感動とは
(若干ネタバレ含みます)
『この世界の片隅に』を見てきました。私の住んでいる近くでは上映していなかったので、東京に行くついでに池袋で見てきました。
公式サイト↓
konosekai.jp
当初、この作品は見るつもりはありませんでした。それどころか、Twitterやっていなかったらこの作品が上映されていることすら知らなかったかもしれません。
私はアニメを見ません。戦争映画も見ません。見ない要素しかない。しかし世間では大絶賛。見たくなるけど、逆にハードル上がっちゃう。
さて。
よかった!よかったよ!!
あー、でも、何がよかったのか、どこがよかったのか言葉にできない。詳しい分析は他の人の評論を読んだり聞いたりしてください。
「泣く」と「感動」は別ものです。泣いたから感動するわけではないし感動したから泣くわけでもない。
この作品は「ここ、泣くシーンですよ!」という分かりやすいお涙頂戴演出はありません。なのに開始早々から何度も泣く。めちゃめちゃ悲しい場面はあるのですが、そこは悲しすぎて泣いている場合じゃない。逆に、何てことない日常の場面で泣いてしまう。私の感情はどうなってしまったのだ。
皆さんが指摘しているとおり、この映画は反戦映画ではありません。この世界に生きている人は反戦など叫ばず、ただ生きている。ただ日常を生きるしかない。それがこの時代の実際だったのです。
この作品は大感動!なのですが、ずっと感動やお涙の場面ではありません。むしろそういうのは少ない。逆に、笑えるシーンがたくさんあるのです。
笑える場面は、ちびまる子ちゃんのようなほのぼの天然ボケもあるし、編集の妙によってもたらされる笑いもあります。説明が少ないので気づかない人もいるかも。(妊娠疑惑の場面とか)
そう、この作品は編集が上手い。主人公のすずさんがおっとりのんびりしているキャラだし絵柄もほんわかしているせいであまり急いている感じはしませんが、よく見ると編集でズバズバと切って進んでいく。このバランスが上手い。
また、セクシーなシーンもあります。直接的なエロスではないけど、ドキッとする。
あと、幼馴染みの水原哲が泊まりに来る場面、ここですずさんが急に大人の声になる!自分の気持ちと自分の立場のせめぎ合い。ここもよかったよねー。
そして、映画を見ている私たちは知っているのです。今が7月後半ということは、もうすぐ「あの日」が来るということを。
原爆投下、玉音放送、終戦。
いろいろ失ってしまったすずさんですが、戦災孤児を引き取り育てることになります。エンドロールではその子が育っていく様子が描かれており、未来がプラスに進んでいる感じがしてとてもよかったです。
エンドロールのラストでは右手が手を振る場面で終了。この右手については柴さんの素晴らしい考察があります。
shiba710.hateblo.jp
なるほど。見えている人には見えているのだなー。
さあ、最後に語らなくてはならないのは、能年玲奈さんです。
素晴らしかった!すずさんじゃん!すずさんだよ!声優としての素晴らしさは皆さんが語っているので私は語らない。声優の技術的な良し悪しはよく分からないし。
で、私は声フェチなのです。その私にとって能年さんの声はど真ん中ストライクなのです。さらにこの絵柄とこの物語。もう普通の場面でもこれだけで泣ける。私の胸の「涙ボタン」を連打するのです。今書いていても泣きそう。パブロフの犬です。
エンドロールは通常のスタッフ紹介のエンドロールの後にクラウドファンディングに協力した人たちの名前が出るので、トータルでは長いです。しかし、感情を揺さぶられまくった私はこのクールダウンタイムがあってもまだ足りない。そもそもエンドロールでも泣くんだもん。
上映終了後館内の電気が点いても立ち上がれない。ぐしゃぐしゃ顔のおっさんはどうすればいいのだ。
繰り返しますが、感動はするけど号泣はしません。その代わり感情はぐちゃぐちゃになります。この作品のよさを人に語るたびに涙が出る体になってしまいます。
見てください。ぐちゃぐちゃになってください。そして語ってください。『シン・ゴジラ』とか『君の名は。』のように「面白いよ!」と気軽に言えない作品ですが、強く勧める作品です。ぜひ、ぜひ。
【絶賛】宇多丸 映画「この世界の片隅に」シネマハスラー
【必見】町山智浩 映画「この世界の片隅に」 ネタバレ無しでご紹介
宇多丸さん、町山さんの解説も必聴。
コトリンゴ -「 悲しくてやりきれない 」
コトリンゴさんの声もいい。
映画『この世界の片隅に』予告編
あーダメだ。この予告編見るだけで(というか能年さんの声聞くだけで)泣けてきちゃう。そしてこのサムネはマズいんじゃないの?
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