やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」 島田紳助 感想

今さらですが、紳助の本です。買ったのはだいぶ前なのですが(それでも引退後ですが)、ようやく読みました。


島田紳助は、人間的には好きではありませんが、芸人としては好きなんです。復活してもらいたいのですが、今さら無理でしょうね。本人が反社会的なことはしていないとしても、暴力団とのつきあいを止めないとなれば、道義的・倫理的に難しい。
とはいえ、もし復活すれば半年で以前の立ち位置に戻れると思います。それくらい芸能界は甘いし、世間は忘れっぽい。


この本はビジネス本なのでいろいろなアイデアの出し方やその商売が成功する根拠などが書かれています。
やっぱり紳助は頭いい。日々アンテナ張っていて、アイデアを理詰めで実現可能なプランにしていく。この店の売り上げはいくらだ?家賃は?人件費は?商品の原価は?そして、じゃあ自分がやるときにはどうするか?
紳助がビジネスをやるのは、自分が芸能界で成功したのがまぐれではないことを証明するためだとありましたが、十分に証明できています。
芸人・芸能人がビジネスをやるのは、本業がいつどうなるか分からないからネームバリューを活かして副業に手を出す、というパターンが多いと思いますが、その芸能人が持っているのはネームバリューだけ。そりゃ長続きしません。紳助は、開店までの交渉などではネームバリューを有効活用しているかもしれませんが、商売自体はネームバリューに頼るものではありません。新しく、楽しい、儲かるビジネスとして成功しています。


とはいえ、紳助と一緒に働きたいかと言われれば断固拒否します。ブラックとポエムの両方の臭いがするから。
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仲間、絆、夢中、苦手なんです。
でも、こういうのが好きな人にとっては本当に素晴らしい人だし、熱く、夢中にさせてくれる人だと思います。遊輔が心酔しているのはとてもよく分かる。


タイトルのオバチャンの話は、新書らしいタイトルとして切り出されただけで、大盛りにすれば繁盛するというわけではありません。

客というものは、いつも無意識のうちに、自分の感じた満足感と値段とが見合っているかどうか判断しているものだ。
満足感と値段が釣り合っていれば客は納得する。値段に比べて満足感が大きければ、この店はお客のために努力してはるんやなあと感動する。
別に高級料理店じゃなくても、学生向けの定食屋だってそうだ。お腹を空かせた学生の顔を見て、ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する。

価格と満足感の釣り合いについての話でした。


というわけで、ビジネスのヒントももちろんありますが、島田紳助の凄さが分かる本でもありました。


最後に一つだけ。
この本の後半に、紳助が自分の店で働いている女の子に、彼女が休みの日に自分の家でゲームをしようと誘った(本の中では「みんなで」と書いてありました)ところ、店に常連さんが来るから店に顔を出したいと言って断ったエピソードが書いてありました。それを紳助は「遊びより仕事を優先させているいい娘」と褒めているのですが、それ、多分紳助にヤられるのが嫌で避けただけだと思いますよ。


自己プロデュース力 (ヨシモトブックス)

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↑これもめちゃめちゃ面白い。「紳助頭いいなあ」と思うはず。
哲学 (幻冬舎文庫)

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↑これは「松本紳助松紳)」の書き起こし本です。これも面白い。
松本紳助 (幻冬舎よしもと文庫)

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裏松本紳助 (幻冬舎よしもと文庫)

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