やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

ライムスター(Rhymester)入門編

ノープランだった


先日「ライムスターと岡村ちゃんをつなげる企画」としてYouTube宇多丸さんが岡村ちゃんを語っている動画(音声だけだけど)を紹介して、ライムスファンにも岡村ちゃんを知ってもらう原稿を書きました。
それに続くのが今回なのですが、岡村靖幸→ライムスターにつながるネタがない。しまった、ノープランだった。
酔っ払ったついでにYouTubeでこの動画(音声だけ)を見つけて勢いで書いてしまったけど、さて今回はどうしたものか。
岡村靖幸特集(2008) ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル


というわけで、今回は「初心者がライムスターに馴染むために」という趣旨で、オススメのアルバムを紹介していきます。


HIPHOPは苦手」という人はたくさんいるでしょう。何が苦手なのですか?
■しゃべっているだけでしょ
■(メロディがないから)どれも同じじゃん
■「YO!YO!」とか「俺様一番」とかウザイ
■バカっぽい、不良っぽい、ファッションがダサい
とこんなとこでしょう。
はい、ライムスターは全てクリアしています。
つーかそもそも宇多丸さんは自身のラジオでこれらの問いに全てアンサーを出しています。
YouTube見たけど見つけられなかった。もう削除されたのかな?)


音楽的な側面から、私の回答と解説です。
そもそも「ラップ」と「ヒップホップ」は混同されがちですが、超ざっくり言うと、「ラップ」は「メロディ要素の少ない歌い方」であり、「ヒップホップ」は「ラップの入った音楽ジャンル」です。
メロディ要素の少ないラップが、いかにしてヒップホップを音楽たらしめているのか。それは「グルーヴ」です。ビートに乗って言葉を発し、韻を踏むことでリズムを生み出している。これが他の音楽ジャンルに対して勝っている部分なのです。
なぜ韻を踏むのか。それは「グルーヴを生み出すため」です。つまり、グルーヴが生まれているのなら、韻を踏むことは必要条件ではないのです。
なので、下手なラッパーはいくら韻を踏んでも(韻が固くても)「いい音楽」になりません。逆に言えば、グルーヴが生み出されているのなら韻を踏んでいなくても(韻が甘くても)、「いい音楽」になるのです。
グルーヴを生み出すというのはどういうことか。それはラッパーのフローの仕方によるので一概には言えませんが、分かりやすく言うと「ビートに乗っている」ということです。例えば1小節を16に分割して、そこにそれぞれ言葉をはめる。これがきちんとできているラッパーはグルーヴを生み出すことができます。同じ16文字だとしても均等に言葉を乗せられていなければグルーヴは生まれにくいです。
※「フロー」とは「ラップの歌い方」だと思ってください。
※この「ビートに乗っている」歌い方を「タイトにフローする」などと言います。


次にラッパーに必要な要素として、「うまいこと言う」があります。
ヒップホップは言葉の要素が大きな音楽なので、歌っている内容が面白くなければいけません。「面白い」というのは、「Laugh」ではなく「Interest」です。「ギャグとして面白い」ではなく、「お話として面白い」です。いや、前者でもいいのですが、それだと耐久性に欠ける。言うなれば落語のような「オチが分かっていても面白い」お話だといいですね。


最後に、「何を言っているか分かる」です。
せっかくビートに乗って面白い話をしているのに、滑舌が悪くて聞き取れない、英語ばかりで理解できない、では魅力半減。歌詞カードがなきゃ伝わらないラップなんて意味なし。


というわけで、「ビートに乗って」「うまいこと言って」「何言っているか分かる」のが私の提唱する「いいラッパーの条件」です。
これが、ライムスターには全部当てはまっているんだな。


フリが長くなりすぎた。オススメのアルバムですね。
はい、ではまず「ウワサの伴奏」を聴きましょう。TSUTAYAでレンタルでいいです。
このアルバムは前作「ウワサの真相」の楽曲をいろいろなアーチストとコラボしたアルバムです。「ヒップホップは苦手」という人も、名だたるバンドやミュージシャンとコラボしているという安心感で聴きやすいです。そして実際キャッチーだと思います。
では、シングルにもなった「肉体関係Part2」を。
RHYMESTER feat. Crazy Ken Band - Nikutai Kankei (PV)


で、次ですが、実はこのアルバムが「いい!」と思えたならもうどこへでもいけます。
前作「ウワサの真相」を聴いてオリジナルとの比較をしてもよし、次の「グレイゾーン」でぱっと聴き地味な印象を受けてもすぐスルメになってもよし、その次の「HEAT ISLAND」で暑苦しいパーティー地獄に陥ってもよし。


ここまでくればもう虜になっているはず。ここでベストアルバム「メイドインジャパン」へ行き、そこでクラシック時代にあなたのアンテナが反応すればここからさらにインディーズ時代のアルバムへ潜ってもよし。


「グレイゾーン」から「ザ・グレート・アマチュアリズム」
YouTube
Dさんのパート、やばくないっすか?ラストの部分も含めて。
そしてこの曲はモー娘。マッシュアップした曲がありまして、といっても誰かが勝手につなげたものですが、これがとってもカッコイイ。ぜひ聴いていただきたい。
アマチュアリズム・レボリューション21.1/モーニング娘。にライムスター

「HEAT ISLAND」より「ウィークエンド・シャッフル」
RHYMESTER - ウィークエンド・シャッフ
ほうら見て、超豪華!

メイドインジャパン」からはこれしかないっしょ。「B-BOYイズム」
RYMESTER [B-BOY IZM] ライムスター
ほうら見て、若かりし頃のあの人やこの人が。そして宇多さんがまだ初期の形態です。


で、ここでダメ押し。「マニフェスト」を聴きましょう。どうですか、どの曲もいいでしょう。バックトラックを外部に委託しているので音がカッコイイ。
そして宇多さんのラップが上手くなっています。宇多さんといえば「うまいこと言う」のは昔から日本一ですが、「ビートに乗って」がイマイチでした。それが上達している。
Dさんの「ビートに乗って」はKREVAと双璧をなす日本一ですが、それがさらに進化。えー、あそこからさらに進化すんの?という高レベルでレベルUP。
というわけで、この「マニフェスト」が個人的には一番好きです。
マニフェスト」からはまずは「ONCE AGAIN」。
【元気が出る】 ライムスター・ONCE AGAIN 【歌詞付き】
PVに歌詞付きで。

次は「K.U.F.U」。
KUFU ライムスター
B-BOY PARKのライブの模様。しかも袖からの映像。なので音質も画質も良くないですが、熱量は伝わると思います。そしてこんなライブバージョンでも「何を言っているか分かる」でしょ!



ここまで来たら「POP LIFE」も「フラッシュバック、夏」も聴いちゃいましょう。
前作に引き続き外部制作のトラックはかっこよく、扱うテーマも日常に即したものなので、誰でも共感可能。いつの日か「ヒップホップのままJ-POPのど真ん中」を打ち抜いてもらいたいです。これはKREVAですらもがいているので相当なハードルだとは思いますが、頑張ってくれ!


「POP LIFE」からは震災前に書かれたのに今の時代にこそ響く「そしてまた歌いだす」。
RHYMESTER 【そしてまた歌い出す】

「フラッシュバック、夏」
フラッシュバック、夏。
PVもいい出来なのですが、落ちてないですね。最近はライブ映像なども取り締まりが厳しいので、上記の映像・音源もいつまで残っているか分かりません。なので、お小遣いで買いましょう!


The Choice Is Yours(期間生産限定盤)

The Choice Is Yours(期間生産限定盤)

フラッシュバック、夏。

フラッシュバック、夏。

ウワサの伴奏~And The Band Played On~

ウワサの伴奏~And The Band Played On~

グレイゾーン

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ベストバウト~16 ROUNDS FEATURING RHYMESTER~

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POP LIFE

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マニフェスト

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HEAT ISLAND

HEAT ISLAND

メイド イン ジャパン~THE BEST OF RHYMESTER~

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