やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

RHYMESTERライブツアー2017『KING OF STAGE Vol.13』at浜松窓枠に行ってきました! 感想(その1)

ライブを作るのは演者とスタッフとお客


(セトリ・演出ネタバレありますのでこれからツアーに行く人は注意)


RHYMESTERのアルバム『ダンサブル』リリースツアー2017の静岡浜松公演に行ってきました!
会場は窓枠。面白い名前ですね。
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学習塾でも入っていそうな普通のビル。こんな建物で防音大丈夫かしら。
それにしても、なぜ当日券があるのだ。なぜソールドアウトではないのだ。あんな素晴らしいアルバムをあんな素晴らしい人たちがライブするんだぞ。絶対にいいライブになることが確定しているのになぜ君たちは来ないのだ。この世で絶対に素晴らしいものなんて「ライムスターのライブ」と「おっぱい」くらいしかないのに。


入場すると、入り口からすぐステージなのね!ドリンクも缶やペットボトル渡すだけ。キッチンや厨房はない。お花を置くスペースもない。ロッカーもない(クロークはある)。こんなすぐで防音大丈夫かしら。
今回は上手宇多丸さん側3列目。整理番号40番台でもこんなもんか。くそう。


19時を5分ほど過ぎてもまだ始まらない。おーい、遅いぞ。ライムスのライブは3時間近くあるんでしょ。早く始めて遅く終わろうぜ。できるだけ長くやろうぜ。
というわけで、催促の手拍子をする私。徐々に会場中に手拍子が広がり、いいプレッシャーをかけます。


そして客電が落ち、いよいよスタート!『マイクの細道』が流れる中JINさん登場。えー、これが1曲目?と思っていると宇多丸Mummy-Dも登場。「熱狂まであと5秒」「4・3・2・1!」で一旦フロア熱狂し、一通り煽ってから手で制する宇多さん。
静寂したその瞬間、始まったのは『オイ!』!!いきなりフロア爆発!
今回の3人の衣装は、『人間交差点』のMVのときのような3色コーデ。
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衣装は違いますが宇多丸:赤、Mummy-D:青、DJ JIN:黄というテーマカラーは同じ。RHYMESTERはこれがそれぞれの担当カラーなのかな?アイドルみたい。


そのまま『スタイル・ウォーズ』!さらに『Just Do It!』!おお、これは意外!「やるやる言って結局何もしないダメ野郎の歌」です。
アルバムのリリースツアーなのでNEWアルバムの曲をやるのは当然として、それ以外の曲はなに歌ってくれるのかなーというのもライブの楽しみ。この曲は意外でした。


最初のMC。既に宇多さんすごい汗!
宇多丸「みなさんの前向きな気持ちが突出している!何あれ、催促の手拍子。スタッフに訊いても初めてだって。今日は映画『ブルース・ブラザーズ』級のライブになりますよ!」
うわーい、うれしい。あれ、私です。ふふふ。
宇「次のコーナーはですね」
D「コーナーって。ブロックとか言ってよ」
宇「バラエティ慣れが出てしまいました。ある意味小箱のゲネプロも兼ねてますから」
ここでターンテーブルの説明。最近おなじみの「DJは何をやっているのか」「ヒップホップのトラックを『演奏する』とはどういうことか」という丁寧な説明。他人のレコードを流しておいしいところだけを繋げるのがDJの演奏で、その上でラップするのがヒップホップなのです。
普段だとこの流れで『ライムスター・イン・ザ・ハウス』にいくのですが、今回は『ちょうどいい』。おお、こういうのもライブならでは!
曲始まったときに「あー、タイトル言わずに始めればよかったかな」と宇多さん言っていたので、今後の小箱ライブではサプライズ的にこの曲聴けるかも!(このブログ先に読んだら意味ないけど)
このいい流れで『ゆれろ』。コンブのように揺れるぜー!


MC。立ち位置のバミリ(立ち位置をビニールテープで貼ること)はRHYMESTERの場合はチンポを模した「チンポジ」なのですが、最近加工が上手くなりすぎてチンポそのものになってしまったので、小箱セットはみんなの目に触れるのでやめました、というどうでもいい情報を得ました。
そしてRHYMESTERは酒にまつわる曲が多いので、それをメドレーにしましたという小箱特別セット。うれしい!


まずは『梯子酒』。ウェイウェイ~!この曲は掛け合い部分が多いので盛りあがるなー。メドレーといいながら1曲完奏。
続いてはこの飲み会の翌日の話。『お ぼ え て い な い』。いやー、この曲の歌詞はひどいねー(褒めています)。この曲のラスト、Dさんがすげーテキトーな動きをしていて笑った。酔っぱらいだからな。
そしてその日の夜、また飲むわけです。『ビッグ・ウェンズデー』。で、この曲の次はもちろん『ブレックファスト・クラブ』。延長戦ファミレスに持ち越し!
そしてまさかの『梯子酒』もう一度!!ウェイウェイ~!さすがにラスト部分だけだったのですが、これぞまさしく梯子酒!
宇「最後にもう1回『梯子酒』がかかったときの皆さんの『マジか…』っていう顔w」確かにちょっとそんな顔してしまいました!


地方公演では欠かせない『グラキャビ』、そして『And You Don't Stop』。おー、エニュドンか。


ここから後半戦、盛りあがりブロックです。
『ONCE AGAIN』はエモ過ぎでフェスならいいけどワンマンだと正直もうお腹いっぱいだなーと思う(『ラスト・ヴァース』も同様)のですが、ライブで歌われるとやっぱりアガっちゃう。
次は『ダーティーサイエンス』。おおお!これかー!この速いやつやるのかー!照明もストロボ連発で世界は爆発だ!しかし、Dさん歌詞飛ばしまくり!でも勢いと照明のおかげであまりトチった感はありませんでした。曲の後半ではJINさんは肘でスクラッチしたりとターンテーブル乱れ打ち。
さらに『爆発的』!いい流れ!この曲はゲストラッパーが参加していますが、小箱には来ないと思っていたのでどうするのかなーと思っていたら、何とJINさんのオリジナルヴァース!歌詞は分かりませんが、ラップ上手くなってる!


さらにライブはまだ続くのですが、ここで一旦切ります。次回、残りとアンコール部分を書きます。


ダンサブル(初回限定盤B)(DVD付)

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このDVDの副音声も面白いのでぜひCD買ってください。

選挙。投票も開票ももっといいやり方ないかな。

愚痴日記


第48回衆議院議員総選挙が終わりました。今回私は投票事務と開票作業を行いまして、そこで感じたことを書きます。


拘束時間長過ぎ
今回は朝6時過ぎから深夜2時過ぎまで仕事をしていました。20時間以上!そして翌日も朝から仕事でした。これ、何とかなりませんか?
①投票時間の短縮
投票時間は朝7時~夜8時です。こんなに長くなくていいのでは?朝8時~夜6時で十分でしょう。実際夜6時以降に投票に来る人はわずかで、ほとんどが午前中~夕方前に投票に来ます。夕方以降に投票する人も夜6時までだったらその時間に来るか期日前投票を利用するでしょう。
期日前投票があるのだから、当日はここまで長くなくてよいと思います。


②翌日開票
即日開票をする意味はどこにあるのでしょうか。当選者は翌日朝から議員になるわけではないのです。
翌日の新聞も未確定の結果ばかりで何の意味もありません。翌日昼間の開票であればその次の日、とても深い分析や正確な結果を載せられますよ。
翌日開票にすれば必要人員も少なくて済み、深夜勤務もないので人件費も減ります。全国の開票作業人員を考えれば相当なコスト削減になります。一晩保管するコストが発生しますが、即日開票のコストよりは圧倒的に少ないでしょう。
総選挙1回に600億円かかるのは民主主義の必要コストなので仕方ないですが、削れるところは削りましょう。


③土曜日投票
どうしても即日開票したいのなら、土曜日投開票にしてください。それなら日曜日は休めます。
朝早くから深夜遅くまで仕事をして翌日も通常勤務はきついです。誰も得しない。


土曜日投開票は難しいと思いますが、投票時間の短縮と翌日開票はできると思うけどなー。「働き方改革」を謳っていながら当日も翌日も厳しい勤務を強いるのはなぜかしら。今回は台風もあり、当日や翌日に現場作業に出た人も多いことでしょう。現在の開票のやり方は誰も得していません。


マークシート方式の導入を
開票作業は、ほとんどが機械です。機械→人の目のダブルチェックを繰り返して開票作業を進めていくので、実はそんなに時間はかかりません。
ではなぜこんなに遅くなるかというと、疑問票がとても多いからです。
疑問票は、違う候補者・政党名が書いてある、関係ないことが書いてある、何も書いてない、判別が難しい書き方である、どちらとも取れる書き方である、などのものです。
これらを係員が数名で審議し、該当候補者の得票にし、どちらとも取れるものは按分し、読み取り不能や白票を無効票に分類します。そしてそれも勝手に行うと恣意的な運用が行われる可能性がありますので、外部の監査の人にその内容を確認してもらいます。
だから、時間がかかるのです。だから、無効票やめろ!


そこでマークシート方式です。書き間違いも少なく、開票作業は一瞬、疑問票自体も少なく、審議も楽。いいことづくめのようですが、何が問題なのでしょうか。
「何も考えない人が一番上の名前にチェックを入れてしまう」という意見を見ましたが、今回の最高裁判官の国民審査のように横並びに表記すればいいのでは。
告示から投票用紙の印刷まで時間がかかるのであれば、それに間に合うだけ告示から投票開始日まで時間を取ればいい。自分たちの代表を決める選挙ですので、準備期間は長くても問題ないはずです。その間に選挙活動で候補者たちの政策をより詳しく知ることもできるし。
もしくは、投票用紙は「番号+チェックシート」だけにして、投票用紙に名前は載せないという方法はどうでしょうか。投票所に番号と候補者の名前を掲示しておいて、それを見ながらマークシートに記入する。


今回投票所で有権者に案内をしていると、とってもヨボヨボなお年寄りを多く見ました。彼らはきちんと読める字で書けたのでしょうか。誰かに投票するという意思はあってもそれを表明できたでしょうか。それだったらマークシートの方が意思の伝達はスムーズにできるのではないでしょうか。


疑問票やめろ
上に書いた通り、開票作業に時間がかかるのは疑問票が多いからです。やめてくれ。
何で読めない字で書くの?何で違う人の名前を書くの?何で関係ないこと書くの?何で白票を投じるの?
①読めない字
なぜ人に読んでもらうために書くのに読めない字で書くの?下手でもいいんだ、読める字で書いてください。大人でしょ。
②違う人の名前
これは候補者の名前を書こうとして間違えた場合と全然関係ない名前を書く場合があります。
前者は、投票所に名前貼りだしてあるのになぜ間違うの?その人に投票しようと思って書くのに、名前も知らないの?
後者は、まったく理由が分かりません。自己主張と自己満足でしょうが、単なる無効票として処理されます。あなたの主張はどこにも届きません。
③関係ないこと
同じく、あなたの主張は単なる無効票として処理されます。何の意味もない。ゼロです。ゼロ。
④白票
これも単なる無効票です。「白票は棄権よりは意味がある」と主張する人もいますが、同じです。どちらも投票結果に何の意味も影響もありません。
「白票が多くなれば政治家が危機感を感じてまともな政治を行うようになる」という意見も目にしましたが、そんなわけないでしょう。どんだけお花畑なんだ。政治家は投票してくれる人にしか行動しません。


今回は最高裁判官の国民審査もありましたが、「全員に×をつける」が私の開票所だけで1,000枚以上出ました。本当に最高裁の裁判官に不適格だと考えて×をつけているのですか?何も考えずにただ×をつけているのですか?


これらくだらない、無意味な作業に多くの時間と人員を割くのはもったいないので、マークシートですよ。
もちろん電子投票でもいいです。


不正なんてない
選挙のたびに「結果が不正に操作されている」という陰謀論を目にします。そんなわけないでしょう。
開票作業は多くの人数が携わり、機械と人で何度もチェックを行います。そこに個人の意思が入り込む隙はありません。
http://blog.goo.ne.jp/1shig/e/b66954bf15ed7c50ffe7734e897819bfblog.goo.ne.jp
こんな記事を見つけましたが、そんなわけないでしょう。投票用紙の枚数をカウントする機械が記入された筆跡を消して再度印字しているそうです。そんなわけないでしょう。反論するのもあほらしいですが、少し書く。
1分間に660枚カウントするんでしょ?1秒で10枚。そんな一瞬で書き換えられるわけないでしょう。どんなスーパーコピー機だってそんなスピードで書き換え・印字するのは無理です。
百歩譲って書き換えているとすると、筆跡をいくつも用意しているのですか?千歩譲って白票にしているとしても、投票結果をひっくり返すほどの白票が出たらおかしいでしょう。そもそも何枚書き換えれば結果が変わるか分からないんだし。
一万歩譲ってこの機械が不正をしているとしても、メーカーの社員全員が黙っているとお思いですか?安倍政権とつながっているから?未来永劫安倍政権や自民党政権が続くとお思いですか?
十万歩譲ってメーカー全体がグルだとしても、現場で気づかないわけがありません。何度も書きますが、複数の人間で、複数の箇所で、機械だけでなく人間の目でもチェックをしているのです。そんな異常があったら気づかないわけがない。そこも全員グルなの?
もう少しマシな陰謀論を考えましょう。


他のニュースで目にするトラブルも、すべて不正ではなくミスです。そしてこれらがニュースになるということは、ミスは必ず発覚する仕組みになっているということなのです。悪意があろうがなかろうが、間違いのまま結果確定にならない仕組みがきちんとあるのです。


開票作業は公開されています。気になる人はぜひ見に来てください。不正なんてないから。


選挙は、民主主義の根幹をなす大事な制度です。だからこそ、間違い(投票する側も開票する側も)のない制度にしてもらいたいです。


関連エントリ↓
ese.hatenablog.com


衆議院選挙の手引 平成29年

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日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか (中公新書)

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桑田佳祐ライブツアー2017「がらくた」at新潟朱鷺メッセ に行ってきました!感想

私もあなたも歳を取る


(セトリ等ネタバレありますのでこれからツアーに行く人はまだ読まない方がいいです)


桑田佳祐ライブツアー2017「がらくた」の初日、朱鷺メッセ公演に行ってきました!
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15時前に会場入りしたら、既にグッズ売り場長蛇の列!何と会場の外まで続いていました。
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お花はビジネス関係ばかりですな。ミュージシャン関係のお花を期待していたのに。
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ファンの有志からのお花は立派だった!
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グッズ売り場は長蛇の列でしたが、このように販売窓口も多く用意してあるので、そんなに待たずに買うことが出来ました。私何も買ってないけど。
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まだ開場まで時間があるので会場内をうろうろ。ここには展望台があり、新潟の海と街を一望できます。『バラッド3』みたいな夕日を期待していたのに、ちょうど太陽の部分にだけ雲が!残念。


さて、いよいよ入場。サザン・桑田さんのライブではここで初めて座席の場所が分かるのです。ドキドキ…。結果、42列目でした。うーん、真ん中。
朱鷺メッセコンベンションセンターなので、ライブメインの会場ではありません。なので床はコンクリでパイプ椅子が並べてあるだけ。奥の3割ほどに傾斜の席があります。なので、42列目はフラットな42列目なのです。前に背の高い人が来たらアウト。ライブハウスと違い、ポジションチェンジもできない。


さあ、開演です!オンタイムで客電が落ち、ドキドキの1曲目は…『しゃあない節』!おお!これは意外だ!
サザン・桑田さんのライブでは、1曲目はミドルテンポの曲が選ばれます。これは会場をいきなり興奮させないため(長丁場のライブではいきなりフルスロットルはお客も疲れる)と、音のバランスを微調整するためだと勝手に思っています。
続いて男たちの挽歌』『MY LITTLE HOMETOWN』。左右のモニターには歌詞が出て、舞台後ろの大きなモニターには演出の映像が映ります。結局目の前は背の高い男性が来てしまったので、モニターを眺める私。
それにしても、桑田さん3曲ずっとマイクスタンドで全く動かず歌っているのですが、これは年齢のせい?もっと動いてほしいよー。


ここで最初のMC。「新潟に戻ってきました。ツアーの初日に相応しい済み切った空で迎えられてうれしいです。初日なんでアガっちゃって。演出も何がウケるかさっぱり分かりません。長い時間になりますが最後までよろしく」と優等生なMCでした。
『愛のプレリュード』『愛のささくれ』『大河の一滴』『簪/かんざし』『百万本の赤い薔薇』『あなたの夢を見ています』と『がらくた』からの曲を連発。今回のアルバムは打ち込みビートが多かったので、それをライブではどうするのかなと思っていたのですが、全部生ドラムでした。カースケさんなので問題ないのですが、打ち込みビートがとてもよかったのでそちらで聴きたかったな、というのも正直な感想です。でもそうするとライブの音のバランスがおかしくなっちゃうから仕方ないか。
大河の一滴』の途中のセリフ部分はコーラスのタイガーさんと。「覚えてる?」「やったよね?」「下手だったw」というやり取り!面白い!


『サイテーのワル』ではまずタイガーさんの素晴らしいスキャットコーラスから斎藤誠さんのギターがうなる!この曲てっきりレスポールで弾いていると思ったのですが、ストラトなのね。
ツアーには金原千恵子さんがいるので、音源では入っていないバイオリンがいろいろな曲に入っていて面白かったです。でもどの曲が違っていたかはもう覚えてない。


このツアーは『がらくた』ツアーなので、このアルバムからの曲を多く演奏するのは当然。では、それ以外の曲は何をやるのかなー、というのも楽しみの一つ。
『古の風吹く社』『悲しみよこんにちは』『Dear Boys!おお、こうきたか!特に『Dear Boys』はレアですね!
あと、桑田さんはオリジナルに忠実なアレンジと歌い方をしてくれますが、一部前奏の前に新しい伴奏を付けてくれたりするのもライブならでは楽しい。オリジナルに忠実なのは「お客さんが聴きたいのはCDのあの曲」という思いがあるのでしょう。でもライブでは「あれ?この曲何だろう」と思ってもらうのも楽しいので、少しのアレンジを混ぜているのかな?全てはお客のために。人身御供のエンタテイナー、桑田佳祐でございます。


『東京』では金原さんのバイオリンに続いて桑田さんのエレキのみの伴奏でスタートし、徐々にバックの演奏が盛りあがっていく構成。この曲はピアノとドラムが主役だと思っているので、このアレンジはいいようなそうでもないような。
あと、桑田さんのボーカルがちょっと弱くなっているように感じました。声は出ているのですが、中低音が鳴っていない(音程の低い部分ということではなく、同じ音の中の倍音成分の中低域のこと)ので、コクや深みが足りない。会場の音響のせいなのかな?
でも、いろいろな曲の途中に何度か足を振り上げるアクションをしたのですが、相変わらず足上がるなー!体調不良とかではないようです。


ここで恋人も濡れる街角を新潟バージョンの替え歌にしてちょっとだけ歌ってくれました!でも歌詞を全然覚えていない!


『Yin Yang』ではおなじみエバトバンシングチームのセクシーなダンス。彼女たちはエロいのに下品ではない。セクシーでカッコいい決めポーズをビシビシと披露してくれます。ああ、もっと近くで見たい!モニターとステージを交互に見る私。
この曲では桑田さんに迫る赤い衣装の女性が二人登場するのですが、どちらもステキ!ミニスカートもチャイナスリットも素晴らしい。そして、このうちの一人に見覚えが。曲の終わりで桑田さんが「ヨシ子さん?」と言っていましたねー。佐藤郁実さんです。
twitter.com
こういうお顔、好き。成瀬心美さんとか。


ここで一旦休憩。モニターで映像を楽しみましょう。映像では稲川ジェーン(稲川淳二さんのパロディ)が登場し、桑田佳祐を語る。最近の桑田さんは落語が好きなので、一人語りも上手くなっている。
稲川ジェーンなのでお話は怪談で、ラストにヨシ子さんが登場したので「え?さっき郁実さん出ていたのにもうヨシ子さんできるの?」と思ったら『君への手紙』でした。じゃあこのミスリード、意味なくない?


『君への手紙』に続いては『若い広場』。MVと同じ大勢の若者と肩組んで歌う。まあ、ここはそうするしかないか。
『ほととぎす/杜鵑草』でしっとり泣かせた後は、後半の盛りあがりゾーン!
『過ぎ去りし日々』『オアシスと果樹園』ときて、『悲しい気持ち』!!桑田さんのソロ30周年とかソロの最初の曲とかそういうの関係なしに、この曲は素晴らしい。イントロからAメロからサビからブリッジまで全部いいメロディ。どうなっとる!
さらに波乗りジョニー!!この曲はサザンとソロの垣根を壊した曲で、メロディも伴奏もあまりにサザンマターなので諸手を上げて大絶賛の曲ではないのですが、ライブで歌われたら盛り上がらざるを得ない。


そして『ヨシ子さん』!!カオスなアレンジでありきたりでないメロディなのに名曲とはこれ如何に。テレビでの演出と同じくダンサー総出演でフンガフンガ!曲終わりでヨシ子さんが「これにて本編終了。この後アンコール」とアナウンス。ちょっと野暮だな。


アンコールもさほど待たずに皆さん登場。もっとゆっくりしていてもいいんですよ。桑田さん他バンドメンバーはピンクのツアーTシャツを着用。「まだやってもいいですか?」いいに決まってますよ!
で、『スキップビート』!!うおー、そうかー!KUWATABANDを忘れていたー!スッケベースッケベースッケベースッケベー!


お次は『明日へのマーチ』。盛りあがり一辺倒ではないのですね。そして今回はドラム入りバージョン。原曲のほのぼの感は薄まっちゃった。
でもその次は白い恋人たちだったー!このツアーは年末に向けて進んでいくので、季節が冬になったり雪が降ったりしたらより盛りあがるなー。いいなー。
この曲は、サビで十分名曲なのに「ただ逢いたくて~」でさらに盛り上げ、ラストの「涙」でダメ押し。いったいどれだけ貪欲なんだ!


『祭りのあと』は私は「普通の名曲」だと思っているのですが、でもライブで歌われると盛り上がるし歌詞が沁みる。「野暮でイナたい人生を照れることなく語ろう 悪さしながら男なら粋で優しい馬鹿でいろ」ですよ!
あと、今の桑田さんなら「秋風のShadow」「月明かりのWindow」という歌詞は書かないのかな、なんてことも思いました。


ラストは明日晴れるかな。前回のツアー(2012年)と同じく、Aメロはアカペラで。前回は「3時間歌ってきて、まだアカペラで感動させる声量が出るのか!」と号泣卒倒射精滂沱の涙だったのですが、その免疫があるとはいえ、今回はそれほどの感動がありませんでした。これも桑田さんの声の艶の差。ツアー初日だからか、会場の音響のせいなのか分かりませんが、どうももの足りない感じでした。


終了時刻は21:10。あら、3時間切ったのね。おかげでラストまで見れて新幹線にも間に合ってよかったです。でも、思ったより短かったな。
しかし、曲数を数えると28曲!ちょっとだけの曲も含めれば30曲!2012年のツアーはメドレーや『声に出して歌いたい日本文学』(20分近くある)があったとはいえ25曲。それを考えれば短いなんてとんでもない!映像や寸劇がない分、桑田さん歌いっぱなしの2時間40分でした!


今回のライブではちょいちょいもの足りないと感じた瞬間がありました。ダンサーの登場や炎の噴き上げ・金テープ発射など、派手だけどおなじみの演出に心躍らない贅沢な私がいました。5,000点を期待していたら4,500点だったようながっかり感。おい、100点を優に超えているんだからがっかりするなよ!人間は贅沢すぎる。
それよりも、上に何度か書きましたが桑田さんのボーカルが弱くなっているように感じたのがいちばんの心配事です。ステージでの動きも以前に比べれば少なくなり、ちょっとパワー不足を感じました。
これだって還暦を超えた人を相手に言うことではないのですが、そう感じてしまったのは正直なところです。


桑田佳祐はデビューからずっとステージ上では「元気な道化」を演じてきました。自分の都合ではなく、あくまでお客さんに向けたエンタテイナーとしてのパフォーマンス。どうもそれが金属疲労を起こしているのではないかと思うのです。
当たり前ですが、還暦を過ぎて20代30代と同じパフォーマンスができるわけはありません。そこでどのように軌道修正していくか。山下達郎さんや小田和正さんは元々派手なパフォーマンスをする人ではない(小田さんのステージ上を駆け回るのもすごいけど)のでその点は安心ですが、桑田佳祐はその点が難しい。サザンも含め、今後のパフォーマンスのやり方を考えなきゃいけないなーと舞台監督でもないのに考えてしまいました。


もうひとつ思ったのは「やはりサザンはすげえ」ということ。私はあまりサザンと桑田ソロについて差を感じないのですが、ライブを考えると盛り上がる曲の強さはやはりサザンが圧倒的に強い。ソロはどうしても私小説や社会風刺や独白的な曲が多くなるので、音源ではとてもいい曲でもライブでの盛り上げ機能としてサザンには及ばない。2012年のツアーはベスト盤ツアーだったのでさすがに満漢全席なセトリで大満足だったのですが、今回はそこが少し弱かったなーと思いました。もっと初期の曲も聴きたかったしKUWATABANDの曲も聴きたかったし『ダーリン』も聴きたかった。前回のツアーとなるたけ被らない選曲にしたからなのでしょうが、いろいろ聴きたかったなー。


とはいえ、それも「5,000点を望んで4,500点」だったので、いいライブだったのは間違いない。曲のつなぎの中途半端な無音の間などもこれからのツアーで改善されていくでしょうから、これから行く人はもっと楽しめると思いますよ!


終演後いただいた三ツ矢サイダー。おお、このシルエットは!
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これ、全会場でお客全員に配るのか。三ツ矢サイダーさん、太っ腹!
そして、2018年はサザン活動するのね!楽しみ!


セトリはこれを見ながら記憶を掘り起こし、書きました。
桑田佳祐 @ 朱鷺メッセ (新潟県) (2017.10.17) | ライブ・セットリスト情報サービス【 LiveFans (ライブファンズ) 】


映画『猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー)』 感想

シーザー一代記


猿の惑星 聖戦記』を見てきました。公式サイト↓
www.foxmovies.jp
前作の感想↓
ese.hatenablog.com
このリブートシリーズは本作で完結なのですね。私はてっきりオリジナルに倣って5作で完結させるものだと思っていました。長くなり過ぎずちょうどいい。


さて、前作『新世紀』は第1作『創世記』の10年後、本作はその2年後の設定です。ということは、人間、わずか12年で滅びちゃうのか!早い!弱い!


コバの反乱により人間との全面戦争が避けられなくなった本作の時代。さらにこの時代になると人間側に寝返る動物もいて、より事態は混沌としている。
シーザーは捕虜を生きたまま送り返し、「人間が攻めてこなければ戦わない」というスタンスをとりますが、人間どもはそうはいかないので戦いは収まることがありません。
もうこの作品内では「猿、進化してるなー」「進化しすぎだろ」という感心やツッコミは無用です。猿と人類は完全に対等の関係であり、米国vsベトコンのような構図です。


素晴らしいリーダーとして君臨していたシーザーですが、妻と子供を殺され、復讐に燃えます。エイプの仲間よりも復讐を優先してしまい、側近からも「まるでコバだ」と恐れられます。
この辺は「いくら身内を殺されてもシーザーなら組織としてのリーダーを優先するんじゃない?」と思いましたが、そうしないと話が「人間との対決!」にならないので仕方ない。そして脚本もその辺の無理を感じさせない筋運びでした。
(でも軍を追っていく様子は「丸見えじゃねーか!」と思いましたが)


途中、病に侵された少女と出会います。ひとりぼっちにさせられないので連れて行く猿の軍団。オランウータンの背中にしがみついたら臭いだろうなーと思いながら見ていました。
もうひとり、動物園から逃げ出したバッド・エイプとも出会います。貧相な見た目は『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラムみたい。


ようやく軍の施設に到着すると、何と仲間が捕えられていました。そしてシーザーも捕えられ、強制労働に従事させられます。ドラクエ5みたい。
そこから脱走計画を練る猿軍団。『大脱走』じゃねーか!
そして大脱走と最後の戦い。ここでオープニングでシーザーが逃がした兵士がシーザーをボウガンで撃つ!そして危機一髪のところでシーザーを裏切ったゴリラがこの兵士を撃つ!ここ、上手いなあ。オープニングからの人間関係が全部フリになっている
大爆発と大雪崩。劇場で見たので音の迫力が素晴らしく、いいシーンでした。


さあ、大雪崩で人類滅亡してシーザー一座は新天地へ。そこでシーザーはボウガンの傷がもとで亡くなってしまいます。神話の始まり。


これでオリジナルの『猿の惑星』第1作につながる?猿が人類を家畜扱いしている未来につながる?うーん、ちょっと違う未来になりそう。パラレルワールドとしての未来なのか。コバが勝っていたらオリジナルの未来になるのかも。もしくはコーネリアスの子孫が猿の王国を築いていく中で人間に対する扱いが変わっていくのかな。


上にも書きましたが、シーザーが薬で知能向上してから12年で人類滅亡ですよ。いくらなんでも早すぎる。あの薬で知能向上したエイプはほんの数十頭。進化に対するツッコミは無用ですが、それにしても一族進化しすぎ。
前作の感想にも書きましたが、エイプの進化と人類の衰退を描くためにそれぞれ50年ずつくらい間を空けた方がいいのでは。世代交代や教育・文化の蓄積がエイプを一族ごと進化させるのでは。
このシリーズをシーザー一代記として描くために短い年月でまとめる必要があったのかもしれませんが、もっと壮大にしてもいいのでは。ゴッドファーザージョジョのように主人公が変わっていくお話でもいいのに。


あと、本作に登場するキーパーソン、ノバ。この子、意味ある?ストーリーにも何もからんでこないけど。
バッド・エイプも、あまり意味なし。こんなの仲間のエイプで十分。コメディ担当なのかもしれないけど、彼だからこその必然がありませんでした。あと、そもそも動物園脱出組は薬の効果を受けていないのでいくら飼育員のそばにいたとしてもしゃべれないぞ。


ついでに。この作品がオリジナル1作目につながっているとすると、この人類崩壊前にテイラーの乗ったイカルス号は打ち上げられていることになります。うーむ、科学技術の進歩としても矛盾がでますな。まあ、そこはSF映画におけるヤボなツッコミなので見逃すとしよう。


本作は「聖戦記」と謳っているわりに、人類vsエイプの構図が不完全(ラストの戦いは単なる脱走劇)だし、エイプの勝利や人類の滅亡が明確でないのでカタルシスが足りない。そして着地した結末もオリジナル1作目につながる円環構造になっていない。
というわけで、あまり絶賛という感想ではありませんでした。見ている間はずっと面白いんだけどね。


映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』 感想

やれることはまだある。やるかやらないか、認めるか認めないかだ。


映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』を見ました。公式サイト↓
shin-kansen.com
もともとホラーやゾンビ映画はあまり得意ではない(怖いから)のですが、Twitterであまりに評判がよかったので見てきました。
面白かった!


ゾンビ映画は「謎の疫病発生→ゾンビ登場→拡散・パニック→どうやって倒すか、どうやって生き延びるか→最後まで生き残ったのは誰か」という王道展開があります。テンプレともいう。
この枠内でゾンビ映画のほとんどは作られてきて、過去に名作がいくつもある中、どうやって新しいゾンビ映画を作るかというのが作り手の腕(才能・アイデア・技術)なわけです。
王道のコード進行でありきたりではない新たな名曲を作れ、という依頼と同じ。過去の焼き直しではなく、ゾンビ映画のルールを逸脱することなく、名作を作る。難しい!


できていました。
新幹線という限定された空間で密室ホラーの要素も入れた設定。車両の号車で区切られる「安全・危険」の領域分け、次の号車へと進むアクションゲーム感などもこの設定で上手く作用しています。
そして、新幹線の中だけでは飽きてしまうので次の空間設定へと進める脚本の上手さ。
また、登場人物がちゃんと生きていて、それぞれにふさわしい行動と生き様・死に様を見せてくれる人物造形と脚本のリンク。この人だからこういう行動をとる→その結果状況が良くなるもしくは悪くなる→最終的にこの人はこうなる。だってこういう人だから。
実は主人公がいちばんその辺の行動原理を描けていなかったのですが、それもラストへの壮大なフリだったのです。


ゾンビ映画には、その作品内での「ゾンビとしての行動条件」があります。この作品では
●走るタイプ…物陰に隠れるのではなく、一生懸命走らないと殺される。電車に乗れるか捕まるかという危機感の設定にも上手く作用しています。
●知能は低い…ドアを開けることはできないので、扉を閉めればとりあえず危機回避できる。ここはちょっと都合いいなと思いましたが。
●暗闇では目がきかない…新幹線の走るトンネルを上手く利用できる設定。
●物音に反応…相手をおびき寄せる技に使える。
などが本作における「ゾンビのルール」です。


主人公のいけ好かないファンドマネージャーと娘、妊婦の妻を守る肉体派おっさん、自分本位のわがままおっさん、青春真っ盛りの野球部男女、一市民代表のおばさん姉妹、敵かな?味方かな?のホームレスお兄さん。
これらの登場人物が危機を拡大・回避しつつ、順番にゾンビの餌食になっていきます。みんなに肩入れしちゃうから「えー、こんな死に方かわいそう過ぎる!」「えー、こんなクソ野郎まだ生きてる!」「ここで活躍するのか!」等々こちらの感情も動かされます。


クライマックス。ここまで散々わがまま放題で他人を盾にして生き残ってきたおっさんがゾンビ化してラストバトル。主人公は何とか生き残ったが自分も感染してしまった!
ここで娘と妊婦の女性に遺言を託し、自決。うわー、主人公死んじゃうパターンか!お父さんと離れたくない娘の「ごめんなさい」で涙腺決壊!


ラストは軍に撃たれそうなところを歌声で回避。うわ、冒頭のあれ、伏線になってる!お父さんに聞いてほしくて練習した歌が、お父さんに救ってもらった命を軍から救った。上手い!


ゾンビ映画というテンプレとルールと使い尽くされた表現方法の中、もっと新しいアイデアはないか、もっと面白い設定はないか。大人が一生懸命考えて実現させた傑作映画です。
ハリウッド映画に比べればお金はあまりかかっていません。CGもアラは見えます。それでもこれだけの作品が作れるのです。ゾンビ映画というお客を選ぶ題材でこれだけお客を呼べるのです。
『マッドマックス怒りのデス・ロード』でも『シン・ゴジラ』でも、極端に尖った作品だったからこそ刺さる人には深く刺さり、その熱は多くの人に広まっていきました。
これだけみんなの好みが細分化して国民的ヒットが生まれなくなった現在、最大公約数を目指して70点取るよりある程度の母数の中で5億点取った方が結果的にヒットの幅は広がるのではないでしょうか。
ゾンビ映画でなくてもいいのです。映画会社はもっと作り手を信じて、作り手はもっと観客を信じて、面白いものを作ってください。


新感染 ファイナル・エクスプレス (竹書房文庫)

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