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映画『億男』 感想

叶いまーーす!!


映画『億男』を見てきました。公式サイト↓
okuotoko-movie.jp
「お金の正体は何か」「あなたにとってお金とは何か」という話なので、お金について何も考えていない私は何となくぼんやりと映画を見ていた感じでした。
登場するキャラクターがそれぞれ「お金とは」を語って、「どれが正解というわけではありません。どれを信じるかはあなた次第です」と手札を渡されるので、見た人はそれぞれ「自分にとってお金はこういうものだな」と自分の手札を選ぶのが正しい見方なのでしょうが、私はお金について何も考えていないため、何も結論を得ることができませんでした。


私はまだ独り者で家を建てる予定もなく、物欲もないので日々の生活には困っていません。もし3億円当たっても、今の仕事を粛々とこなし(頑張りはせず)、ちょっとライブや旅行に行く回数が増えるだけのような気がします。実際当たったら羽振りよくなっちゃうかもしれないけど。
お金があるというのは「心の安定」にはつながりますが、それ以上のものはない。お金に困っているわけでもないし欲しいものがあるわけでもない。
そんな奴はこの映画を見るべきではないのかもしれない。


映画の話に戻りましょう。
画作りや撮り方は「真面目だなー」という印象。もう少し楽しくても(=笑える感じ)いいのになーと思いました。
タイトルの出し方は最初のモロッコの砂漠ではなく、ビリオネアパーティーのクライマックスで出して次の場面で翌日、の方がいいのでは?と思いました。あと、関係ないけどオープニングで一男(佐藤健)が室内に入ってきたとき、その後ろで乾杯をするエキストラがいるのですが、全然楽しくなさそう。大事なシーンなんだから、エキストラにも演技指導してあげればよかったのに。


後半、子供のバレエ発表会で、こんなに楽しそうにバレエを踊っている娘を見てお金がないから辞めさせようとした自分を恥じる一男。借金を返せば全てが元通りになると思っていた一男ですが、家族はお金では買えないのです。当たり前ですが、お金(借金)に囚われていた一男はそれが「分かっていたのに分かっていなかった」のです。
離婚届は渡したものの正式に提出した描写はなく、ラストの自転車の部分では「ここから復活あるかも」という希望に傾いたエンディングでした。


全体としては面白かったのですが、上に書いたように結論が自分にはきちんと着地しなかったので、ふわふわしています。で、そうなると重箱の隅が気になっちゃうのです。揚げ足取りみたいなツッコミですが、以下に書きます。
●オープニングのパーティーは、「彼がビリオネアでーす」というお披露目の会なの?
●消えた九十九(高橋一生)を探すためにかつての仕事仲間に会いに行く一男ですが、皆さんお忙しいのによく会ってくれたな。
●そこでそれぞれが「お金とは」を話すのですが、まるでインタビューのように皆さん語る語る。初対面の人にこんなに語る?情熱大陸でもないのに。
●十和子(沢尻エリカ)はなぜお金を見せてくれたのでしょう。結局見せたいの?あんなに襖破ってあの後どうするつもりなんだろ。それ以前にどうやってあの細工したんだろ。
●千住(藤原竜也)のインチキセミナー後、拾ったお札にアイロンかけていたけど、銀行行って両替してこいよ。アイロンかける人件費の方が高いぞ。そして、初対面の人に舞台裏見せすぎ。
●ラスト、一男が乗っている電車に現れる九十九。どうやってここに一男がいると分かったの?そんな偶然ありえないよ!この場面の直前、図書館で本を乗せるカート(台車)を押して通路を歩く描写があったので、ここで九十九が登場するんだと思ったのになー。
●いくら九十九を信じていたとはいえ、3億円が消えて、そして戻ってきたらもっと慌てるだろ。冷静すぎるぞ。
●一男は兄の保証人になったので借金を背負う羽目になったという設定なのですが、次男なのに「一男」なの?「一男」という名前は設定上外せないので、姉か父にすればよかったのに。ここの不自然さ、スタッフの誰も気にならなかったのかな?
Wikipediaを見たら原作は「弟の借金」と書いてありました。何で変えたんだろ。
●九十九は一男のことを、基本「きみ」と呼ぶ。そんな親友ある?
つまんないツッコミばかりでごめんなさい。


役者について
佐藤健(一男)
見た目は三四郎小宮に寄せていますが、寄せれば寄せるほどポテンシャルの違いが出てくる。『何者』では受けの演技がとてもよかったですが、今作は特に可もなく不可もなくって感じだったなー。そして、落語下手すぎ。
高橋一生(九十九)
吃音の演技がとてもよかった!大学時代のひどい吃音と、社会人になってからの少し改善した喋り方、きちんと差があってとてもよかったです。落語もなかなかよかった!
そして彼のくしゃくしゃの笑顔はものすごいパワーを持っている。
今作の喋り方のせいもあるのでしょうが、なんとなく佐野元春に声が似ているなーと思いながら見ていました。
北村一輝(百瀬)
バレバレのヅラとヒゲ、顔も体も声も喋り方も全部本人と違うので、これ、北村一輝がやる必要ある?と思いながら見ていましたが、上手いのでよし。宮川大輔と彦麻呂を纏っていた。
藤原竜也(千住)
安定の藤原竜也。彼はもう普通の役はできませんね。今回は秒速で稼ぐあの人がモデルなのでしょうが、私には『マグノリア』のトム・クルーズに見えた。「叶いまーーす!」の薄っぺらいこと!素晴らしい。
普段よりぽっちゃりプクプクしていたけど、腹回りは詰め物だとして、ほっぺたはどうしたんだろ。役作りで太ったのかな?
沢尻エリカ(十和子)
最初は会社時代の秘書役で登場していましたが、このとき私はこの女性が沢尻エリカだと気づきませんでした。その後主婦役で一人でどんどん語り出し、一人で勝手に10億円を見せてくる。どうした。結局喋りたいのか、見せたいのか。
過去パートでホステス嬢の沢尻エリカが出てくるのですが、これがいい。化粧と髪型で女性は全然違う人になるね。
池田エライザ(あきら)
彼女だけ数字じゃないのね。
私、エライザ大好きなのですが、今作だとあまりかわいくない。何でだろ。やはり髪型と化粧のせい?
そして、演技はイマイチだったな。
黒木華(万佐子)
黒木華。以上。


主題歌はバンプオブチキン。藤君の声はいいなあ。
www.youtube.com


億男 (文春文庫)

億男 (文春文庫)

↑こっちも映像化してくれないかな。