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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

ライムスター(Rhymester)NEWアルバム「ダーティーサイエンス」 全曲感想

「おかげさんでこのご時世に多忙」by宇多丸


オリコン順位が出ました。CDアルバム 週間ランキング-ORICON STYLE ランキング
初登場10位。枚数で言うと11,837枚。これは喜んでいい順位なのでしょうか?ちなみに前作「POP LIFE」は同じく10位で初動が10,818枚。このご時勢に売上枚数が伸びているのだから喜ぶべきですね。
それにしても、今は1位でも5万枚以下なのですね。そりゃCDだけじゃレコード会社もアーチストもやっていけなわけだ。ライブやらなきゃいけないし、物販頑張らなきゃいけないわけだ。


前回のエントリで全体の感想を書きましたので、今回は各曲の感想を書きます。
ライムスター(Rhymester)NEWアルバム「ダーティーサイエンス」を聴いた! 感想 - やりやすいことから少しずつ


1、ダーティー
イントロですが、前奏もそこそこにすぐにDさんの言葉が始まります。サウンドもこのアルバムを象徴するラフでダーティーで不穏な空気。
このイントロでこのアルバムのイメージは決まった!


2、ゆめのしま
シングルではありませんがリード曲。ポップですがハードです。PVのサイバーな感じがとてもハマっています。
「ゆめのしま」なんてタイトルですが、そんな平和な歌ではありません。「夢のない時代に産まれても 今日の絵空事を明日で変えろ」。「3.11」以降の曲ですね。


3、スクリーム
これ、Dさんの曲なのですね。
イナタくてダッセージェイラップがキミの背中を熱狂の渦に押す。3.11以降の無力感・無常感でしゅんとしているだけじゃつまんない。この状況で騒ぐのは空気読めてないけど、それを飛び越すくらいのスクリーム!


4、ドサンピンブルース feat.キエるマキュウ
マキザマジックってラップは上手くないんだけど、既にそういう評価の場所にはいないキャラですよね。CQのフックは何でこんなリリック&メロディ?常人には思いつかんです。
サウンドのイナタい感じも酔っ払ったラッパもいい。


5、ダーティーサイエンス
今回のアルバム、Dさんも宇多さんも一人分のヴァースの量が多いのですが、この曲はその中でもボリューム多い!このBPMと言葉量でラップしたらライブでは二人とも息絶え絶えですな。
ヒップホップのノールールぶりと、それであるからこそ自由でかつ「音楽」であることの叫び。
曲終わりのカオスな感じもステキ。ライブでトランスしそう。


6、グラキャビ
ちょっと落ち着いて、旅の歌。グラキャビとは大きなワゴン車です。こういうの→トヨタ ハイエースワゴン ハイエース グラキャビ 200系ワイド|Q&A・質問|みんカラ - 車・自動車SNS
今回のツアーはいつもに増して全国各地へ行くので、各地方でこの曲は光りそうですね。
この曲もDさん。昔よりスカスカ感がなくなって良くなったなあ。


7、ナイスミドル
前作「フラッシュバック、夏」のようなエレピが気持ちいい。
タイトルを見て曲も一聴すると「ナイスミドル(=中年)になった自分たちが初恋の頃を思い出す歌」に聴こえますが、これは90年代のヒップホップのミドルスクール時代の思い出の歌なのです。こういう、ダブル・トリプルミーニングで曲を作れるのはさすが高学歴ライムスター。


8、サバイバー
このアルバム唯一の宇多さん先行ヴァース。単に宇多さんは2番もあるからだと思いますが。
Dさんのヴァースは過去の自分たちの曲名を歌詞に織り込む手法。
宇多さんの「ビートから溢れる言葉を詰め込むフロウ」はあんまり好きじゃないのです。もうちょっとビートに乗って欲しいなあ。
紆余曲折やブームの波などもあるけれど、結局「最後までリングの上に立ってるオレがサバイバー」の勝ちですよね。


9、Deejay Deejay
このベースライン、超カッコイイ!これだけで名曲確定。JINさんらしいファンキー炸裂!
曲はタイトルのようにDJ賛歌なのですが、実はそれだけではなく風営法の批判にもなっているというさすがライムスターな1曲です。
私はJINさんは好きですがJINラップはあまり好きではありません。単純にスキルが低いから。でもこの曲ならラップして欲しかったなあ。途中に叫びが入っていますが歌詞カードには載っていない…。ライブではもっと長尺叫んで欲しいな。


10、ノーサイド
簡単なポジティブ思考やポジティブソングは信用ならない。しかしディスするばかりじゃ楽しくない。人間というのはこういう両面を持っているものなのに、世のヒット曲は「元気」「感謝」「愛してる」の一面ばかり。だからこそライムスターが必要なのです。「キミの生き方も オレの生き方も 敵も味方も ノーサイドなのです。


11、It's A New Day
カッコイイリズムに優しいピアノが乗る、美しいトラック!
トラックがシンプルなので、リリックが耳に入ってくる。最近のDさんの叙情入りまくりの歌詞が素晴らしい。韻の固さなんて関係ないこのフロウは、ラップが音楽である証明だ。
宇多さんはこういうゆったりトラックだとこういうフロウになっちゃうんですかね。前作「Hands」のような。
Dさんのラストヴァースで「うたの中なら美しく暈せば済んだ「言葉にならない」を今コトバにするんだ それがオレの使命」とありますが、ここ、最高のパンチラインですよね!
「言葉にならない」というフレーズは詩としては美しいですが、ラッパーとしては「そこを言葉にするのがラップ」なわけで、そこをあえて歌ったDさんの意志と覚悟が素晴らしい。
この曲なら一般市民も耳を傾けてくれますよ。ラジオでパワープレイすべき!そしてこの美しい曲に惹かれてこのアルバムを買った人がこのダーティーなサウンドに眉をひそめてしかめっ面をして欲しい。なのに気づいたらヘビーローテーションになっているはずだぜ!


12、The Choice Is Yours
先行シングルなので、感想は以前書きました。
アルバムでなぜこの曲順になったかという視点で見ると、このアルバムでいろいろ言っていたけど、それをどう感じるかは君次第、ということなのでしょう。
ライムスター(Rhymester)新曲「The Choice Is Yours」を買いました - やりやすいことから少しずつ
ライムスター(Rhymester)CDTVにて新曲披露! - やりやすいことから少しずつ


以上で全曲感想おしまい。
こんな全曲感想書きたくなるアルバムなんてそうそうないですよ。そしてアルバムが出るごとにいろいろ考えさせるアーチストもそうそういない。
例えばミスチルは毎回買いますが、もうあまり「考察」なんてしません。「またいい曲だな」くらいです。なのにライムスは「今回のビートは」「トラックは」「歌詞は」「ラップスキルが」「フロウが」なんていろいろ考えちゃう。
つまりBGMにはなりえないミュージックですよね。


前回のエントリでも書きましたが、いざライブ!楽しみです!