映画化するんでしょ
私にとって、「告白」に続く湊かなえさん2作目です。
良かったです。
女子高生二人の物語で、さらに一人称で書かれているので、おっさんである私は読み始めは取っ付けなかった。
それが、後半から徐々に速度を増していき、クライマックスで伏線がばしーんと回収。
さらに序章と終章でさらに回収。
それでも足りない人には解説でさらに納得。
アスタリスク(*)に気がつかない人はいないと思いますが、確かにこの解説文は「補助線」になりました。
登場人物全員に意味がある。全員が物語に関わっている。その行動も、そのセリフも、その性格も。
読む前の人物相関図と、読み終わったあとの人物相関図は、増える矢印の数がすごいぜ。
湊さんはもともと脚本家志望のようで、文章力もさることながら、構成力が素晴らしい。
設計図を描いてそれに向けて書いていくというのは、作家としては当たり前なのでしょうが、大変な作業だなあと思います。
書いているうちに脱線したり、ボリュームが変わったりしていくことはないのかな。それがプロなんだな。
この作品も映画向けだと思います。
主人公二人の主観なのでモノローグも使えるし、夏休み中の話なので時間も必要ないし。
主人公の二人は敦子と由紀ですが、敦子は名前もしかり、不器用な感じからAKBのあっちゃんでしょう。ずっとそのイメージで読んでいました。特別ファンというわけではありませんが。
由紀は冷めているけれど、握力の無さなど自分の弱みは人に見せないキャラ。うーん、思いつかないのでプロデューサーさん、素敵なキャスティングをお願いします。
「告白」の中島監督は良かったですが、今回はテイストが違うので違う監督がいいな。
ついでに「告白」の話も。
原作はとっても良かったです。ずっと独白で書かれているので読みやすく、ページをめくる手が止まらずに一気に読みました。
そして映画を見たら原作よりも良かった!
ほとんどの場合、原作を超えることなんて不可能だし、さらに原作を読んでから映像を見てそっちの方がいいなんて多分初めての経験でした。
途中松たか子が走って嗚咽する場面は原作にはありませんが、あれで復讐に躊躇する気持ちが見えましたし、ラストの「なんてね」は、原作と逆の結末になったのでは?
ラスト近くの爆発のCGは増長に感じましたが、それ以外は素晴らしい。
「下妻物語」は未見ですが、「嫌われ松子」「パコ」に続き素晴らしい作品だったので、「この人は才能・技術あるんだなあ」と思いました。
結論。
早く映画化を!でもあまりアイドル起用しないで!
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