やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

同年代の友人が亡くなった

悲しい、悲しい、悲しい


友人が亡くなった。
彼は前職の同僚で、キャリアは1年後輩ですが歳は同じなので、途中から先輩後輩ではなく対等の友人として付き合ってきました。私が退職してからはあまり会うこともなかったし私が筆無精なのでLINEなどのやり取りもしていませんでした。
先日、別の友人から「彼、最近体調がよくなくて治療に専念するためにいったん総務部付けになったってよ」と聞いて、「そうかー、早くよくなるといいね」なんて呑気に答えていました。


それからほんの数日後、「彼、亡くなったって」と連絡が。おい、待てよ、体調がよくないって、亡くなるほどなのかよ。それ以前に、まだ40代だよ。亡くなるって、何だよ。
私はもうその会社の社員ではありませんが、友達だもの、お葬式に行きますよ。


会場に着くと前職の同僚がいたので一緒に入ります。遺影は、あの頃のままの彼です。明るくてイケメンで気遣いもありリーダーシップもある、彼です。ダメだよ、早いよ。
時間になり、ご家族も入場。奥さんがいました。私は奥さんも知っているので、彼女の気持ちを考えるともう堪らない。あんないい人を残して逝くなよ。ダメだよ。
お坊さんが入ってきて、読経。途中、合掌やお焼香の指示が何度かあり、そのたびに「ダメだよ、早いよ」と「お疲れさまでした。ゆっくり休んでね」の両方を繰り返し祈り続けました。
読経するお坊さんの前には棺があり、そこに彼はいるのです。いるのに、もういないのです。


私はもちろんこれまで何回もお葬式に出席したことはありますが、これまではお年寄りの親戚ばかりでした。なので、もちろん悲しい気持ちはありますが、それ以上に「お疲れさま」という気持ちが大きくて、泣くということはありませんでした。
それが、今回はダメだ。早い、若い、近い。親より先に逝ってしまう無念、奥さんを残して逝ってしまう悲しさ、そしてもちろん残されるご家族ご親戚の気持ち。私との関係性。ダメだ。涙が出てどうしようもない。


今回、喪主は奥さんなのです。ダメだよ。見ていられない。かわいそうすぎる。なんとかこらえて気丈に挨拶をしていましたが、それもまた悲しい。泣く。


最後に棺にお花を入れる。お顔を見ると、あのイケメンの彼がすっかり別人でした。そりゃねえよ、ひどすぎるよ、ダメだよ、神様、ダメだよ。


事故や病気で若い人が亡くなるという話はニュースで目にするし小説や映画でも見ますが、実際に自分の近い存在がそうなると、本当に無力感に襲われますね。誰も悪くない、どうすることもできない。でも亡くなる。
何となく、何の根拠もなく、自分は親より長生きすると思っているし、親だってまだ亡くなると思っていない。120歳まで生きるとは思っていないけど、来月亡くなるとは思っていない。
そんな「何となくの日常」は、突然終わることがあるのです。「順番を守る」ってのも親孝行のひとつだよなー。なのに、神様はひどい奴だよ。


彼は絶対に天国に行っています。そう確信できる生き方を彼はしてきました。みんなと会えなくなるのは彼がいちばん悲しいでしょうが、これだけ悲しんでもらえる人たちがいるのです。これだけ親しまれ愛される生き方を彼はしてきました。
でも、悲しい。こんなに悲しいとは。こんなに泣くとは。


人が亡くなるのは、悲しい。

2018年、私の映画ベスト10

順位は「この辺」くらいの感覚です


年末なので振り返りの季節。ベスト10を挙げるにはまだ早い時期ですが、今年は多分もう映画館に行くことはないので、今のうちに書いておく。
映画はアクションとシリアスドラマ、SFとラブストーリー等、ジャンルが違えば見る視点も違うし面白さの基準も違います。なので「このアクション映画とこのサスペンス映画のどっちが面白いか」というのは決められないなあと思っていて、あと「年末に振り返ってももうだいぶ忘れているのでランキングなどつけられない」ということもあり、これまで「今年のベスト10」みたいなことは考えなかったのですが、今年は映画を見るたびに一応ランキングをつけるようにして、記録しておきました。


今年映画館で見た映画は34本、DVDが32本。去年は映画館25本・DVD61本なので、映画館での鑑賞はちょっと増えてDVDはだいぶ減ったという結果です。これは、今年になって仕事が忙しくなり、家で2時間の映画を見る余裕がなくなったためです。
映画館での鑑賞は、6月末の時点で22本見ていたので今年は50本くらい見れるのかなーと思ったのですが、秋以降見たい作品が減ってこの本数に着地しました。
見た作品はそれぞれこのブログに感想を書いているのですが、唯一『パンク侍、切られて候』だけ書いていません。どうにも感想が言葉にまとまらず、書けませんでした。後半の猿の忍術とか、何なの?


では、ランキングを発表します。細かい感想はそれぞれのエントリを読んでください。ざっくり感想です。


第1位 スリー・ビルボード
ese.hatenablog.com
脚本、演出、演技、どれも満点でしょ。アカデミー賞受賞も納得です。
見る前に予想していたストーリーからだんだん外れていって、最後は全然違う場所にいる。「思てたのんと違う!」けど、それは裏切られたのではなく、遙か高い次元に連れてこられたのです。
反発し合っていたベクトルがラストで同じ向きになるのもいい。しかもそれは倒す・殺す・やっつけるという「攻撃」のベクトルではなく「赦し」のベクトルになっているのが素晴らしい。


第2位 ちはやふる-結び-
ese.hatenablog.com
1位でもいいのですが、それはこの3部作トータルでの印象なので、これ単体では2位に。
勝ち負けのロジック、フリと回収、描く部分の選択と集中。これらが上手い。ただ何となく勝った負けたではなく、そこに根拠がある。そしてそこに出てくる読み札にも意味がある。フリも「フリのためのフリ(伏線)」ではなく、その場面では映画として機能していて、さらに後半でそのフリが効いてくるという上手さ。また、原作はまだ続いているし描きたいエピソードはたくさんある中で、どれを描いてどれを落とすか。その判断が素晴らしい。ラストの「タッチ方式」に感動した!
何より、青春映画に必須な「その世界でその役者たちは生きていて、成長している」ができているから、それだけでこの作品は成功です。その上で上記のような上手さがあるので、より完璧。


第3位 彼女がその名を知らない鳥たち
ese.hatenablog.com
公開は2017年ですが、私の地方で公開したのは今年なので今年の作品とします。
正直そこまで期待していなかったのですが、Twitterで絶賛が多かったので見に行ったら、大絶賛!素晴らしい原作を素晴らしい監督が素晴らしい役者を使って作るとこんな素晴らしい作品になるのですね。登場人物は全員最低なのに映画としては最高ってどういうことだよ。
この作品で白石和彌監督への信頼は盤石になりました。この後の『孤狼の血』でもさらに惚れることになるのですが、その間の『サニー/32』のダメっぷりはどういうわけだ、と思っています。秋元康への嫌がらせなの?
あと、感情の機微や悪意の移ろいとかは女性の方が上手いなあとこういう作品を見るたびに思います。『紙の月』の角田光代さんとか湊かなえさんの作品とか。


第4位 カメラを止めるな!
ese.hatenablog.com
言うまでもなく、今年いちばんの話題作。面白かった。上手かった。
ネタバレ厳禁の本作、もうレンタル開始していますのでまだの方はぜひ見てください。絶対に面白いから。
この作品は順位をつけるのが難しい。面白かったのは間違いないのですが、低予算・無名キャスト・この設定だから、という部分も大きい。あと、当初2館のみの上映だったのが口コミでどんどん広まっていったというストーリーの底上げ感もあります。
なので、順位はあってないようなものですが、面白さは保証するので(これ、見て面白くないという人いるのかな?)皆さん見てね。


第5位 ゲットアウト
ese.hatenablog.com
これも2017年の作品ですが、私が劇場で見たのは今年なので今年の作品なのだ。
昨今のポリコレの流れを逆手にとったような上手い価値観の転換。この作品もネタバレになるのであまり書けないのですが、面白い。ホラーというほどの恐怖描写があるわけではありませんが、怖い。こいつら、怖い。
たぶんこういう作品はこれまでだったら私の住んでいる地方のシネコンでは上映してくれなかったと思いますが、SNSで盛り上がれば遅れてでも公開してくれる。いい流れだ。だから皆さん、面白い作品があったら積極的につぶやきましょう、拡散しましょう。その「好きの伝播」はいろいろなものを動かす力があります。


第6位 ミッション・インポッシブル/フォールアウト
ese.hatenablog.com
この辺から順位はあいまいです。
正直、この作品は映画として優れているかどうかは分かりません。脚本も分かりにくいし『ミッション・インポッシブル』シリーズとしての良さ(最新ガジェットの活躍とか)は薄いです。
でも、トムひとりで全部持って行きます。脚本とは関係なく、映画とは関係なく、まずどんなアクションをするかを考え、それを脚本に当てはめていった作り方。間違っていますが、トム映画としては大正解です。
トムが無茶をする。危ない!と見ている私たちは思うわけです。しかし、たぶん現場とトム本人はそれ以上に危ない!!!と思っていると思います。だってこの映画はトム・ドキュメント。それでいい。この作品に映画の物差しは不要だ。


第7位 リメンバー・ミー
ese.hatenablog.com
こちらは、トム映画とは真逆の満点の脚本です。本当にディズニー・ピクサーはスキがない。物語の整合性からポリコレ・ジェンダーに至るまでどの観点から見てもダメな部分がない。そしてそれを「正しい映画」ではなく「面白い映画」として作り上げているのが本当にすごい。しかも大人も子供も楽しむことができる上で大人には深い問題が描かれていることも分かる作りになっているのです。参りました。


第8位 孤狼の血
ese.hatenablog.com
これも白石和彌監督作品。いやほんと、上手い。これぞ「映画」!見たい人がお金払って見に来ているんだから、描くべきことは遠慮も躊躇もせず描くべき。フィクションの中はポリコレや倫理は及ばないのだ。
この作品は、役所広司はもちろん素晴らしかったですが、松坂桃李が素晴らしかった!あの黒目。
続編もあるそうですが、どういうお話になるんだろ。登場人物だいぶ死んじゃったよ。


第9位 万引き家族
ese.hatenablog.com
是枝監督の集大成。是枝監督は毎回善悪や白黒をはっきりさせないので分かりにくいとかすっきりしないとか思う人がいますが、これは面白かったでしょ、分かりやすかったでしょ。
是枝監督は毎回子役の演技指導が上手すぎて毎回ドキュメンタリーかな?と思うレベルで、今作も相変わらず上手かった。そしてその他のキャストも芸達者揃いなので皆さん優勝なのですが、その中でも安藤サクラが優勝でしたね。
正しいって、何だろうね。


第10位 search
ese.hatenablog.com
これは私の住んでいる地域では上映していなかったので、東京に行ったついでに見てきました。予想以上に面白かったです!
これもネタバレできないお話なので、まずは見に行ってくれ。面白いから。
あと、これも上記エントリで書きましたが、「全編PC画面だけ」という縛りは面白さを制限しちゃうとか無理矢理感が出ちゃうと思っていましたが、実際見たらそんなことないし、逆にこの縛りが新しい表現方法を生んでいるので、この方法は完全に正解でした。
これも小規模上映から始まって口コミで拡大していった作品です。最近上映が始まったばかりとかこれから上映会する地域もたくさんあるので、もし自分の近くで上映してたらぜひ見に行ってください。


以上、10位まで。こうして見ると『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』が高すぎるかなあと思いますが、見たときの衝撃と興奮はここだったのだ。トムにやられた。
その他面白かったのはレディ・プレイヤー1』『羊の木』『勝手にふるえてろなど。
逆に世間では評価高かったのに私にはあまりはまらなかったのは『ブラックパンサー』『ボヘミアン・ラプソディ』『グレイテスト・ショーマン』など。世間の熱狂ほど自分は熱狂しなかったというだけで、面白かったのですが、熱の差。


これを読んでどれかひとつでも引っかかったら、ぜひ見てください。どれも面白いから。


変な人は面白い。『サワコの朝』磯田道史の回

面白かったので記録


だいぶ前の放送ですが、『サワコの朝』に磯田道史さんが出ていて、とても面白かったので一部書き起こしします。
私は磯田さんのことは全然知らない(何となく名前は見たことあるな、のレベル)のですが、この人面白いですね。学者は何か一つのことを専門に調べるのが仕事で、それをするにはやはりどこかタガが外れていないとできない。その一般人との飛距離が面白さを生む。そして学者なのでそれを言葉にする力もある。なので発言がいちいち面白い。

小学生のとき、自分の家の近所が遺跡なんで、土器を拾えるわけですよ。自分は9歳なのにこの土器は2000年っていうのがすごいじゃないですか。
で、ここで出たんだからこの土で作れるはずだって思って、大工さんから廃材をもらってきて焼くんだけど、上手く焼けないんですよ、生焼けで。
それで図書館に行きまして、焼き物の本を読んだら、釉薬(ゆうやく)ってものがあって、表面の赤さは土に含まれている鉄分だと書いてあるわけですよ。それでピーンときて、錆のある鉄板をこすって泥に混ぜてそれを土の表面に塗りたくって焼いてみたら、きれいに赤くなるんですよ。

これだけで、すごい。土器の「2000年前」にロマンを感じること、それを自分で再現しようと思うこと、上手くいかなくて諦めるのではなく、自ら調べること、そしてその秘密を発見し、成功させること。
すごい。これ、9歳ですよ。


で、本当にすごいのはここから。

そのときに思ったんですよ。自分じゃ思いつかない、でも書いてあるからできた。ここで文字のすごさを思ったんですよ。
土器は1万年やり続けたのに、文字を覚えたら1日でこの技術が手に入った。人間が1万年かかって到達したものが、文字があることによって1日でできる。
これで、図書館の中の文字の情報を読み尽くしたらすごいことができるぞって味を占めて、本が好きになったんですよ。

9歳でこんなこと思いますか?文字のすごさに気づくこと、だから読み尽くすぞと思うこと、そして実際にのめり込むこと。


その結果、中学生で古文書を読むようになったそうです。

あるときおばあちゃんが、うちには先祖がつけた記録があると。でもミミズがのたくったような文字で読めないと。見たら確かに読めなくて、それで古本屋に行ったら古文書解読用の辞書を売ってたんですよ。500円だから買って帰って、それからしばらく学校の勉強はやめようと思って。


そこから学校の教育について。学校の勉強は短期記憶だからダメだと。

人間って不思議なことに因果関係が分かると腑に落ちるというところがあって、歴史はある種因果関係の研究なんですよ。なぜこうなっているのか、なぜ自分はここにいるのか。その「なぜ」が分かると非常に面白いわけです。


後半は実際に古文書を持参して解説。

(サワコ)今、忍者の研究をしているんですか?なぜ?
だって、忍者は隠れるじゃないですか。隠れたままにしてやるかと。秘密にやっている忍者の実態を暴いてやろうと。忍者だって記録を残すので、それをあれ(解読)すれば忍者の実際が分かるだろうと。

そして実際にどのようなことが書いてあるかを解説。

でもね、悔しいこともあるんですよ。ここにね、僕のいちばん嫌な言葉「口伝」って書いてあるんですよ。ここまでやってきたのにこの口伝とは何か~って腹立つんですよ。

こんな悔しがり方をする人、いる?

(サワコ)こういう古文書を読んで、「うわ、面白い」って思うことってどういうところですか?
それは、この情報は今のところ世界中で僕しか知らないからですよ。僕が本に書いたり外でしゃべらねば僕しか知らない情報で、それをひとつずつ得ていくっていうのは楽しいですよね。

こんな楽しみ方をする人、いる?

だから、本を書くときは少し寂しい気もしますね。自分だけが知っている状態なんだけど、まあしょうがないな~、分けてやるかって感じ。


日本の識字率が高い理由。

まず、勤勉かつ独立自営の農民たち、それと兵農分離をしたから城下町に武士がいるわけですよ。その間のやり取りは書類でやるっていうこと。
それと「恥の文化」があって、字が読めないと恥だと。これ、悪いところでもありいいところでもあるんですよ、日本人の。人並みにっていう。
あと、直系家族制度っていう長男に全部継がせる制度を採っていまして、長男と親が長期間ずっと同居するから当然親子がすごい交流して技術を教え込もうとするし、家意識が強いから家を盛んにするためには子供に教育投資をやりますから。
(サワコ)そうか、お家の恥にならないように、という意味の教育なんですね。


今の子育てについて

僕もどれがいいかと思いますけど、やっぱり、「親と子がよく会話する」が最初でしょうね、教育の場合は。
それと、面白いと思うのは、やっぱり発見の喜びであることが多いから。例えば、うちの子供が大相撲に興味を持ったから、すぐに通信販売で大相撲の名鑑を買ってくるんですよ。そうすると、これ見ますよね。で、一層面白がって得意の決まり手がどうだとか言い始めるから。
興味を持ったときに、子供が直接その本を入手するのは難しいから、子供がそっちの方へ行きそうになったなと思ったときに少し先回りしてあげるっていうのはいいんじゃないかなって思うんですよね。


人間は何を学習し、何を身につければいいのか。

まあ、発想かな。よくコミュニケーションって言われるけど、面白いことをした方がいいんじゃないですかね。
官僚制度って、基本的には明治には「強い国」を作るためにやったんですね。それでその後は技術とかで豊かになるために「上手い国」、上手く車を作れるとか。だけど、21世紀の人工知能の時代っていうのは目標を決めなきゃいけないから、おそらく観光だとか消費のこととか情報生産とかそんなことを考えると、「面白い国」じゃないといけないので、面白い発想、発想がいい人を育てなきゃいけないので、隣の人と同じことを考えるのではない面白い発想で、なおかつ世界にとかみんなに面白いと思われるっていう。
だからそこをどう教育で生み出すかっていうのはいちばん難しいと思う。でもこれからやんなきゃいけないことだろうと思いますよね。
だって古文書だって人工知能が読みますよ、絶対。歴史学者より正確に解読したら大学の教授なんかは何で生きていけばいいのかって。失業しちゃいますよ。

では、AIでできないことは何か。

例えば将棋盤があったとして、それをひっくり返したら裏に凹みがあるからそこにお皿を置いて4本出た将棋盤の脚の上にろうそくを灯してパスタを食べたら面白いだろう、なんてことは絶対に考えないですよね。

発想がいい!


今年は自然災害が多かった。歴史学者から見て何が足りなかったか。

やっぱり「反実仮想力」だと僕はよく言っていて。「もし何々ならば」と考えるという習慣が必要だろうと、変化の時代は。
(サワコ)先にまず考える。
そうですそうです。仮想をしてみる。
(サワコ)考えたくないっていう意見も…。
ありますあります。日本人、考えたくないことは起きないことって蓋をする。もう幾度となくそれで失敗をしてます。考えたくないことを「縁起でもない」とか言って言葉にしない。
やっぱり自然の災害とかも、受け止める気持ちっていうのはある意味素晴らしいとは思うんですけど、それと対策はまた別であって。起きる前に予測して手を打つって必要なことだと思うんですよね。


今後どういう研究をしたいか。

「歴史の救急車」ってことを考えていて。なんか緊急事態が起きるじゃないですか、高潮とか津波とか。で、この問題を考えなきゃいけないってときに過去の歴史を紐解くレファレンス(参照)として救急車のように駆け出していくっていう。


面白かった。変な人はたくさんいるけど、それが知的好奇心からの面白さと、それを自分の言葉で語れる語彙力の両方を持っているから面白い。大学教授や研究者ってこういう人たちばかりでしょうけど、それを「周りに伝える」つもりも能力もない人が多い(自分の専門に没頭するだけ)から、磯田さんのような人材は貴重ですね。


私は歴史にあまり興味がないのでどの本も読んだことがありません。

日本史の探偵手帳 (文春文庫)

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日本人の叡智 (新潮新書)

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妄想映画『Dragon Ash物語』

公開は30年後


クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒット中です。ミュージシャンの映画には「ドキュメンタリー」と「伝記もの」があって、事実に即した内容であればドキュメンタリーがいいし、物語として描きたいのであれば伝記ものとして作った方がいい。
現在も活動しているミュージシャンの場合、フィクションの割合が増えるのはよろしくないのでドキュメンタリーが合っていますが、中心メンバーが亡くなってだいぶ経っている場合は伝記ものとして描きやすいです。クイーンはもちろん後者のパターンで、Xジャパンやハイスタは前者のパターンです。
で、クイーンの他に伝記ものとして描けるようなドラマチックなミュージシャンいないかなあと考えたとき、エアロスミスはどうかしら、と思いつきました。


では、日本のミュージシャンで作るとしたら?もちろんたくさんふさわしい人たちはいるでしょうが、私が語れるのはDragon Ashしかいない。
だって、真心ブラザーズだったら「YO-KINGはいつもハッピー」だし、RHYMESTERだったら「泥水すすり続けて30年」だし、岡村靖幸だったら「映画にするにはツラすぎる」だし。


というわけで、Dragon Ashの伝記映画を勝手に作ります。公開は30年後、Kjの古希に合わせて公開です。ちなみにこの頃、Dragon Ashは25枚目のアルバムを発表し、相変わらずライブハウスではモッシュが起きています。
タイトルは『Lily』か『Run to the Sun』で。


オープニング。ライブで『ROCK BAND』を演奏中。フロアではモッシュが飛び交う。タイトルが出て、過去シーンへ。


1990年代前半、古谷建志ラグビー部で汗を流し、放課後はバンド活動を楽しんでいた。
そして舞い込むデビューの話。しかしプロとして誘われたのは建志ひとりだけ。ドラマーだった桜井誠はお呼びではなかった。そこでサクはどうしたか。「めっちゃ頑張った」


こうして建志とサクがプロとしてデビューを目指す。しかしボーカル・ギターとドラムだけではバンドにならないので、ベースをオーディションで募集することに。
10代の二人とメンバーになるのだから同年代が望ましい。そのため20代前半までという年齢制限を設けて行ったオーディションだったが、そこに現れたのが馬場育三
どう見ても20代前半には見えないが、履歴書には23歳との記載が。そして肝心のベースプレイは文句なくテクニカルで、落とす理由はどこにもない。見事合格した馬場さんだったが、その直後二人より一回り以上年齢が上ということが発覚。
建志は親の七光りと見られないために「降谷建志」という名前で活動する。


1997年、ようやくデビューしたDragon Ashだったが、最初は鳴かず飛ばず。バンドブームはとうに終わっており、世の中は小室サウンドビーイング系、そしてカラオケの時代。英語詞でパンクロックを歌う彼らに時代は味方していなかった。
ミニアルバムを2枚、フルアルバムを1枚出したが売れ行きは芳しくない。次のリリースがコケたらもう契約解除という瀬戸際まで追い込まれたとき、建志は新しい武器を手にする。
ラップ、ヒップホップ。


1998年、シングル『陽はまたのぼりくりかえす』『Under Age's Song』発売。今となっては珍しくない「ラップ+バンドサウンド」だしラップのスキルも高くないが、当時は新しい音楽として若い世代に支持を受け始めた。
そして、当時からDJとしてライブではサポートして参加していたBOTSが正式メンバーとして加入。
風向きが変わり始めた。


1999年3月『Let yourself go,Let myself go』発売。さらに2か月足らずで『Grateful Days』と『I LOVE HIP HOP』のシングルを2枚同時発売。さらに同年7月にはアルバム『Viva La Revolution』発売。アルバムは200万枚近く売れ、テレビに出ないながらもDragon Ashの存在は若者を中心に完全に世間にも広まった。
革命、成る。


BGMに『Freedom of Expression』を流しながらこの頃の絶頂期をダイジェストで紹介。
※この曲には「ロックンロールは俺の青春、ヒップホップは俺のすべて」という歌詞(和訳)がある。


アルバムはヒット、プロデュースや客演でも引っ張りだこ。この世の春状態だったバンドに、突如トラブルが起きる。
2002年、以前共演したZeebraキングギドラ公開処刑』の中でKjをディス。さらにシングル『Life goes on』がパクリではないかという疑惑。
特に慕っていたZeebraからのディスはKjにとってショックで、バンドとしての活動は停止。
ビーフショック。


その後、ギタリストとダンサー二人をメンバーに入れ、7人体制でバンドは活動する。テクノ、アンビエント、ラテンなど様々な音楽性を渡り歩き、徐々にヒップホップ色は薄まっていく。
どこへ向かうべきなのか。


2010年、EP『SPIRIT OF PROGRESS E.P.』とアルバム『MIXTURE』発表。この中の『ROCK BAND』で「自分たちはロックバンドだ」「ミクスチャーロックが大好きだ」と宣言。過去の思い出シーンが流れ、オープニングのライブシーンにつながる。
バンドのアイデンティティの再確認。


しかし2012年、馬場育三急逝。再びバンドは停止を余儀なくされる。
両A面シングル『Run to the Sun/Walk with Dreams』発売。それでもバンドは歩き、走り、進む。


KenKenの本格参加によりアルバム『THE FACES』完成。『The Live』の「この音が止まるはずない いなくなったあなたのためにも」でエンディング。
エンドロールでは『The Show Must Go On』が流れる。


いかがでしょうか。もちろんこの後もいろいろドラマはあるのでどこをピークにするか、どこで終わるかは難しいですが、私の妄想ではこんな感じ。
スタート当初はなかなか上手くいかなかったバンドが、ヒップホップという武器を手にし大ブレイク。しかしその恩人だった人から思いがけないディス。停滞期と迷走期を経てミクスチャーロックバンドとして腹をくくって再び進み始める。その矢先にIKÜZÖNEの急逝。それも受け止め、受け入れ、バンドは進む。


ドキュメンタリーでなく伝記映画として描くにはやはりまだ生々しいので、制作されるとしても数十年後でしょうが、見たいなあ。


Viva La Revolution

Viva La Revolution

『M-1グランプリ2018』 感想

「上手い」と「面白い」、「その瞬間」と「これまでのストーリー」


M-1グランプリ2018』を見ました。
私、普段見たい番組は録画しておいて後から自分のタイミングで再生するという視聴スタイルなのですが、M-1RIZINだけはリアルタイムで見ます。ネタバレくらいたくないから。
実際は放送開始に間に合わず追っかけ再生で見たのですが、ネタバレくらわずに見るのは面白いなあ。


最初に全体の話。今回、大枠は前回と変わらずでした。変わったのは審査員の入れ替えと笑神籤をアスリートが引くということくらい。
審査員で塙とサンド富澤が入ったのはとてもよい変更点だと思います。Wikipediaで過去の審査員一覧を見てきましたが、今回がいちばんいいんじゃない?
一部で志らくさんと上沼さんの点数に文句つける意見もありますが、そんな変かな?プロの採点なんだから素人はそこに文句つけるのはやめましょう。「その点数は違う!」は「自分の点数と違う!」ってだけで「正しい点数と違う!」ではないですから。
アスリートが笑神籤を引くのは、何かいいことある?視聴率上がる?何もいいことないでしょ。この番組は笑いに特化していきましょうよ。上戸彩が引く、でいいんだよ。


あと、笑神籤はいいけど、やっぱり敗者復活はトップバッターにしてほしいんですよねー。トップバッターはどうしたって不利なので、一度負けている敗者復活組が務めるべき。番組としては盛り上げてほしいからそうしたくないのでしょうが。


敗者復活戦でのミキの勝ち上がりはまあ順当ですな。私はミキはあまり好きではないのですが、面白かったもん。プラス・マイナスも面白かったですが、賞レースのネタではないように感じました。ルミネっぽい。彼らが芸達者でフレッシュさがないからかもしれませんが。
あとは、たくろうと金属バット。たくろうは面白かったのに時間オーバーという致命的かつ初歩的なミス。あほー。金属バットはネタとしてはまだまだですが、立ち振る舞い・存在感・オーラという部分が抜きん出ている。生意気かつチャーミングな彼らは何かのきっかけでブレイクしますよ!
そしてさらば青春の光。ネタは面白いのに、森田噛みまくり!あほーあほー。


さて、ようやく本戦。順番に簡単に感想を書きます。あくまで感想なのでフラットな評価ではなく私の好き嫌いが反映されております。
ネタのタイトルはこの記事から拝借しました。
gendai.ismedia.jp
f:id:ese19731107:20181203204322p:plain
①見取り図「おしゃれ」
(このネタ、「おしゃれ」かなあ?)
初めて見ます。
ボケが弱い。ツッコミありきでボケを作っていてもったいない。ボケで笑わせて、ツッコミで広げないと。それがないのでボケはずーっとスベっている感じになるよ。
あと、謎のワードを後からツッコむのは上手いし面白かったけど、最初にそのワードが出たときに見ている人が「??」となるのはその瞬間の笑いを犠牲にしてしまうのでマイナスですよ。どうせならジャルジャルのように最初から絶対にありえないワード(すぐボケだと分かるワード)の方がいい。
ついでに。舞台に出るときに他の出演者とハイタッチしながら出ていたのはダメだ。あいつらは敵なんだぞ。甘い、ヌルい。


スーパーマラドーナ「近所の怖い人」
私、スーマラ好きなんです。さて。
つかみできちんと笑いを取っていてよい。しかし、その後の設定に入るまでが長い。でも、最初の「バン!」と扉を閉じるところで爆発したのでよい。でも、オチが弱い。
それよりも、何でこのネタやねん。松本さんも言っていたけどサイコ強めなんだよなー。実際に首絞めるとかしなくていいのに。


かまいたち「タイムマシーン」
「過去に戻れるなら何する?」という誰でも考えたことある設定とそれをお客さんに語りかけることで、お客さん(と見ている私たち)をネタの参加者にする手法、上手い!
そしてネタ中のボケも全部はまったし、ネタ中に最初の提示したぞれぞれの願いに対する納得感が変化していき、同時に見ている私たちの納得感も変化していく。上手い。
さらにそれが賞レース用に後半にいくにしたがってヒートアップとテンポアップしていくし、完璧。
ネタ順が後半だったらもっと点数ついたのになー。たらればを言ってもしょうがないけど。


ジャルジャル「国名分けっこ」
ジャルジャルー!ジャルジャルーー!!お前、ジャルジャルだなー!!!!!
前回と同じ「ないゲーム」ですが、毎回ゼロから発想するのがすごい。笑いは技術も大事だけど、その前には発想がある。トランスしつつ感動しました。


ギャロップ「合コン」
初めて見ます。
面白いけど、新しくない。面白いけど、爆発しない。ルミネだったら大爆笑だったけど。
後半で「じゃあ中止や」「何で俺が中心になってんの?」というボケとツッコミがあったのですが、中止と中心の似た言葉を使うのは上手くない。


⑥ゆにばーす「遊園地」
どうした。つかみでスベってあとはぐだぐだ。何でこんなに歯車噛み合わなかったんだろ。噛み合っていたらこのネタでも爆発したのかな。してないと思うけど。
まあ、来年頑張れ。それしかない。川瀬名人が引退しなくてよかったと思おう。


⑦ミキ「ジャニーズ」
いい順番引くなー。これがスターか。設定も新しくないし漫才も新しくないのに面白い。これがスターか。
私はミキのことそんなに好きではないのですが、それでもやっぱり面白い。上手い。
でも、やっぱり亜生でなく昴生なんだよなー。平場での亜生をよく知らないのですが、タレントとしても面白いのかな。よく分からん。
かまいたちより上なのかー。


⑧トム・ブラウン「ナカジマックス」
初めて見ます。
「中島を5人合体させます」はいいのですが、それを何度も繰り返すなら、合体の部分はもっと上手く短縮できたらよかったのに。
そして、もう一度見たらずーっと「何してんねん」ですね。発想からボケから展開まで。
スーパーマラドーナがこの位置だったら順位逆だったのでは。


霜降り明星「豪華客船」
ネタは初めて見ます。
もう一回見たのですが、やはりそんなに笑わなかったなー。ネタも並列だしなー。
しかし、ボケとツッコミの両方が面白いので、総合力はやはり素晴らしい。せいやの「存在が面白い」と粗品の「的確なツッコミ」、合体したらそりゃ最強。お見事でした。


⑩和牛「ゾンビ」
映画やん。素晴らしい。上手い。面白い。
ただ、やはり「殺す」というワードが引っかかる。「やっつける」「倒す」「やる」くらいのワードにしておけばなー。


というわけで最終決戦は霜降り明星、和牛、ジャルジャル


最終決戦①ジャルジャルジャルジャルです!」
最初「お前たちー!」(また悪い癖がー!)と思っていたのに、後半で「お前たちー!」(愛しているぜー!)になった。好き。
ただ、これが優勝ネタかというと、そうではない。ジャルジャルは短時間に2本摂取してはいけない。


最終決戦②和牛「オレオレ詐欺
上手すぎる。これぞ和牛!嫌な奴と上手いババア。演技と余韻で笑いを取れるんだもんなー。
和牛は水田の「嫌な奴」が笑いの邪魔をしていたけど、そういうキャラも浸透してきてあまり気にならなくなったのが大きい。


最終決戦③霜降り明星「学校の頃の思い出」
たぶん、私が彼らのことをもっと知っていればもっと面白いんだろうな。スーマラやジャルジャルや和牛のように。「プリンセス転校生」は何がおもろいねんと思いましたが。


私は和牛でしたが、霜降り明星が優勝。そうかー。新しい世代だなー。私はもう去るのみの老兵なんだなー。
漫才の良し悪しを評価する際、なるたけ「その日のそのネタのその出来栄え」で採点したいと思っていますが、そうはいってもやはり「これまでのストーリー」も入ってきちゃうなあ。
また、「上手いより面白い」を優先したいとも思っているのですが、その面白い発想も技術がないと笑いに変換しないので、やはり発想だけでは面白くならない。だからある程度キャリアは必要なのかなー。


とはいえ、今回もものすごく楽しく面白い漫才大会でした。また来年が楽しみ。和牛、次こそよろしく。


M-1グランプリ』過去エントリ↓
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