やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

ぼくの日本創生計画

ただの理想論だけど


去年少し書いて下書きに入れていたのですが、こういうのは1月中に出さないといけない気がして引っ張り出す。こうしたら日本はもっとよくなるよ、日本はもっとこうした方がいいよ、という私の理想と妄想。


1.同一労働同一賃金
同じ仕事しているのだから同じ給料を支払う。これ、本来なら当たり前の話ですよね。でも今は正規・非正規と分けられ、仕事内容に違いはないのに給与体系は大きく違います。
こういうことを言うと「正社員は責任が」という意見がありますが、実際の現場ではパートさんが矢面に立ったり責任を取って減給・罰金を受けることはあります。お店のカギ開けや売上金の管理を任されているところもあります。じゃあもう正社員と違わないじゃん。そんないいとこ取りでいいのか。
時短勤務や転勤不可等の制限があるからという意見も、それ、正社員でも仕組みとしてできている話ですよね。
非正規・パート・アルバイトでなければならないのは、雇用側の「安く使いたい、気軽に人数調整をしたい」という思惑だけですよね。
扶養の範囲内で働きたいという人ももちろんいますが、現在の非正規雇用の中で正社員になりたくてなれない人はどれくらいいるのでしょうか。
原則、雇用は正社員で雇い入れましょう。
※でもここで「原則」とすると、例外や抜け道ができちゃうんだよなー。


2.社会保障は国が担う
ではなぜ企業は正社員を雇いたくないのか。それは、「給料をなるたけ払いたくないから」とともに「給料のほかにかかるお金があるから」です。社会保険雇用保険などを払いたくないから、なるたけ正社員は少なくして、時給だけ払えばいい非正規雇用を増やすのです。
なので、この保険部分は国が担いましょう。一括して国民健康保険・年金をまとめましょう。
日本年金機構の把握漏れがニュースになりますが、これだって国民が転職のたびにきちんと手続していれば起きない話なので、国だけが悪いわけじゃない自己責任の話でもありますが、それでもその都度の手続きが面倒なのは事実です。
だから、国がまとめて面倒を見る。働いていようがいまいが、同じ保険料・年金を徴収する。企業からこの手間を開放するのです。そうすれば、正規・非正規の壁はだいぶ低くなります。
流動性の高い社会とは、就職しやすいとクビにしやすいの両面がセットになっている状態のことです。


3.給料を上げよう
なんと、日本は景気上昇がずっと続いているそうです。株価も高いです。上場企業は過去最高の利益を出しています。なのに、なぜ私たちの生活にその実感がないのでしょうか。
それは、給料が上がらないからです。
景気を測る指数にはGDP他いろいろありますが、国民の実質賃金の変化しかありえないと思うのです。名目賃金ではありません、実質賃金です。
安倍政権は「アベノミクス3本の矢」として財政出動、金融緩和を行い「物価の2%上昇」を目指していますが、なんでそっちに目標設定するんだよ。「実質賃金の2%上昇」でしょ。
物価が上がっても給料が上がらないならお金使えないので需要は増えません。金利も安いのであれば預金が増えることも期待できません。「金利が安い→銀行に預けても増えないのならお金をたくさん使おう」と思う人なんていません。
「物価上昇→金利上昇→デフレ脱却」なんて机上の空論でしかない。その机の上には企業や銀行しか登場していません。私たち国民が不在なのです。
どう考えても「賃金上昇→需要拡大→物価上昇」が現実の筋道でしょう。
政府はやっと「給料増やさないと法人税減税適用しないぞ」という飴鞭を使い始めましたが、遅すぎる。5年前にやれ。


企業だって、新規採用に大卒を希望している(非正規であっても!)くせに、社員には大学まで通える給料を支払わないのです。そんな不真面目な態度でいいのか。
企業の社員は、給料を支払う相手であると同時に、自社製品を買ってもらう消費者でもあるのです。自社の製品を買うことができない給料しか支払わないくせに「売れないなあ」ってアホか。
同じように、長時間労働で拘束しているから、自社のサービスを楽しむ時間を与えていないのです。生産者と消費者は同じ人だということに早く気づきましょう。


4.お金を使おう
国民がお金を使わないのは物理的にお金がない(日々の生活で精一杯)のもあるし、将来給料が増える見込みがない、利子が多くつく見込みがないというのもあります。後者は、将来への不安です。高度経済成長期には実際好景気でしたし、それは今後も続くとみんながおもっていたからお金を使ったのです。使っても来年にはもっと給料が増えると信じていたから。ローンを組んでも未来はもっと給料が上がっているはずだから返すのは可能だと信じていたから。


自分のお小遣いから何かを買うとその分お金は減ります。だからなるたけお金を使わないようにしよう、というのがバブル以降の日本人の考え方です。
それは間違っていませんが、「経済」という全体の目で見れば、「お金は使えば使うほど全体の富は増える」のです。自分が払ったお金は相手の収入になり、その収入で自分の商品を買ってくれるようになるのです。巡り巡って富の全体量は増えていきます。「お金は経済の血液」という表現は正しいのです。有名な知恵袋があるので読んでください。
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp


今は生活必需品が一通りそろっているので、新しくものを買うことは減りました。しかし、消費はものを買うことだけではありません。ライブに行くとか旅行に行くとか体験をするとか、そういうことも消費です。モノがあふれた現代だからこそ、コト消費が重要になるのです。


「経済は心理学」という言葉があります。端数を98円にするのはになっているのはこれが理由です。高度経済成長期に「ずっと好景気が続く」と信じてバブル崩壊まで右肩上がりだったのも、「この停滞期はずっと続く」と信じて誰もお金を使わない現在も、すべて同じ理由です。
経済は心理学なので、みんなが「お金は使った方がいい」と思えば、経済は回るのです。でも、どうすればそう思ってもらえるのかは分かりません…。社会保障費は増える一方だしね…。


5.東京一極集中からの脱却
日本は人口減少が始まっています。地方では過疎化や限界集落が話題になり、2040年には日本の半分の自治体が消滅するという予測があります。
なのに、東京は人が増え続け、保育所不足や待機児童の問題が話題になります。
このミスマッチは解消した方がいい。満員電車は経済的にもメンタル的にも大きくマイナスです。
でも、方策を思いつかない。東京一極集中はよくないと思っても、でもやっぱり東京は魅力的だし人口が多いというのは大きな武器だし(消費も集客も見込める)気候が安定しているのも様々な面でプラスです。
でも、ちょっと雪が降れば東京はマヒしてしまいます。これは東京が雪に対応していないというよりも、人が多すぎて一度に帰宅しようとするとキャパオーバーになりパンクしてしまうという構造的欠陥です。
雪ならまだしも、大地震がきたらこの比じゃない。まさに壊滅的な被害が起きてしまいます。
でも、方策は思いつかない。


6.道州制
ひとつの案として、道州制があります。47都道府県を8~12くらいの州に再編し、それぞれに東京都と同程度の権限を持たせる。


私はこれに関して全然詳しくないので深く語ることはできないのですが、イメージは『寄生獣』の後藤や『ワンピース』の麦わら海賊団や『7人の侍』の面々など。つまり、それぞれに強みを持った者たちが集まることにより、どこかがダメになっても組織全体として生き延びることです。
生物の生き延びる条件は「強さ」よりも「多様性」です。強くても、環境が変わって対応できなければ滅びてしまいます。だから、いろいろな性質を内包していた方が種族全体としては生き延びることができるのです。


組織も国も同じ。東京以外に「花の都」がいくつもできれば地方は活性化するし、東京の一極集中も分散する。これまでの地方活性化策が上手くいかなかかった要因のひとつは、県に少しの権限を渡してもそれでは全然足りないからです。州クラスの規模で、政治面も含めて権限を与えれば、大きな魅力と引力になります。
ただ、これは完全に理想論であり、これを実現しようとすると、数十年かかるでしょう。そもそもいくつに再編するのか、わが県はどこに入るのか、与える権限はどこまでか、これまでの市町村という単位をどうするのか、政治家・公務員はどう配置すればいいのか等々、決めなければいけないことや綱引きしなければならないことが山ほどあるので、国の形をまるっと変えるのは現実的には難しいですよね。


以上です。どれも簡単に実行できないことばかりだし、その財源はどうするんだとか、あちらが立てばこちらが立たずということも多いでしょう。でも、理想論を語るのは大事です。その理想に近づくためには何をすればいいのか、何が問題なのか、それを考え、問題をつぶし、タスクを実行していくしか「よりより未来」はないわけですから。
このエントリに対して「それは違う」「これが問題だ」「こうすればいい」など、意見が出ればそれで書いた甲斐があったってもんです。


↓どれも読んでいません。

日本列島創生論 地方は国家の希望なり (新潮新書)

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地方創生は日本を救うか:KPIランキングで読み解く日本の未来

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映画『ジオストーム』 感想

なんて映画だ!そういう映画だ(小峠と西村)


映画『ジオストーム』を見てきました。公式サイト↓
wwws.warnerbros.co.jp
まあ、こういう映画なので期待はしていないわけです。デザスタームービーは地球がいかにめちゃめちゃになるかが評価ポイントなので、物理的にありえない!などのツッコミは意味をなさないのです。まるでDisが効かない崇勲のような作品です。
ジャンクフードですよと分かっているのに「このハンバーガーはあのレストランより美味しくない」なんて言ってはいけないのです。激安風俗に行って嬢のレベルが低いとか文句言ってはいけないのです。


まあ、それでもやっぱりひどかったですけどね。


こういう映画がひどい脚本でも許されるか否かは、地球破壊描写の凄まじさによる。そういう意味では、物足りなかったです。砂漠地帯である一区画だけ凍りついているなんてとか、卵が焼ける暑さなら靴が焼けているよとか、波も凍る速度で寒波が襲ってくるのかとか、ドバイの津波はどこから来ているんだよとか、最後は衛星から直接熱線ビーム出しているじゃねーかとかのツッコミは野暮です。そこはいいんです。ただ、破壊が足りない。唯一は香港のビルドミノくらいかなー。あとは「異常気象」の枠を出ないパニック描写でした。
関係ないけど、ドバイの砂漠で津波に飲まれるラクダに乗っていた男は、邦画だったら松尾スズキだなーと思いながら見ていました。


主人公ジェイク(ジェラルド・バトラー)は全然科学者っぽくないなとか、弟マックスは特に何もやってないなとか、宇宙ステーションの主任の女性はまったく何もやってないなとか、宇宙ステーションのチームのみんなは何もやってないな(得意分野で活躍するのだと思っていた)とかは、よくない。ここはカミナリたくみくんのツッコミで読んでください。登場人物は雰囲気だけで動いているのでキャラが生きていない。
マックスの彼女サラはよかったです。スーツの女性に弱いという私の好みの問題かもしれないが。最初の「仕事中は公私混同禁止」と言いながら顔は嬉しそうとか、ベッドでいちゃいちゃしているときの胸の谷間とか、カーアクションしながら銃も撃つ姿とか、とてもよい。車の運転くらいマックスがすればよかったのに。本当に彼は「何となく忙しそうに必死そうにしている」けど、何もしていない。


手動で再起動すればウイルスも消えるなんて簡単だな!と思いましたが、ツッコミしてはいけません。それよりも、「異常気象が連続して起きると嵐が連鎖して『ジオストーム』という壊滅的な被害をもたらす」というプロットです。それ自体はいいのですが、それは時限爆弾のように秒単位で発生するのか?衛星を止めたら異常気象もその瞬間止まるのか?「天気」というアナログな事象を秒単位の危機感で煽ることに違和感を感じました。


いろいろな要素を入れようとして失敗している気がします。『アルマゲドン『2012』『デイアフタートゥモロー』『ディープインパクト』などのデザスター要素、『インターステラー』『ゼログラビティ』のSF要素、犯人は誰だのミステリ要素、トランプ政治にチクリと風刺をかましてやるぜ要素等々。もっと絞れよ。もしくはオリジナル要素で勝負しなよ。


ひどい映画です。でも、元々そういうつもりで見に行ったのでダメージはない。でも、その低い想定よりもさらに低かったですけど。
ハンバーガーも激安風俗も、とりあえず腹は膨れるし抜いてくれる。
ひどい締めでおしまい。


アルマゲドン [Blu-ray]

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2012 [Blu-ray]

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名コピーライター、あいみょん

昨年、『君はロックを聴かない』であいみょんを知り、アルバム『青春のエキサイトメント』を聴いたらとてもよく、その後インディーズ時代のアルバム2枚も聴いたら、こちらもとてもいい。この子は本物だ。安心し、確信しました。
ese.hatenablog.com
このエントリで「彼女は歌詞が評価されるがメロディメーカーとして素晴らしい」と書きましたが、やはり歌詞も素晴らしいのです。そこで、今回は彼女の歌詞に焦点を当てて書きます。『青春のエキサイトメント』の曲は前回のエントリを読んでください。

可愛くなる努力は医者に頼っちゃったけど
『○○ちゃん』

www.youtube.com
これは彼氏が欲しい女の子が主人公の曲ですが、サビのこのフレーズの破壊力!これだけで自分で努力しないだらしない女の子像が思い浮かびます。
しかも「頼っちゃったけど」という言い方の軽さで余計何も考えていない女の子像が強化されます。
具体的なことを言っていないけど、想像させる歌詞。これが「表現」です。

ゆさゆさうとうと走っている
まだあれから1時間とたってない
狭くて身動きもとれないから
目を閉じて明日を夢にみたんだ
『夜行バス』

地元兵庫から東京まで上京するときの曲です。この曲は全体で「東京に行くこと、親元から離れること、夢のために頑張ること」の不安と決意が描かれているので一部を抜き出すのは難しい。全体で味わってください。
抜き出したこの部分は2番のAメロです。1番で片道8時間のバスに乗っていることが描かれ、2番ではその少し後の状況です。長旅だから眠りたいけどバスは狭いし未来は不安だしなかなか眠れない。物理的に狭いということもあるでしょうが、今の精神的な状況も表しているのではないか。で、不安を打ち消すために目を閉じて未来を夢見る。

現実逃避を繰り返す日々は
思えば楽だった 最高の友達でした

強くはなりたい
でも弱くもありたい
『19歳になりたくない』

これは18歳最後の日の心境を歌った曲です。大人になるということは現実を生きるということ。学生時代のはしゃいでいた毎日は楽しかったけどそれはやはり現実逃避で、これからは自分で嫌な現実から目をそらさず対峙していかなければならない。
そして後半の「強くはありたい/でも弱くもありたい」という歌詞。現実と闘うために強くなりたいけど、今までの感性・感情のままの弱さも持っていたい。この未来と現在の対比、上手い!

ドンキにたかる若者集団
『泥だんごの天才いたよね』

この曲は高校生特有の「うちらイケてる!」という集団最強心理を上手く描いているのですが、その中でもこのフレーズが最高。
「たかる」です。凡人だったら「集まる」とか「たむろする」という書き方をしますが、「たかる」ですよ。夜のライトに集まる蛾や羽アリ扱いですよ。これ、「正解!」じゃないですか。上手いなー。

揺れるたびのオトナになり
揺れるたびにオンナになる
『おっぱい』

www.dailymotion.com
そもそもタイトルで勝ち!なのですが、歌詞もいい。エロスにならないおっぱいの話。この「揺れるたびに」は文字通り「おっぱいが揺れる」のと「少女と大人の女性の間で揺れる」の両方を表していますよね。

私に彼氏ができない理由は
極度の人見知りと
好きな人に気づかない鈍感さかな?
そうかな
『私に彼氏ができない理由』

これは自分に彼氏ができない理由をあれこれ述べている曲なのですが、ラストの「そうかな」で「実際はそんな理由じゃなくて、お前が自ら行動しないからだよ!」と突きつけるのです。この一言で逃げと甘えを糾弾!

浮気はしたさ
数えきれないほどお前を泣かせた
痛かったろう 心傷ついて
『ほろ酔い』

www.youtube.com
これはダメ男な元カレが飲み屋でクダ巻いている曲です。そもそもへべれけなのに「ほろ酔い」なんて言っている時点でお前はダメだ!
で、ここの部分ですが、この曲は男の一人称独白の曲なので、「心傷ついて」って変だなと最初思いました。だって傷ついたのは彼女の方なんだから、「傷つけて」だろうと。
しかし私は気づいてしまいました。こいつは、自分が彼女を傷つけたという意識がないのです。自分が「傷つけた」のではなく、彼女が勝手に「傷ついた」と思っているのです。こいつは本物のクソ野郎だ!こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーッ!
これ、あいみょんは意識的なのでしょうか。それだったら本当にすごい。この言い回しひとつでこの男のクズっぷりが10倍になります。

あいつの全てを知り尽くし
尻に敷いてしまいたいわ
良い子のふりしたマトリョーシカ
ふたつめの顔見せましょうか
マトリョーシカ

ここでは韻踏みの話を。「知り尽くし」「尻に敷いてしまいたいわ」「マトリョーシカ」で意識的に「し」を多用しています。厳密にいえば韻踏みではないですが、同じ音を多用することで歌詞とメロディとリズムを強調する効果があります。

いってきますのキス
おかえりなさいのハグ
おやすみなさいのキス
まだ眠たくないのセックス
『ふたりの世界』

www.youtube.com
この曲、オープニングではラブラブカップルのありがちな日常を描いていたのに、4行目でいきなりセックス!こういうぶっこみがリスナーの耳を惹きつけるのです。コピーライターとして優秀。
実際カップルの日常にはセックスはつきものですが、普通のポップスの歌詞では描かれないですよね。そこを書くあいみょんは非凡だ。

タイムカードはこんなに真っ黒に埋まってんのに
今日もポケットの中は紙くず銅メダル
『風のささやき』

無力感と焦燥にかられる若い男の子を描いた曲。ピックアップしたこの部分は、毎日アルバイトで頑張っているのにお給料はそんなにもらえない悲哀を表しています。本来ならあるべきお札と硬貨ではなく、紙くずとメダル(しかも金ではなく銅!)しか自分にはないのだ。メダルだからゲーセンかパチスロかな、と思ったのですが、銅メダルとなると違うのかな?ここの解釈は分からないです。


『青春のエキサイトメント』に収録してある他の曲については前回のエントリ読んでください。
いくつか紹介しましたが、どうですか、すごいでしょ。私の勝手な解釈なので本人の思いは違うのかもしれませんが、受け取り方は自由だ。
そして、前回のエントリから何度も書きますが、彼女は「歌詞の人」ではありません。名曲を作るメロディメーカーでもあります。今年ブレイクしちゃうから早めに知っておいて「俺、昔から目をつけていたんだよねー」と自慢しちゃいましょう。


tamago

tamago

憎まれっ子世に憚る

憎まれっ子世に憚る

映画『キャリー』 感想

プロム怖い


映画『キャリー』を見ました。1976年のオリジナルの方。
私、ホラー映画はこれまでずっと見てきませんでした。だって、怖いから。でも最近ホラー映画ブームで何本か見たら「怖いとグロいは違う」ということを知り、それなら過去の名作も見ようと思い、借りてきました。


面白かったです。
普段旧作の場合はあまりブログには書かずTwitterで一言呟く程度なのですが、ちょっと語りたいことがいくつもあるのでこちらに書きます。とはいえ、映画の出来の話ではなく、見ながら思ったことをつらつらと。


オープニングのバレーボールシーンの後、更衣室とシャワーシーン。ここ、いきなりおっぱい出まくりでびっくり!往年のバカ殿かよ(バカ殿の方が後だけど)と思ってしまいました。ヌードモデルとかでなく、一般の女優さんたちなんでしょ?偉いなあ。


キャリーのお母さんはキリスト教の狂信的な信者で、娘に生理のことも教えないし初潮がきたら「穢れた・罪を負った」と責めるのです。そんなこといったってどうしようもないじゃないか、母さん!と私の中のえなりが叫んだよ。
この母は、この作品の中では宗教にはまりすぎた狂信的な虐待ママという描かれ方ですが、今の価値観で見ると「毒親」ですよね。娘をコントロールしたい、自分の価値観の下で操作したい、自分の世界の中に置きたい。だから成長や自我の目覚めや自己主張が許せない。宗教はその言い訳やツールに過ぎない。
母親役のパイパー・ローリーさん、素晴らしかったです。アカデミー賞助演女優賞ノミネートも納得。この時代だから受賞できなかったのも仕方ない。


そしてもちろん主役のキャリー役だったシシー・スペイセクさんも素晴らしかった!私、この方のこと全然知らなかったのですが、ウイキペディアを見たらずーっと女優やっていて有名な作品にもたくさん出ているのですね。
いじめられっ子、プロムの誘いを「私なんて」と断る自分に自信のない女の子、プロムに行くことに決めてウキウキの女の子、プロムでまだ自信なさげな姿、徐々に嬉しく楽しくなっていく表情、ベストカップルに選ばれて歓喜の絶頂にいる女性。そしてそこから絶望のどん底に突き落とされて覚醒するキャリー。素晴らしい。
それにしてもキャリーは可哀そう。生理のことを教えられないのも可哀そうだし、学校でいじめられるのも家庭環境のせいでしょうし、自分の自由意思を持てないのも、全部母親のせい。可哀そう。で、この抑圧が能力の覚醒を引き出すわけです。


この映画はキャリーが超能力を発現させるお話ということは見ている私たちは全員知っているので、プロムの部分はこの後のクライマックスのためのフリだということも分かっているのです。なので、ずーっと切ない。まあ、物語上もプロムはドッキリの仕掛けなので同じなのですが、切ない。ずーっと「志村、後ろ後ろ!」と思いながら見ていました。


あと、プロムってすげーハードなイベントですよね。あれってスクールカースト上位の人たちは楽しいイベントでしょうが、オタク(ナード)の人たちはどうするの?行かないの?『桐島、部活やめるってよ』を思い出した。
日本ではバレンタインデーだって一大イベントなのに、そんなレベルの話じゃないですよね。女の子に声かけてタキシード等きちんと着飾って女の子をエスコートしてダンス踊ってなんて、ここを成功させた人とそうでない人でその後の人生大きく変わるような分水嶺ですよ。成人式とかいつ童貞・処女卒業するかよりも大きく、外からも分かる「イケてる・イケてない認定式」ですよ。


クライマックスの超能力発動シーンは、思ったよりおとなしかったな。この時代だから映像的な演出があまりできないというのもあるでしょうが、ホースの水くらい逃げられそうだけどな。
その後の家のシーンはちょっと冗長だった気がします。あれだけのクライマックスシーンの後なのでもうすぐ終わるのかな?という気持ちで見ていて「まだあるの?まだあるの?」と思いながら見ていました。
やっと母の胸に抱かれたキャリー。なのにその娘を包丁で刺す母親!そりゃまた能力発動しますわ。その結果家じゅうの刃物に刺されて母親死亡。ちょうどお仕置き部屋に飾ってあったキリスト像と同じポーズです。
そしてそんな母親をまだ愛していてこんなことをしてしまった自分を許せないキャリーは家ごと崩壊させます。


ラストの崩壊した家の跡地の地面からキャリーの血まみれの腕が出てくるシーンはびっくりした!ヒッチコックかよ。
この作品は続編があるんですよね。どうやって続編作ったんだろ。みんな死んだよ。


面白かったです。見る前はもっと超能力がばんばん出てくる物語だと思っていたのですが、これはクライマックス一点集中パターンだったのですね。
続編もクロエのリメイク版も見てみたいです。


映画『彼女がその名を知らない鳥たち』 感想

最低な人たちによる最低なラブストーリー、最高だ!


彼女がその名を知らない鳥たち』を見てきました。公式サイト↓
kanotori.com
公開直後から評判よくて見たいなーと思っていたのですが私の地元では上映せず、諦めていたのが何と今になって上映してくれました。うれしい。というわけで見に行きました。


面白かった!お話、演出、演技、どれも素晴らしい!
(以下、ネタバレ含みます。ネタバレが重要な作品なので、知りたくない人は読まずに映画館へ走れ!)


これ、沼田まほかるさんの原作だったのですね。何も知らずに見に行ってたわ。なので、最低な人が出てどんでん返しがあって、後味は悪いのに最高!という分裂した感想になるのだな。
ese.hatenablog.com
(映画版は見ていません)


登場人物が全員最低なのに映画として最高ってどういうことだ。白石和彌監督の手腕の賜物ですな。
冒頭、蒼井優演じる十和子のクレームに早速イライラ。「できないってどういうことですか。どうでもいいってことですか。この時間をどうしてくれるんですか。人と人の話でしょ」あー、イライラする!こういう店側としてはどうしようもない言い方をする人大嫌い!どうしようもないんだから現実的な選択をしてくれ。どうでもいいとは言えないし時間を返せとか誠意を見せろとかはどうしようもないよ!
もうここから蒼井優が上手すぎて。関西弁も流暢だし会話の揚げ足取りも上手い。既に100点出てます(イライラしながら)。


同居人の陣治(阿部サダヲ)は汚ったない。十和子への愛は十二分に感じるのですが、押しが強すぎて嫌悪感がある。同居しているのに寝室も別で、マッサージしろと言われるけど手を出すと怒られるし、かわいそうな面もありますが、汚ったない。食事中に差し歯を外すな!靴下を脱ぐな!足の皮をむくな!
どうでもいいことですが、途中十和子は陣治に手マンされていますが手マンだけでいいの?クンニは?


クレーマー十和子はデパートの男性・水島(松坂桃李)からの丁寧な電話でも埒が明かない。あー、イライラ。家に伺うという電話で最初は断ったくせに顔を確認してイケメンだと分かると家に招く十和子。こらー。
ここでもクレーマー気質を出し謝罪は上手くいかなかったのですが、ここで何と水島が十和子にキス!いくら何でも初対面でそりゃないぜと思いましたが、映画は2時間しかないので話はさくさく進めましょう。また、この後の水島を見ているとこの行動にも納得するのです。白石監督の演出と松坂桃李の演技力の力技!


で、すぐにこの二人はセックスするのですが、これがエロい!十和子に「あー」と言わせてそのまま舌を絡めるキスもエロいし、蒼井優はブラも取るのです!上手い手の演技とカメラワークで乳首こそ映りませんが、蒼井優すげーな!その後パンツも脱がされるし背中越しの騎乗位もするし、蒼井優すげーな!
セックス後、水島の左手には結婚指輪が!お前既婚者かよ!最低だな!


あと、セックス後に部屋の天井から砂が落ちてくる描写があるのですが、これはどういう意味なのですか?どなたか教えてください。


十和子は昔別れた男・黒崎(竹野内豊)がまだ忘れられない。でも、この黒崎も最低なのです。ビジネスの有力者?國枝という男と寝るように十和子に要求するのです。自分のビジネスのために恋人をNTRさせる男。しかも國枝の姪と結婚することが決まると一方的に十和子を捨て、すがる十和子に殴る蹴るの暴行を加える男。口から血をコポコポさせている十和子は可哀そうすぎるよ!
なのに十和子はまだ黒崎との上手くいっていた頃を思い出したりハメ撮りDVDを見たりするのです。


その黒崎と重ね合わせているのでしょう、水島との関係もずるずると続いていて、姉(赤澤ムック)は黒崎と会っているんじゃないかと疑います。お姉さん、その心配はありがたいですが、妹の家に行って同居人もいるところで言わなくていいんじゃない?それは正論だけど、言うべき場所やタイミングってのがあるんですよ。で、姉の旦那は会社で不倫中。
この「正論だけど分かってない」感じがダメな人ですね(さすがに最低とまでは言わないけど)。本当にこの作品に出ている人は最低な人ばかりだ。


この後、陣治が黒崎を殺して埋めたと告白。あー、陣治の強すぎる十和子への愛はこうやって歪んで発現しちゃったのかー、とこの時点で私たちは思うわけです。


水島のダメンズっぷりはまだ続きます。奥さんがいながら十和子とは別の女性と食事に行き、突然会った十和子には時間がないからと外でフェラチオさせるのです!あんなところ、誰か来ちゃうぞ!ここで股間に顔をうずめ顔を前後させる蒼井優、すげーな!そして声を漏らす松坂桃李、やべーな!
重要書類が紛失して陣治を疑う水島でしたが、実は社内の連絡ミスで書類は出てきました。直前まで十和子にガン詰めしていたくせに事態が解決すると急に「食事の前にホテル行くか」と性欲を前面に出す水島。サイテー。


ここで突如水島にナイフを突き立てる十和子!陣治が飛び出して十和子を止め、「警察に行くならやったのは俺だと言え。しかしお前の悪さも全部証拠あるからな」と脅します。
そしてこの行動で過去のことを思い出す十和子。黒崎を殺したのは自分だった!!!!


全てを思い出した十和子に対し、全部自分のせいにして十和子は別の男と結婚して子供産んでくれとお願いする陣治。そして、公園の柵から身を投げる陣治!
ここから走馬灯の回想シーン。陣治と十和子の出会いから今に至るまで。


ああ、ストーリー全部書いちゃった。「あなたはこれを愛と呼べるのか」という本作のキャッチコピーは陳腐ですが、この作品のテーマそのものですね。
俳優たちの演技は皆さん素晴らしかったです。阿部サダヲの汚い、気持ち悪い、過剰な愛情、そしてすべてを背負う純粋な愛。松坂桃李の今後の俳優人生にプラスになるのかマイナスになるのか分からない素晴らしくペラペラな男。竹野内豊の声はいいしいいこと言っているようで最低な打算男。
でも、やっぱり蒼井優が優勝でしょう!この作品を見た女優はみな悔しがるはず。もしくは圧倒的な差に打ちひしがれるはず。それくらい「多面的なのに同じ人」を演じていました。クレーマーも不倫も同居人への悪態も恋人に甘える仕草も、それぞれは全然別ものですが人は多面的なので、実際の人間はそんなもの。それを物語上でも同じ人としていろいろな顔を見せてくれました。ラストの飛び降りる陣治を見る「どうしようもない感情がぐちゃぐちゃになっている顔」なんて最高じゃないですか!


見ている途中は「カップルで見に来たら鑑賞後絶対セックスしたくなるだろ」と思いましたが、ラストまで見ると「不倫おっかねえ!」になります。
いい原作といい俳優といい監督がいい化学反応を見せると、こんな素晴らしい作品ができるのです。傑作でした。