やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『ちはやふる-結び-』 感想

この一瞬をパッケージ、それが青春。


映画『ちはやふる-結び-』を見てきました。公式サイト↓
chihayafuru-movie.com
前作の感想はこちら↓
ese.hatenablog.com
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こちらに書いた通り、「上の句絶賛!下の句残念…」が私の感想です。
私は小泉徳宏監督の他の作品を見たことがなくて、『下の句』を見たときに「『上の句』はまぐれだったのか。もともと監督や脚本の力量はあまりない人なのか」と思ったのです。『結び』の評判がいいのも『下の句』をアリだと思った人たちの評価だろ、と思っていたのです。


しかし…
すみませんでした!間違ってました!土下座!ジャンピング土下座!スライディング土下座!焼き土下座!五体投地
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傑作でした。大傑作でした!!!!!


(以下、ネタバレあります)



青春映画とは「物語が終わったときに始まったときと比べて登場人物たちが成長している映画」だと思っていて、それが『上の句』ではできていて『下の句』では停滞していました(元々二部作なので仕方ない面もありますが)。
また、「登場人物がその世界で生きている」というのもいい映画の条件。特に青春映画であれば、この条件さえクリアしていればイベントは特に起きなくてもいいのだ。彼らが生きていればそれでいいのだ。これも『上の句』ではできていて、『下の句』ではセリフっぽいセリフ、演出っぽい演出が鼻について彼らの輝きはあまり感じられませんでした。
しかしそれが!本作では!十二分にできていました!!!
彼らが輝いているだけでなく、きちんと成長し、さらに物語の勝敗や決着にドキドキとその理由にちゃんとロジカルな根拠がある。「物語は脚本とキャラクターの両輪」というのが私の持論なのですが、それが高レベルで上手く噛み合い、大成功していました!
ese.hatenablog.com
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物語は前作の2年後。高校1年生だった彼らが3年生になっています。この時間経過やこの間に何があったかは『ちはやふる-繋ぐ-』を見るとより理解できます。まあ、見なくても『上の句』『下の句』を見ていれば問題ないレベルですが。
この2年の時間。前作でのエピソード、物語上での2年間という歴史の積み重ね、そして実際の2年間における役者陣の成長、すべてが本作のためにある。
登場人物が生きているから確かに瑞沢高校かるた部での2年間があったと思えるし、役者陣は皆レベルアップしているのでセリフの違和感がない。そして本作で描かれていることは全て前作から続いている。すべてが上手くはまっている!


『下の句』で気になった「物語のベクトル」も、本作では団体戦に絞って描かれているのでずっと焦点が合っている。個人戦は『タッチ』方式で処理する思い切りのよさ。いいと思います。2時間しかない中で何を取捨選択するか。その分詩暢ちゃんの出番が減ってしまいましたが、松岡茉優なので「大御所特別出演」くらいの貫録で演じてくれました。彼女だったからできた。他の女優だったら単なるコメディキャラになり下がるところでした。
同じく新も出番は少ないのですが、これも仕方ないですよね。欲を言えばあの告白の後の心の動きなども描いてほしかったですが、まあ仕方ない。これ以上求めてはいけない。この辺を描こうとしてもしまた二部作にしたらいろいろ薄まってしまったでしょう。
同じく『下の句』で気になった「セリフっぽいセリフ」は、本作では解説者の発言や新入部員に対する説明という形を採っており、説明セリフを上手く回避していました。


小泉監督は、ロジカルな人ですね。『上の句』でもどうやって勝つのか、そこにきちんと根拠がありました。本作もその辺は抜かりなく、さらに登場人物のキャラや言動まですべてが後に活きてくる作りになっています。上手い。
あと、コメディパートが上手い。新と伊織ちゃんの告白瞬殺のやり取りとか周防名人の札の入っていない財布とか詩暢ちゃんのスノー丸LOVEな姿とか肉まん君のツッコミとか。間がいい。これは監督だけでなく、役者の力量UPのおかげもあるんだろうなー。私が見ていた席の後ろには中学生?高校生?の女子4人組がいて、彼女たちはちょいちょいしゃべりながら見ていたのですが、笑うときに笑い驚くときに驚き、とてもいい副音声でした。おかげで私も感情豊かに見ることができました。


高校卒業ということで進路を決めなければならない。千早はなかなか決められず、やっとラストに先生に進路希望を提出してそれを見た先生が驚く描写でカットが変わる。このとき「そこ引っ張る必要ある?」と思ったのですが、エンディングで千早がクイーンになったことと彼女が瑞沢高校のかるた部顧問になったことが分かる解説者の言葉で締め。上手い!まさかの『タッチ』方式で千早と詩暢ちゃんの決着を伝えてくれました。
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もっと見たい。まだ見たい。でも、青春というのは「ある一瞬の輝き」であり、いくら原作は続いているとはいえ、実写で描くには無理が生じてくるので、これで完結でいいのです。その一瞬を映したのがこの3作であり、そこに彼らの青春は永遠にパッケージされています。
これって、千年前に歌われた恋の歌が今の時代でも有効になっているのと同じこと。その一瞬は永遠に百人一首に刻まれています。
そして、クライマックスで千早が言った通り、みんなからもらったものを次の世代に引き継ぐ物語でもあります。そこではっきり千早の成長が描かれていて、もっと見たいのに終わってしまう儚さ・せつなさも表現しています。上手い。


では、キャストの皆さんの感想。
広瀬すず(綾瀬千早)
スターなのでそこにいるだけで輝いています。一時期の宮沢りえ広末涼子と同じレベル。『下の句』では松岡茉優に女優として食われていましたが、スターの輝きで五分の闘いに持ち込んでいました。
本作ではスターの輝きは幾分落ち着きましたが、その分女優レベルが向上しており、とてもよかった。「残念美人」を嫌みなく体現していました。
あと、彼女の眼力はもちろんすごいのですが、白目部分の輝きがハンパなくないですか?
野村周平(真島太一)
彼がいちばんの伸び率!金持ちイケメン勉強トップ、なのに満たされない。これだけパーフェクトなカードを持っているのに「凡人(=私たちと同じ)」に見えてしまう。リア充死ね、ではなく応援してしまう。表面上は気を張ってリア充を演じていても内面は嫉妬と焦りと諦め。そして周防名人と出会って決心する。野村君、よかったよ!
●綿谷新(新田真剣友)
あんなにさらっと「好き」が言えるなんていいなー。結局3作ともあまり登場しなかったけど、彼が後ろにいることで千早と太一が動くので、そういう意味では重要な役。前作までは「見る役」だったのが本作で「闘う役」になったのに、新側の心情や葛藤が描かれなかったのは不満です。太一の引き立て役になっちゃっている。時間足りないから仕方ないけど。
上白石萌音(大江奏)
相変わらずの天使役、解説役。広瀬すずの声もいいけど彼女の声もいい。
矢本悠馬(西田優征)
肉まん君の名前初めて知った。前2作もコメディ役でしたが、そんなに上手くなかったのが今回は上手い!役者としてレベルUPしてる!
森永悠希(駒野勉)
机君、太った?『上の句』は全国の机君と同じ境遇の人(つまりほとんどの人ってことだ)が号泣しましたが、本作はあまり見せ場なし。
松岡茉優(若宮詩暢)
もう彼女に言うことはない。本作ではコメディパートばかりでクイーンとしての活躍シーンが全然なくて不満ですが、時間足りないし『下の句』のときみたいに物語のベクトルが分かれるのはよくないので仕方ない。上に書いたように「大御所特別出演」クラスの貫録で存在してくれました。
●佐野優斗(筑波秋博)
生意気な後輩役。何かムカつく顔がいい。三四郎の相田みたいだな、と思いながら見ていました。そしてその生意気さがフリとなり、クライマックスで活きてくる。彼の成長を私たちは見届けているのです。
優希美青(花野菫)
彼女は美人ですが、おだんごヘアはあまりに合わないな。輪郭のせいかな。髪の毛下ろしていた方がきれい。恋愛をかき乱す少女漫画要素キャラですね。最初は新入生っぽさゼロのスナックのママみたいな顔だな(失礼!)と思っていましたが、彼女もだんだんよくなる。
賀来賢人(周防名人)
私は原作読んでいませんが、たぶん原作ファンからすると「ここ間違えるなよ!」という重要キャラだと思うのですが、よかったですよね?天才と天然。視力が弱い弱点があるなど女性受けする要素だらけでキタネーなと思いますが、そんなプレッシャーの大きい役を見事に演じていました。熱さがないまま勝っていくとりつく島の無い孤高の強さ。
●清原果耶(我妻伊織)
負けん気の強い妹キャラ。バッチリじゃないか!多部未華子さんの後釜か?あと、あべみかこにも似ているなと思いました(男子だけ検索してください)。


私は青春映画はあまり見ていませんが、青春映画の代表作になったと思います。大傑作でした。ここにたどり着くまで『上の句』『下の句』も見なきゃいけませんが、絶対に面白いから見て。もしつまんなかったらお金返すから。
作中の登場人物の成長と広瀬すず野村周平を始めとする若手俳優の成長がシンクロする、まさにこのときにしか作ることのできなかった「青春のパッケージ化」に大成功した作品です。千年先まで残るよ!


ちはやふる(37) (BE LOVE KC)

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映画『ちはやふる』完全本 ―上の句・下の句・結び―

映画『ちはやふる』完全本 ―上の句・下の句・結び―

Creepy Nuts×岡崎体育対バンライブに行ってきました! 感想

CD音源と同じことをライブでやる人


Creepy Nutsのメジャーデビューシングル『高校デビュー、大学デビュー、全部失敗したけどメジャーデビュー』発売記念のツアーに行ってきました。
会場はNEXS新潟。
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会場の外観撮るのを忘れた。


今回のツアーは各会場対バン相手がいて、新潟は岡崎体育です。
普段私がライブレポを書くときはネットを漁ってセトリを探し出し、そこから記憶をたどって書くのですが、今回は見つけられず、おぼろげな記憶で書きます。不完全ですみません。レポというより感想です。


先攻は岡崎体育。事前にアルバム2枚予習してきたのですが、この日はそこに入っていない曲を多くやったので余計記憶がない。
岡崎体育はライブは口パクの曲があって、そういう意味では音源と同じことをやるのですが、ライブではそれをフリにして、音源と少し違うことを入れたりして、そのライブならではの面白さを出します。
この日もCreepy Nutsのことを曲中に入れたりして、ライブごとに手を加えていて事前準備が大変だなーと思いました。
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岡崎体育を聴いていつも思うのは、「このオモシロは手段か目的か」ということです。いい曲にオモシロ要素を入れているのか(手段)、曲を使って面白いことをやるのか(目的)。
私は後者だと思っています。本人は否定するでしょうが。『MUSIC VIDEO』はMVありきの曲で、曲単体で聴いたら分からない部分があります(「何のメッセージ性?もったいない」とかの部分)。『家族構成』もそう。
『Natural Lips』は「英語っぽく歌っているけど日本語」というのが面白さですが、それって桑田佳祐を始めとしてミュージシャンが普通にやっていることで何も新しくも面白くもない。
それでも『鴨川等間隔』等ちゃんといい曲もあるので、今の彼に必要なのは『いとしのエリー』なんだろうなーと思いながら見ていました。


ついでに余計なことを書くと、「事前に音源を用意しておいてCDと同じことをやる、もしくはそれをずらして面白くする」という彼の芸風は、「実際ライブでラップしているのに音源と全く同じ」というCreepy Nutsと真逆であり、そういう意味では食い合わせが悪いかもしれないなーなんてことも思いました。
曲は悪くなかったしMCも面白かったのにあまり盛り上がらなかったのは、上記の食い合わせのせいか新潟のお客さんのシャイさのせいか。


50分ほどで岡崎体育終了。転換は20分ほど。


後攻Creepy Nutsは『メジャーデビュー指南』からスタート。冒頭の落語パートもバッチリ音源通り、と思いきや途中に「岡崎体育」を韻踏みながら入れ込んできた(どんな韻だったかは覚えていない)!
で、肝心のラップは本当に音源通り!リズムバッチリ滑舌バッチリグルーヴバッチリ。すげー。
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続いて『助演男優賞』。おお、これをこんな序盤でやるのか。
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最初のMCで「松永の分も代弁して言います。新潟ただいまー!」とR-指定。しかし松永さんはあまり乗ってない。「新潟と長岡は結構離れているからね」。分かります。新潟県ではありますが、長岡市とはまた別もの。


『みんなちがってみんないい』は何度ライブで聴いても「これ、声の加工なしで生でラップしてんのか」と驚いてしまいます。何種類の声出せるの!
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お楽しみの聖徳太子ラップは「朱鷺のたまご」「上杉謙信」「サーカス・メロディー」「ダ・フーリッシュ」「今井華」「スクランブル交差点」の6つ。私も手を上げたけど採用されなかった。くそう。
で、これが本当に上手い、すごい。きちんとリズムキープしながらラップして、言葉も滑舌もきちんと聞こえて意味も通して韻も踏んでこのお題を入れ込んでいく。すごいすごいすごい。何度見ても感心と感動しかしない。なのに何も覚えていないしこの日だけで表には出ない。これ、ちゃんと録音しておいて今後何かに使ってください。シングルのカップリングとか。


『合法的トビ方ノススメ』はいまだに彼らの一番の武器だしクラシックですね。今後これに並ぶ・超える曲をいくつも作っていかなきゃいかないけど、RHYMESTERの『B-BOYイズム』のようにクラシックとしてずっと残っていく、ライブでのキメ曲になるんだろうなー、なんてことをもみくちゃになりながら考えていました。
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『朝焼け』『未来予想図』で一旦落ち着かせて、本編ラストは『だが、それでいい』。R-指定は具体的なエピソードや固有名詞の入れ方が上手い。分かるぞ、同じことしていなくても、分かるぞー。曲中の「分かるでー」は私の相槌でもあります。
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アンコールは1分ほどで出てきた!早い!
R「フルアルバムができまして、やっと曲数が貯まったのでワンマンツアーやります。新潟はないけど」松永「次のツアーは今まで行ったことない場所を選んだんで」そうか。でも残念。
『トレンチコートマフィア』の後、やっと出る1stフルアルバムから『スポットライト』。この曲、結構激し目の曲でしたが、調べたらアルバムラストの曲なのね。どういう構成になっているか楽しみだな!
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↑これ、公式MVではないのですが、ハマりすぎ!『桐島』と併せたらルサンチマンが溢れちゃう!


終わってしまいました。アンコール入れて1時間20分くらいかな。やっとR-指定のベロが温まってきた頃なのに。やっと私たちのバイブスも上がってきた頃なのに。足りない!やはりワンマンツアーに行かなきゃかな。
R-指定はラップが上手すぎて、音楽を聴いているというより上海雑技団とかマジシャンのすごい技術を見ているような感覚になるときがあります。KREVAでもなる。歌の上手いミュージシャンだと「世界遺産の絶景を見る」とかに近い感動なのに、何だか感動の種類が違う。
あと、ラップは韻を踏むところをお客さんが被せても気にならない(逆に盛り上がる)けど、歌ものだとお客さんが歌うとイラっとしますよね。そういう点でも歌とラップは別ものだなーと思いました。


クリープ・ショー

クリープ・ショー

XXL

XXL

映画『リメンバー・ミー』 感想

3回ひねり、見事着地


ピクサー最新作『リメンバー・ミー』を見てきました。公式サイト↓
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私はアニメに疎いので、ディズニーとピクサーの歴史も分からないしどの作品がどっちなのかも分かりません。『インサイド・ヘッド』はピクサーで『ズートピア』はディズニーなのか。難しい。


面白かったです。
(以下、ネタバレあります)
予告編だと「自分のご先祖様が音楽のために家族を捨てたため、主人公ミゲルの家では音楽が禁止されている。しかしあるきっかけで死者の国に迷い込んだミゲルは元の世界に戻るために奮闘する」という風に見えます。確かにその通りなのですが、見ていくと「そうだけどそうじゃない」展開になっていくのです。


まず、顔写真がちぎられたミゲルの祖先は国の大スターであるエルネスト・デラクルスだということで物語は進み、途中まで彼に会うために行動するのが物語のエンジンになっています。ようやくデラクルスに出会い、彼から夢に向かって進むこと、チャンスは自分で掴み取ることの大切さを教えられます。うむ、その通り。夢は自分で掴むものだ。


しかし、実は彼の大ヒット曲は相棒ヘクターの曲であり、彼がツアーを辞めたいというのでデラクルスはヘクターを毒殺したのです。なんてこった。チャンスを掴み取るってそういうことなのか!
そして、ミゲルのご先祖様はデラクルスではなくヘクターだったのです!そのヘクターがツアーを辞めたがったのは家族に会いたいから。そう、ご先祖様は音楽のために家族を捨てたのではなかったのです。またひねってきた!
リメンバー・ミー』という曲名も、家族を想う曲であり、忘れられない限りその人は死なないというダブルミーニングにもなっているのです。
予告編で何となく見えていたストーリーは、全部フリだったのです。上手く騙された!


「死者の日」という日本のお盆のようなお祭りが舞台で、それがいろいろ上手く機能しています。まず、オレンジを基調としたカラフルなビジュアル、そして翌日の日の出までに戻らないといけないというタイムリミット設定、亡くなった人のことを忘れてしまうと死者の国でも死んでしまう(「第2の死」と表現していました)危機感の設定。


ただ、いくら過去に何かがあったとしても、ひ孫のその先にまでルールを押し付けるのはどうよ、と思ってしまいました。毒親かよ。まあ、これもフリだろうとは思っていましたが、それにしても厳しい。ギターを壊すなんてやりすぎだぜおばあちゃん。
で、ラストはひいおばあさんのママ・ココに『リメンバー・ミー』を聞かせてママ・ココがヘクターのことを思い出して大団円。なのですが、あれだけ執拗に音楽に反対していたエレナおばあちゃんはこのときは止めないのかよ。そしてあっさり音楽を認める。うーむ、転向が軽い。


脚本はやっぱり上手い。ミゲル一家がこうなった状況設定をオープニングで簡単にまとめて、物語が始まるとある出来事が次の行動理由につながっていく。
音楽は禁止されているけど音楽をしたいミゲル。今日は「死者の日」で音楽コンテストがあることを知り、デラクルスの「チャンスは掴み取れ」の発言に意を決して音楽コンテストに出ようとするミゲル。しかし家族に見つかりそうになり隠れた拍子に写真立てを壊してしまう。家族の強硬な反対に遭いギターを壊され、コンテストに出られない。背に腹は代えられないミゲルはデラクルスの記念館からギターを拝借しようとする。そこで死者の国へ。
死者の国でミゲルの先祖がトラブっている原因はミゲルが写真立てを壊してしまったから。そこで元の世界に戻してもらおうとするが「音楽をしない」という条件をつけられたため、デラクルスに頼むことにして、彼に会いに行く。
上手いなー。犬(ダンテ)はどうして生きているのに死者の国に来れたのか。これも前半で動物の精霊の説明が自然に組み込まれており、後半にダンテも精霊だったのか!と解決します。さらにラストでは死者の国で大活躍した大きなヒョウの精霊がダンテと一緒にいる猫として登場。これも大きな影を見せるだけで分からせる上手い演出。


死者の国のカラフルな色使い、ヒョウの精霊の蛍光色のビジュアル、ガイコツ独特の動きなど視覚的な楽しさもたくさんあり、子供も飽きずに楽しめたと思います。
あと、これを見た子供たちは「おばあちゃん!」と思うはずで、一緒に見にきた親も「おばあちゃん!」と思うはず。そしたら見終わった後、その家族の話になると思うのです。どの人にも祖先はいるので、誰にも当てはまる究極のあるあるです。親だとまだ距離が近くていろいろな葛藤や愛憎がある場合もありますが、おばあちゃんやひいおばあちゃんまでいくとその辺の意識は薄くなり、純粋に懐かしがることができそう。
でも、「家族って素晴らしい」「家族は大事」という「正しい主張」に乗れない人もいるだろうな。


本編と直接関係ないところで考えたのは、「チャンスは自分で掴むとは」「売れるとは」ということ。
デラクルスはヘクターを毒殺したのでさすがにそれはやりすぎですが、チャンスは自分で掴むのだ、という言葉自体は間違っていない。そして、ヘクターは素晴らしい作曲家でしたが、彼ではその名曲たちを世の中に広げることはできなかったでしょう。デラクルスだからできたこと。
これは、ヘクターの歌が上手くないのもありますが、やはりデラクルスのスター性のおかげ。売れるってそういうこと。
ちなみに、このヘクターの「歌の上手くなさ」まで考えて藤木直人がキャスティングされたのでしょうか?もしそうなら素晴らしい人選だし失礼な人選だ。作品だけ考えたらヘクターは歌も上手い方がデラクルスの悪さに拍車がかかるので、やっぱり上手い人をキャスティングした方がよかったのかも?


面白かったです。子供も大人も(レイヤーの違いはあれど)面白いと思わせる作品を作り続けるディズニー・ピクサーはすげえなー。


リメンバー・ミー オリジナル・サウンドトラック

リメンバー・ミー オリジナル・サウンドトラック

卒業する君たちへ、少しだけ贈る言葉

ゴールはまだまだ先、勝敗はついてない


3月なので卒業の季節です。中学・高校・大学からの卒業、就職、またこのタイミングで転職する人もいるでしょう。みなさん、おめでとうございます。新年度からの新生活を楽しんでください。
卒業は、「仲間との別れ」と思う人と「呪縛からの解放」と思う人がいますが、どちらも正解です。友達との縁を続けるのも新しい環境でリセットするのも自分の自由。選択肢は無限、決めるのはあなた。
そんな皆さんに、おっさんからの言葉を贈ります。


受験は上手くいきましたか?就職は本命に入れましたか?たぶん希望が100%叶った人の方が少ないと思います。そこで「あいつに負けた」「あいつは勝ち組」「あいつは成功した」「それに引き換え自分は」と思ってしまうのは自然なことです。でも、負けてなんていません。それはあくまで現時点での話。勝負は死ぬ時まで決まらないのです。


人生100年時代。15歳のときはまだ100m走で15m地点ですよ。何も決まっていない。高校卒業でも大学卒業でもまだ序盤戦。何も勝ってないし負けてない。
有名人でも晩節を汚してしまった残念な人は何人もいます。政治家でもたった一言で政治生命が終わってしまう人もいます。そんな人はいくら若いときにモテたりお金を稼いでも、やっぱり寂しい晩年だと思います。


歳を取れば取るほど、「人生って長いなー!」を実感します。私は30代後半で転職したのですが、60歳まで勤めることを考えると、転職後の方が長いのです。あんなに頑張ったのに、あんなに毎日毎日仕事して何年も経ったのに、まだ半分経ってないの?そう思ってクラクラしたことを覚えています。
さらに今の時代は定年は65歳になり、今後70歳になるかもしれません。そんなに働かなきゃいけないのか…。で、そうなってもたぶん私たちは健康なので、その先の老後がまだまだ長くあります。その頃、年金はなし崩しに無くなってしまうでしょうから、そのエンドレス老後をどうやって過ごす(というか生き抜く)かを今から考えておかなければなりません。
若いうちに高い車を買ってぶいぶい言わせるのがいいのか、貯蓄して老後に備えた方がいいのか。アリとキリギリスのどちらが正解なのかは分かりません。
結婚して子供ができても、親子関係が上手くいかず絶縁なんてこともありえます。病気するかもしれないし事故に遭うかもしれません。未来はバラ色かもしれませんが、灰色かもしれません。一寸先は闇と諸行無常だけが世の理です。
お金を稼いでも家族に見放される人、お金がなくても家族に支えられる人、結婚しなくても友達関係が充実している人。どれがいちばんの幸せなのでしょう。


私は地方の大学と東京の大学に合格し、どちらでも選べたのですが、当時田舎童貞少年の私は東京にビビってしまい地方を選びました。そこでは今でも付き合いのある友達もできたし就職もできました。もし東京を選んでいたら全く違う大学生活だったし友達も違ったし就職先も違ったでしょう。どちらが正解だったのかは分かりません。
同じように希望通りの大学ではないとか就職先ではない人も多くいると思いますが、そこでしか出会えない人やそこでしか得られない経験もあるので、それが成功だったか失敗だったかは、後になってからでないと分からないのです。


未来は不確実ですが、「大人の方が楽しい」はたぶんほとんどの人が感じる事実です。私は「大人は自分で自分をプロデュース」と思っていて、何を着るか何を食べるか、いつ寝ていつ起きるか、夜更かししてもいいし早く寝てもいい、買ってもいいし貯金してもいい。何でも自分で決められるのです。あらゆることに自分が決定権を持っているって、楽しい!
これが結婚・子育てのフェイズに入るとそこまで自分の好き勝手にはできませんが、家族をプロデュース、ということはできます。大人は、楽しい。


繰り返します。人生は長い。今自分は100m走で何m地点?今現在先に進んでいるように見える人も、ゴール付近で転んでしまうかもしれません。ゴールはまだ先、勝負はまだついてない。自分の人生は自分でプロデュースしよう。もちろんあくまでプロデュースなので、小室さんですら売れないときがあるように、思い通りにいかないこともあります。それでも、自分が決定して選んだ人生は、楽しいぞ。


幸福寿命 ホルモンと腸内細菌が導く100年人生 (朝日新書)

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定年後不安 人生100年時代の生き方 (角川新書)

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『人間交差点フェス2018』その交わりとつながり(その2)

情報量ゼロですみません


5月13日(日)に開催される『人間交差点フェス2018』の出演者の紹介を書くエントリの2回目。
前回の内容↓
ese.hatenablog.com
今回発表されたのはKICK THE CAN CREW、DJ IZOH + DJ KENTAROBRAHMANBase Ball Bearの4組。正直、キック以外は全然詳しくなくて私が書けることはほとんどないのですが、乗りかかった舟だ、進もう。


KICK THE CAN CREW
昨年はKREVAがソロで登場してくれましたが、今年はキックの3人で登場!キックとライムスはFGクルーというグループ(グループってほど固まった組織じゃないな。仲間、くらいの感じ)でデビュー前から知っている仲。
昨年、アルバムの発表時期が近かったこともあり、テレビ番組で共演しました。
ese.hatenablog.com
このときは『マルシェ』と『10balls+2』をコラボで披露してくれましたが、今回はどうなるのかな。個人的な予想としては『神輿ロッカーズ』ではないかと予想。
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あとはフェスなので新旧のメジャーどころをやるんだろうな。いくつか貼っておこう。
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↑これは絶対やるはず。
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↑本格的な夏前なので、これはやらないかなー。「心地よい風がめくるパンチラに一瞬固まり口半開き」の部分好きなんだけどなー。あと、サビ裏のエレピのメロもいい。
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↑これはライブ最後にやるとハマる。トラックも延々流せるループだし。


DJ IZOH + DJ KENTARO
この二人がいちばん困る。すご腕DJが二人で何をやるのかな。ゲストラッパーも登場するのかな。全然予想がつかないです。
DJ IZOHは去年まではTARO SOULLと一緒にSUPER SONICSとしてこのフェスに出演していましたが、今年はタロソは出ないのかな?
DJ KENTAROはもっと何も知らない。
いくつか曲を貼ってお茶を濁します。ごめんなさい。
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BRAHMAN
ブラフマン!彼らが来るとは思いませんでした!ブラフマンとライムスは、箭内道彦さんの「風とロック芋煮会」で一緒になったりすることはありますが、音楽でがっつりコラボしたり共演したりしたことはないはず。私が知らないだけ?
で、私はパンク/ハードコア関係は全く疎いので、ブラフマンについても語る言葉を持ちません…。
また曲を貼っておしまいにしよう。ごめんなさい。
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Base Ball Bear
君たち、去年も出てたじゃない。宇多丸さんとの癒着だな!
最新アルバムも去年4月に出ていてそれ以降新曲は出ていないので、去年のフェスから何も新規案件がないのに出るのか。やはり癒着!w
で、彼らが出るということは絶対この曲をやるわけです。
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2画面で両方ワンカット撮影。そして最後に合体!これ、撮影大変だっただろうなー。
あとは何をやるのか分からないので、本田翼を貼っておしまいにします。
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今回は情報量ゼロですみません。次の出演者発表では若手ラッパーが出てきそうなので、これまた私が書くことはなさそう…。
例年オープニングアクト含めて13組出ているので、あと5組ほど出る予定です。ラッパー2組、バンド2組、大物1組くらいの割合かな。もう予想はせず、楽しみだけしておきます。もうチケット買ったし、絶対いいメンツが来るんだし、絶対いいフェスになることは確定しているし。


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