やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

スターを叩くな

スターは庶民ではないからスターなのだ


ネットの普及、とりわけSNSの普及により、芸能人・有名人と私たち庶民の線引きがあいまいになってきました。Twitterなどで直接有名人に意見を伝えることができ、運がよければその有名人からリプライ(返事)をもらうことができる時代です。
一般人でも多くの読者やフォロワーを持つアルファブロガーやアルファツイッタラーという存在もいて、その界隈では有名人です。
有名人が身近になり、一般人の発信力が強まった時代。それが現代です。


そうなってくると、有名人が何か失言をしたり失敗をしたりするとすぐに話題になり、叩かれ、炎上するようになります。
リップサービスで過激なことを言うと曲解されたり言葉尻を捉えられたりして、批判される。以前だって同じことは起きていましたが、その文句は井戸端会議の中で消費されておしまい。世間や世論という大きさにはなりませんでした。
それが、今ではTwitterですぐさま拡散されます。その指摘を見て、当初は何も考えていなかった・気づかなかった人たちも「そう言われてみればそうだ。成敗!」となるのです。


とはいえ、数千のRTなど、世間全体から見ればほんのわずかな「一部の声」にすぎません。しかし、それをマスコミがわざわざ拾い上げて「おーい、こんな声がありますよー」と拡声器でがなり立てる。ほんのわずかな一部の声をあたかも「世論の大勢」のように報道するのです。
マスコミにとってはその意見が正しいかどうかは関係なく、自身のPV数が伸びれば、視聴率が上がればいいので、内容の是非ではなく「炎上の可能性」が取捨選択の基準になります。より話題になるものを、より炎上するものを選ぶのです。
こうしてわざわざ引っ張りあげられた一部の声をその有名人にぶつけて、その反応を窺います。有名人は自分が悪いと思っていなくても(実際何も悪い発言や行動でなくても)、ここで突っ張るとまた叩かれるのでとりあえず謝罪。
自分の声が世間の声になり有名人を動かした!その結果を見て溜飲を下げる一部の人は、また次なる獲物を探してネットを徘徊するようになるのです。


こうなると、有名人は問題発言をしないように気を付けるようになります。リップサービスよりも無難な発言、正直な気持ちより穏当な意見に終始してしまうのです。
結果、今の有名人は「させていただく」のオンパレードです。無難でつまらない発言だけが週刊誌やワイドショーに掲載されます。これは、芸能人に限りません。スポーツ選手もミュージシャンも、はみ出るとすぐ叩かれるので安全枠の中で活動・発言するようになります。


この状況、誰が得していて誰が楽しいですか?
XジャパンのYOSHIKIさんには「カレーが辛くて怒って帰った」「シャワーが熱くて怒って帰った」という鉄板ネタがあります。もし今こんなことがあったら叩かれるでしょう。
もっと昔の芸能人はさらに豪快なエピソードがたくさんあります。銀座でどれだけ豪遊したとか愛人が何人いて隠し子が何人いたとか。今では考えられません。


なんで叩くの?単なる羨ましさと僻みでしょ。「羊水発言」だって不倫問題だって、法律違反ではありません。ある程度の批判は仕方ないと思いますが、そこまで徹底的に、いつまでも叩く必要はないでしょう。
薬物など「犯罪」は批判されてしかるべきですが、それだって刑期を終えたらもう叩くのはやめましょう。それで償いは終わっているのだから。それが法治国家です。もちろん人気も好感度も地の底ですからすぐに今まで通りというわけにはいかないでしょうが、いつまでも「あのときお前は」と言うのは「お前のおしめを換えてあげた」といつまでも言う親戚のおじさんと同類です。いつまで言うねん!


スターは、私たちとは違うからスターなのです。
そんなスターの破天荒な生きざまを叩いてどうする。スターなんだから破天荒でいいだろ。スターなんだから特別で当たり前だろ。私たちと同じ常識の範疇に収めるのはスターの魅力も能力も削ぐ行為です。
スポーツ選手がビッグマウス発言してもいいじゃない。ミュージシャンが女関係にだらしなくてもいいじゃない。芸能人が派手な生活してもいいじゃない。お笑い芸人が無茶な生き方してもいいじゃない。


スターはある程度治外法権でいいじゃない。スターなんだから。


2016年は「不倫がこの世の一番の悪であること」が決定事項になり、「たった一度の過ち」で全てを失うことが当然になりました。2017年はこれを基準としてマスコミ社会は動いていくのです。
こんな社会嫌だ。プライベートの暴露はいらないし、その内容も非難する必要のないことばかり。謝ってもいいけど、過度の自粛は必要ない。
過度の批判は自分たちの憧れや楽しみを奪う行為です。こんな時代、誰も得しませんよ。スターに特権を返してあげましょう。