やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「バイオハザード: ザ・ファイナル」 感想

「最期」とは


(ネタバレありますが、この映画にネタバレが何の意味を持つというのか)


バイオハザード』シリーズの第6作にして最終作を見てきました。公式サイト↓
www.biohazard6.jp
キャッチコピーは「見届けよ、最期。」。「最後」でなく「最期」ということは誰か死ぬのね。


私はこの作品は劇場で見たことなく、冬に最終作が公開されるというので秋に1~5をレンタルして見た程度の新参者です。ゲームもしたことありません。小説も読んでいません。
第1作の感想はこちら↓
ese.hatenablog.com
過去作の感想は

●1:面白かった。ホラーでありSFでありアクション映画。おいしいところの詰め合わせ。
●2:1の拡大版。
●3:アリスの超能力発動。「氣」で何でも吹っ飛ばします。AKIRAとかドラゴンボールの世界。もはや何でもあり。
●4:やっぱり超能力は何でもありになりすぎるので、注射で超能力のみ除去。話は毎度同じ。
●5:全世界を舞台にすると大変なので、シミュレーション施設のみの箱庭世界にしました。完全にゲームをただ実写化しただけ。ラストでもう一度超能力復活させる。注射万能すぎ。

です。正直、シリーズが進むたびにつまんなくなっていき、しかしその分「もう真っ当なツッコミは意味を持たない。揚げ足取りをする作品ではない」というほどに成り上がりました。設定もストーリーもご都合主義すぎる。死んだと思われた登場人物は「クローン」という万能ワードで何度でも復活します。ゲームであり「魁!男塾」であり。


最初に本編に関係ない話を。
本作はミラの妊娠により撮影が延期され、撮影中もまだ授乳中でアンデッドに子守をしてもらいながら撮影をしたなんていうエピソードを目にしました。「なのでアリスは巨乳なの」とミラ本人も言っていましたが、確かにいつもより大きかったです。でもアリスなのでエロスは感じない。
それにしても授乳中なんてまだ出産直後じゃないか。そんな状態でこんなアクションをこなすなんてミラ・ジョヴォヴィッチすごいなー。旦那が監督だからいろいろケアは万全だったと思いますが、それでも大変だっただろうなー。


というわけで本作。
まずオープニングでアリスが「これまでのあらすじ」を語ってくれます。これで初めて本作を見る人(そんな人いるのかな)も安心。
この作品は毎回エンディングで「続編ありますよー」という終わり方で、『5』はウェスカーも仲間になりホワイトハウスでいざ最終決戦!という終わり方だったのですが、始まったらその戦いは終わっており、アリス一人だけ生き残っていました。仲間は?ウェスカーは?
うるせえ!そんなの関係ねえ!既にご都合主義は始まっているのです。ツッコミをした方が負けです。
ここで最初のクリーチャーの登場にはびっくりした。「突然出てくる」という万能のおどかし。いいんです。ホラー映画はこれでいいんです。
次に出てくる怪鳥との戦いでは、たまたま車がありたまたまカギが挿さっておりたまたま地雷が車に積んでありという、本当にたまたま好条件が重なっていて勝利。いいんだよ、アクション映画は「すごいアクション」を見せるのが仕事なんだから、「たまたま」というご都合主義は何も悪くないんだよ。


まあ、その後もご都合主義で進んでいくのですが、ツッコミは無用なのでいちいち揚げ足取りしません。前作ラストで復活させた超能力も一度も発動しません。というか、前作と切り離されたような本作でした。


しかし、上に書いた通りアクション映画は「すごいアクション」を見せるのが仕事なのですが、そのアクションの見せ方が気に入らない。アップとブレまくるカメラのため、何をしているのか何が起きているのか全く分からない。「何かすげーこと起きている感」だけで乗り切ります。「感」禁止!ちゃんと見せてくれ!
この作品には辻褄とか細かいこと言わないので素晴らしいアクションだけ見せてくれと思っていたのですが、その唯一の望みすら絶たれてしまいました。


アンデッドを生み出してしまったウイルスは、元々はアンブレラ社創業者の娘アリシアの病気(実年齢以上に歳を取ってしまう)の治療のために開発されたものでした。それが莫大な利益を生み出すビジネスになったためその創業者を殺し、悪徳業者になったというアンブレラ社のストーリー。
そしてその娘のデータを使って生み出したのがマザーコンピュータである「レッドクイーン」。その娘は病気は治ったが完治せず、実年齢以上に年老いていながらアンブレラ社の取締役でした。ここで「なぜこいつは生かしておくんだ」というツッコミは無用だ!
レッドクイーンを演じたのが監督ポール・W・S・アンダーソンと主演ミラ・ジョヴォヴィッチの娘なのです。こんなハリウッド超大作に身内ばかり出演させてどういうつもり?と思ったのですが、実はアリスはアリシアのクローンだったのです。
つまり、レッドクイーンはアリスの幼少期なので、ミラの娘が演じるのにはちゃんと意味があったのです。おお、そうか、じゃあ文句言えない。
ついでに、年老いたアリシアはミラが老けメイクで演じています。レッドクイーン、アリス、アリシアは同一人物だったのです。なるほどー。じゃあ文句言えない。
でも、これまで散々アリスのコピーを生み出してきたこの作品が主人公のアリスですらクローンとなると、もはやアイデンティティなんてものは存在しないのですね。


ラスト、抗ウイルス剤の入った容器を破壊すると数千体のアンデッドは即死亡。いいんです。
アリスもウイルス保有者だから死ぬはずが、「体内にあるウイルス部分のみ破壊」なので死にませんでした。いいんです。
じゃあ、キャッチコピーの「最期」はウソなのか。いいんです。ツッコミ無用なのです。


アンダーソン監督は、単純に能力が足りないのだと思います。アイデアも技術も。
でも、このシリーズがここまで続いたのはこれまでの作品がヒットしたからで、そう考えると映画会社からすれば有能な監督なのかしら。これまでの作品を見た人は「次も劇場で見たい!」と思ったのかな。毎回「続編ありまっせ」という終わり方だからついつい見ちゃうのかな。そう考えればやはり有能なのか。見た人は毎回「面白かった」と思っていたのかな。


そして、ファイナルである本作でもエンドロール後に「あなたたちはここでみんな死ぬのよ」というレッドクイーンの声があるのです。えー、まだ続けられる余地を残しているーーー!!!!
確かに、アンデッド即死亡だった抗ウイルス剤も、全世界に効くにはあと数か月かかるからまだ戦いは終わらないというラストだったな。
えー、もしかして新シリーズもしくはリブートの可能性あるのかー。有能な監督めー。


最後に、ローラの話を。
出てます。セリフも二言くらいあります。そしてすぐ死にます。以上。
いや、十分なちょい役だったと思います。日本向けにサービスしてくれたのだとは思いますが、十分でしょう。「ローラ死にましたよー」のショットもとても分かりやすく、「結局ローラどうなった?」と思う人はいないでしょう。
あ、もしかして「見届けよ、最期。」の「最期」とは、ローラのことだったのか!
謎はすべて解けた!