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映画「マネーボール」 感想

ノムさんのID野球とどっちが上ですか?


映画公開時、劇場で見たかったのですが時間が合わず、見れずじまいだった本作。
ようやくDVDで見ましたが、個人的にはイマイチでした。
当たり前ですが、やはり野球やメジャーリーグの知識や愛情があった方が楽しく見れますね。


ブラピが演じるビリー・ビーンはアスレチックスのGM(ゼネラルマネージャー)。アスレチックスは貧乏球団で、力をつけた選手は金満球団に引き抜かれ、かといって同等の選手を雇える余裕はない。
そこで彼は「出塁率」など、従来の野球では重視されなかったデータをもとにチームを作り上げていく。


この理論は面白いですね。「ベースボール」をどのように捉えるかが問われている感じ。「ヒット・ホームラン・盗塁など、塁を進めることが勝率を上げる」のか、「アウトを取られないことが勝率を上げる」のか。
ビリーは後者を選び、塁を進めるためでも犠牲バントや盗塁を否定します。
「アウトを取られない=塁に出る」なので、それはヒットでも四球でも同じ意味を持ち、打率よりも出塁率を重視します。
また、四球を選ぶというのは相手投手に球数を多く投げさせることなので、投手の交代も早くなる。そうすれば先発よりも格落ちする中継ぎ投手の方が打ち崩しやすい。
など、理論的に考えれば「なるほど」な意見ですが、それを実際の野球に当てはめちゃうんだからすごい。
やっぱり誰しも人の子ですから、「パフォーマンスが派手な選手」や「豪快なホームランを打つ選手」を重要視してしまいますよね。そんな感情を排除して、「生身の人間が集団で戦う野球」をこの理論に則ってチーム作りを進めていきます。
当然現場との軋轢は生まれます。しかし、長いシーズンを通して、チームはプレーオフ出場を果たし、ビリーの理論の正しさは証明されます。
でも、この理論はここまで。プレーオフやワールドシリーズを勝ち抜くにはこのような理論ではなく、短期決戦でも勝つための理論やチーム作りが必要です。この理論は確率論でもあるので、シーズンを通した長丁場では活きてきますが、短期決戦では個々の選手の爆発力や絶対的エースの存在などの方が重要となります。なので、アスレチックスはプレーオフまでは進めますが、その先までは行けない。でも、この理論自体が「貧者のための野球理論」なのでしょうがない。


さて、映画の話。
このお話自体が実話なので、映画的に盛り上がるような山も谷も少ないです。なので、私はちょっと退屈に感じました。
ラストも劇的に勝利せず、結局プレーオフで敗退。これが物語と現実の差ですね。


というわけで、その他感じたことを箇条書きで。
■シーズン序盤、フロントと現場がうまく噛み合わず、チームは苦戦しますが、そこはもっと事前に監督と戦略を共有しておかないと。
ビジネスでも上からの突然の通達だけでは現場はうまく動きません。その内容の「意味・目的」を共有することが大事ですよね。


■ニュースなどで突然のトレードは報じられますが、本当にあちらはドラスティックなのですね。選手の生活ややる気や気持ちなどは一切関係なし。プロだからと言われればそれまでですが、自分に置き換えたら怖すぎる。


■プラピの娘さんが歌う場面があるのですが、いい曲だし、彼女歌上手い。


映画『マネーボール』予告編

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