やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

岡村靖幸×YUKIの武道館ライブに行ってきました! 感想(その2)

後攻YUKI(奇跡の46歳)


前回のお話
ese.hatenablog.com
バンドセットの転換。YUKIバンドはドラムとキーボードを左右に斜めに配置してギター2人とベースが正面後ろに立つという面白いフォーメーション。


1曲目は『プリズム』YUKIは白いふわふわした衣装。どういう作りなんだろ。去年のフジロックでもこういう格好してたな。ライブ後に「くるよ師匠を思い出した」というツイートを見て失礼ながら納得。見ているときに思いつかなくてよかった!
YUKIを見ると「きれいな生命体が発光している」とか「ポジティブが爆発している」みたいなことをいつも思う。いつも思うほど見てないけど、思う。
髪型は、左半分がボブで右半分がゆるウェーブのかかったロングヘア。こんなアシンメトリーが許される46歳は日本でひとりしかいない。許されるというか、かわいいのは。地毛なの?毎日この髪型なの?ウィッグ?


2曲目『ランデブー』終わりで最初のMC。「YUKIちゃーん」「かわいいー」の声に「はいよ~」という軽く応え、「岡村ちゃんすごかったねー。負けない!」と話すのを見て、「普通のライブってこうだよな」ということを思ってしまった。普通はしゃべるのだ。あの人は普通じゃないのだ。


ライブは『長い夢』のような初期代表曲もありつつ、最新シングル網羅!なセトリでしたね。大満足ですが、『ふがいないや』も聴きたかったなー。


あとね、ドラムがめちゃめちゃ素晴らしかったです!もう1曲目から「何だこのドラムは。誰なんだこのドラマーは」と気になって気になって。結局YUKI7割ドラム2割その他1割くらいの目線でしたよ。
そのドラマーは白根賢一さん。GREAT3の白根さんだったのか!YUKIバンドは同期も使っているので(使っているよね?)、タイトで正確なビートなのにグルーヴ感がすごい。普通のビートを叩きつつ余裕ありすぎで手数が増えている感じ。グルーヴの豊潤さとともにシンバルやライドの叩き方でパーカッションというかバンドアンサンブルというか、プラスアルファの音も乗っけてくる。スネアの音も私好みだったし、いや本当に素晴らしかった。
その他、ギターとコーラスしていた人は私の位置からは遠くてよく見えなかったのですが、DJ KOOやGLAYのHISASHIみたいな見た目で変なギター(デザインが)を変な弾き方(ネックの上から弦を押さえてたぞ?)で弾いていました。
もう一人のギターとキーボードはきっちりと仕事をする職人。ベースは途中ベースを弾かずにキーボード弾いていた曲もありましたが、ベースなしなんてことあるの?打ち込みでベース入っていたの?もしくはシンセベースを弾いていたの?


ライブ中盤の『tonight』は音源でも音が一瞬止まるところがあるのですが、この日は10秒以上止まっていました。完全に時が止まっていましたね。ディオでなくても時は止められる。
この「永遠の10秒」の後に再び歌い出したときのカタルシスたるや!時は再び動き出し、私たちも再び呼吸できる。耐えきれなくて「YUKIちゃーん」と叫ぶ人や拍手をした人もいましたが、野暮!野暮ですよ!
私には「たった一人でステージ上で微動だにしない時間=スター度」という指標がありまして、それはKREVAだったりビヨンセだったりマイケル・ジャクソンだったりするのですが、その系譜にまた一人加わった!


最新シングルトロイメライの後はフラッグを立てろ』『ワンダーライン』『鳴いてる怪獣』と盛り上げゾーン!
『JOY』はファンのみんな振り付け踊れるのね。そういや岡村ちゃんは自分勝手に踊るので見ている私たちも参加して踊るなんてことないですね。私が普段行く真心ブラザーズにしろRHYMESTERにしろレキシにしろ、「振り付け」という文化がない。スガシカオは『午後のパレード』だけ振りがあるな。私は踊れないけど。
この曲の途中で突然バスドラだけのアカペラになり、「今日はなんの日かわかってますよね?『Ultra Boy Meet Super Girl』だよね?みんなでウルトラボーイを呼んでくれる?岡村靖幸ーー!!!」
なんだってーーー!!!!
呼び込まれて登場した岡村ちゃんは真っ赤なスーツ。ワイシャツも赤。カズレーザーを超えた!
がっしりとハグをして、『JOY』を歌う岡村ちゃん。おお、ステージ上ではしゃべらない、フェスなどのイベントでもコラボとかしない「自分のフィールドでしか闘わない」岡村ちゃんが、他人のステージで他人の曲を歌っている!岡村ちゃん、開けている!しかも『JOY』のダンスもしてたよね?
サビをオクターブ違いながらユニゾンで歌うと、YUKIの声消えちゃうね。岡村ちゃんの声が太すぎる。そして、相手の曲なのに後半ではメロディ通りではなくアドリブやフェイクを入れちゃう岡村ちゃん。やはり衝動の方が強い人。


曲終わりでまだ会場がざわついている中、エレピに座る岡村ちゃん。おお、このエレピはそのためにあったのか!ネタバレは最初からされていたのに、気づかなかった。巧妙なミステリだぜ。
手癖でピロピロと弾き始める岡村ちゃんYUKIファンの皆様、この人はギターだけでなく鍵盤もできるのです。ベースもバンジョーも、何でもできるのです。
YUKIベイベ~」と歌い始めると「何、靖幸~」と応えるYUKIちゃん。ああ、私は今、神々の戯れを見ている。

YUKIベイベと立ち食い蕎麦とか食べてもいい気がする〜♪いややっぱり違う気もする〜♪していいこととよくないことがあるだろう〜♪…つまりなにがいいたいかっていうのは〜♪…いいか、わるいか…」

bi9rii.hatenablog.com
細かい部分忘れたので、こちらのブログから引用させていただきました。
で、ここから『イケナイコトカイ』岡村ちゃん、あなた、こんな上手いフリできるの!岡村ちゃんがまず歌い、YUKIもそのあと歌う。YUKI岡村ちゃんの1オクターブ上を歌うのですが、「彼女のLove,Sex,Kiss 朝からずっと待っている」の部分なんて岡村ちゃんがファルセットで歌っているのに、YUKIはオクターブ上のまま歌いきる!
すげーーー!!!
会場も大きな拍手!そして岡村ちゃんはエレピをバンバンと叩く叩く!喝采8割悔しさ2割くらいの塩梅で。叩きすぎて次に鍵盤弾いたら音色変わっていて慌てて元に戻していたもんね。


曲が終わり、まだ会場は「えらいもん見た」という興奮冷めやらぬ中、「スリーフォー!」と「あの子供の声」でカウントが!『だいすき』です!!!しかも最近の岡村ちゃんライブでは聴くことのできないオリジナルアレンジ!
AメロBメロを交互に歌い、サビでは合唱。何という贅沢な光景。
そうか、岡村ちゃんが先攻だったのも、『だいすき』を歌わなかったのも、こういうことだったのか。上手い構成だぜ。
曲の後半では銀吹雪も降ってきて、まさにキラキラ!
時折肩を組んだり社交ダンスもしたり、結構くっつく二人。ですが私はあまりジェラシーは感じなかったです。YUKIなのでエロスよりもかわいいとか小悪魔の方が強いし、下品な感じがしない。
あと、結構岡村ちゃんもちゃんと腰に手を回すのね。照れがあってできないと思っていたのに。曲終わりでジャンプを促されているときはちょい照れ笑いしてましたが。


終わってしまいました。あー、いいもん見た。スペシャルなもん見た。
普段ステージ上では他者との絡みを一切しない岡村ちゃんだからこそ、このフリが効いてとてもスペシャルなコラボになりました。
また、岡村ちゃんの弾き語りは完全に即興なのに、それにちゃんと付いていくYUKIちゃんもすげえ。付いていくどころか「フフフフ」とかは先導してたもんな。岡村ちゃんが負けず嫌いを発動させて「フフフ返し」をしていたけど。


すごい二人がすごいライブをしてすごいコラボをしたらすごく感動するっていう「当然だけど今日しか見れないすごいライブ」でした。ラストで語彙が消滅した。


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そして春のツアーも!わーい!でも新潟がなーい!
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ありがとう武道館!


YUKIセトリ↓
01. プリズム
02. ランデヴー
03. Hello!
04. チャイム
05. 長い夢
06. tonight
07. ひみつ
08. トロイメライ
09. フラッグを立てろ
10. ワンダーライン
11. 鳴いてる怪獣
12. JOY(with 岡村靖幸
13. イケナイコトカイ(with 岡村靖幸
14. だいすき(with 岡村靖幸

トロイメライ

トロイメライ

すてきな15才(初回生産限定盤)

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岡村靖幸×YUKIの武道館ライブに行ってきました! 感想(その1)

先攻岡村靖幸(奇跡の53歳)


ホットスタッフ・プロモーションの設立40周年を記念して東京・日本武道館で開催された3DAYSイベント「Hot Stuff Promotion 40th Anniversary MASAKA」の第2夜「Ultra Boy Meets Super Girl」に行ってきました。
www.red-hot.ne.jp
岡村靖幸が武道館!しかも対バン相手はYUKI!こりゃ行くしかないっしょ!
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私の席は2階席だったのですが、2列目なので結構近い。下を見るとアリーナのいちばん後ろよりは前だぞ。武道館は席の角度が急なので、どこからでも結構近い。1万人収容とは思えない距離感なので好き。


ステージを見ると舞台セットは岡村仕様。あれ、岡村ちゃん先攻なのか。てっきりキャリア順でYUKI→岡村だと思っていたよ。
開演前にはいろいろなミュージシャンが「ホットスタッフ40周年おめでとう」のコメント映像が流れます。これ、この3日間しか流れないのもったいない。ホットスタッフのHPで見れるようにしてほしい。


開演時間を5分くらい過ぎて、暗転。
「ぶー」というSEが流れてきたので『ぶーしゃかLOOP』かなーと思っていたら、「武道館」という声が。まあ、この日のための特別バージョンのオープニングSEなのね。
1曲目はポップなサウンドから。あれ?知らない曲だな、でも岡村ちゃんだからまた新アレンジなのかな?と思っていましたが、歌が始まっても知らない曲。歌詞の感じ(もう全部忘れた)から、もしやあの曲?
「いわば少年さー」!!
『少年サタデー』でした!「王様のブランチ」のテーマ曲ですが、まだ数回しか放送されてないし放送ではサビだけ。そんな曲をファン以外もいるこのイベントで1曲目に持ってくるのか!
曲はもう何も覚えていませんが、ポップでいい曲でした。リズムが王道の8ビート。いや、厳密にいえば岡村ちゃんですから16で跳ねているのですが、基本のビートはポップス!いつになったらフルで音源聴けるのかなー。


このステージは左右に花道があり、岡村ちゃんは右に左にアピールしに来てくれました。いきなりのメガネ外しもあり!
で、ここで私はばっちり指さされちゃったんですよねー。「見つけたぞ!」ってね。よくライブで「目が合った」と言う人いますが、ほとんど妄想ですよね。でも私のは事実ですから。


ステップアップLOVEではDAOKOパートはキーボードの富士子さんが担当。そんなに頑なに自分パート以外は歌わないぞ!でなくてもいいんですよ。もっと歌ってもいいんですよ。
www.youtube.com
この曲はMVを見れば分かる通り、ちゃんとした振付があるんですよ。ダンサー2人もいるので岡村ちゃんも踊るわけですよ。でも途中で「ええーい面倒くさい!俺は俺の踊りたいように踊るんじゃー」と結局岡村デンスになっちゃう。振付よりも衝動を選ぶ男。


『ぶーしゃかLOOP』はネット上では少し話題になったのでYUKIファンも知っているのかな?「ぶー!ぶーしゃからかぶー!」という合唱はアガる。サウンドもいいし照明もいいし、デンスもいい。ライブ向きの曲ですな。


『愛の才能』を歌ったのは「世間で知られている曲」というセトリ基準なのかな。
そういう意味では『カルアミルク』も知ってますよね?いろんな人がカバーしているので。


で、そういう意味では『できるだけ純情でいたい』はこの基準から外れるわけですが、この曲は前半まったりメロウなのに後半部分で盛り上がるのです。それも音源でなくライブだとさらにバージョンアップしています。曲のラストの岡村ちゃんデンスがビシビシと決まるところなんて何度見ても「かっちょいい!」と思ってしまいます。曲は知らなくてもこのデンスは刺さるでしょ?
この曲は途中にアコギソロがあって、いつもはマニピュレーターの白石さんが弾くのですが、この日はサックスの上杉さんが弾いていました。音はちゃんと弾けていましたが、ピックを持つ手はちょっとぎこちなかったですな。


『彼氏になって優しくなって』は、アレンジ変わっていましたか?イントロで全然分からなかった。2番は歌詞も譜割りも結構グダグダでしたな。


ここでやっとMCタイム。といっても岡村ちゃん本人はしゃべらないわけですが。この辺、YUKIファンはどう思っていたのかな?あの人何なの?全然休まないし、しゃべらないし、すっごい踊るし、何だか笑っちゃうけど周りはキャーキャー言ってるし、キモいけどかわいいし、ダサいけどカッコいいし。
この日のMCはベースの横倉さん。こんな大舞台に白石さんじゃないのか、と思っていたら、なんと白石さんは本日不在!当日会場にはいたらしいので、スケジュールの都合ではなさそう。どうしたんだろ。今後参加しないから引き継ぎ?白石さんいなくなるのは寂しいよー。
だからさっきのアコギソロは上杉さんだったのね。


MC明けはもちろん『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』なわけで、岡村ちゃんはオベーションを弾くわけで。この人、ダンスだけじゃないんだよ。楽器もできるんだよ。
この曲のポップス成分というか多幸感の多さは何なんだ。しかも切なさ成分まで入っているんだぜ。


で、『あのロン』の次は『だいすき』だよねーと思っていたら、『愛はおしゃれじゃない』!あれ?どうして?時間の都合?『だいすき』だって世間認知度あるぜ。
『愛おしゃ』は、ライブで映える曲。音源時代はそんなに「めちゃいい!」とは思わなかったのに、ライブで聴くたび好きになる。
そうだ。このライブはステージの両脇にスクリーンがあるので、表情がよく見える。デンスでの足さばきもよく見える。で、この曲ではずーっと笑顔だったんですよ。MCはしないし基本ムッツリの岡村ちゃんだから、笑顔の破壊力は抜群です。カメラ、ありがとうー!


ラストは『ビバナミダ』。この曲も2番グダグダだったなー。しかしラストのデンスで結局「カッコいい」にしちゃうんだからズルいぜ。
曲が終わるとそそくさと帰る岡村ちゃん。下手で楽屋に入る直前に手を振ってくれました。


短い。まあ、普段3時間近くやっているわけですから半分以下となればそりゃ短い。それでもフェスよりは長いので「凝縮岡村汁」をお届けできたと思います。
このイベントのタイトルが「ウルトラボーイミーツスーパーガール」なので、『Super Girl』は絶対にやってくれると思ったんだけどなー。


さて、YUKIファンにも届いたかな?岡村ちゃんはMCがないので不親切です。歌詞も何と歌っているか分からないと思います。それでもそのうちの数人には刺さって音源も聴いてくれたらうれしいな。岡村ちゃんYUKIちゃんほど万人受けする音楽ではないのでそこからまた淘汰があると思いますが、少しでもファンが増えてくれたらうれしいな。


YUKIちゃんは次回書きます。この日のセトリ↓
01. 少年サタデー
02. ステップアップLOVE
03. ぶーしゃかLOOP
04. 愛の才能
05. カルアミルク
06. できるだけ純情でいたい
07. 彼氏になって優しくなって
08. あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するんだろう
09. 愛はおしゃれじゃない
10. ビバナミダ


岡村靖幸 結婚への道

岡村靖幸 結婚への道

幸福

幸福

ステップアップLOVE (通常盤B)

ステップアップLOVE (通常盤B)

最近聴いた曲ひとこと感想(2018年10月)

住所不定無職『Gold Future Basic.』

GOLD FUTURE BASIC,

GOLD FUTURE BASIC,

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Twitterで誰かが呟いていたのでレンタルしてみた。
いいじゃない!ポップ!
私、このバンド名から勝手にガレージロックやっているような、ひねくれた意固地な音楽性をイメージしていました。そしたらこんなにポップなバンドだったとは。
ボーカルの声が川本真琴に似ていますね。なのでいい声なのですが、倍音もサスティンもないのでたまに聞き苦しいときがあります。でも、いい声いい曲いいバンド。
このバンド名は損しているなーと思っていたら、今は新しい形と名前で活動しているのね。


ベッドイン

TOKYO

TOKYO

RICH

RICH

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ベッドインといえば「90年代バブル期のオイニーを撒き散らす地下セクシーアイドルユニット」なのですが、それに騙されてはいけない。ここに張ったMVは名刺代わりなのでこのキャッチコピーに則ったものになっていますが、アルバムを聴いたらちゃんとしたポップスでした!
こんなちゃんとしたいい曲書けるのか(曲は別の人が作っているのですが)、こんなちゃんと歌えるのか(二人とも上手い)。いやー、知りませんでした、舐めていました、ごめんなさい。
テレビなどマスに出るには「エロでおバカなバブルユニット」というレッテルが必要なのでしょうが、それだと私のように誤解する人ばかりですよ。どこかで「いい曲あるじゃん!」と気づかせないと。まあ、世間はまだ彼女たちの存在を認知していないからそれ以前の段階ですが。
今、彼女たちに必要なのは『いとしのエリー』だ。ベクトル真逆の武器を持っていることがいつか役に立つ。
ライブ見たいなー。


KICK THE CAN CREW『住所 feat.岡村靖幸

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岡村ちゃんのコラボに外れなし!この曲はKREVAがラップと歌の橋渡しをしてくれているので、キックから岡村ちゃんへの移行がスムーズだ。
キックの曲にラブソングは今までなかったのですが、コラボ相手が岡村ちゃんとなればラブソングしかないっしょ!ということで岡村ちゃんにサビメロを渡したら「住所」という思いがけない言葉が出てきたのでタイトルになったそうです。
しかし、よく聴くと単なるラブソングではありません。MCUはゲーム愛を、LITTLEは韻への愛を歌っているのです。詳細はこちらを読むとより理解できます。
www.fumu.in
で、岡村ちゃんはというと、「住所」と「十畳」で韻を踏んでいる通り、「一緒に住もう」を歌っています。こちらは完全なるラブソング!
しかし結婚ではなく、同棲なのね。岡村ちゃんにとって「結婚」はやはりハードル高いのか。
2曲目の『Keep It Up』はキックらしくないというかKREVAっぽくないトラックですな。『ダンサブル』のRHYMESTERのような。こういう速いラップはリリックの内容に関わらずアガる!


KREVA『存在感』

存在感(初回限定盤 CD + DVD)

存在感(初回限定盤 CD + DVD)

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タイトルトラックの『存在感』は、自分への戒め・説教ソングでありつつ日本のヒップホップ・ラップに向けても歌われています。KREVAが自身に向けて「存在感がない」なんて言ったら、その他の日本のラッパーは全員死ぬしかない最後通牒なわけですが、実際日本のヒップホップなんてそんなもんだよなーという諦めと悲しみ。
曲の中身については、分かりやすいリズムでないしきっちりとした韻も踏んでないので、一般人がカラオケで歌ったら「ただしゃべっている人」になるしかない上級者向けフロー。それでも「決定打が出ていない」「代表作がないような」できっちり踏むところがこの男のすごさだ。
その他の曲は正直あまりピンときませんでした。トピックは面白いけど曲としての完成度はイマイチということで、シングルのカップリングやミニアルバムの収録曲レベルかなーと思っています。


真心ブラザーズ『INNER VOICE』

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前作に引き続き、一発録りシンプルイズベストの本作。
あー、やはり私はソウルでロックでファンキーな真心ブラザーズが好きだなあ。このアルバムの中でもホーンが入っているとそれだけでホッとする。
真心ブラザーズ、というかYO-KINGは年齢とともにどんどんシンプルになってきていて、それがこういう詩曲、アレンジ、録音方法になっているわけですが、その姿勢は支持するけど出来上がりの楽曲は「コレジャナイ感」なんだよなー。『手ぶら』とか大好きなんですが。
YO-KINGは何でも5年進んでいるので、もう少ししたら私もこの良さが分かるようになるはず。


YUKI『すてきな15歳』『トロイメライ

すてきな15才(初回生産限定盤)

すてきな15才(初回生産限定盤)

トロイメライ

トロイメライ

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ジュディマリは好きでよく聴いていましたが、ソロになってからはちょっと距離のある私とYUKI。ちなみに私にとっては「YUKIYO-KINGの嫁」であり、「YO-KINGYUKIの旦那」ではないのだ。
YUKIの曲を聴くといつも感じるのは「歌詞やメッセージを伝えるぞ」とか「いいメロディを歌うぞ」とかではなく「この声という楽器をいかに鳴らすか」「いかに弾くか」ということ。この声は歌を歌うためではなく歌を鳴らすために響いている。
それにしても、いつまでかわいいのだ、この人は。帰宅するとYUKIがいる家があるんだぜ。その家はYUKIが帰ればYO-KINGがいるわけですが。

映画『億男』 感想

叶いまーーす!!


映画『億男』を見てきました。公式サイト↓
okuotoko-movie.jp
「お金の正体は何か」「あなたにとってお金とは何か」という話なので、お金について何も考えていない私は何となくぼんやりと映画を見ていた感じでした。
登場するキャラクターがそれぞれ「お金とは」を語って、「どれが正解というわけではありません。どれを信じるかはあなた次第です」と手札を渡されるので、見た人はそれぞれ「自分にとってお金はこういうものだな」と自分の手札を選ぶのが正しい見方なのでしょうが、私はお金について何も考えていないため、何も結論を得ることができませんでした。


私はまだ独り者で家を建てる予定もなく、物欲もないので日々の生活には困っていません。もし3億円当たっても、今の仕事を粛々とこなし(頑張りはせず)、ちょっとライブや旅行に行く回数が増えるだけのような気がします。実際当たったら羽振りよくなっちゃうかもしれないけど。
お金があるというのは「心の安定」にはつながりますが、それ以上のものはない。お金に困っているわけでもないし欲しいものがあるわけでもない。
そんな奴はこの映画を見るべきではないのかもしれない。


映画の話に戻りましょう。
画作りや撮り方は「真面目だなー」という印象。もう少し楽しくても(=笑える感じ)いいのになーと思いました。
タイトルの出し方は最初のモロッコの砂漠ではなく、ビリオネアパーティーのクライマックスで出して次の場面で翌日、の方がいいのでは?と思いました。あと、関係ないけどオープニングで一男(佐藤健)が室内に入ってきたとき、その後ろで乾杯をするエキストラがいるのですが、全然楽しくなさそう。大事なシーンなんだから、エキストラにも演技指導してあげればよかったのに。


後半、子供のバレエ発表会で、こんなに楽しそうにバレエを踊っている娘を見てお金がないから辞めさせようとした自分を恥じる一男。借金を返せば全てが元通りになると思っていた一男ですが、家族はお金では買えないのです。当たり前ですが、お金(借金)に囚われていた一男はそれが「分かっていたのに分かっていなかった」のです。
離婚届は渡したものの正式に提出した描写はなく、ラストの自転車の部分では「ここから復活あるかも」という希望に傾いたエンディングでした。


全体としては面白かったのですが、上に書いたように結論が自分にはきちんと着地しなかったので、ふわふわしています。で、そうなると重箱の隅が気になっちゃうのです。揚げ足取りみたいなツッコミですが、以下に書きます。
●オープニングのパーティーは、「彼がビリオネアでーす」というお披露目の会なの?
●消えた九十九(高橋一生)を探すためにかつての仕事仲間に会いに行く一男ですが、皆さんお忙しいのによく会ってくれたな。
●そこでそれぞれが「お金とは」を話すのですが、まるでインタビューのように皆さん語る語る。初対面の人にこんなに語る?情熱大陸でもないのに。
●十和子(沢尻エリカ)はなぜお金を見せてくれたのでしょう。結局見せたいの?あんなに襖破ってあの後どうするつもりなんだろ。それ以前にどうやってあの細工したんだろ。
●千住(藤原竜也)のインチキセミナー後、拾ったお札にアイロンかけていたけど、銀行行って両替してこいよ。アイロンかける人件費の方が高いぞ。そして、初対面の人に舞台裏見せすぎ。
●ラスト、一男が乗っている電車に現れる九十九。どうやってここに一男がいると分かったの?そんな偶然ありえないよ!この場面の直前、図書館で本を乗せるカート(台車)を押して通路を歩く描写があったので、ここで九十九が登場するんだと思ったのになー。
●いくら九十九を信じていたとはいえ、3億円が消えて、そして戻ってきたらもっと慌てるだろ。冷静すぎるぞ。
●一男は兄の保証人になったので借金を背負う羽目になったという設定なのですが、次男なのに「一男」なの?「一男」という名前は設定上外せないので、姉か父にすればよかったのに。ここの不自然さ、スタッフの誰も気にならなかったのかな?
Wikipediaを見たら原作は「弟の借金」と書いてありました。何で変えたんだろ。
●九十九は一男のことを、基本「きみ」と呼ぶ。そんな親友ある?
つまんないツッコミばかりでごめんなさい。


役者について
佐藤健(一男)
見た目は三四郎小宮に寄せていますが、寄せれば寄せるほどポテンシャルの違いが出てくる。『何者』では受けの演技がとてもよかったですが、今作は特に可もなく不可もなくって感じだったなー。そして、落語下手すぎ。
高橋一生(九十九)
吃音の演技がとてもよかった!大学時代のひどい吃音と、社会人になってからの少し改善した喋り方、きちんと差があってとてもよかったです。落語もなかなかよかった!
そして彼のくしゃくしゃの笑顔はものすごいパワーを持っている。
今作の喋り方のせいもあるのでしょうが、なんとなく佐野元春に声が似ているなーと思いながら見ていました。
北村一輝(百瀬)
バレバレのヅラとヒゲ、顔も体も声も喋り方も全部本人と違うので、これ、北村一輝がやる必要ある?と思いながら見ていましたが、上手いのでよし。宮川大輔と彦麻呂を纏っていた。
藤原竜也(千住)
安定の藤原竜也。彼はもう普通の役はできませんね。今回は秒速で稼ぐあの人がモデルなのでしょうが、私には『マグノリア』のトム・クルーズに見えた。「叶いまーーす!」の薄っぺらいこと!素晴らしい。
普段よりぽっちゃりプクプクしていたけど、腹回りは詰め物だとして、ほっぺたはどうしたんだろ。役作りで太ったのかな?
沢尻エリカ(十和子)
最初は会社時代の秘書役で登場していましたが、このとき私はこの女性が沢尻エリカだと気づきませんでした。その後主婦役で一人でどんどん語り出し、一人で勝手に10億円を見せてくる。どうした。結局喋りたいのか、見せたいのか。
過去パートでホステス嬢の沢尻エリカが出てくるのですが、これがいい。化粧と髪型で女性は全然違う人になるね。
池田エライザ(あきら)
彼女だけ数字じゃないのね。
私、エライザ大好きなのですが、今作だとあまりかわいくない。何でだろ。やはり髪型と化粧のせい?
そして、演技はイマイチだったな。
黒木華(万佐子)
黒木華。以上。


主題歌はバンプオブチキン。藤君の声はいいなあ。
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億男 (文春文庫)

億男 (文春文庫)

↑こっちも映像化してくれないかな。

そろそろ岡村靖幸の何がすごいかをはっきりさせよう

ねえ、君は僕の事好きだって言うけどさ、どうして?


岡村靖幸は、好き嫌いがはっきり分かれるミュージシャンです。2011年の復活以降(=スーツ以降)はだいぶマイルドになりましたが、90年前後の頃はナルシスティックな振る舞いやセクシーな歌詞、何と歌っているのか分からない歌唱法などを毛嫌いする人も多くいました。
分かるぞ。でも、それを突破すると素晴らしい世界が待っているのだよ。


私はこのブログで何度も岡村ちゃんのことを取り上げてきたので今さらではありますが、もう一度岡村靖幸のすごさをきちんと伝えたいなと思い、書きます。
基本、ファン向けの内容になっておりますが、これを読んで非ベイベの方も聴いてくれたらなお嬉しいです。


職業作曲家としてのベース
(この「ベース」は楽器の方ではなく「基盤」の方です)
ステージであんなに踊る岡村ちゃんですが、デビューは「作曲家」です。渡辺美里・吉川晃司・鈴木雅之などに曲を提供する裏方でした。それがある日、レコーディングスタジオで踊っているところをプロデューサーに見初められ、デビューに至ります。
この話、まるで「友達の付き添いで来ただけなのに自分がスカウトされた」「姉が勝手に履歴書を出してオーディション合格しちゃった」みたいなアイドルのシンデレラストーリーですな。本当はデビューのために下積みの一環として楽曲提供もしていたのかなーとは思いますが、いい話。
で、岡村ちゃんは他人への楽曲提供という仕事をしていたので、「どうすれば多くの人に聴いてもらえるのか」ということを考えて曲を作っていたのだと思います。それが「ファンクでありながらポップス」という岡村靖幸のオリジナリティにつながっていったと私は考えます。


ファンクを日本語で歌うということ
岡村靖幸の音楽は、ファンクです。「和製プリンス」なんて言われていたのもファンクミュージックをやっていたからです。
日本人はディスコ音楽は好きなのに(AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」だってディスコだ)、日本にはファンクという音楽が根付きません。なぜか。
日本語が乗らないからです。
ファンクのリズムは跳ねているので、日本語のべったりのっぺりとした言葉は相性が悪いです。さらにファンクは1コードや2コードを延々とプレイすることにより生まれる高揚感が魅力で、「リズムで聴く音楽」です。それに対し日本の唱歌・歌謡曲は「メロディで聴く音楽」なので、ここでも相性が悪い。コード進行がずっと変わらない曲なんて聴いていられない人が多いのでしょう。
なので、以前の日本のファンクミュージックは意味よりも音のノリを重視した曲、おバカなパーティーソングなどが多かったのです。


そこで岡村靖幸はどうしたか。
「ファンクのリズムのまま日本語を乗せた」のです。ロックのリズムに日本語を乗せた開祖は桑田佳祐ですが、ファンクは岡村靖幸なのです。
具体的には韻を踏むこと、日本語の発語を崩してでもリズムに沿うこと、曲に合うためなら新しい日本語も作っちゃうことなどです。
いくつか実例を。

Peach Time』
Peach Time I Love You
今晩ビビッとナンパをしようぜDown town boy
実際はまだ困難すぎてバーボン握ってダウン×2さ

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ここは「ダウンタウンボーイ」と「ダウンダウンさ」が分かりやすく韻を踏んでいますが、もっと細かく見ていくと「ピーチタイムラビャ」と「実際はまだ」でも踏んでいます。しかもここは「I Love You」を「まだ」と踏むために「ラビャ」という発音で歌っています。「今晩」と「困難」でも踏んでいるので、つまりこの部分はほとんど踏みまくりなのです。
そしてこの後「食事はニューオーリンズ」という歌詞が出てくるのですが、なぜニューオーリンズかというと、2番の同じ部分の歌詞が「重要です」なので、ここで韻を踏むために「ニューオーリンズ」なのです。

『家庭教師』
たぶん23歳 だのにこんな昼間 遊んでばかりで
赤羽サンシャイン あの娘こんなビルの部屋借りちゃってんだぜ そんで…

エリ子がジャンジャンお金浪費するとあの夢がばれる
かたじけないじゃん 親が村会議士で偉くて大金持ちだとしても

毎晩門限を破ってる 大学校でも嘆いてる
最終家庭教師の僕 来週の参観日に間に合う様に宿題しなBaby ほら

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まずは「たぶん23歳」と「赤羽サンシャイン」。23歳だからこのマンション名になったのか、「サンシャイン」の響きから23歳になったのか。どちらが鶏でどちらが卵なのかは分かりません。ついでに「なのに」ではなく「だのに」なのは、「だ」の方がアタックの強い音だから選んだのだと思っています。
「ジャンジャン」と「かたじけないじゃん」は分かりやすいですね。もちろん上の「たぶん23歳」「赤羽サンシャイン」とも韻の関係になっています。
「毎晩」と「大学校」はどちらも「あいあ」で韻を踏んでいます。さらにその次の「最終」と「来週」も韻を踏んでいますね。しつこく細かくいうと、「門限を」と「(大学)校でも」は「おえお」で踏んでいます!
そしてこの曲は、「村会議士」「大学校」など馴染みのない言葉も登場します。「議員」や「大学」ではダメなのです。曲のリズムとメロディがこの言葉を要求しているのです。「参観日」だって、大学なんだから参観日なんてないはずです。それでも「サンカンビ」という言葉のリズムのためにこの言葉が選ばれているのです。
『聖書』の「Crazy×12-3=me」も完全な造語ですな。

『どぉなっちゃってんだよ』
Hey everybody 今年の夏は誇らしいと誰からも言われてみたい気がする
ねぇ 職場でとなりの席がバカなセクハラ上司で君を撫でたら殴るの?

読んだ本は全部マンガばかりで 次の日全部忘れちゃう
だって重要なことなら誰かれ問わずに ファッション×2

Hey everybody 好みのギャルもビデオばかり見てたなら出会う機会も失せるぜ
好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる そうだろ?

ここでは韻ではなく「アタックの言葉」について。曲を聴くと、リズムを強調している歌い方の部分があります。「ヘイエブリディ」「ねぇ職でとなりの席が」「読んだ本は部マンガばかりで」「次の日部忘れちゃう」「だって要なことなら」「ビデオかり見てたなら」と、リズムを強調している部分は全部濁音です。濁音は、音の響きとして強い。もちろん狙ってこういう歌詞の配置にしているのです。
そして「好きだと言えないくせして」の部分が「言えない」と濁音ではないのは、それにより「言えない」という弱弱しさも際立たせるというスゴ技なのです。
さらに後半の

俺達きっとなんだかんだ言って宿題なんぞ投げ出したい
そんで流行の雑誌で生き方定めて ファッション×2
俺なんかもっと頑張ればきっと女なんかジャンジャンもてまくり
やっぱマニュアル通りに見つめてそんでもって マンション×2

ここなんか、促音(小さい「っ」)と「ん」を上手く使ってリズムを強化しています。上手いなー。


その他、『いじわる』『聖書』ではファンクの1コードループにより、ねっとりとしたエロさを表現しています。歌詞のエロさは言わずもがな!


このように、岡村靖幸はファンクのリズムを強化するために日本語を巧みに使い、きちんと意味も通す歌詞にしているのです。すごーい。そして上記で書いたように職業作曲家としてのメロディのポップさが加わって、「ファンクなのにポップス」が成立しているのです。


名コピーライター
日本語のままファンクをやるという岡村靖幸ですが、その歌詞はリズムに乗せるためだけではなく、歌詞そのものも素晴らしいのです。
「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」は、これまであらゆるジャンルでパロディにされてきました。AVにもなっていたなあ。90年代に入ってビーイング系がこういう長いタイトルの作品出してきましたが、こっちは1990年発売ですからね。こっちが元祖。
「(E)na」で「かっこいいな」と読ませるアイデアは、ネット文化以降ではこういうスラングもありますが、この時代ではまだない。岡村ちゃんはいつでも早いのだ。


「この僕は君の最新型のベッド」
「今夜は君のヒップが何でできているかパパやママやみんなに教えてあげるんだ」
「同級生だし バスケット部だし 実際青春してるし 背が179!!」
「長靴の中に水たまりがありゃまだ10代」
「君のパンツの中で泳がせてよ」
「週刊誌が俺について書いてあるのは全部ウソだぜ」
「でも本当に大事なキスなら僕しか販売してない」
「撫でちゃいたいかい?僕の高層ビルディング」
「参考書は僕のヒップ」
「寂しくて悲しくてつらいことばかりならば あきらめてかまわない 大事なことはそんなんじゃない」
「性生活は満足そうだが」
「ぼくがすごいのはSEXだけじゃないんだぜ」
「僕はステップアップするため倫社と現国学びたい」
「本当のDance Chance Romanceは自分しだいだぜ」
キリがないのでやめよう。どーですか、この歌詞。すごいでしょ!


ダメな男、岡村ちゃん
ここまで音楽面から岡村靖幸のすごさを解説してきましたが、ここでは「ダメな男、岡村ちゃん」を書きます。私生活は知りません。あくまで音楽から伝わることのみで。
岡村ちゃんは、何もできない男なのです。何もしない男なのです。「僕はベッドの中じゃすごいって日本じゃ有名なんだよ」「僕はあいつには絶対できないキスのやり方を知っているからね」なんて言いながら、実際は下記の通りです。


「誰もできぬキスがしたいの」
「あなたが好きだと実感させて 抱きしめたいな」
「あなたのドレスのジッパー外して 撫でてみたいな」
「いますぐ君を抱きしめたい」「くちづけしたい」「騒いじゃおう」「やっちまおう」
「猛獣のようなハートであのとき 激しく抱きしめてたなら」
ダスティン・ホフマンのようにさらいたい」
「僕の方がいいじゃない」
「愛しちゃったんだろ?言うチャンス今だぜ」(言ってない)
「ナンパできるようになりたきゃ どうすりゃいい?」
「好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる」
したい、してみたい、してたら…。何もしてない、何もできない。それが岡村ちゃん


Peach X'mas』は「本気出せばこんなもんだぜ どーだまいったかgirl」なんて言いながら、実際は何も言えていません。そして同じくダメだった男友達と来年の作戦を考えるのです。
『ラブメッセージ』は50歳を過ぎても14歳の頃を思い出して「零れるようなキスしたい」「君がいた青春は あの頃のまま輝ってる」なんて思い出している。いつの話だよ!まだそんなこと思い出してるのかよ!
『愛はおしゃれじゃない』なんて全面妄想ですからね。


ちゃんと行動しているのは『Dog Days』の「歴史に残る勇気を振り絞ってぼくは言ったよ 君さえよければ この夏一番の愛を築こう」くらいですよ。ここでも「歴史に残る勇気」なのに「君さえよければ」という控えめな表現。で、ここまで頑張ったのに「車のない男には興味がないわ あきらめて出直して勉強でもしてて」とあっけなくフラれる始末。かわいそう。


でも、こういうところが好きなの。ピュアで、気軽に「君を愛してる」なんて言わない。だってそんなこと気軽に言えることじゃなもの。そういえば岡村ちゃんの歌詞に「愛してる」ってほとんど出てきませんね。「好き」で止まってる。50歳を過ぎてもまだ青春の中にいるのか。


だいぶ長くなったのでこの辺でおしまいにします。岡村靖幸がすごいのは、ファンクというカッコいい音楽をカッコいいまま日本の音楽にするために歌詞の内容やリズムにこだわり、さらに歌詞の内容についても他とは比較のできないオリジナリティがあるところだ。
そのうえ見た目がカッコいいとかデンスがすごいとかもあるけど、そこまでキリがないのでここまで。もう5,000字超えたよ!


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