やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

スガシカオ「SugarlessⅡ」

第2のデビューに寄せて


スガさん、独立しましたね。そして新曲をダウンロードリリースしましたね。
私は新曲はまだ聴いていませんが、インタビューを読んで「この立場を捨てて敢えて一人になるなんてアホか」と思いながら、そんなアホウが私は大好きです!
というわけで、ちょうど1年前くらいに出たこのアルバムを再度取り上げます。書いたのはリリース直後です。ではどうぞ。



カップリング・他人への提供曲・カバー曲、そして新曲をまとめた「Sugarless」シリーズの第2弾。寄せ集めというか企画ものなのですが、これがすごくいい。
新曲もいいし、「何でこんないい曲がカップリングで埋もれているんだ」という名曲もこれで日の目を見たし、他人への提供曲はやはり本人用とは違うメロディ・グルーヴだし、他人の曲は譜割りから言葉のはめ方まで全く違っていて面白いし、いろいろな発見があります。


アルバム「PARADE」の時にも感じましたが、最近のスガシカオは「開かれている」感じがあります。スガシカオはファンクを主体とした音楽ですが、ディスコのような享楽的パーティーミュージックではなく、密室的で官能的なグルーヴがあります。
それが、最近はリスナーに向けて「届くこと」を意識しているような感じがあります。


それではいくつか曲の紹介を。


■コーヒー
新曲です。バラードですが、テンポが遅すぎず、メロディも大仰で無いのですっきりと聴けます。亀田誠治さんのアレンジが、「ベタじゃないJ-POP」な感じを出しています。
この「クサくないのに売れ線」なアレンジが先に書いたようなポップ感を生みだしているのかな?


■月とナイフ
1stアルバムに入っている曲ですが、未だにNO.1の名曲ですね。もとはアコギぼ弾き語りでしたが、こちらはピアノの弾き語りバージョンになっています。あんまり印象変わりませんね。リズム楽器が無いからかな?


■ホームにて
これはシングル「19才」のカップリングですが、これがいい曲!カップリングでもったいない、と思っていた曲がようやくアルバムに収録されて、個人的に嬉しい。


■ファスナー
ミスチルのカバーで、桜井さんとギターバトルしながら一緒に歌っています。この曲は桜井さんがスガシカオっぽい曲を、と思って作った曲だそうです。そう言われれば、「なるほど!」って気がしませんか?あんまり具体的には分かりませんが、何となく。
ちなみに、「Progress」はスガさんがミスチルっぽい曲を、と思って作った曲だそうです。これも「なるほど!」と思います。だからポップなのか。


■TOKYO LIFE
メロディもアレンジも明るい!
東京で新生活を送るワクワク感と、自分はおいてけぼりだけど街はきらびやか、な感じがします。深読みしすぎ?無理にそう感じようとしているだけでしょうか。


■Progres
先に書いたように、ミスチルっぽい曲です。
曲もポップですが、歌詞もスガさんにしてはめずらしく「未来に向けて頑張るぞ」ソングになっています。しかしそこはスガシカオ。アホのJ-POPのような「頑張れば夢は叶う」「未来を信じて羽ばたいて」みたいな何の具体性も説得力もない歌詞とは段違いです。
ちなみに、カラオケで歌うといい曲と褒められます。


アオゾラペダル
嵐に提供した曲。SMAPの「夜空のムコウ」は歌詞だけですが、こちらは作詞作曲ともスガさん。なぜ嵐に曲を提供したかというと、マンガ家羽海野チカがスカシカオの大ファン→「ハチミツとクローバー」が実写映画化→主演が嵐の櫻井君、という流れです。なので、リズムもメロディも黒過ぎず、さわやかなポップスになっています。
スガさん、やれば出来るじゃん。しかし、私たちファンが望んでいるのは黒いスガシカオなのでした。


■Real Face
こちらはカトゥーンへの提供曲。曲はB'zの松本さんで、スガさんは歌詞だけ。
そのため、メロディの譜割りやリズムが他の曲と違いすぎてちょっと笑っちゃった。アレンジの違いなのか、カトゥーン版では何も感じませんでしたが、こちらではとってもスカスカな感じ。
16ビートの世界から見ると8ビートの世界はこんなにスカスカなのか。でも世間で受ける世界はこちらなのか。


ここ最近のオリジナルアルバム「ファンカホリック」「ファンカスティック」という、「ファンク丸出し」のはずのアルバムが個人的にはあまり良いとは感じられず、この企画ものの方が良いと感じてしまうのは、スガさんとしてはどうなんでしょうか。
私は良いファンでしょうか。



スガシカオ ⇒ kokua / Progress
スガ シカオ / コーヒー(Short Edit ver.)

SugarlessII

SugarlessII