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戸部田誠「コントに捧げた内村光良の怒り」 感想

RGが「リアルゲイ」の略称だということを忘れていた


戸部田誠さんの新刊「コントに捧げた内村光良の怒り」を読みました。
戸部田さんの本は「有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか」に続く2冊目。
感想エントリ↓ese.hatenablog.com
本書は芸人とアイドルのエピソードをまとめた本なのに、泣ける!読んでいる最中に何度も涙腺決壊しかけたね。
上記エントリにも書いてありますが、戸部田さん(てれびのスキマさん)はテレビ・自伝・雑誌のインタビューなど膨大な資料・発言から浮かび上がらせるその芸人・タレントの本質を書くのが本当に上手い。
Twitterを見ると本書の感想で「エピソードは知っていることばかりで」なんて意見をいくつか見ました。そりゃそうだ。全部既出のものから再構築しているんだから。
でも、ソースがあったとしても、こんな文章書けないでしょ?ただエピソード重ねたっていい文章にはならないし、それ以前にテレビ番組や雑誌のインタビュー読んでも「へえー、なるほど、面白かった」でおしまい。それをこうやって掬い上げてまとめるのにはどれだけの技量が必要か。


前作も売るためのキャッチとしてタイトルに有吉さんの名前を使ったりあえて新書っぽいタイトルにしていました(この辺は編集者が強く推したそうです)が、本書も売るための仕掛けがいくつもありますね。
まずタイトルの「内村光良の怒り」。普段温厚なイメージのウッチャンが怒るなんて、何があったんだろう?気になるし、手に取りたくなる。
そして目次を見るとウッチャン、出川、鶴瓶タモリ博多華丸・大吉レイザーラモン、キャイ~ンという面々。面白そう。
さらに中居正広早見あかりというアイドル勢を登場させることによりガチなお笑い好き以外にもアピールする。
上手い。


この本を読むと、登場する人たちみんなを好きになるでしょう。これもスキマさんの筆力。
でもね、私はスキマさんの「批判」も読んでみたいのです。スキマさんをナンシー関の後継者にしたいわけではない(でも今井舞に実効支配されるのはもっと嫌だ)のですが、評価と批判と両方あっての批評だと思うので、ぜひ書いてほしいです。


もうひとつ。スキマさんは数多くの芸人さんについて書いていますが、ダウンタウン松本人志浜田雅功についての文章がとても少ないです。これには何か理由があるのでしょうか?ぜひ読みたいです。


あと、可能であれば、てれびのスキマさんにインタビューがしてみたい。テレビを見るスタイル(生・録画・メモの取り方など)、原稿に取り上げる基準、書く媒体の振り分けの基準、書くのにかかる時間、視聴と執筆の量のバランス(たくさん書くとたくさん見ることができない、でもたくさん書くためにはたくさん見なければならない)、テーマやオチの考え方などなど。


てれびのスキマさんのテレビ愛にあふれた文章、これからも楽しみにしています。