やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

ライムスター「POP LIFE」 感想

「中学の時イケてなかったミュージシャン」

「アメトーーク」の「中学の時イケてなかった芸人」が面白い。自分とかぶりすぎるので、笑いながらも何だか泣けてきてしまう。そして、そういう芸人はやはりそういう空気が出てしまう。同じ村上でもフルポンとしずるではやはり違う(だからポン村上ばかりドッキリにかけられてしまうのだ)。
とんねるずのような「ザッツ芸能人」が何だか気に入らないのは、「中学の時イケていた」からじゃないかと思っています。


ライムスターの最新作「POP LIFE」は、結論から先に言ってしまうと、イマイチです。その理由のひとつが「身の丈に合わない背伸びはダメよ」という思いです。


ライムスターはもともと「元帰宅部」「メンタリティ男子高校生以下」「イケてねえの含め納得」など、「持たざる者の叫び」(というと格好いいが、要は「モテない者のひがみ」です)を武器に戦ってきたグループです。それを、私も含め、同じ匂いを持つ者が支持してきました。
そして、前作「マニフェスト」で「こんな俺達でもここまで来たぞ」という勝利宣言によりひとつのピークを迎えました。実際オリコン5位という成果を成し遂げ、まさにマニフェストは実現・支持されたのです。


しかし。
この結果で彼らは「俺たちついにイケてる側に来たんじゃね?」と思ってしまったのでは?


今回は「日常」がテーマです。なので、歌詞は面白いパンチラインが減り、聴いていてカタルシスがない。また、「Hands」のような社会性のあるテーマを歌ったり、表題曲「POP LIFE」ではライブで「手を大きく左右に振る」という「ポップスのお約束事」を強いたり、何だかヒップホップから外れちゃったなあ。


このアルバムの発売前後はビッグタイトルに囲まれており、チャートアクションは前作以下でしたが、それでも彼らは「いつかは1位を」と言っているので、ポップスになる覚悟はあるのでしょう。しかし、ライムスターが支持されている理由や支持している人たちからはずれているのでは?あくまでヒップホップのままでポップスになって欲しいのです。音楽性を変化させるのではなく、ヒップホップのまま大衆に受け入れられて、結果としての「ポップス」になって欲しいのです。


餅は餅屋。君たちは君たちにしかできないヒップホップをやれ。


追伸。
前作を聴いていたときは感じませんでしたが、前作「マニフェスト」は、「ザ・ヒップホップアルバム」だったんだなあ。
当時は「ザ・ヒップホップの奴らに見習えと言いたい」と思っていたのに。

※この文章は2011年4月に書いたものです。



Rhymester-そしてまた歌い出す

POP LIFE

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