星野源『POP VIRUS』

- アーティスト: 星野源
- 出版社/メーカー: Speedstar
- 発売日: 2018/12/19
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログ (1件) を見る
今さらですが、星野源『POP VIRUS』素晴らしいですね。
— エセ@2/10真心ブラザーズ (@ese19731107) 2019年1月23日
最先端のリズムとその構築(鳴っていない部分もリズムだ!)、あくまでポップスとしてのメロディ、平易な言葉とそこに込められたメッセージ性。
聴いていると健康になる。国民全員が聴いたら国が平和になる。そんな絶対的なポジティブ感。
そのカラオケで歌いたくなるポップなメロディは細かいコード進行によって作られている。その気持ちいいリズムは考え抜かれた建築学。ぱっと聴き分かりやすい歌詞は、あるときその込められた意味に気づく。あくまでポップスの顔をしながら古い価値観をひっくり返す時限爆弾。星野源、恐るべし。
— エセ@2/10真心ブラザーズ (@ese19731107) 2019年1月23日
星野源『POP VIRUS』は最先端のリズムにアプローチして作る音楽としては向井太一や小袋成彬などと同系列だけど、「ポップス」の分量が違う。シャレた音楽でなく大衆音楽としての肝の据わり方が違う。小学生からおばあちゃんまで振り向かせる間口と筋肉。
— エセ@2/10真心ブラザーズ (@ese19731107) 2019年1月23日
これです。その中でも「鳴っていない部分もリズムだ!」にもっとスポットが当たっていい。この隙間のあるサウンド構築はもっと評価されて欲しい。
www.youtube.com
ただ、星野源はメロディに言葉を乗せるとき、基本「一音に一言」なのです。昔はそれを自身に課していましたが、まだその癖が抜けていない。これだけ素晴らしいリズムと演奏があるのに、メロディとボーカルがファンキーでないので、グルーヴが削がれる。ここについて誰も指摘していないんだけど、そんなに気にならないかな?私はもったいないなあと思ってしまうのですが。
<2/1追記>
先日、『アフター6ジャンクション』に星野源がゲスト出演しまして、宇多丸さんがこのことについて質問しました。
realsound.jp
それによると、「単純に歌の技術がないんですよ。音程を早く移動できないんです。ゆっくりした歌しかなかなか歌えなくて。それを楽しい曲するために、コード進行をめちゃくちゃ凝って工夫してたんですよ」であり、「めちゃくちゃ速い曲なんだけど歌の譜割は遅い/広いとか。そういうポップさが僕は好きだったりもするので」だそうです。そして、「自分が歌える限界の範囲は、きっとカラオケでみんなが歌える範囲なのではないかっていう感覚もあるので、ポップなのではないか」なんだって。
そうかー。過去の縛りは自分の技術の欠点をカバーするためのもので、今の「カラオケでみんなが歌える範囲」であることが国民的歌手である理由でもあるのか。意識的・無意識的にも星野源は国民的ポップスを生み出しているんだな。MISIAや久保田利伸がそこまでいかない理由も、歌は下手なのにSMAPが国民的アイドルだった理由もこれだな。
向井太一『PURE』

- アーティスト: 向井太一
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2018/11/28
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
ソロシンガーはバンドと違ってどんな楽器を使ってもいい。生ドラムとエレキギターでもいいし、打ち込みでもいい。どんな楽器を使ってもいいということは、制約がない分その人の発想や選択が重要になってくるわけで、つまりはその人の才能が試されている。なのでいい音で鳴らしてくれるミュージシャンは賞賛します。土岐麻子さんなども同様。
Shiggy Jr.『DANCE TO THE MUSIC』

- アーティスト: Shiggy Jr.
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2018/12/05
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
しかしその次のミニアルバム『KICK UP!! E.P.』が良くて、期待して今回のアルバムを聴いたら期待以上に良かった!
www.youtube.com
彼らの武器はダンスなんだな。ダンスというか、グルーヴ。そのグルーヴがポップを生み出す。メロディの良さを引き立てるのもグルーヴ。
特に中盤以降の曲はどれも素晴らしい。原田さんが1曲まるまるソロボーカルとる曲もよい。ノエル・ギャラガーじゃん。ということは、これがShiggy Jy.にとっての『ドンルク』なのか?
あと、10曲目の『looking for you』、これ、まんまプリンスの『パープルレイン』じゃん!ドラムやギターの音もコード進行も、完全にプリンス。清々しい。
このアルバムはとても素晴らしいのですが、事務所は1stで宣伝費を使い果たしたのか、あまりプッシュされていない感じがします。もったいない!こういうバンドはMステとかに出たらすぐ世間に広まると思うんだけどなー。
RADWIMPS『ANTI ANTI GENERATION』

- アーティスト: RADWIMPS
- 出版社/メーカー: Universal Music =music=
- 発売日: 2018/12/12
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
www.youtube.com
www.youtube.com
上に書いたようにアルバム全体は間違いないクオリティですが、個人的には『PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~』が引っかかります。これは実話で、こんな目に遭った野田君には同情しかないしこんなことをしたマスコミには憎悪しかないのですが、それでもこれは「楽しくない」。音楽としてエンタテインメントに昇華されていない。ただ愚痴と事実をぶちまけているだけ。
www.youtube.com
こういう曲作ってもいいけど、シングルのカップリング程度にしておけばよかったのに。それじゃマスコミの皆さんに届かないからアルバムに入れたのかもしれませんが、楽しくない。私の中では『五月の蝿』と同じ箱に入れて今後はあまり聴きません。
でも、こんなことするマスコミは許せーーーん!!!
と書きながら、ラストの『正解』で泣いちゃう私。こんなおっさんでも感動するんだから、中高生が聴いたら刺さりまくりでしょ。野田君、あんたはすげえ。
www.youtube.com
あっこゴリラ『GRRRLISM』

- アーティスト: あっこゴリラ
- 出版社/メーカー: SMAR
- 発売日: 2018/12/05
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
タイトルはゴリラの「ガルル」という吠えと「GIRL」が掛かっているのかな?インタビュー読んでないので分からない。
www.youtube.com
www.youtube.com
このアルバムは私のようなおっさんが聴いても「いい!」と思う出来ですが、女性が聴いた方がもっと刺さるはず。CHAIのような「現代社会を自由に生きる」空気がとてもよい。
まだまだ男性優位社会だったり女性は頭悪くて可愛くか弱い方が生きやすかったり受動態でいることを求められる社会で、彼女たちの活躍は「新しい現代の女性像」であってとても輝いていますが、もう数年経つと彼女たちのアティチュードすら新しくなく「普通」になるのかな。まだ社会は過渡期なのかな。
まあ、そんな大きなことは考えなくていいです。ラップも上手いぜ。いい曲だぜ。いいアルバムだぜ。