前作「マニフェスト」は、掛け値なしにライムスター史上最高傑作でした。
そしてそのわずか1年で発表された今作「POP LIFE」は、ヒップホップを生き抜いてきた彼らのドキュメントであり、再度の決意表明であった前作の連作というか、前作と表裏一体の「日常」をテーマにした作品でした。正直、今作は前作に比べて「イマイチ」でした。なので、今回のライブもそんなに期待をしていませんでした。
しかし、やはり「キングオブステージ」、ライブは素晴らしいものでした。
まず今回目を引いたのが舞台のセット。白い積み木のお城があるだけ。正直、シンプルだなと思っていたら、開演のBGM(アルバム1曲目のイントロ)が流れるとともに、そのお城にカラフルなテトリスが積み上げられてゆく!これには観客も大盛り上がり。
そしていきなり「そしてまた歌い出す」でスタート。
「今やもう『歌ってる場合じゃない』んだそうだ 悲惨な世界前にしてあなたは問う」
アルバムの発売は震災前ですが、今ではあまりに意味が強すぎるように聴こえてしまう曲です。しかし、だからこそ「歌ってる場合ですよ!」なのですよ!
「Hands」の後、宇多さんがMCで「原発問題もあって、俺たちはこれから10年20年と闘っていかなければならない。そのときに、ずっとうつむいて自粛とかじゃなく楽しむことも含めて、生きることをあきらめないっていうメッセージでした」と言っていましたが、まさにその通り。楽しみながら、闘っていきましょう。
「Just Do It!」では積み木のお城の継ぎ目に部分に光があたり、「ランナーズ・ハイ」では歌詞の通り歯車がセットに映し出されていく。
今回のセットは「マッピング」という技術で、セットがそのままプロジェクターのスクリーンなのですが、通常通りの照明が当てられたり、アニメーションが流されたり、立体のセットの形に合わせた映像が作り出されたり、本当に自由自在。今回のツアーの殊勲賞は間違いなくこの技術でした。
とはいえ、ライブの主役はもちろんセットではなく、ステージ上の3人。文句なしの横綱相撲。
トークで笑わせ、ラップで魅せて、さらに「布団パーカッション(引っ越しおばさんのアレです)」や「放置プレイ(本当に舞台から3人がいなくなる)」など、サービス精神に溢れた内容でした。
そのサービス精神の最たるものが「しゅうけいくんZ(ゼット)」。前回のツアー、そして「R−10」でも登場した「しゅうけいくん」がバージョンアップして登場。背中には過去のアルバムタイトルが書かれたルーレット円盤(に見えるハードディスク)があり、そこにダーツ(に見える通信機器)を投げて、そのアルバムのメドレーを行うという趣向。
さらにこのダーツ(に見える通信機器)を投げるためだけに、スガシカオが登場!何てもったいない贅沢!そしてスガさんは本当にダーツ(に見える通信機器)を投げるだけで帰ってしまいました。
当たったのは「リスペクト」。
アルバムが増えてくると、時間の都合上、やりたくてもやれない曲が増えてきますが、こういうメドレーというのはいいやり方ですね。それも、こういう企画としてやると、メドレーをやる意味付けもできるし。
しかし、このしゅうけいくんのくだりが長くて、そのまま曲をやればもっとできたんじゃねえかという話もありますが…。
「余計なお世話だバカヤロウ」で本編終了。あれー、あの曲もこの曲もやってないのに、と思う曲はその次のアンコールで矢継ぎ早に披露。
アンコールの最後は「ラストヴァース」。これは前回のツアーでは当然ラスト曲ですが、今回もとなると少し物足りないというか安直というか、と思っていたら、「次のラストヴァース 4U」というセンテンスで曲が突然終わり、「次を作ったっちゃあ作ったんだよね。できるっちゃあできるんだよね」と宇多さん。
そして夏のミニアルバムの発表と、そのリード曲「フラッシュバック、夏。」を初お披露目。この新曲はまだリリックが不明なのではっきりとは言えませんが、やはり最近の流れの「メインストリーム、狙ってます」という感じがしました。
うーむ、これからもこっち側で行くのね。
全体の感想。
ヒップホップのライブで、東京公演で、ツアー最終日なのにゲスト一切無し、という内容に驚き。しかしそれで物足りないことは全く無く、あえてストイックにやっているという感じもなく、終わって振り返ってみると「そういえば誰もいなかったな」という感じでした。
とはいえ、誰か出て欲しかったなあ。
また、MCが面白いのはいいのですが、一休みしすぎ。まあ、二人とも40代なのでお疲れだとは思いますが、クライマックスはもっと飛ばしてもいいんじゃない。
なんてこともほんの些細なこと。金を払ってでも見たい、金を払ってもらった以上は楽しませる、というエンタテイメントの本質が徹底されているステージでした。
改めて、「キングオブステージ」でした。
セットリスト見つけた。
第1部
1:After The Last
2.そしてまた歌い出す
3.Just Do It!
4.付和Ride On
5.ライムスターイズインザハウス
6.ランナーズ・ハイ
7.ザ・ネイバーズ
8.Hands
9.肉体関係
10.ほとんどビョーキ
第2部
11.POP LIFE
12.ちょうどいい
13:『リスペクト』メドレー
キング・オブ・ステージ〜ブラザーズ〜リスペクト
〜耳ヲ貸スベキ〜Hey,DJ JIN
14.敗者復活戦
15.Born To Lose
16.Walk This Way
17.余計なお世話だバカヤロウ
18.ONCE AGAIN
19.B-BOYメドレー
B-BOYイズム〜ザ・グレート・アマチュアリズム〜K.U.F.U.
20.ラストヴァース
21.フラッシュバック、夏。
※この文章は2011年6月に書いたものです。
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