいつでもどこでもアウェイ(というか、ファンの絶対数が少ない)。
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スタッフさんは14:45にこの控室からスタジオに移動と言っていたのですが、どうもスタジオでのリハが押しているそうで、なかなか移動が始まらない。そうですよね、この2組がやるということは何かしらコラボするわけで、真面目な宇多丸さんはきっちり練習したいはずで、押すわけですな。


15:20を過ぎて、ようやくスタジオへ移動。
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ぞろぞろと列を作って歩く。
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おお、ここは赤坂マラソンの心臓破りの坂か?


建物内はもちろん撮影禁止ですし、中では電源もOFFなのでもう写真はありません。
スタジオに入ると円形のステージがあり、そこに私たち観覧のお客がぐるりと取り囲む形です。近い、近いぞ!私は2列目でしたがステージまでわずか1m。近い、近いぞ!うわー、こんなの絶対映るじゃん。嬉しいような恥ずかしいような。
四方の背景にはヒップホップらしくKICK THE CAN CREWRHYMESTERの文字を描いたグラフティ。この数分だけのためにわざわざ作ってくれたのか。テレビってすごい。


スタッフの方がステージの上で前説として注意事項の伝達をいくつか。放送まではSNSダメよ、とか拍手するときはなるたけ頭の上でやってね、とか。今回の収録には200名弱が参加しているそうです。もっと少なく感じたな。


さあ、いよいよ収録開始。まずはキックです。
3人が登場して「KREVAです、MCUです、LITTLEです。3人合わせてキックザカンクルーです!」といういつものPerfumeスタイルのあいさつ。
近い!でも、私の位置からは後ろ向きだ。その分テレビに多く映っているのかな?嬉しいような恥ずかしいような。
歌う曲はもちろん『千%』!
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もちろんこの曲を歌うと思っていたので予習してきたつもりですが、全然リリック覚えていないので被せられない。サビだけ何とか合わせてあとは「一生懸命楽しんでいます!」という感じで動いていました。
テレビサイズなのでLITTLEヴァースなし。テレビって残酷!
LITTLEは韻の人、MCUはリズムの人、KREVAはカリスマの人、という感じで改めていいバランスの「キャラ立ち3本マイク」だなーと思いました。
1曲歌ったらすぐに退場。あら、4曲やると聞いていたのでキックが2曲、ライムス1曲、コラボ1曲と思っていたのに。


再びスタッフさんの場つなぎ。ステージにはJINさんのDJブースが運び込まれます。おお、今度の向きは反対側。正面宇多丸側です!そうか、円形ステージなのでどの向きでも可能なのね。
モニターの位置なども変更して、スタンバイOK。


ライムスの3人は黒い衣装。詳しくは放送を見てくれ。宇多さんは細いなあ。Dさんの帽子カッコいい!
『Future Is Born』はフェスなどで披露していますが私は初めて聴きました。これはいい!今度のNEWアルバム『ダンサブル』のタイトルに相応しい原始的なファンクチューン。そして、Dさんの出だしのフロウが超カッコいい!まだ進化するのか!
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この曲もあっという間に終わってしまいました。多分これもテレビサイズなんでしょう。テレビって残酷。


ここでも1曲で退場。寂しいと思いつつ、ということは、コラボで2曲?それはうれしすぎるぞ。
スタッフさんが場つなぎをしている間、セッティングでまたDJブースとモニターを移動。おお、今度も正面でDさん側。まあ、ずっといい場所でありがたいわ。
ただ、ここでJINさんのDJブースの「RHYMESTER」の部分を黒いプラ板で隠すのです。えー、そのままでいいじゃん。


再びキックの3人が登場して、ライムスの3人を呼び出す。6人揃い踏みでKREVAMummy-D、LITTLE、DJ JINMCU宇多丸という並び。この2組がこんなごちゃ混ぜに立つなんて面白い。
D「みんなJINの下半身見るの初めてでしょ?」宇「普段は何も穿いてないからね」
KREVA「ライムスターが我々の曲をカバーしてくれているんですよ。なので、今日はそれを一緒にやります」ということはもちろん『マルシェ』!
https://www.youtube.com/watch?v=oP1aktMIFB4www.youtube.com
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いやー、この多幸感と盛り上がり。先ほどの2曲よりもお客さんが盛り上がっているのはこのコラボの貴重さもありますが、やはり「みんな知っている曲」という強みだろうな。
この曲の1番をライムスが、2番をキックが、3番は一緒に歌っていました。テレビだとどんな編集になっているのかな。


D「ちょっと水飲んでいい?」宇「ダメだよ。安室ちゃんは水飲まないんだってね」KREVAポール・マッカートニーも。俺、ポールと同じ誕生日なんですけど話広がらないのでこの話やめます」宇「俺は工藤静香さんと一緒。庵野秀明さんとも」D「広がったね」
宇「せっかくなんで、もう1曲やります。この曲を一緒にやるのは16年ぶりくらいかな?」というフリから始まった曲は『10Balls+2』!
www.nicovideo.jp
キックとライムスが一緒にやっているのはこの曲と『神輿ロッカーズ』があって、私は『神輿~』をやると思っていたのですが、まさかこっちだとは!上の動画を見れば分かるように、歌詞が下ネタオンパレードなのでテレビに不向きなのですよ!Dさんのパートは「マザーファッカー」なんてリリックもあるぞ。放送では「コンプラ」になるのかな?
ちなみにこの日はトラックも別ものだったのですが、これは何か理由があったのかな。テレビで流すにはサンプリングの著作権云々とか。考え過ぎかな。


イントロのしゃべりで宇多丸さんめずらしく噛む!さらに途中Dさんのラップがちょいと怪しい!
で、終わった後スタッフの審議が入り、もう一度やることに。私たちは嬉しいしかないので無問題です!
私は気づきませんでしたが、ターンテーブルの針が飛んでしまいリズムがずれてしまった瞬間もあったそうです。そうだよな、この5人がステージ上を動き回れば針も飛ぶよな。
宇「この曲結構難しいので、今朝俺たちTBS入りする前に集まって練習してきました」やはり、真面目。


結局、もう一度収録することに。嬉しい!というわけでお色直しの時間。
ライムス側はタオルで顔を拭くだけですが、キック側は筆も使ってテカリ防止。この差!宇多さんなんてスタッフでなく自分でキッチンペーパーみたいなもので頭を拭いていましたよ。この差!
スタッフ「では、曲フリからお願いします」
宇「さあ、ONCE AGAIN!あ、アゲインじゃなかった」撮り直しバラしちゃダメ!その後持ち直して上手い曲フリをする宇多さん、さすがギャラクシー賞パーソナリティ。
しかし、今度は宇多さんパートが怪しい!キックの3人は2回とも完璧なのにー。
さてどうする。


KREVA「もっかいやる?切り貼りで何とかできるならそれでもいいけど」宇「スタッフはOKなの?どうする?」やってくれー!
というわけで3度目の正直!わーい。
ここで再度メイクさん登場。相変わらず拭くだけのライムスと筆ありのキック。そしてキッチンペーパーの宇多さん。
で、3回目ですが、これがよかった!演者のラップはもちろんですが、お客のヴァイブスがよかった。正直、私も含め2回目は「うれしいけど、とはいえさっきも見たしな」という感じだったのですが、3回目は「俺たちが盛り上げる!」という使命感を感じました。
実際のオンエアではどれが使われるか分かりませんしいいとこ取りのつぎはぎになるかもしれませんが、それぞれで見れば3回目が一番よかったです。


というわけで収録終了。6人がステージを下り、スタッフさんから最後のあいさつ・注意事項があっておしまい。スタジオを出たのは16:45くらいかな?あっという間のスペシャルライブでした。
放送では曲の合間のしゃべりなんかは全カットでしょうが、その辺の空気も一緒にいれたのがうれしい。


以上、私のテレビ収録初体験でした。新幹線乗ってきてよかった!でも東京の人はほぼ無料でこれに参加できちゃうんでしょ。いーなー。


KICK! (初回限定盤)

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KICK THE CAN CREW『KICK!』 感想

まさに「経て からの ここ」


KICK THE CAN CREWの14年ぶりのアルバム『KICK!』が出ました。名盤です。
キックはKREVAがソロで始めたときに「他の二人とは熱量の差を感じた」という主旨の発言をしていて(うろ覚え)、その後の独り勝ちっぷりを見るにつけ再結成はないんだろうなと思っていました。
それが、数年前から音楽フェスなどでキックとしてパフォーマンスをすることがあり、お、復活もあり得るのかなと思いつつ、とはいえ新曲はやらないのでライブでパフォーマンスするだけなのかなーと思っていたら、新曲・アルバム・復活祭・全国ツアーが一気に発表される用意周到さ!


名盤です。45分を切る10曲ぽっきりなのもいい。ちょっと物足りないくらいが何度もリピートして結局たくさん聴いちゃう。これを私は「ヤクルト効果」と名付けております。
どこを切り取ってもキックであるわけですが、「あの頃の」ではなく「今の」キックなのです。まさに『千%』のサビ「経て からの ここ」です。
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それは、3人ともずっと表舞台に居続けたから、現役感を保ちつつスキルの差もなく、こうして「キャラ立ち3本マイク」として今復活できたのです。


最近のKREVAはシンセを多用した音作りをしていますが、本作はそういったトラックもあり、サンプリングで作ったトラックもあり、ここもやはり「経て からの ここ」ですよ。
リリックもキックらしいやんちゃさやくだらなさ(彼ら曰く「川原の土手感」)はありつつ、ちゃんと大人になったリリックになっているのも「経て(略)」ですな。


1曲目の『全員集合』、ドラムとシンセの次に聞こえてくるエレピのフレーズがポップで「え、これキック?」と最初思いましたが、いや、これは『イツナロウバ』でもあったあの黄金の裏メロだ!
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(サビ裏のエレピのメロディです。この頃のKREVAは人殺しの顔をしているな)
キック(というかKREVA)のトラックは、「ピアノ弾けない人が指1本で弾きました」みたいなフレーズがよく出てくるのですが、それって「超センスいい」「才能あるぅ」ってことですよね。その通りです。


2曲目『千%』は、復活後のお披露目曲として完璧。切なさとアガりの両方を持つトラックと、過去のリリックを引用した歌詞。ちなみにこの引用はMCUのパートだけですが、1番に配置されているので過去と現在のリンクが印象的になりますね。この引用についてはKREVAは最初反対したそうですが、何でだよ、入れて大成功じゃん。


『今もSing-along』はサビでKREVAが歌う。これはソロがあったからこその曲ですな。
『SummerSpot』はこんな細かい掛け合い、大変すぎる!カラオケで歌えない!これライブで見たらアガるだろうなー。トラックのスカスカっぷりは『GOOD MISIC』時代を思い出す。
『なんでもないDays』はトラックは夜っぽい感じがするけどリリックはそういう内容ではないですね。トラックが良すぎてリリックが入ってこない。
『完全チェンジTHEワールド』のサビは『カンケリ』を思い出すのですが、関係ないみたいですね。この曲のKREVAのフロウは最近の彼のフロウですね。韻よりもフロウで聴かせるラップの仕方。
『また戻っておいで』。これもいいトラック!そしてKREVAの歌もいい。切ない曲調なのでひとりずつのパートが長くて掛け合いがないのは正解ですね。
『また波を見てる』。アルバム後半らしい曲調。えー、あまり感想がない。
『I Hope You Miss Me a Little』。これ、何となくキックにしては新機軸な感じがします。サビの感じ?弱さを見せられるようになったリリックも、大人になった証ですな。
『タコアゲ』。うわ、イントロからキックの曲だ!と分かるトラック。KREVAではなく、キックの曲。アルバムラストを締めくくる『タカオニ/カンケリ』に続く「川原の土手感」の曲。ポップだけどしっとりと、アルバムを締めます。


ざっくり全曲感想おしまい。
改めて、LITTLEは韻の人、MCUはリズムの人、KREVAはカリスマの人、という「キャラ立ち3本マイク」を再確認するアルバムでした。
LITTLEはちょっとラップのキレが落ちたような気がしますが、相変わらず常套句に逃げない日本語での韻踏みまくりリリックマシーン。
MCUはソロの頃「ラップ上手くなったけどこのフロウ好きじゃないなー」と思っていたのが、キックに戻ってきたらラップの上手さだけ残してキックに合うフロウに戻っていたのでとてもよい。どの曲も、いちばんリズムに引っかかるラップをしています。
KREVAは、キックで「責任3分の1」になったのがとてもいい方向に作用している感じがします。いい意味でいい加減なリリックが復活していていい。『新人KREVA』~『愛・自分博』の頃みたい。フロウも自分のパートが短いので変な歌いまわしのフロウにならなくていい。


今後キックは復活祭を経て全国ツアーも行いますが、その先はどうするんだろ。KREVAはソロも求めれらているのでキック専任というわけにはいかない。桑田佳祐奥田民生のように並行して活動していくのかな。


私は復活祭にもツアーにも行きませんが、氣志團万博で見てきます。さて、アルバム後のフェスでは新旧の曲をどんな配分でやるのかしら。楽しみです!


KICK! (初回限定盤)

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KICK! (通常盤)

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歴史は、歴史書を書く人が作る。~はっぴいえんど、渋谷系、そしてSuchmos~

はっぴいえんど警察、渋谷系警察が怖い


渋谷系
今年のフジロックコーネリアス小沢健二が出演して大きな話題になりました。コーネリアスこと小山田圭吾がずっと素晴らしい音楽を作っていることは知っていますし今年本格的に活動を活発化させたオザケンが話題になるのも理解します。


それでも私は言いたい。渋谷系、持ち上げすぎじゃね?


1990年代前半、渋谷系が渋谷で流行ったとき、渋谷系は全国で流行っていましたか?今Wikipediaを見たら1993年頃にこの言葉が生まれたそうですが、その年のヒットチャートは以下の通りです。
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ちなみに94年95年は以下の通りです。
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チャゲアス、サザン、B'z、ミスチル、ドリカムといった今も活躍している人たちとビーイング系、そして小室サウンドの時代です。ヒットチャートとしての渋谷系は、大きな売り上げがあったわけではありません。


当時私は高校から大学に上がる頃で、ロキノン信者(本家ロキノンもジャパンも両方読んでいた)だったので渋谷系のことも知識としては知っていました。ラブ・タンバリンズオリジナル・ラブなども聴いていました。ラブタンのエリさんのセミヌードのジャケットは今でも覚えています。もちろん音楽も。

↑世間的にはこっちの方が有名ですよね。


渋谷系といえばフリッパーズ・ギターですが、当時はその良さが私には分かっていませんでした。歌下手じゃん、もっと声張って歌えよ、と思っていました。
1990年にレコード大賞ポップス・ロック部門の最優秀アルバム・ニューアーチスト賞を受賞したとき、私はテレビを見ていましたが、そのやる気のなさと歌のひどさに「なぜこれがレコード大賞を獲るの?」と思った覚えがあります。
flippersguitar.blogspot.jp
これによるとこのときは口パクだったのか。それでもあんな歌唱力だったのか。


フリッパーズ・ギター解散後、二人はそれぞれソロ活動を始めて活躍。特にオザケンは『LIFE』で大爆発し紅白歌合戦にも出場しました。
確かに『LIFE』は名盤です。私も大好きです。歌は下手だけど。しかしその後の『球体の奏でる音楽』『Eclectic』は一般受けするような内容ではありませんでした。『球体の奏でる音楽』はジャズ、『Eclectic』はソウルとエレクトロニカなんでしょうけど、やはり歌唱力が足りなくて曲や演奏を十分に活かすことが出来なかったように感じました。
小山田圭吾コーネリアスとして活動をしていましたが、途中からプロデューサーや裏方仕事の比率が多くなり、表舞台で目立つ活動をすることは少なくなりました。
しかしそれでも『球体の奏でる音楽』『Eclectic』もコーネリアスの活動も評論家には評価されていました。
まあ確かに評論家的な視点から見れば名作なのかもしれませんが、いちリスナーとしてはあまりピンときませんでした。コーネリアスは1st以降全然聴いていないのでよく分かりません。


というわけで、オザケンは世間的には『LIFE』1枚だけ、小山田圭吾はソロとしては世間にあまり知られることのない存在だったのが実際の話。なのに、なぜこんなにマスコミは騒ぐのか。


それは、マスコミ(テレビ・雑誌・Web)の人たちが渋谷系を聴いて育ってきたからです。そういう高感度オシャレ人間たちがマスコミに就職したから、渋谷系は実際以上の扱いを受けているのではないか、というのが私の説です。


当時地方に住んでいた私にとって渋谷のレコード店なんて行けるはずもなく、そこで最新の文化が生まれていようが、その波を感じることはありませんでした。今のようにネットもSNSもないので、情報はマスコミだけ。かろうじて雑誌から「何か渋谷系というオシャレな音楽があるらしい」ということを知った程度です。テレビは大御所とビーイング系小室ファミリーですから。
それでも音楽好きだった私は聴いてみたのですが、どれもあまりピンときませんでした。当時ハードロックを好んで聴いていたから当然ですけど。


渋谷系に関する結論。渋谷系は当時局地的なブームに過ぎなかったが、それを好きだった人たちがマスコミに入ったため、渋谷系の地位が上がって現在の評価に至る。


<思い出し追記>
渋谷系の過大評価と一緒に「V系の過小評価」も書いておきたい。V系ファンは女性が多いのでライターや評論家になった人数が少ない。だから渋谷系に比べて現在の評価が低くなっている、というのが私の見立てです。
BOΦWYに始まりXJapan、ルナシーGLAYラルク等、マスにもバンドマンにも与えた影響はとても大きい。なのにV系は音楽ジャンルとしてきちんと評論されない部外者扱いです。その辺どうなの、ロキノン諸君!


はっぴいえんど
同じことを、はっぴいえんどにも感じるのです。はっぴいえんどといえば「ロックに日本語を乗せる方法論を開発したパイオニア」という扱いですが、本当にそうなのでしょうか。
いわゆる「日本語ロック論争」の当事者であった彼らが『風街ろまん』でロックのメロディに日本語を載せることに成功した、というのが正史のようですが、実際聴いてみてもそのすごさは私には分からない。0を1にしたということがすごいのでしょうが、技術論としてどうすごいのかが私には分からないのです。


それよりも、矢沢永吉桑田佳祐佐野元春の方がすごいと私は思うのです。


英語と日本語をチャンポンにして巻き舌唱法で歌う矢沢永吉、英語の響きのまま日本語に当てはめた(母音がアイウエオだけでない発音)桑田佳祐、音符一つに1音という常識を打ち破りロックのビートに日本語を乗せた佐野元春の方が実質的なイノベーターだと思うのです。それは技術的な部分と「売れた」という部分との両面で評価されるべきです。売れたからこそ多くの人に聴かれ、日本語でロックをやることに対する違和感は消え、古臭い論争は終わり、新しい才能が出てきた。こっちの方がすごいでしょ。


これも、評論家が「はっぴいえんどはすごい」という歴史観を持っているために矢沢桑田佐野の評価が相対的に低くなっているのだと思います。はっぴいえんどは村の話、矢沢桑田佐野は実際の大衆への影響の話です。規模が違う。


Suchmos
最後にSuchmosの話を。彼らが登場したとき、誰もが「ジャミロクワイじゃん」と思ったはず。確かに当初はジャミロクワイの影響が大きい音楽でした。
普通、若く新しい音楽は若い人がキャッチし、そこから広まります。それはなかなか大人には広まらず、大人は「最近の若い子が聴く音楽は分からんな」と無理解なのが通例です。それこそが若く新しい音楽の魅力のひとつなのですが。
それが、Suchmosはいきなり大人からも賞賛をもって迎えられました。それはやはり「ジャミロクワイっぽいから」です。90年代にアシッドジャズムーブメントがあり、そこでジャミロクワイは頭一つ抜けた売れ方をしていました。聴いているとオシャレになった気がするんですよね。
という下地があったため、Suchmosはすぐに大人にも認められる存在になったのだと思います。その証拠の一つがホンダ・VEZELのCM曲に彼らの楽曲が採用されたことです。
この車の購入想定者は30代くらいの男性だと思います。本当に「Suchmosが若手に人気!」ならば若者向けのCMに起用されるはず。それが30代をターゲットにしている商品に起用されるということは、この音楽に反応するのはこの世代だという分析があったからのはずです。


大人が認めやすい音楽性だったこともあり、すぐにマスコミは彼らを取りあげました。俺、若い音楽にまだまだ付いているぜ、という自尊心を上手くくすぐる音楽だったのでしょう(それはあくまで結果的に、ということですが)。カンニング竹山さんも彼らを賞賛していました。そしてもちろん私も。
というわけでここも「大人が見つけたので早いブレイクをした」事例だと思っています。


以上3つの事例から、歴史は歴史書を書く人が作るのではないか、という私の説でした。


LIFE

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  • アーティスト:小沢健二
  • ユニバーサル ミュージック (e)
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ザ★ベスト

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やはりHIPHOPはJ-POPに勝てない、のか?

勝ち負けではないが


先日、スキマスイッチRHYMESTERの対バンライブに行ってきまして、とても楽しかったです。
会場のファン層はスキマスイッチ9:RHYMESTER1くらいの割合。そんなアウェイの状況でもRHYMESTERの「HIPHOPって何?」「DJって何しているの?」「HIPHOPライブってどういうもの?」に対する丁寧な説明と盛り上げで、結果的にはスキマスイッチファンにも楽しんでもらえるライブになったと思っています。


しかし、こんなことは稀です。RHYMESTERだから、キャパの小さいライブハウスだから、スキマスイッチファンがいい人だから、などの好条件が揃ったのでHIPHOPファンでない人たちも盛り上がってくれたのだと思っています。
ポップス(このエントリでは歌ものを「ポップス」と表記します)とHIPHOPがどちらも出るイベントやフェスなどでは、いつもHIPHOPの「機能性の弱さ」「一見さんへの不親切さ」を感じています。


初めて聴いて、良さが伝わらない。HIPHOPはリズムの音楽でありリリックの音楽なので、初めて聴いたときにその良さが伝わりにくいです。
それに引き換えポップスは、歌詞は分からなくても「歌唱力がある」「メロディが良い」は伝わる。歌詞なんて「るーるーるるるるるー」でもいい曲になるのだ。しかしHIPHOPはそうはいかない。
HIPHOP好きの私であっても全く知らない人の全く知らないラップを聴きながら手を上げたりコール&レスポンスをするのはちょっと苦痛でちょっと恥ずかしい。ましてやポップスファンをや。


なんかね、HIPHOPは「マイク1本でやっていくぜ」とか言うじゃない。どうもそれが「剣だけで戦っているRPGの主人公」みたいな感じがするのです。ポップスは剣だけでなく防具も盾も兜もその他装備品もしっかり着けているイメージ。ドラムが防具でベースが盾で、とか。パーカッションやホーン隊までいるバンドは装飾品まで身に着けている。
ラップスキルのある人は「銅の剣」ではなく「鋼の剣」や「炎の剣」を持っているイメージ。KREVAクラスは「はぐれメタルの剣」を持っている。
伝わるかしら。どんなにすごいスキルであっても、HIPHOPは所詮は剣だけ。バランスよく装備したポップスにはなかなか勝てない。


ライブだと、基本HIPHOPは録音済みのトラックを再生するだけ。ポップスは(トラック再生の場合もありますが)バンドが演奏する。この違いって、とても大きいです。
トラックの再生であってもDJがいろいろやってグルーヴを生み出すことは可能ですが、生バンドには勝てない。特に各パートのソロ回しなどやられたらもう勝てない。
音圧とかグルーヴとかいろいろあるけど、「今目の前で演奏している」という事実が強い。舞台だって「今目の前で演技している」ことが素晴らしく、これをもしテレビで見ていたらそこまで面白いと感じていないかもしれない、あの感じ。


今、ソロやグループ単体で武道館を埋められるHIPHOPミュージシャンはKREVAしかいません。RIPだって今は何かスペシャルなタイミングでしか武道館公演はできないでしょう。
やはり勝てないのか。キャパの大きさや動員数の大小が音楽性の勝ち負けではないですが、ひとつの大きな目安ではあります。その点でいえば、「やはりHIPHOPはJ-POPに勝てない」です。


でもまあ、それも当然だよな、とは思います。メロディあった方がいいもん。逆にアメリカではなぜHIPHOPが音楽のメインストリームにいるのか、そちらの方が不思議です。
英語の曲を日本語カバーすると、とてもグルーヴが落ちます。スガシカオkokuaシンプリー・レッドの『STARS』をカバーしていましたが、スガシカオをもってしてももっさりとしたカバーでした。
やはり英語それ自体に日本語以上のグルーヴが備わっているから英語の曲はグルーヴが強い。そしてそれだったらHIPHOPの方がさらにグルーヴ強化されているのでHIPHOPが強いのかな?で、日本では逆に日本語でHIPHOPをやるとそのグルーヴの無さが浮き彫りになってしまい、メロディに勝てないのかな?


さて、ここまで書いてきましたが、このエントリに結論はありません。「HIPHOPって刀一本なイメージがあるなー」と思いついてそれで書き出してしまいました。
勝てないのかと問われれば勝てないでしょう。しかしそれは上に書いたように音楽性の勝ち負けとは別ものです。ただ、メインストリームになることはないだろうな、ということ。そして、そんなマジョリティと関係なく、私は日本語ラップが好きです。


MONSTER VISION

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2017年8月ツイートまとめ(その2)