面白いのに上手くない
映画『ライフ』を見ました。ベン・ステイラーの方ではありません。(こっちもいい作品なので見てね!)
ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファーガソン、ライアン・レイノルズ、そして真田広之。すごいメンツだ。でも、タイトルもジャケ写も予告編も、なんだかB級っぽい。なので公開時は劇場に見に行きませんでした。あまりTwitterでも目にしなかったな。
で、見てみたらおもくそ『エイリアン』のお話で、「二番煎じだなー」と思いながら見ていたのですが、ラストの展開にびっくり!!思わずレンタル作品なのにブログで書いちゃう。Twitterだとネタバレ書きにくいし。
というわけで、これからネタバレあります。未見の人は見てから読んでください。
火星で岩石を採取したら生物がいました。仮死状態だった生命体の温度を上げたら動き出した!わーい、育てよう。カルビンと名付けよう。徐々に大きくなってきたところで機器の不具合により実験室のカルビンが動かなくなっちゃった。生き返らせるために電気ショックを与えよう。お、動いたぞ。と思ったら反撃してきたぞ!
というところでここから『エイリアン』マナーの作劇が始まります。
カルビンは徐々に大きくなり、賢くなっていき、それに伴い乗組員は一人ずつ死んでいきます。
「子供が生まれたよ」←死亡フラグ!
「仲間を助けなきゃ!」←フラグ!
「船外で作業しよう」←フラグ!
「やっと助かった」←フラグ!
完璧に死亡フラグを立てまくり、その通りに死んでいきます。ベタ!
それでも、こういう作品は「登場人物の行動がアホすぎるから次々に死んでいく」パターンが多いものですが(『コヴェナント』とか!)、この作品は基本「仲間を守るため・助けるため」という自己犠牲で死んでいきます。
それでも、あまり面白くない。もっと「彼の決死の行動により助かった」→「と思ったら敵の方が一歩上手だった!」みたいな安心と恐怖・絶望の揺り戻しが少ない。
見せ方が下手なのかな。
カルビンが反撃するきっかけは電気ショックです。そして劇中もカルビンを「賢い」「知能がある」と描いているので、もしかしたら地球人に懐く可能性もあったわけです。その電気ショックも悪意があって行ったわけではなく、カルビンを助けようとしてやったこと。ただそれがカルビンにとっては攻撃に見えたのでしょうね。そりゃそうだ。
この、どちらにも理がある描き方は上手いのに、面白くない。見せ方が下手なのかな。
カルビンの造形は、好き。イカのようなクリオネのような透明なヒトデのような。顔(特に目と口)がもう少しはっきりしているとキャラ立ちしたのにな。
船外活動(無酸素)できちゃうのはやりすぎだよなー。あれだけ「酸素大好き」で描いているなら、「無酸素では死ぬので、酸素のためなら人も殺す」もしくは「無酸素だと仮死状態になり、動きが鈍くなる。でも近づくと瞬間的に動く」とか、何かしら枷がないと無敵すぎる。
いろいろあってみんな死んで、残りは2名。脱出用ポッドで地球に戻る人と宇宙の藻屑になる人。ジェイク・ギレンホールが「自分は地球には戻りたくない。自分が犠牲になるから君は地球へ戻れ」と最後の自己犠牲決断。
カルビンとともに宇宙へGO!もう1機は無事地球へ不時着。アジアの海に不時着したポッドに近づく漁師。中にいたのは…ギレンホール!!
こっちが地球に来ちゃった!もう1機は宇宙の藻屑へGO!
「開けるな!」の声も虚しく(聞こえなかったのか英語が理解できなかったのか)、開けちゃう漁師。上空からの引きの画では、他にも近づいてくる船たち。あーあ、こいつら全滅だよ。
というわけで、なんつー鬱エンドなのか!!まるで『ミスト』のよう。
ジェイク・ギレンホールといえば『ドニー・ダーコ』『ナイトクローラー』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のクセのある役どころばかり。それが本作では正義のヒーロー。ライアン・レイノルズが最初に死ぬのにギレンホールがずーっと生き残ってヒーロー役やるのはどういうことだと思っていたら、これ。
このためのギレンホールだったか!起用の意味が分かった!
このラストにはびっくりでしたが、映画トータルではあまり面白くないんだよなー。面白い要素はあるのに、面白くできていない。つまりは下手なんだよなー。脚本なのか撮り方なのか編集なのか。
他人に勧めるとき、オチは言えないし途中は面白くないしで、勧めにくい。
あと、タイトル『ライフ』って何?ぼんやりしすぎ。この検索時代、こんな一般名詞ダメでしょ。もう少し工夫してほしかったなー。ベン・ステイラーの方は雑誌『LIFE』の話だからあれでいいのだ。
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