やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

情報や創作にお金を払うという意識について

CDが売れない。レンタルできるから。YouTubeで聴けるから。もちろん違法ダウンロードも。
辞書や旅行ガイドブックや時刻表も売れない。スマホですぐ調べられるから。
こういう社会が当たり前になると、お金を使って情報や創作物を手に入れることが馬鹿らしく思う人も増えてくるんだろうな、と思います。




このツイートに対して、「図書館で借りて読む本というのは『おめーの作品に金を払う価値は無い』ということ」と書いた人がいます。

図書館やレンタルや違法ダウンロードで消費されるコンテンツ - ロックンロールと野球とラーメン


何だか、残念な気分です。
能町さんに「図書館で借りて読んだ」と言った人は、「金を払う価値がない」と無意識的に思っていて、そしてそれが「恥ずかしいこと」「著作者に対して失礼ということ」だという意識すら無かったのだと思います。
無料でコンテンツを手に入れることに対して罪悪感がない。悪を悪とも思わず、ということではなく、それが悪(ちょっと言葉がきついなら「恥」でもいい)ということすら知らず、ということだと思うのです。
そして、このブログ主さんも同じように思っているのでしょう。


それに対してこのような意見もありました。


でも、この人(能町さんに発言した人)にそう言っても、多分伝わらないと思います。「次は早く予約します!」とか言いそう。


音楽は繰り返し楽しむコンテンツですが、文章は繰り返し読むことは少ないです。
音楽はライブという「そこでしか体験できないコンテンツ」という要素も持っているし、タオルやTシャツなどの物販という商売方法もあります。カラオケで歌っても印税は発生します。
しかし、本はそういうことができません。何千人も集めて朗読会をしたり、グッズを売ったりすることは難しいです。サイン会でも数十人から百人単位だし、ライブチケットのような金額を取ることもできません。
もちろん、今後このようなやり方をする人が出てくるかもしれませんが、主流には成り得ないでしょう。
つまり、作家は基本的には「本を売る」しか収入を得る方法がないのです。
CDアルバムは3,000円で、本はハードカバーで1,500円。シングル1,200円と文庫500円。定価にも差があります。これくらい、出せませんか?
そして、レンタルCDはアーティストにもちゃんと著作権料が発生しますが、図書館はその本を購入した1回きり。


音楽と本はコンテンツとしての消費方法(楽しみ方)に違いがあるので、一概に並べて論じるものではないと思います。
なので、図書館を「撒き餌」な感じに捉えればいい、と思うことには非常に抵抗があります。
ただ、図書館で借りること自体は違法でも何でもないので責めることではありませんが、作者のことを考えれば「発売後半年は図書館への提供禁止」くらいのルールはあってもいいと思います。「お金のない生活弱者のため」という意見があるかもしれませんが、小説などはそんなに急いで読む必要はないでしょうから、問題ないと思います。そんなに急いで読みたい人は買えばいいんだし。


音楽や本に限らず、コンテンツや情報は無料ではありません。作者にお金が還元されなければご飯も食べられないし、創作意欲も湧きません。「称賛」や「やりがい」だけではおなかは膨れません。


この辺、普通の買い物でも同じことが起きているように思います。
少しでも安い方へ。その結果、労働者は安い給料で給料以上の働き(長時間労働や価格以上のサービス)を求められ、消費者はブラック企業の片棒をかついでいるのです。
何事も「相応の対価」を払わないと、回りまわって自分の首を絞めることになりますよ。


最後は少し話が逸れましたが、「明日も魅力的なコンテンツを楽しむために、今日ちゃんと対価を払おう」ということです。