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映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』感想

なんでもあり


MCU最新作、『『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』を見てきました。
marvel.disney.co.jp
前作はそんなに好きではないです。ストレンジのキャラが好きではない。自信家で嫌な奴がいろいろあってヒーローに、というお話なのに自信家で嫌な奴はそのまま残っている。内面の成長はないんか。
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でも「お前が余計なことをするから世界がめちゃめちゃになったぞ」と思っています。もちろんトムホのおしゃべりのせいもありますが。


スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でマルチバースの世界観が解禁となり、それが本格始動する本作、さてどうなる。

さすが初日×初回なので、こんな地方の映画館でもほぼ満席。そしてエンドロールの途中で席を立つ人はいませんでした。


(以下、なるべくネタバレないように書きます)


本作は『ドクター・ストレンジ』の続編ですが、前作だけ見た人は本作を見て理解できたかしら。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でのマルチバースの概念、『ワンダビジョン』でワンダに起きたことなどをすっぽり知らないまま本作を見て、理解できたかしら。
そうでなくてもMCUはハイコンテクストな世界(事前知識がある程度必要)なのに、本作はマルチバースがあり、魔術・魔法があるので、マジでもう何でもアリ。今回伏線っぽく語られた出来事も「あれは別のユニバースのことなので今回は関係なし」「前回と今回で辻褄が合わないところも別のユニバースを持ってくれば解決」とかなりそう。映像自体CGで何でも作れちゃう上に、魔法です、別のユニバースですまで加わったらマジでもう何でもアリになっちゃうので、物語って何かねという根本的なことまで考えてしまいました。
今後のMCUはあの少女(アメリカ・チャベス)がいろいろなユニバースを行き来することでMCUの世界を広げていくのでしょうが、ついていけるかしら。


MCUは、基本的にはSFアクション映画ですが、『ウインター・ソルジャー』はスパイ映画だったし『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーズ』は戦争映画でした。『スパイダーマン』は青春映画ですね。そういう色づけ/色分けも楽しい。
で、本作は完全にホラー映画でしたね。だってサム・ライミ監督作品だもの。途中『貞子』があったり『キャリー』があったりしましたね。PG12やR15を考えて、どんなにひどい戦いであっても腕がもげたり血が出たりすることはないMCUにおいて異色のカラーでした。血を流すのはNGだが返り血を浴びるのはOK、というギリギリの線引きだったのかなと推測します。


本作はワンダがヴィランで、最後は亡くなってしまったのでもう登場しないのかな。『エンドゲーム』までの登場人物は徐々に減っていきますが、『シャン・チー』『エターナルズ』の面々と、それぞれのミッドエンドの場面で登場する新たなキャラ、そして今後マルチバースの概念から過去のMCU以外のキャラ(『ファンタスティック・フォー』など)も登場するでしょうから、結局世界観は膨らむばかり。ケビン・ファイギはどう収束させるつもりなんだろ。


MCUの世界観の広がりは、映画作品が多いからだけでなく、Disney+のドラマ作品のせいもあります。本作は『ワンダビジョン』の視聴は必須ですし、この先の『ザ・マーベルズ』は、その前に配信される『ミズ・マーベル』の知識が必須でしょう。
これまではスピンオフ的な話が多かったDisney+のドラマ作品ですが、今後は映画作品とダイレクトでつながりのあるお話が増えてくるでしょう。正直、映画作品だけでも年に何本かあるわけで、配信ドラマまで見ていられるかな?私の余暇時間はディズニーのためだけに使うわけにはいかないのよ。
本作だって、この作品単体で評価することは難しい。面白かったのかどうか、よく分かりません。マルチバース、前作(ストレンジ単体とMCU全体)からのつながり、今後への布石。この辺を理解したから「面白い」ってわけではないのですが、それ(作品世界の理解)が面白いと感じる必要条件になっているようで、「面白い映画」の評価とはズレている感じがします。


といいながら、次回は『ソー/ラブ&サンダー』でお会いしましょう。